「王室教師ハイネ-THE MUSICALⅡ-」が2019年4月11日(木)、いよいよ幕を開けた。「2.5ジゲン‼︎」では開幕に先駆け行われたゲネプロの様子をダイジェストで、また主要キャストによる囲み取材の様子をほぼノーカットでお届けする。
ゲネプロに先立ち囲み取材が行われた。登壇したのは、植田圭輔(王室教師・ハイネ役)、安里勇哉(グランツライヒ第二王子・カイ役)、安達勇人(第三王子・ブルーノ役)、廣瀬大介(第四王子・レオンハルト役)、蒼井翔太(第五王子・リヒト役)、橋本祥平(ロマーノ王国第一王子・イヴァン役)、阪本奨悟(第二王子・ユージン役)の7名。
6人の個性豊かな王子たちとその専属家庭教師。ロイヤルな面々を演じる彼らが、各キャラクターの見どころや意気込みを語った。
ほぼノーカット!囲み取材コメント
「王室教師ハイネ」は赤井ヒガサ原作の漫画。2017年にTVアニメ化し、さらに同年アニメと全く同じキャストによるミュージカル「王室教師ハイネ-THE MUSICAL-」が上演され話題となった。今作は待望のミュージカル第2弾。
グランツライヒ王国のひとくせもふたくせもある4王子たちをとりまとめるのは、もちろん主役の王室教師・ハイネ先生。今作ではさらに隣国ロマーノ王国の双子王子(イヴァン、ユージン)が主要キャストに加わり、新たなストーリーが展開される。
自己紹介からスタートした囲み取材。まず主役のハイネを演じる植田圭輔が、「前作までの4王子に加え、今回ロマーノ王国から双子の王子が加わり6王子をとりまとめることになりました。見た目は子ども、でも内面は道徳・人徳にあふれたハイネ先生を演じます」と意気込みを語った。
――作品および、ご自身が演じる役の見どころは?
阪本奨悟(ユージン役):僕が演じるユージンは、別名「ダークサイド王子」と呼ばれるネガティブ思考の王子です。
口数は少ないけれどふいに喋る一言がなかなかトゲがあったり、人をぐさっと傷つけてしまうような子なんですが、じつは中身はすごく兄弟思いで仲間思いの優しい面があります。
今回のストーリーではその部分が大きく描かれていて、僕自身も今一度自分の中で「友情」というものと向き合いながら演じています。そこにぜひ注目していただけたらなと思います。
橋本祥平(イヴァン役):イヴァンは非常にまじめで、ロマーノ国王である父上の言うことは絶対と思って育ってきた王子です。
そういう部分が「触れたものみな傷つけるジャックナイフ王子」と呼ばれるゆえんにつながるのかなと思っています。双子の兄ということもあって責任感も強く、プライドも高いのでレオンハルトとよく衝突し合っています。
喧嘩もたくさんしますが、その中に表れるふたりの絆や、ユージンとの兄弟間の絆を見てほしいです。
蒼井翔太(リヒト役):リヒトは女の子やカフェが大好きな、とても可愛い末っ子のムードメイカー。劇場でみなさんの心をぱあっと明るくできるよう演じたいです。
今回は彼が苦手なことにチャレンジしていく展開もあります。その頑張りも見ていただけたら嬉しいです。と同時に、前回同様このロングヘアの髪さばきにもぜひご注目ください!
廣瀬大介(レオンハルト役):レオンハルトはとても「頭がよくない子」なんですけども(笑)、場を盛り上げられるよう一生懸命やりたいです。今回アクションシーンが多く、ちょっとだけ頑張りました……。
安里:いっぱい頑張ったでしょ?
廣瀬:はい、いっぱい頑張りました!
一同:(笑)
廣瀬:あとは各キャラそれぞれいろんなところで輝いておりますので、目を離すことなく見ていただけたら幸いです。
安達勇人(ブルーノ役):ブルーノ王子は「高圧インテリ王子」と呼ばれていますが、今回は葛藤や決断をするシーンが多く、いろいろな表情を見せます。
かなり孤独を感じるシーンもありますし、ブルーノの決断が大きな伏線になったりもしているので、僕としてはいろんなブルーノを生きて、いろんなメッセージをお客さまに届けられれば嬉しいです。
安里勇哉(カイ役):カイは目つきが鋭くて周囲に怖がられがちな「ジロリ王子」と呼ばれていますが、じつはとても優しい男の子です。
今回は彼を含め、兄弟みんなの成長を見られます。カイは前回ほとんど喋れなかったんですけども、今回、口数は少ないながらも少し喋れるようになっていて……。また喋っていないところにもカイの良さが出ているので、そこを見てもらえたらなと思います。
植田圭輔(ハイネ役):前作の「王室教師ハイネ-THE MUSICAL-」では、ハイネ先生を通して4人の王子がそれぞれ一歩前に踏み出し、ひとつのものを乗り越える、というストーリーでした。
今回4王子たちはあの頃より成長していて、ハイネを通してというよりも自分たちで考えて誰かを信頼して、何かを乗り越えていく、という物語になっています。
ハイネは(前回と比べ)より大人っぽく教師らしい立ち位置というか、一歩引いたところでみんなのことを見守っています。その視線や、背中の押し方みたいなものを見ていただけたらいいなと思います。
――公演への意気込みをお聞かせください。
阪本:僕はTVアニメの主題歌を担当させていただき、「王室教師ハイネ」には初期段階から参加させていただいています。それもあって、今回ユージン役として参加できたのが本当に嬉しいです。
「ハイネ」の世界にオリジナルキャラクターである双子が参加することで、どれだけストーリーをかき乱していけるか、見ている人が「どうなっていくんだろう」って感じる展開を巻き起こす存在でありたいです。一生懸命、自分なりにトライしていきます。
橋本:劇場版でイヴァンの声を担当させていただいてから、たくさんの時間をイヴァンとともに歩んできました。
弟のユージンとともに、新たな風を「ハイネ」の世界に吹かせることができたらいいなと思います。僕ら双子以外にも、ロマーノ王国側のキャラクター(国王、ロマーノ側の王室教師など)とともに役割をしっかり全うできるよう頑張ります。
今までと少しだけ違う「ハイネ」を楽しみにしていただきたいです!
蒼井:劇場版アニメのアフレコではみんな一列に並んでモニターを見ながら演じましたが、舞台ではこうやってお互いに向き合ったり、触れ合ったりしながら「ハイネ」の世界観を生きられる。このことがすごく楽しいです。
その楽しさが観客のみなさんにも伝わったらいいなと思いますし、みなさんと一緒に会場全体を「ハイネ」の世界にガラッと変えていきたいです。みなさんもぜひ一人の住民として楽しんでください!
廣瀬:ステージ上では、メインのお芝居をやっている他でも、小さな動作やお芝居をやっていたりします。たとえばグランツライヒのお芝居をやっているときに双子のお芝居も同時に見られたりして、じつはそこに物語が展開するきっかけや伏線が隠れていたりします。
そんなところにも注目していただけると、より世界観を楽しめると思います。大きな会場ですが、そういうものまでみなさんに届けられるよう一生懸命頑張りますので、余すことなく楽しんでいただけたらと思います。
安達:いい意味で、劇場版を見た方々の期待を裏切るような展開が、あったりとか、なかったりとか(一同:「ないんかい(笑)」)……すると思います。
大ちゃん(廣瀬)も言ったとおり、僕らの小さな動作やアンサンブルのダンスにもひとつひとつ意味があります。生の舞台、ミュージカルだからこそ見せられるものがたくさんあると思うので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
安里:今回はこの7人の他にも個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。アンサンブルも前回に比べて倍以上の18人に増え、すごく豪華でロイヤル、素敵なステージになっています。
演出の吉谷光太郎さんが稽古の最初に掲げた目標は「某有名テーマパークを超えるくらいの勢いで、楽しさをお届けする」というものでした。その気持ちを千秋楽まで持ちながら、ロイヤルな世界をみなさんに届けていきます。
植田:立ち上げの頃から考えたら、こんなに大きな劇場でやらせてもらえることも、こんなに長く続けさせていただけることも予想外で、本当に応援していただいている皆様のおかげです。この感謝の気持ちを、公演を通して皆様に届けたいという思いでいっぱいです。
「ハイネ」はの世界観は「ロイヤルで見目麗しい男性たちがいっぱいいて……」というものではありますが、一番大事な勝負どころはやっぱり、お芝居や各キャラクターの熱気や思いです。
だから、僕はとにかく「2.5次元界の金八先生になってやろう」と思いながら演じています。これきっと見出しになりますね。
一同:(笑)
植田:生徒たちにも大人たちにもそれぞれの硬い意志があって、ぶつかって乗り越えていきます。大人の方にも若い方にも楽しんでいただけるよう、しっかりと届けきりたいです。
続いて質疑応答へ。「2.5ジゲン!!」記者からの質問に、各キャストが答えてくれた。
――もしも自分がキャストの中から家庭教師を選ぶとしたら誰ですか?
阪本:植田さんかな。すごく助かるなって思うのは、お芝居の稽古で僕なりにニュアンスをちょこっとずつ変えてやったりしたときに、ちゃんと気づいてくれることです。「あ、ここ変えたね」って気づいてくれる。そういうところにすごく助けられています。
橋本:僕もやっぱり植田さんですね。なんというか、すごく寄り添ってくれるんですよ。僕ら双子、とくに僕はすごく寄り添って助けてもらってる。勉強だけじゃなく、そうした人との近づき方も含めて学びたいです。
蒼井:僕にとっては、植田くんはもう家族みたいな存在なんですよね。僕の方が年上ですけど、彼はお兄ちゃんみたい。
廣瀬:じゃあ今から家庭教師に選ばれる人は家族じゃないってこと?
蒼井:そう、家族ではない。(廣瀬を指差し)この人かなー。
廣瀬:マジか!(笑)
蒼井:(笑)今回アクションシーンが本当にたくさんあるんです。僕もアクションの世界にちょこっとだけ、足湯に親指を突っ込むくらいの程度ながら踏み込ませていただいているんですけども。
廣瀬:この表現このまんま使ってくださいね。
蒼井:(廣瀬は)殺陣についてもいろいろ教えてくれます。間とか、こういうふうに目で合図しようとか、そういうことを全部教えてくれるので、今後も厳しく指導してくれそうだなって思います。
廣瀬:翔太(蒼井)には甘いよ。
蒼井:えっほんと? ありがとうございまぁす!
廣瀬:僕はふたりいて、こことここ(蒼井と安里を指し示す)なんです。お芝居についての相談はわりと翔太にすることが多くて。いろんなことですごく頼りになるし、一緒にいたい。
で、安里さんは今回から急に、時の流れがみんなと揃い始めてきた。
安里:いや、どういうことやねん(笑)。
植田:今回、いろんなところでまとめてくれてるよね。
廣瀬:そう。自分のシーンじゃないところも見てくれて、頼りがいがある。たとえば、僕ら自身も違和感があるけど言い出せずにいたことなんかを、きちんと言ってくれたりするんです。僕の中で今すごく頼れる存在です。
安達:僕は本当に選べないんですよ、みんなから得ているものがあって。今ここに僕がいるのはみんなのおかげだってすごく思っているんです。
僕には本当にわからないことがたくさんあるけど、それをみんなが教えてくれるから、ブルーノも安達勇人もここにあるんじゃないかと感じます。だから全員です。
今回ストーリーの中でブルーノは、ロマーノ王国とグランツライヒ王国を行き来します。ロマーノに行けばそこで学ぶものがたくさんあって、グランツライヒに戻ればやっぱりそこで学ぶものがある。
そんなブルーノと僕の気持ちが今すごくリンクしています。本気でブルーノとして生きようと思うきっかけを、みんなからたくさんもらっています。
安里:僕はそうですねえ、あだっちゃん(安達)の持ちうる天性の「場を和ませる空気感」っていうのは、習いたいなあと思います。茨城なまり一発でもうその場が笑顔に包まれるのでね。
一同:うんうん。
安里:というわけで、一発とっておきのやつをやってください!
安達:えー!?
植田:ざっついフリだね(笑)。
安達:(茨城なまりで)おれは、王室教師ハイネが、だいすきだよぉ〜。
一同:(拍手)
植田:僕は翔太さん(蒼井)。自分の生き方を全うしているところを学びたいです。
今回のストーリーにも出てくる「人にはそれぞれに合った生き方がある」「自分の選んだ道を行く」というのを体現している立ち居振る舞い、存在の仕方が唯一無二であるというか、そういうところをできるだけ近くにいて学びたいです。
じつはこの日は、自身も俳優である松井勇歩が「2.5次元ナビ」(日テレプラス)のリポーターとして取材に参加。松井からはこんな質問が飛んだ。
――圭輔さん(植田)に質問です! 圭輔さん演じるハイネはわがまま王子たちに教育的指導をする立場ですが、今回の座組で実際に教育的指導が必要!と思われるキャストの方は?
植田:(即答で)安達勇人さんですかね。
安達:嘘でしょ!?
一同:(笑)
安達:え、今回何かあった?
植田:ムードメイカーなんですね、彼。僕らのことをすごく和ませてくれるんですけど、「えっ、そんな噛み方する?」だったり、「そんなミスり方する?」みたいなことを、一番やってほしいときにやってくれるんです(笑)。しっかりと教育的指導ですかね。そこは。
安達:反省してます!
植田:いい意味で、教育的指導です。
――最後に、お客さまへの一言をお願いします。
阪本:キャラクターも音楽も、すごくゴージャスです。100%以上の満足を感じていただけるステージになっているんじゃないかと思います。
ぜひ最初から最後まで、隅から隅までロイヤルな世界を堪能していただき、帰ったら美味しいごはんを食べながら舞台のことを思い出して「もしゃり」してください!
橋本:劇場版アニメではスクリーンでお届けできる良さがあり、舞台では生でお伝えできる魅力がたくさんあります。
その魅力をたくさん皆様に伝えて、この「ハイネ」の世界に皆様をいざないたいです。最後まで楽しんで、帰りは幸せな気持ちになってもらえるように頑張ります。ぜひ期待してください。
蒼井:オペラグラスがあっても目が足りないよー!ってなっちゃうくらい、盛りだくさんでございますので、一秒一秒繰り広げられる世界観を皆さんの目や耳で感じ取っていただいて、セリフの中の大切な言葉だったりとか、ぜひ何かを持って帰っていただけたらいいなと思っています。楽しんでくださぁい!
廣瀬:公演時間が思った以上に長いので、体調に気をつけて足を運んでいただけたら幸いです。以上です。
蒼井:優しい!
安達:僕はこの「王室教師ハイネ」を他のどこにもない教科書のように感じています。小さい頃にこの作品を見ていたら、もっといろいろなものが変わったんじゃないかと思うほどです。
この作品を演じさせていただくときにはいつも、改めて初心に戻れたり、自分自身を見直すことができたりしています。
ひとつひとつのセリフからも考えさせられることがたくさんあるので、お客さまにも何かを持って帰っていただけたらと思っています。(「ハイネ」という作品が)本当に家宝です、ありがとうございます。
安里:時期的にもう、少し桜も散り始めてきておりますが……この東京ドームシティホール、そして神戸国際会館こくさいホールで、また新しいお花を、きれいなお花をたくさん咲かせるつもりで頑張ります。
植田:そうですね、みんなが言ってくれたので、一言もう簡潔に。
上質なミュージカル、演劇、素晴らしいダンスと歌をお届けすることがわたくしたちの仕事だと思っておりますので、しっかりお届けしたいと思います。よろしくお願いします。
見どころは多彩な「対比」の数々。公開ゲネプロレポート
続いて行われた公開ゲネプロの模様をご紹介しよう。
今回のミュージカル第2弾は、2019年2月に上映された劇場版アニメ「王室教師ハイネ」の続編となるストーリー。まず冒頭で、劇場版のあらすじがダイジェストで展開される。
劇場版を見た人にとっては、別の角度から改めてストーリーを再確認できる機会だ。スクリーンで見たあの名シーンが生の舞台に蘇る。まさに2.5次元の醍醐味とも言える感覚を堪能できるチャンスとも言える。
舞台装置や衣装はゴージャスの一言。
とくに「ハイネ」という作品は、衣装のディテールが秀逸だ。前作から続投のハイネやグランツライヒの4王子はもちろん、新キャラクターであるロマーノの双子王子の衣装もハイクオリティである。
ベルベットの光沢がロイヤルな雰囲気を高め、少し膨らんだ肩から細身の腕周りを経て袖口に至る、細かいシルエットまで計算され尽くしている。
君沢ユウキ演じるローゼンベルク伯爵や、両国の国王などのゴージャスな衣装にも注目したい。
大人数のアンサンブルのダンスも華やかだ。客席をうまく使った演出もあり、第2幕のとあるシーンでは客席までステージになったかのような感覚に陥る仕掛けが用意されている。まさに会場全体が「ハイネ」の世界に包まれ、観客も住民のひとりになれる瞬間が訪れるので、楽しみにしてほしい。
ストーリーでは、6人の王子たちがときにぶつかり合い、ときに助け合いながら成長していく様子と、それを温かくサポートするハイネ先生の姿が描かれる。
個性豊かな6人の王子の絆には、ローゼンベルク伯爵の策謀により暗雲が……。さらにハイネへの嫉妬に燃えるロマーノ王国の王室教師・ヴェンヴィン(演:水谷あつし)が登場し、事態は混迷を極めていく。
ゲネプロを観劇して強く印象に残ったのは、繰り返し描かれる「対比」だ。今作ではストーリーを彩るさまざまな「対比」が色鮮やかに登場する。
双子であるイヴァンとユージン、その内面の「対比」。
4王子と双子王子、それぞれに異なる兄弟関係の「対比」。
グランツライヒとロマーノ、両国の在り方についての「対比」。
「鬼ムチ教師」と呼ばれるヴェンヴィンと、生徒に真摯に向き合うハイネとの「対比」。
そして詳述は避けるが、4王子の絆を裂くような胸の痛い「対比」も生まれる。
殺陣をはじめとしたさまざまな勝負のシーンも豊富。ツンデレ同士のあのふたりや、意外な人物同士の直接対決も見られる。
また王子たちは今回自ら苦手なことに挑戦し、奮闘を重ねる。その健気な姿も見どころのひとつだ。
6人の王子たちの関係は、混ざり合いそうになってはほどけ、ほどけてはまた近づいていく。そんな彼らを見守るハイネ先生の視線は、いつも底抜けに優しい。
クライマックスは涙なしでは見られない。気になる内容は、ぜひ劇場で、あなた自身の目で確認してほしい。
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