舞台「MOTHERLAND」が12月3日（金）、東京・明治座で開幕。ゲネプロと初日会見をレポートする。
本作は、演出家・西田大輔が手がけるオリジナル舞台・DisGOONieの10作目となる新作舞台。中国『秦』の君主『始皇帝』の側近にして天才軍師と名高い昌平君（しょうへいくん）を中心としたストーリーだ。数奇な運命に翻弄される人々の愛を描いた本作の舞台写真とともにキャストたちからのコメントを紹介する。
物語の舞台は紀元前221年。大国・秦は、七つの国にまたがる中華全土を統一した。これは、後に秦の始皇帝となる嬴政（えいせい／演：松田凌）の覇業である。この覇業に最も力添えをした天才軍師がいる。名は昌平君（演：瀬戸利樹）。彼の運命は常に嬴政とともにあった。しかし、数奇な運命が2人を分かつことになる。
幅が広く、高さもある明治座の舞台をフルに活用した豪華な世界だ。城塞のようにそびえ立ち壁や崖にも見えるセットが、階段に姿を変えたり戦闘の足場になったりとめまぐるしく展開する。
プロジェクションマッピングが印象的な文字を映し出し、照明効果とBGMが心情効果を助け、さらに観客の情緒を揺さぶる。
一人一人に見どころが用意されている、手数が多く派手で見応えのある激しい殺陣が続く。槍、剣など武器もさまざまだ。美しい衣装をひらめかせながら闘う姿に目を奪われる。
オープニングから目が離せないシーンの連続だ。西田舞台のオープニングは、最後まで観て初めて「あのオープニングシーンにはこの意味があったのか」と気づく仕掛けになっていることが多いので、今回も心に刻みながら観てほしい。
天才軍師・昌平君を演じるのは瀬戸利樹。ゲネプロ前の会見では「西田さんとははじめましてなのですが、たくさん話を聞きながら役を丁寧に作らせていただきました」と稽古を振り返る。
舞台で描かれている“愛”にちなみ、日ごろから愛してやまないものについて聞かれた瀬戸は「ゲームです。どんなに大変でも、少しの時間でも自分にとってリフレッシュになるので、今回の稽古中も15分でも起動していました」と語った。
春申君（しゅんしんくん）役の仲田博喜。会見では、「久々に西田さんの舞台に参加させてもらったのですが、相変わらず稽古場の雰囲気が良かったです。他の方の稽古を見させてもらっている時、お客さまの気持ちになって感動させてもらえる現場でした」と稽古を振り返った。
“愛してやまないもの”の質問には「観に来てくださるお客さまです。そのためにやっています」と力強くコメントした。
李環（りわ）役の伊藤純奈。「西田さんの周りの人がみんな西田さんを好きなのが伝わってきて、私も（西田さんを）一瞬で好きになりました」と微笑んだ。愛してやまないものは「先日卒業したグループ（乃木坂46）で出会った仲間たちです」と笑顔。
嬴政（えいせい）を演じる松田凌。「とある場面で、自分の人生で経験したことのない思いを持ちました。他の方の稽古を見て、その思いに感化されたのか…稽古場にいて“のまれた”のは初めてで嬉しかったです」と稽古場での思い出を告白。愛してやまないものは「家族とお芝居です。そのためだったら、大きな表現になってしまいますが命をかけられます」と真剣な表情を見せた。
蒙武（もうぶ）役の的場浩司。「西田さんとは3回目です。初めてお会いした時から西田大輔という男に惚れてしまいました」と照れ臭そうに微笑み、「（西田さんは）稽古場に入ると、笑顔の瞳の奥に熱い思いがある尊敬できる人です」と評した。
稽古場の思い出を聞かれると「稽古場で笑ったことはたくさんありますが、涙を流したのは初めてです」と回顧し、「どんなシーンかは説明できませんが、観ていただいた方にたくさん泣いて笑っていただければ」と呼びかけた。
項燕（こうえん）を演じる凰稀かなめ。「西田さんとお会いしたのは1年前です。10周年という幸せな公演でご一緒できるのは本当に幸せなことです」と心境を明かした。
西田大輔は「お芝居を作ることは出会うこと。稽古場は死闘だなと思うくらい大変な場で、それを一緒にくぐり抜けるとその人を好きになります」と、舞台作りの原点とも感じられるような思いを打ち明けた。
最後に瀬戸は「改めてお芝居が大好きだと思いました。魅力的なキャスト陣が役者としての生き様を存分に発揮しているので楽しみにしてもらいたいです。セットも素晴らしく、スタッフの皆さんが一流の技術で素晴らしいものにしてくれています。僕たちの舞台上の必死な姿を見てもらえたらそれだけで嬉しいです。ぜひ劇場へお越しください」とメッセージを送った。
公演は12月12日（日）まで明治座、12月18日（土）・19日（日）に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。なお、大千秋楽公演はStreaming＋でライブ配信が予定されている。
取材・文：広瀬有希／撮影：ケイヒカル
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