ついに最終章となる『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -episode of FUTURE-が幕を開けた。まずは7月16日(金)から前編が、そして同月27日(火)から後編が上演される。
この記事では前編ゲネプロの様子をお届けする。本作の見どころや各キャラの見どころなどをレポート。本編に関するネタバレは含まないが、劇中ショットはあるのでご注意を。
原作愛が生み出す『リボステ』クオリティ
第2弾・3弾で描かれたボンゴレファミリーとヴァリアーによるリング争奪戦。その数日後から物語は始まる。
ツナこと沢田綱吉(演:竹中凌平)の騒がしくも平穏な日常。5歳児・ランボ(演:KIMERU)のいたずらにダメツナが翻弄されて、ランボの10年バズーカが暴発し、その弾がリボーン(演:ニーコ)にあたる。煙の向こうには10年後のリボーンがいるはずだった。
しかしそこにリボーンの姿はなかった。やがてツナもバズーカに当たり10年後へと飛ばされてしまう。しかもツナが目覚めたのは棺桶の中で……。
こうして10年後を舞台にしたツナの新たな死ぬ気の戦いが幕を開ける。この前編でどこまで描かれているのかは、ぜひ劇場や配信で確かめてもらいたいのだが、リボステの醍醐味である「これを観たかった!」シーンの連続は今作も健在。
嵐の守護者ではないが、まさに「休むことのない怒涛の嵐」といった様子で、観客に刻まれた原作の記憶を次々と叩き起こしてくれるのだ。
「未来編」は原作でもかなりのボリュームを誇るエピソードだ。その全てを舞台で描き切るのはもちろん難しいのだが、それでも「リボーン愛」を貫き通そうという並々ならぬ覚悟がこれまで以上に伝わって来たというのが、観劇後の第一印象である。
舞台では描ききれなかった原作のエッセンスを、ステージ上で見つけることができるのだ。この作り手側の揺るぎない原作への想いとファンの想いが重なったことが、『リボステ』シリーズを最終章まで走らせているのだろう。
未来編では新たな武器として、匣(ボックス)兵器が登場する。開匣(かいこう)されたボックスからは武器や匣アニマルが飛び出すのだが、この演出にもぜひ注目を。作品が進む度に、ツナたちの戦い方はダイナミックになっていく。彼らが作中で成長してパワーアップしていくように、『リボステ』の演出も進化を遂げていくのだ。
初演から引き継がれてきた、シンプルだがスピード感と力強さを感じる演出はそのままに、匣やミルフィオーレといった新たな要素が加わったことで、また新たな『リボステ』の姿をみせてくれた。原作でお気に入りのシーンや思い入れのあるバトルがあるファンも多いだろう。ぜひ自分のとっておきのシーンが目の前で動く感動を味わってみてほしい。
キーワードは安定と進化、各キャラ紹介
ここからはキャストについて見どころを紹介していこう。
まずはボンゴレファミリー。安定、そして安心のファミリー感がたまらない。彼らの姿を観ていると、ふとした瞬間に『リボステ』の世界にいる、という実感が湧いてきて、実家に帰ってきたかのような安心感が得られるのだ。
本作での見どころはやはり10年後の姿だろう。初演から中学生の姿を観続けてきたからこそ、10年後の姿への感動はひとしおだ。
10年後の大人っぽいスーツ姿の破壊力は抜群。そこからまた10年前の姿に戻ると、再びあどけなさやかわいさが堪能できる。永遠にバズーカを撃って、10年前と10年後をループしたくなるほどだ。
とはいえ、やはり中学生だからこその無邪気さやガムシャラさが、本作の熱の核となっているのだろう。10年前の姿で守護者が集結したとき、そこには無謀とも思えるものに立ち向かうピュアな輝きが漂っていた。
その中心にいるのが、ツナだ。自分なりのボスの在り方を手探りで見つけて、大切な人たちを守りたい一心で何度も立ち上がるツナの姿は、実にたくましい。それでいて「眉間に皺を寄せ、祈るように拳を振るう」のだ。
竹中は以前実施したインタビューで、この戦闘中の表情について、初演からこだわってきたと語ってくれた。激しい戦闘に思わず目を奪われてしまうが、ぜひツナの表情にも注目してほしい。
ボンゴレファミリーの新キャスト、雲雀恭弥役の北村健人はその身体能力を余すところなく発揮していたのが印象的だ。驚異的な滞空時間から繰り出される回し蹴りの美しさに目を奪われることだろう。
門外顧問機関に所属するラル・ミルチ(演:新原ミナミ)は、本作が初登場のキャラクター。かわいくて癒やし系な京子(演:伊藤優衣)にハル(演:本西彩希帆)、内気なクローム髑髏(演:朝倉ふゆな)といった女の子キャラとはまた違った、スパルタでツンデレな役どころ。前作のスピンオフ「隠し弾」で門外顧問のオレガノ役を演じていたのが、この新原だ。門外顧問のバトンを繋ぐ彼女の熱演もお楽しみに。
ボンゴレファミリーの前に立ちはだかるミルフィオーレファミリー。ヴァリアークオリティならぬ『リボステ』クオリティのキャスティングにより、見事にピタリとはまる役者陣が揃っていた。
γ(演:岸本卓也)やグロ・キシニア(演:三好大貴)、スパナ(演:富永勇也)の出演は本作の前編のみ。もっと彼らの活躍を観たかったと感じるファンが続出するだろう。とまんは前編ではジンジャー・ブレッドを演じ、後編ではデイジーを演じる。容姿も性格も異なる2人をどう演じ分けるのか、後編の上演が楽しみでならない。
10年後の世界で圧倒的な力を持つ四刀流の剣士・幻騎士を演じたのは宮澤佑。後編では剣の腕に自信を持つ者が集うことになるので、そこでの彼の活躍も楽しみだ。
未来編のキーパーソンとなるのが入江正一(演:佐伯亮)と白蘭(演:仲田博喜)。原作の大ファンだとインタビューで語ってくれた佐伯が演じた入江は、切羽詰まった雰囲気がまさに入江正一。一方の白蘭は、ミステリアスな役どころを仲田が好演。掴みどころのない無重力の芝居で、彼の底しれぬ不気味さを表現していた。
白蘭と入江、そして幻騎士は後編にも登場する。後編から登場するキャラとの化学反応を楽しむのもいいだろう。
胸に“死ぬ気の炎”を灯す、THE・少年漫画ステージ
シリーズ最後を飾る『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -episode of FUTURE-。「最後」という言葉はとても重い。同時に、ここまで走ってきたのだという誇りも感じられる言葉だ。
劇場で観劇する際は、ぜひ影アナから『リボステ』の世界を楽しんでほしい。ツナの日常を思わせる影アナに注目だ。そこから第3弾のラストシーンを彷彿とさせるBGMで幕が開け、ボルテージが一気に上がるOPへ。これまでの軌跡を思うと、この開始5分でしんみりしてしまうかもしれない。
しかしその後には、しんみりしている暇なんてない怒涛の試練が次々と巻き起こっていく。目も眩むような迫力で生み出されるシーンの数々に、存分に飲み込まれてみてはどうだろうか。死ぬ気で走り続ける彼らの姿に、胸の奥に死ぬ気の炎が灯るはずだ。そしてこの前編で灯した炎を、この後上演される後編まで灯し続けてほしい。
取材・文:双海しお
キャスト&演出・脚本コメント
リボーン役・ニーコ
意気込み:最終章、ということで、悔いのないように、稽古前から意気込みはバッチリ。そして限られた時間の中で、稽古場でやれることは全員で全てやれました! まずは何もわからないまま全員で10年後の世界へ。どんどん謎が解けていったり、新たな敵が登場したり、仲間が強くなって一つになっていったり…お客さまもツナたちと一緒にタイムワープして、ツナたちがどうなるのか、ハラハラドキドキをぜひ未来の世界で体感していただきたいです!
ファンへのメッセージ:ちゃおっス!リボーン役のニーコです。いよいよリボステ最終章・未来編が走り出します。お客さまと一緒に未来へ行けること、すごくすごく楽しみです。ツナたちの成長を感じながら、新たな敵にぶつかりながら、過去に帰れる方法を一緒に探して一緒に戻れるように、ぜひ劇場で楽しんでください!
沢田綱吉役・竹中凌平 コメント
意気込み:「前編・後編で一つの曲となるように、物語を紡いでほしい」と演出の丸尾さんが稽古場で仰っていました。まずは前編を死ぬ気で生き抜いて、最高の形で後編に繋げたいと思います。
ファンへのメッセージ:未だ、終わりの見えない恐怖が世の中に渦巻いています。僕自身、額に死ぬ気の炎を灯した主人公に助けられました。皆さまがつい前のめりになってしまうような、世の中の喧騒を忘れられるような、熱いひと時を届けたいと思います。
獄寺隼人役・原嶋元久 コメント
意気込み:今まであった楽しいこと、苦しいこと、それを全部吐き出したい。それを全部届けたい。
ファンへのメッセージ:無事に皆さまに観劇していただけること、とても嬉しく思います! リボステやお客さまにいただいた素敵な気持ちを少しでもお返しできるよう、僕が獄寺隼人に出来る事を全てやり、毎公演死ぬ気でお届けいたします! キャスト・スタッフ全員が死ぬ気でお届けするリボステを是非楽しんでください!
雲雀恭弥役・北村健人 コメント
意気込み:リボーンの連載中、僕もリアルタイムで漫画を読んでいた1人なのですが、“継承”という言葉はリボーンから教わったことを覚えています。「前編」が開幕ということは終わりが始まるわけで、これまで沢山の方が繋いできたこの「リボステ」という作品を、しっかりとゴールまで継いで行きたいと思います。
ファンへのメッセージ:いよいよ始まります! リボーンへの、リボステへの愛を思い切り開匣して、心ゆくまで楽しみましょう! 楽しみに待っていてくれた皆さんが、笑って帰路につけますように。でないと咬み殺すよ。
クローム髑髏役・朝倉ふゆな コメント
意気込み:ついに最終章ということで今まで以上に色々なことを試した稽古期間でした。リボステの現場は自分の居場所に帰ってきたような感覚になるので、その感覚を大事にしながらやらせていただきます!
ファンへのメッセージ:人間ドラマが繊細に描かれている作品だと思います。中学生の頃を思い出しながら、リボステの世界に浸っていただきたいです。仲間の大切さや、がむしゃらに頑張ることの素晴らしさを沢山教えていただきました。感謝の気持ちを込めて最後まで死ぬ気で頑張ります!
入江正一役・佐伯亮 コメント
意気込み:この日を楽しみにたくさんの試練を乗り越えてきました。ニーコさんの大きな背中があったからこそ、迷うことなく突き進むことができました。あとはこの先にどんな景色が待っているのか。誰一人かけることなく、全員で見たいと思います。
ファンへのメッセージ:僕にとって演劇は生きる糧であり、なくてはならない存在です。出会った作品や仲間は一生の宝物です。皆さまにとってもそれがこのリボステ最終章になりますように。誠心誠意演じます。どうぞよろしくお願いします!!
演出・脚本:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し) コメント
意気込み:前編と後編、合わせて4時間35分をキャスト・スタッフと死ぬ気で作り上げました。演出家としては前編後編をぶっ通しで観てほしいほど、最終章に相応しい作品になったと思います。
ファンへのメッセージ:稽古の途中から、前編は赤、後編は青だという印象を持ちました。赤は平和な未来を賭けた戦いが熱く繰り広げられ、青は登場人物たちの悲しい物語が涙に変わります。
(C) 天野明/集英社 (C)『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE製作委員会
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