主人公・緑谷出久が最高のヒーローを目指して成長していく「週刊少年ジャンプ」人気作品
「僕のヒーローアカデミア」。同作を原作とした舞台シリーズ最新作「僕のヒーローアカデミア」 The “Ultra” Stage 平和の象徴が4月9日(土)初日を迎える。
2.5ジゲン!!ではゲネプロ公演の様子をレポート。劇中写真と共に本作の見どころや魅力をお届けする。
U-NEXTでライブ配信決定!
■対象公演・チケットリンク
▶2022年5月8日(日)12:00東京公演
▶2022年5月8日(日)17:30東京公演(大千秋楽)
※購入ページにアクセスします。
因縁の対決に火花散る「オリジン」問う物語
心の中にある決して消えない思いの強さを知る物語が、高らかに力強く、そして泥臭く幕を開けた。
原作においても大きな転換点の一つとなる、平和の象徴=オールマイトとオール・フォー・ワンとの直接対決。そこへとつながる一連の事件が、夏の林間合宿から動き出す。
おなじみプレゼント・マイク(演:岡本悠紀)の軽快な語り口でこれまでのあらすじと本作へのプロローグが語られ、高揚感高まるナンバーと共に本編へ突入。ヴィランの動きが活発化する中、雄英高校ヒーロー科1年の夏の林間合宿が始まる。
1幕ではこの林間合宿がメイン。厳しくも楽しい合宿は、ヴィラン連合の奇襲によって一変。開闢(かいびゃく)行動隊の襲撃を受けた緑谷出久(演:田村 心)たちは応戦を強いられるが、彼らの目的は爆豪勝己(演:小林亮太)で――。
▲自身のレベルアップに自信の顔を覗かせる爆豪勝己(演:小林亮太)
▲エンデヴァー(演:上田悠介)を父に持つ轟 焦凍(演:北村 諒)
ヒーローの両親をヴィランに殺された少年・出水洸汰(演:猪股怜生と伊奈聖嵐のダブルキャスト※ゲネプロ出演は猪股怜生)を守りたい緑谷とマスキュラー(演:小柳 心)との戦いをはじめ、合宿地の各所で雄英生vsヴィランのバトルが勃発。常闇踏陰(演:松原 凛)の暴走や障子目蔵(演:大久保圭介)の活躍が、「ヒロステ」ならではのアトラクションのような豪快な演出で描かれた。
▲左から青山優雅(演:橋本真一)、緑谷出久、障子目蔵(演:大久保圭介)、常闇踏陰(演:松原 凛)
2幕は原作の「神野区の悪夢編」にあたるストーリーが描かれ、ヴィラン連合軍の拠点を叩くトップヒーローたちと、爆豪をヴィランから取り戻そうとするA組の面々の、2つの戦いが同時進行。
▲死柄木 弔(演:雷太)率いるヴィラン連合
全体的にはシリアスな展開となるが、2幕前半では爆豪奪還組の緑谷、轟 焦凍(演:北村 諒)、切島鋭児郎(演:田中尚輝)、飯田天哉(演:武子直輝)、八百万 百(演:山﨑紗彩)のコミカルなシーンもあるのでお楽しみに。
▲左から轟 焦凍(演:北村 諒)、緑谷出久(演:田村 心)、八百万 百(演:山﨑紗彩)、切島鋭児郎(演:田中尚輝)、飯田天哉(演:武子直輝)
U-NEXTでライブ配信決定!
■対象公演・チケットリンク
▶2022年5月8日(日)12:00東京公演
▶2022年5月8日(日)17:30東京公演(大千秋楽)
※購入ページにアクセスします。
本作ではこれまで研鑽を積んできた生徒たちの覚悟と成長が垣間見えると共に、それぞれの間に結ばれた絆の変容が浮かび上がる。クラスメイトとして多くの困難に立ち向かってきたA組の生徒たち。クラスメイトから友人に、ライバルに、そして親友に。命と隣り合わせの状況で背中を預けられるほど信頼し、信頼しているからこそ仲間に襲い掛かる危機を見逃せない。同じ「ヒーロー」というゴールを目指す彼らだからこそ結ぶことができる、友情よりも濃い結びつきを、本作ではこれまでに増して体感することができた。
彼らの絆は、作中のA組の絆であると同時に、それと同じだけの強さで結ばれたカンパニーそのものの結びつきの強さでもあるのだろう。身体がビリビリと痺れるような重層的ハーモニーの力強さは、まるで彼らの強固な絆を体現しているようだった。
▲左から轟、爆豪、飯田、切島
▲女子生徒のかわいさと存在感も「ヒロステ」には欠かせない。左から麗日お茶子(演:竹内 夢)、八百万、蛙吹梅雨(演:野口真緒)
特に本作では、もう1人の主人公とも言うべき緑谷出久のライバル・爆豪勝己が、これまでにないほどのピンチに陥る。デクとかっちゃん――共に同じヒーローに憧れてきた、幼馴染やライバルといった言葉では片付けられない関係の2人だ。2人の間には、咄嗟に手を取り合うことができるほどの真っ直ぐな友情とは少し違う、2人しか分からない結びつきがある。
そんなどこかアンバランスな2人の関係性は、本作の見どころの一つと言えるだろう。初演からはもちろん、前作ともまた少し質が変わったように感じられる、2人の関係性にもぜひ注目してもらいたい。
仲間と仲間、教師と生徒、師匠と弟子。その絆に善悪での線引きはなく、ヒーローにはヒーローの、ヴィランにはヴィランのそれぞれの絆が存在する。ヴィラン連合のリーダー死柄木 弔(演:雷太)にとっての「先生」であるオール・フォー・ワン(演:細見大輔)が登場したことで、本作ではより一層、ヒーローとヴィランとの対比が鮮やかとなった。ヒーローもヴィランも、過去のどこかの時点で一つボタンを掛け違えていれば、ヒーローがヴィランに、ヴィランがヒーローになったのかもしれない。
対となる“個性”を持つオールマイト(マッスルフォーム)(演:岩永洋昭)とオール・フォー・ワンがついに対峙する本作では、観る者一人一人の胸に「正義とはなにか、平和とはなにか」という問いが押し寄せてくるだろう。しかし、その問いにステージ上でヒーローとヒーローを目指す者たちが戦う姿で答えを教えてくれる。ここにヒーローが存在して、ヒーローは多くの人々を守る存在なのだと。ヒーローをテーマに描く作品だからこそ、なによりも真っ直ぐな正義の心に触れることができる。これぞ「ヒロステ」の醍醐味だ。
▲継承されゆく”個性”と思い
そして最後に触れておかなくてはならないのが、音楽の力だ。本シリーズにおける歌唱は、魂の叫びであり願いそのものだと筆者は感じている。いずれヒーローになる者たちが見つめるその先に立つ、平和の象徴オールマイトの辿る生き様を存分に心と耳に焼き付けてほしい。彼の抱く決して折れない意志は、ヒーローではない“無個性”な観客の心にも、一つの勇気を灯してくれることだろう。
各キャラクターの完成度の高さは、作品を追うごとに高まるばかり。今回も安定の「ヒロステ」クオリティのおかげで、物語に没入できること請け合いだ。夏休み期間を描くとあって、私服シーンが多いのも見どころ。ヒーローコスチュームや制服とはまた違った、年相応なかわいらしい雰囲気を楽しんでみてはどうだろうか。
▲オールマイトをはじめとしたプロヒーローの面々
約2時間30分の熱い本編の後、待っているのはこれまた熱いミニULTRA LIVEだ。どの楽曲が登場するのかはぜひ劇場で楽しんでもらいたいが、青山優雅(演:橋本真一)ファンは大いに楽しめる時間となることはお伝えしておきたい。
「ヒロステ」を語る上で欠かせない音楽は、楽曲そのものがヒーローのように希望と勇気に満ちている。会場を後にするときには、その身体に不思議と「もっとその先へ(PLUS ULTRA)」進む力がみなぎっているはずだ。
「僕のヒーローアカデミア」 The “Ultra” Stage 平和の象徴は4月9日(土)・10日(日)に神奈川公演、4月22日(金)~4月24日(日)に大阪公演、4月29日(金・祝)~5月8日(日)に東京公演が上演予定。
取材・文・撮影:双海しお
U-NEXTでライブ配信決定!
■対象公演・チケットリンク
▶2022年5月8日(日)12:00東京公演
▶2022年5月8日(日)17:30東京公演(大千秋楽)
※購入ページにアクセスします。
広告
広告