GReeeeNの結成秘話を描き、大ヒットを記録した映画「キセキ-あの日のソビト-」。同作を原作とした音楽劇「キセキ-あの日のソビト-」が10月22日(金)に初日を迎える。
生歌と生バンドで紡ぎ出される“キセキ”の物語開幕まであと少し。2.5ジゲン!!では通し稽古の様子をレポート。記事後半にはメインキャスト5人によるインタビューも掲載しているので、口を揃えて「仲がいい」と言う5人の空気感を味わってもらえたらと思う。
通し稽古レポート、“キセキ”が生まれる瞬間を五感で
人生に用意された“道”は人の数だけある。当たり前のことだからこそ見失いがちな大切なことを、GReeeeNの生み出した楽曲のように温かく伝えてくれる、そんな作品に仕上がっていた。
厳格な父のもと、夢を追いかけ音楽の道に進もうとするJIN(演:崎山つばさ)と、音楽は好きだが医者を志す弟のHIDE(演:立石俊樹)。別の生き方を選んだ兄弟はやがて、兄は挫折を、弟はチャンスを掴むこととなる。
夢を掴みかけて期待に胸が膨らむ中で味わった挫折、そしてそこから見つけた一筋の光。しかしその光にも、兄としての弟への劣等感や人生のままならなさといった影がつきまとう。そんなJINという難しい役どころの心情を、崎山の強さと脆さが同居する芝居が見事に表現していた。
JINの夢や父の夢を背負い、それを自分の道としてたくましく歩むHIDEを演じる立石は、芝居はもちろんだが、なによりもその歌声の表現力に驚かさる。生歌だからこそ伝わってくる声の温もりが、HIDEという人柄を感じさせてくれた。
兄弟・親子関係といった重い絆がしっかりと描かれた上で、軽やかなサウンドと共にHIDEの学生仲間であるnavi(演:太田将熙)、92(演:岸本勇太)、SOH(演:里中将道)らの友情も描かれていく。この爽やかな雰囲気と、切っても切れない家族の絆という重さとの融合が心地よく、彼らの日常の中に自身が溶け込んでいくような感覚を覚えた。
後にGReeeeNとなる4人の芝居は、等身大という言葉がぴったりだ。GReeeeNの楽曲が飾らない真っ直ぐな言葉で紡がれているように、彼らの芝居もまたシンプルでまっすぐ。ありのままの言葉が人の心に届くということを、歌だけでなく彼らの芝居を通しても感じることができるだろう。
夢を叶えるための“道”は、果たしてどこにあるのか。選択の連続でできていく人生において、悩み立ち止まることは誰にでもあるだろう。そんなとき、この作品はきっと背中を押してくれるはずだ。本作が劇場で完成形となって初日を迎えたとき、そのステージ上にはとびっきり透明な“奇跡”が生まれることだろう。その瞬間を、ぜひその目で確かめてみてほしい。
メインキャストインタビュー
崎山つばさ、立石俊樹、太田将熙、岸本勇太、里中将道の5人がインタビューに応じ、GReeeeNにまつわる思い出や見どころを語った。
――GReeeeNの好きな曲や楽曲にまつわる思い出はありますか。
崎山つばさ:「せーの」で言ってみる? 全員揃ったらすごいよね。せーの!
一同:(バラバラの曲名を答える)
崎山:全然バラバラじゃん(笑)。一人一人言ってみよう。
岸本勇太:「遥か」
立石俊樹:「キセキ」
崎山:「歩み」
太田将熙:「キセキ」か「愛唄」
里中将道:「遥か」ですね。
崎山:「遥か」が被ってるんだね。それぞれの曲の思い出は?
岸本:「遥か」は上京してきたときに新幹線の中で聴いていた曲で、エモエモです。
里中:僕はみなさんにはこの前話したんですけど、卒業のときにグラウンドのベンチに座っていたら、なぜか「遥か」が流れてきて。卒業を祝ってもらっているみたいで、泣きそうになったっていう思い出ですね。
崎山:俊樹は? 新幹線の中で急に流れてきたの?
立石:それ二人(岸本と里中)のが混ざっちゃってるじゃん(笑)。そうじゃなくて、「キセキ」は通学のときにお母さんが車で送迎してくれていたんですけど、その行き帰りでPVをよく見ていて。PVの中の学生の姿と自分がなんとなく重なってみえて、それが思い出深いですね。それで毎日頑張っていました。つばさくんは?
崎山:前奏のバイオリンが好きで、そこだけめっちゃループして聴いていたくらい。
立石:歌に入る前にループしちゃうの(笑)!?
崎山:それくらい本当に好きだったのよ。あとジャケットもすごく印象に残ってるかな。学生のとき新幹線に乗っていて、降りて、送迎が来て、そうしたらどこからかPVが流れてきて…。
一同:(笑)。
太田:僕は当時「愛唄」を何度も聴いていて思い出深かったので「愛唄」を選んだんですけど、今この作品の稽古をしていて改めて「キセキ」っていい曲だなって思ったのもあって、「愛唄」からの「キセキ」になりました。
――稽古中の印象的なエピソードがあれば教えてください。
立石:僕は毎日いっぱい笑っていることですね。
太田:つばさくんはどうですか? JINさんってクールな人だから稽古のときもあんまり笑ってないじゃないですか。
崎山:いやいや笑ってるよ。マスクの下ですごいニヤニヤしているよ(笑)。
太田:JINプロデューサーから見た僕らはどうです?
崎山:稽古の最初の頃に比べると、最近はGReeeeN(キャスト)のみんなが楽しそうで。それがすごく嬉しいし、ちょっとさみしい気持ちもある。
一同:(笑)。
崎山:稽古の休憩中も、4人だけでコンビニ行ったりしてるじゃん。僕は誘われていないから…。
太田:いやいやいや!
立石:誘ってるじゃないですか(笑)!
崎山:(笑)。でもその4人の感じはすごくいいなって。稽古場を明るくしてくれるのは間違いなくGReeeeNの4人だし。4人はどう?
岸本:たしかに仲はめちゃくちゃいいよね。
太田:昨日も深夜にグループLINEが動いていて。本当にくだらない話をしているだけなんですけど……。すごくくだらない話なんだけど、きっと実際にGReeeeNさんたちも学生時代にこういうことも経験してきていると思うから、稽古以外の部分でも4人ですごくいい関係値が作れていて、それが自然と稽古でも出るようになってきているなって思います。
崎山:今日の通しでもアドリブのシーンあったよね? それがめちゃくちゃ面白くない。
一同:(笑)。
崎山:面白くはないんだけど、逆にそれがめちゃくちゃ良かった。あの学生の空気感というか。すごく好きだったな。
太田:JINさんのシーンでいうと、JINさんがGReeeeNのプロデューサーとして心境を打ち明けるシーンのセリフが僕はすごく刺さって。僕らのことをすごく思ってくれているのが、つばさくん(の芝居)から伝わってきて、めっちゃグッときました。
崎山:(嬉しそうな様子で)やめろやめろ~明日からちょっとやりにくくなるだろ(笑)。
太田:そのシーンは回を重ねる中で、(気持ちが乗って)変わっていきそうですよね。そこに持っていくためにも、僕ら4人がGReeeeNとして楽しむ姿をちゃんと作っていきたいですね。
崎山:将道は?
里中:そうですね、僕もそういう感じです!
一同:(笑)。
里中:僕らの仲の良さは、一般的にみんなが言う「うちら仲いいよね~」とかのレベルじゃない! ってことは言っておきます!
太田:あとGReeeeNっぽいなって思ったのは、歌稽古の時間が取れない時とかに、勇太くんが「時間取れないから空き時間でやっちゃうか」って言って、4人で集まってハモリの調整とかを自分たちでやっていたんですよ。僕はその感じがすごくGReeeeNっぽいなって思って。
立石:稽古場じゃない控室とかで、けっこう色々生まれたよね。
――まもなく本番ですが、意気込みをお願いします。
里中:もうちょっと待ってください。
一同:(笑)。
立石:頑張って間に合わせます(笑)。
岸本:間違いない、それが正解よ。ここから1週間でね、グッと上げていかないとね。
里中:上げるというか、上がるしかないですもんね。
太田:本当に仲がいいので、単純に仲がいい男の子たちの日常を垣間見てもらいつつ、音楽と医者との間で葛藤しているGReeeeNさんの裏の一面が見える作品なので、GReeeeNさんのファンの方はもちろん、楽曲は知っていてもGReeeeNさんたちをよく知らないという人でも楽しんでもらえる作品になっていると思います。
岸本:やることがそれぞれにたくさんあるんですけど、楽しみにしてくれている方たちに、僕たちも色々挑戦しているので、その頑張って前へと突き進む姿を見てもらって、明日からも頑張ろうかなって思ってもらえるように、僕らも楽しみたいと思います。
立石:稽古終盤に差し掛かっていますが、改めて本作への出演が決まったときの喜びや、自分がたくさんお世話になった楽曲やGReeeeNさんたちの物語を背負えるんだっていうことを再確認して、稽古ラストを過ごしていきたいと思います。みんながさっき言ったように、GReeeeNさんの知らない一面をこの作品で知ってもらったり、すでに知っている方にも改めてGReeeeN結成の奇跡を感じてもらって…。いろんな舞台にしたいと思っていますので…そういう感じです! よろしくおねがいします!
一同:(笑)。
崎山:パワープレイなまとめ方だけど、そこがいいね(笑)。この舞台で僕らの声を聴いてもらって、僕らが作る“道”にみなさんを導いて、舞台として“キセキ”が起きればいいなと思っています。
一同:お~。
崎山:そういう感じです! よろしくおねがいします!
* * *
音楽劇「キセキ-あの日のソビト-」は10月22日(金)に初日を迎える。5人の若者がもがきながらも明日への一歩を踏み出す姿に勇気をもらってみてはどうだろうか。
取材・文:双海しお/(C)音楽劇キセキ製作委員会
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