レポート

山本一慶「笑いの渦に巻き込みたい」、ミュージカル・コメディ「ラヴ」開幕

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ミュージカル・コメディ「ラヴ」が3月24日(水)、東京・六行会ホールで幕開。公演に先立ち行われたゲネプロの様子とキャストコメントをお届けする。

舞台となるのは、ニューヨークのとある橋の上。

ボサボサでヨレヨレの浮浪者・ハリー(演:橋本真一)は自殺寸前のところを、エリートサラリーマンのミルト(演:山本一慶)に救われる。2人は大学時代の親友だった。そこにミルトの妻エレン(演:井上希美)も加わって、物語は思わぬ方向に動き出す。

今作で舞台上に登場する役者は、なんとたった3人だけ。強烈な個性が見事に混ざり合って、物語を鮮やかに彩っていく。

エレンという妻がいながら別の女に恋をして、更にはエレンを学生時代の親友に押し付けようとするミルト。ちょっと信じられないような行動が目立つが、どこか憎めないキャラクターだ。

登場した瞬間、長い手足に自然と目が惹きつけられる。上品なスーツがよく似合っているが、ただ見た目がカッコいいだけで終わらないのがミルトの魅力。

大袈裟に嘆き悲しむ姿は人間味に溢れており、そのスタイルの良さも相まってコミカルな雰囲気を醸し出していた。最後の最後まで“愛”に素直に生きる姿は、清々しいほど自分勝手で愛おしい。

橋本真一が演じるのは、愛がない人生に絶望するハリー。万事のことに対して理屈づけができないと気がすまない、いじけ者の男だ。

物語冒頭から身投げを試みたり、悲観的な性格と思いきや、親友の突拍子もない行為に対しても意外と肯定的で前向きである。目の前の出来事に対して常に真っ直ぐに向き合う姿は眩しくて、思わず応援したくなるようなひたむきさがある。橋本自身のピュアな一面が、ハリーの人間的な魅力をより引き出していた。

また、事前インタビューで山本が「歌声まで純粋」と評した通り、感情のこもった橋本の歌声は観客の心を揺さぶるだろう。

今作のヒロイン・エレン。聡明でプライドが高いが愛という言葉にめっぽう弱く、2人に負けず劣らず強烈なキャラクターだ。

男運の悪さを嘆き、夫婦間の絆を“ある行為”の回数で測りたがる姿に思わず笑いがこみ上げる。登場時からふつふつと怒りをたぎらせているエレンも突拍子もない行動に走りがち。しかし、エレンがただの“変な人”で終わらないのは、説得力のある歌声と演技力があってこそ。

2人の男の間で揺れ動く気持ちを伸びやかに歌い上げる歌唱力に、思わず惚れ惚れしてしまう。連続テレビ小説「エール」でも注目された歌声は圧倒的な存在感を放っていた。

今作のセットは、非常にシンプルだ。ステージ中央に置かれたベンチ、街灯、そして橋。シンプルだからこそ、3人の役者たちの輝きをより身近に感じることができる。

時にポップに、時にロマンティックに、ステージ上でピアノの生演奏を担当するのは音楽家督の宮川知子。

物語だけを追いかけると非常にテンポが速い。ともすれば感情が置いてけぼりになりそうな怒涛の展開が続くが、幅広いジャンルの楽曲が登場人物たちの感情や状況を見事に表現している。

「これぞミュージカル!」と感じる正統派の楽曲もあれば、突然タンゴやロシア民謡を思わせる音楽も登場する。更には現代音楽風の効果音も鳴り響いたりと、多彩な音楽によって彩られる登場人物の心情に思わず共感してしまうだろう。

楽曲数はなんと25曲。生演奏と歌声に包まれるとびきり贅沢な約2時間、難しいことは忘れて「ラヴ」の世界に浸ってほしい。

演出の宮川安利は、「この2時間の舞台によって、皆さまを少しでも笑顔にできたらと願っています」と語っている。その言葉通り、大人が真剣に“ふざけて”作り上げた今作は、観ている者を自然と笑顔にさせる魅力に溢れている。



現代人の身勝手さを浮き彫りにしつつも、軽妙な笑いに溢れていた。観劇後は笑顔になると同時に、「愛って何だろう?」とちょっとした疑問も抱くかもしれない。大切な人のことを考える時間が増えた今、ぜひ見てほしい作品だ。


山本一慶(ミルト役)

やっとここに辿り着いたなと思います。ミュージカル・コメディということで、キャラクターが全員ぶっ飛んでいますが、こんな時期ですので、皆さんに笑っていただけたらと思っています。笑顔になる準備をして来てください。今この時期、愛する人のことを思う時間が昔より多くなったんじゃないかな…と思います。人それぞれの愛があるかと思いますが、「愛とは何なにだろう」と考えていただけたらと思います。…と、こんな真面目なことを言いましたが、「ラヴ」はコメディです! 何も考えずに、笑顔になりに劇場に足を運んでください。僕ら3人、演出、演奏、スタッフ、全ての力を合わせて皆さまを笑いの渦に巻き込みたいと思いますので、よろしくお願いします!


橋本真一(ハリー役)

一慶が言ったように、本当に変な3人なんですけど…(笑)。三者三様の愛の形や生き方が描かれていますが、難しく考えずに手ぶらで見ていただいて、笑っていただけたら幸せです。こんな情勢ですので、幸せな気持ちで帰っていただけたらと思います。よろしくお願いします。


井上希美(エレン役)

とっても人間らしい3人がわちゃわちゃとしていて、あっという間の2時間だと思います。このような情勢の中、観に来てくださるお客様に感謝をしています。ミュージカル・コメディとポップではありますが、そこに込められている気持ちやメッセージが届くように誠心誠意務めさせていただきますので、ぜひ楽しんでいってください。

文・撮影:水川ひかる

(C)2021 ArtistJapan

※記事初出時、一部情報に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。

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公演情報

タイトル

ミュージカル・コメディ「ラヴ」

日程・会場

2021年3月24日(水)~28日(日)
東京・六行会ホール

出演

山本一慶・橋本真一、井上希美

スタッフ

マレー・シスガル作「LUV」より
脚本:JEFFREY SWEET
作曲:HOWARD MARREN
作詞:SUSAN BIRKENHEAD
演出:宮川安利
音楽監督・ピアノ演奏:宮川知子
監修:笹部博司
製作:アーティストジャパン

公式HP

https://artistjapan.co.jp/performance/luv/

公式Twitter

https://twitter.com/aj_information/

WRITER

水川ひかる
							水川ひかる
						

2.5次元舞台の魅力を全力でお伝えしていきたいと思います。まだまだ駆け出しライター。推しが元気で今日もごはんが美味い!

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