「錆色のアーマ」外伝 -碧空の梟-が4月15日(木)に開幕。公開ゲネプロの模様をレポートする。
2020年6月に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い公演中止とされた本作。今回、改めてキャスト・スタッフが集結し、上演となる。ファン待望の公演ではあるが、その期待に応える出来に仕上がっていた。
梟の橘三兄弟、橘東雲(仲田博喜)、橘未布留(櫻井圭登)、橘羽矢十(富園力也)が神器を求め、暗躍するところから物語は始まる。
雑賀衆や妖も同じ場所を目指し行動を取り、そして対立することとなる。これまでの物語で様々な戦いを繰り広げてきた雑賀衆と妖に新たな勢力が加わり、とあるキャラクターの過去にも触れることになるため、作品にさらなる厚みが加わっている。
本編終了後に、物語とは別物のライブパートが行われる。
2.5次元作品ではあるあるとなっているこのライブパートを導入することで、より2.5次元発というコンセプトに寄り添った作品となっているだろう。オリジナル曲が歌唱されることになるが、世界観に即した楽曲や、それを覆す楽曲が面白い組み合わせで紡がれている。声を出すのは禁止なので、心の声で声援を送り、ペンライトと拍手で盛り上がろう。
外伝と銘打たれている本作は、本編の主演キャストが出演していなかったり、ミュージカル作品からストレート作品になっている(別でライブパートあり)。
ただし、物語の軸足は同じ時間軸を描いているため、本編ファンであればぜひとも見て損のないエピソードとなっている。今後の本編に関連する可能性も否定できない。
また、本編2作を未見だとしても、今作単体でも理解できるような構成になっているので、安心してご覧いただきたい。
ネタバレになる部分なので詳細は省くが、いくつかのサプライズ演出などもあるので、それは公演を観てからのお楽しみに、ということで。
橘東雲(演:仲田博喜)
“梟”の橘三兄弟の次男。本編の主人公。剣の達人で、殺陣のシーンは必見。義兄弟の未布留と羽矢十にはその強さから信頼されつつ、何かしら失敗をすると一人で猛省するなど、大変ふり幅の多い多い役柄。仲田博喜の新しい一面が見られた。
橘未布留(演:櫻井圭登)
“梟”の橘三兄弟の長男。長男らしく弟たちの面倒見が良く、優しい立ち回りで三兄弟のシーンを朗らかにさせてくれる。東雲を寵愛するシーンは全体的にシリアスに進行する本作において、箸休めとして和ませてくれた。
橘羽矢十(富園力也)
“梟”の橘三兄弟の三男。龍脈を知覚する能力に長け、三兄弟の行動指針を方向付ける。天然に自然で体兄達に接し、時には心配するなど、ひいて兄たちを見守るという立場を好演。
茨木童子(佐藤永典)
かつて平安京を荒らした伝説の兄弟鬼の弟。前作から出演しているが、バトルマニア感は相変わらず、因縁のあるアゲハとの戦闘は見もの。また、ライブパートにも期待いただきたい。
藤白(石渡真修)
雑賀衆を有する、紀の国をまとめ挙げる裏衆、八咫烏の筆頭。今作では、雑賀衆3人を率いて行動する。個人的にはライブパートでのトーク部分に笑わせていただいた。
酒吞童子(田中しげ美)
かつて平安京を荒らした伝説の兄弟鬼の兄。豪快な戦いぶりは前作通りで、今作でもしっかりと暴れている(彼ら兄弟のエピソードを詳しく知りたい場合は、「錆色のアーマ」-繋ぐ-を見よう)。
黒氷(平田裕一郎)
雑賀衆の一人。義手と義足、五臓六腑のあらゆる場所が銃で仕上がっている。新しい武器も手に入れ、バトルシーンが派手になっているのでそこに注目。
アゲハ(神里優希)
雑賀衆の一人。見た目は美少年。変装の達人。茨木童子との因縁のバトル。また、キャラクター的に全体の進行役に回る部分が多く、ライブパートでの盛り上げはさすがの一言。
鶴首(荒木健太朗)
雑賀衆の一人。雑賀衆の中では、最年長として孫一を影で支える存在。今作でのキーパーソンの一人。“梟”との因縁など、過去のエピソードが描かれるので注目していただきたい。
なお、シアターコンプレックスでは4月17日(土)18:00公演のライブ配信が決定している。販売価格・アーカイブ期間などは公式サイトをご覧いただきたい。
文:木皿儀隼一
撮影:ケイヒカル
(C)「錆色のアーマ」プロジェクト
※「錆色のアーマ」の「錆」の字「つくり」下部分は「円」が正式表記
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