日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演「中島鉄砲火薬店」が1月20日(木)に開幕。前日に公開ゲネプロが行われた。
新進演劇人に上演の場を提供することで、新進芸術家の育成を図る「日本の演劇人を育てるプロジェクト」の一環として上演される同舞台。脚本・演出は伊藤栄之進。10年前に上演された作品の再演となる。
物語は、箱館戦争後、元・新撰組伍長の中島登(演:唐橋充)が暮らす浜松が舞台。登の息子・登一郎(演:小西成弥)が登から寄せられた手紙を頼りに登のもとに訪れる場面から始まる。
登は過去、隊士として死を望んだのだが、葛藤しながらも、自身の経歴は秘密にしながら、他人に親切にすることで人を殺めてきた過去を清算することを誓う。新しく妻のヨネ(演:福永マリカ)を迎え、天然理心流の道場を立ち上げて生計を立てていた。
登が新撰組だったことを知らない登一郎は、登は殺人を犯し、博徒となっていたと聞いていた。実際は殺人も賭博も命じられたものだったのだが、久しぶりに再会し、これからの夢を語る登の姿に、次第に心をひらいていく。そんな中、登に殺された父の仇を討とうとする甘利正太郎(演:田村心)が現れて…。
本作は史実に基づいたストーリー。テーマとしては重い設定なのだが、コミカルとシリアス、硬軟のバランスは絶妙だ。
登が夢枕に立つ土方歳三(演:高木トモユキ)との会話をはじめ、キャスト陣の演技は迫真。説得力を持ち、観る者に訴えかけるものがある。一方で、随所に笑いが加えられ、軽快に展開していく。特に唐橋の圧倒的な存在感は必見だ。
激動の幕末を生きながらえた登は一体、何を思うのか…。
公演は1月27日(木)まで東京・新国立劇場小劇場で行われる。なお、まん延防止等重点措置の適用に伴い、ディレイ配信も準備中だという。
撮影:ケイヒカル
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