ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs不動峰が7月9日(金)、TOKYO DOME CITY HALLで開幕した。
初日公演に先駆け公開ゲネプロが実施され、フォトセッションと囲み会見には、今牧輝琉(越前リョーマ役)・山田健登(手塚国光役)・GAKU(橘 桔平役)・土屋直武(伊武深司役)・中河内雅貴(越前南次郎役)が出席した。
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2003年に始まったミュージカル『テニスの王子様』(通称テニミュ)。18年間の年月とシーズンを重ねて今作から4thシーズンに突入する。
今作では、前半は校内ランキング戦と地区予選の不動峰戦前まで、後半は不動峰戦が描かれる。
1stシーズン・2ndシーズン・3rdシーズン、それぞれに特徴がある「テニミュ」だが、4thシーズンの始まりである本作を観て最も強く感じたのが「『テニスの王子様』というコンテンツをもっと好きになるだろう」ということだ。
名シーン・名セリフはもちろん、吹き出し外に書かれた手書きの文字まで細かく再現されているため、原作を何度も読んだファンは、コミックスのひとコマ、扉絵などあらゆるものを思い出すだろう。
もし原作を長年読み続けてきたファンが初めて今作に触れれば再現性に驚くであろうし、原作を知らない人には「『テニスの王子様』ってこういう作品なんだ」と原作コミックスを読みたくなるだろう。
ほんのちょっとした動き・ポーズ・やりとり…つぶやいた言葉一つ取ってみても原作を思い出してしまうほどの丁寧な脚本と演出を担当するのは三浦 香。演出補佐として「テニミュ」に携わった経験から生まれる安心感がある。
セットの面では、これまではネットとベンチが主で、大掛かりなものはあまり多くは使用されてこなかったが、今回は、ネットにもなりベンチにもなり、時には部室にもリョーマの家にも変わる大きなセットと背景セットが置かれているのが特徴的。
ライティングやプロジェクションマッピングで、季節や天候の移り変わり、ボールの勢いなどがより強く表現される。
耳に残り、劇場からの帰り道にすぐ歌いたくなる明るい歌はYu (Vague)によるもので、全23曲。どれも全く新しい曲調ではあるものの、これまでに使われた楽曲へのリスペクトを感じてぎゅっと胸を掴まれる瞬間がある。
公演時間は、前半75分、20分の休憩を挟んで後半85分。しかしぎゅっと詰め込まれた内容に、体感は1時間といったところだ。
これまでの「テニミュ」を愛していたからこそ、脚本・演出・音楽・振付などの全てが一新した4thシーズンにほんの少し不安を抱いているファンもいるかもしれない。
しかし安心してほしい。「テニミュ」は「テニミュ」だ。何の変わりもなく、キラキラと眩しくて、見終わって「テニミュ最高!」と笑顔になれて、すぐにチケットを増やしたくなるこれまでと何ら変わりはない。
それは、18年の歴史をリスペクトし、この先に繋げていこうという制作スタッフチームとキャスト一同の思いが伝わってくるからだろう。全く新しいが「変わって寂しい…」ということは感じないはずだ。
そして、今作から初めてテニミュに触れる人はようこそ。これから始まる4thシーズンを一緒に長く追いかけ続けてほしい。
ゲネプロ後に行われた囲み会見には今牧輝琉、山田健登、GAKU、土屋直武、中河内雅貴が登壇。
まず今牧が「本日初日ということで、いよいよかという感じです。お披露目会からずっとみんなで楽しみに稽古してきました」と、ほんの少し緊張を滲ませながらも初日への思いを口にした。
山田は「何カ月も稽古してきて、その間にパズルのピースを集めて来ました。それが今日お客さんに見てもらえることによってやっとパズルが完成します。ただここからがスタートです。皆さんと僕たちと一緒に突っ走っていければ」と、稽古を振り返りながらこれからの長い公演に向けて力強く語る。
GAKUは「とっても緊張しています。でも、ゲネを通して“やっとできるんだ”という高揚感と、舞台に立てるありがたさがあって、みんなとゴールまで突っ走っていこうという気持ちでいっぱいです」と感慨深げ。
土屋は「とても不思議な感覚です。“やっとだ”という気持ちと“もうなんだ”という2つの感情が入り混じっています。ここからがスタートだと思います」「18年間の歴史を背負っているので、その歴史の良さを受け継ぎながら新生テニミュとして新しいものを築いていきたいです」と期待を寄せた。
1stシーズンで立海・仁王雅治を演じた中河内は「今までのテニミュとは違う、一新した4thシーズンが出来上がったと思います。これからお客さまに観ていただいて、さらに進化していくんじゃないかなという希望と期待を実感しているところです」と噛みしめるように語る。
続けて「ミュージカル『テニスの王子様』の経験者として、新しい彼らに伝えられるものはないかという思いですが、まだまだ伝えきれていない部分もあるので、これから千秋楽まで出来る限り一人一人にいろんなことを伝えていきたいです。今は2.5次元ミュージカルが日本の素晴らしい文化になって、テニミュが世界で戦える日本オリジナルの作品だと誇りに思って、これからの俳優人生に生かしてほしい」と後輩たちにエールを送った。
最後に今牧が「いよいよ4thシーズンが始まります。全てが一新した、僕たちから始まる新しいテニミュなので、精いっぱいテニミュを楽しみたいと思います。そして、1stシーズン、2ndシーズン、3rdシーズンのキャストの方々にも感謝の気持ちを忘れずに、バトンを受け継ぎ、4thシーズンを最高の幕開けにできたらなと思います。楽しみにしていてください!」と笑顔で締めた。
公演は、7月9日(金)〜18日(日)までの東京公演、熊本公演、大阪公演を経て8月20日(金)〜29日(日)までの東京凱旋公演まで。U-NEXTにてライブ配信、アーカイブ配信も実施。青学、不動峰それぞれにフォーカスしたスイッチング配信もあるので、配信も見逃さないようにしたい。
取材・文:広瀬有希 (C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
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