舞台「炎炎ノ消防隊」-破壊ノ華、創造ノ音-が1月18日（火）、神奈川・KT Zepp Yokohamaにて開幕した。本作は、2020年8月に上演された舞台「炎炎ノ消防隊」の第2弾。原作は大久保篤による「炎炎ノ消防隊」（講談社・週刊少年マガジン）で、アニメ化もされている人気作だ。2.5ジゲン‼︎では、初日に先立ち行われたゲネプロの様子をレポートする。
太陽暦佰九拾⼋年、東京皇国。人々は、何の変哲もない人が突如燃え出し、炎の怪物“焰ビト”となって破壊の限りを尽くす人体発火現象に怯えて暮らしていた。
ヒーローを目指す少年・森羅日下部（演：牧島 輝）は、“焰ビト”から一般市民を守る特殊消防隊に入隊。秋樽桜備大隊長（演：君沢ユウキ）率いる第8特殊消防隊に配属され、仲間たちとともに“焰ビト”と戦っていくこととなる。
今作は、第1特殊消防隊・烈火星宮の事件が終わった前作の続きから始まる。
第8特殊消防隊（通称「第8」）の面々は、過去の出火事例から人工発火にまつわる手がかりを探すことに。その中には、レッカの事件で謹慎処分となり、第8で預かることになった環 古達（演：早乙女ゆう）の姿もあった。
すると、彼らの前に怪しい白衣の男が現れる。男の名はヴィクトル・リヒト（演：田中涼星）。巨大企業・灰島重工から第8に配属された、非常に優秀な経歴を持つ科学捜査官だ。なぜ灰島重工から…？ と不自然な人事をいぶかしく思う第8だったが、白装束の調査を行うため、リヒトを伴い「第7」管轄の浅草へと向かう。
浅草でシンラたちは、最強の消防官と言われる第7の大隊長・新門 紅丸（演：佐藤流司）の、“焰ビト”と共に周りのものを全て破壊する破天荒な鎮魂を目にして驚く。人当たりがソフトではない紅丸に初めこそ反発しながらも、彼の鎮魂への思いと浅草の人々からの慕われ方を目にしたシンラたちは、次第に浅草の町民たちとも馴染んでいくのだった。
その中でシンラは、町でユウ（演：宮崎 湧）という少年を助ける。ユウは、桜備が機関員として目を付けていたヴァルカン・ジョゼフ（演：TAKA）の弟子だった。ヴァルカンは、様々な組織からのスカウトを拒否してきた孤高の凄腕技術者だという。彼は一体どのような男なのか…。ヴァルカンを訪ねるよう桜備から命じられたシンラは、アーサー（演：横田龍儀）、アイリス（演：礒部花凜）と共に、一時浅草を離れヴァルカンの工房に向かう。
一方、浅草では不穏な白装束たちの姿が浮かび上がる。誤解が誤解を生み混乱していく浅草の町に何が起こっているのだろうか…？
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ストーリーは、世界観の説明とともに前作のおさらいから始まる。舞台の前面にかかった紗幕にアニメのように映る回想シーンと実在人物たちの芝居で、これまで何があったのかが語られる仕組みだ。この紗幕は、アーサーのアクスカリバーの青白い光、シンラが空へと跳ぶスピード感、紅丸の破壊表現などの大がかりなプロジェクションマッピングにも活用され、前作よりもさらにパワーアップした映像表現が大きな見どころになっている。
キーとなる2年前と現在の回想の行き来も、セットの高低差やピンスポットを使い、観ていて違和感なく表現。浅草の町と、森の中にあるヴァルカンの工房との舞台チェンジも映像でしているので、長時間の暗転によるセットチェンジを必要としないため速いテンポで気持ちが途切れることがない。
芝居の面では、シンラを演じる牧島 輝が“少年漫画の主人公”らしい熱血少年にぴったりとマッチ。フライングなどのアクションも多く、前作同様、舞台狭しと動き回り存在感を発揮している。
お笑いポイントも多いがいざという時は決める男・アーサーを演じる横田龍儀は、緊迫した空気を緩めたり引き締めたりと好演。環 古達（演：早乙女ゆう）のかわいさ、礒部花凜演じるシスター・アイリスの可憐さ、茉希を演じる星波の高い身体能力を生かしたアクション、特にハイキックは見逃さないでほしい。
前作同様、君沢ユウキ演じる大隊長の秋樽 桜備は、そのポジティブさ、鍛えた肉体、周りを明るくし引っ張る力などすべてひっくるめ、君沢ユウキなのか秋樽 桜備なのか分からなくなってしまうほどにハマっている。馬場良馬演じる武久 火縄は、シンラを気にかけながら、先輩として援護し闘うことでその能力を見せつけてくれる。
第7の2人、新門 紅丸を演じる佐藤流司と相模屋 紺炉役の郷本直也は、その迫力と安定感で場内をビリビリと震わせる芝居を見せる。スピーカーが壊れるのではないかと思うほどの声量による怒号、叫びはもちろん、つぶやきさえも一つ一つが粒立っているセリフ回しは圧巻の一言だ。この2人の強い絆にもぜひ注目して観てもらいたい。
今作から参加のヴィクトル・リヒト（演：田中涼星）と、前作よりもさらに謎が深まっているジョーカー（演：和泉宗兵）の関係性も気になるところ。鵜飼主水演じるDr.ジョヴァンニの、石橋を叩いて叩いて叩きまくる狂気の演技はぞっとするほどだ。エキセントリックなヨナを演じるのは巧者・河原田巧也。その芝居とキャラクター性の強さで、大きな存在感を残してくれる。佐倉花怜のアローも、凛とした強さが恐怖を与えてくれる。
ヴァルカン（演：TAKA）、リサ（演：飯窪春菜）、ユウ（演：宮崎湧）の3人の絆にも注目してほしい。
公演は1月23日（日）まで神奈川・KT Zepp Yokohama、1月27日（木）〜30日（日）まで大阪・サンケイホールプリーゼで上演される。
取材・文：広瀬有希
（C）大久保篤・講談社／舞台「炎炎ノ消防隊」製作委員会
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク
▶2公演FULLパック
▶2022年1月18日（火）19:00初日公演
▶2022年1月30日（日）17:00千秋楽公演
▶舞台「炎炎ノ消防隊」第1弾（アーカイブ配信）
※購入ページにアクセスします。■DMM.com特設ページ
DMM.com 特設ページ 舞台「炎炎ノ消防隊」第2弾※公演開始30分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※ディレイ配信とは、公演の映像を後日期間限定で視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
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