2019年に4都市で上演され大きな反響を呼んだ舞台「幽☆遊☆白書」待望の続編、舞台「幽☆遊☆白書」其の弐が2020年12月5日(土)に幕を開ける。初日に先立ち実施されたゲネプロの様子をオフィシャル写真と共にレポート。
浦飯幽助役の崎山つばさを筆頭に、桑原和真役の郷本直也、蔵馬役の鈴木拡樹、飛影役の橋本祥平、コエンマ役の荒木宏文と、2.5次元ジャンルを先頭で引っ張るキャスト陣が続投。さらに、今回から木津つばさ、中河内雅貴といった新たな風が加わり、一層パワーアップした今作の見どころを紹介する。
本レポートでは具体的なネタバレにあたる内容は触れないが、まっさらな気持ちで観劇に臨みたいというファンはぜひ観劇後に読んでほしい。
初演という“助走”からつなぐ新たな挑戦
前作では、「幽☆遊☆白書」という壮大でいて熱い物語の序章が描かれた。
浦飯幽助(演:崎山つばさ)が命を落とし霊界と関わるようになったきっかけの出来事や、後に仲間となる桑原和真(演:郷本直也)や蔵馬(演:鈴木拡樹)、飛影(演:橋本祥平)との出会い…。物語を語る上で欠かせないメインキャラクターたちの“誕生”となった。
2作目となる今回、前作で築いた“舞台「幽☆遊☆白書」らしさ”が、さらに色濃く全面に出されていたのが印象的だ。ある意味、挑戦ともとれるシーンもあり、マンガでもアニメでもない、“舞台色”の「幽白」を浴びられる作品と言えるだろう。
冒頭はぼたんの前説に始まり、アニメファンを熱狂させた、あの熱いOPへと続いていく。短い時間の中で、2次元から0.5歩分飛び出した、絶妙なバランス感覚の上に構築された世界観が織り成され、前作を観劇したファンはもちろん、原作ファンにも「帰ってきた」と思わせてくれる。
その空気感を生み出すのに貢献しているのが、本作には演出としても携わっているコエンマ役の荒木宏文だ。ストーリーテラーとしての役目も担うコエンマは、本作でも抜群の存在感を示していた。
彼の不思議な立ち位置が観客とステージをつなぎ、劇場全体を「幽☆遊☆白書」の世界にする。コエンマ自身が一つの舞台装置とも言えるかもしれない。
1幕では「四聖獣編」がメインに進んでいく。4人がついに仲間として共闘するエピソードとあって、4人の戦う姿に「ついに来た」と興奮すること間違いなしだ。
特筆すべきは、蔵馬の薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)を使った殺陣だろう。前作はストーリーの都合上、OPでしか出番のなかったローズ・ウィップ。その鞭さばきの華麗さに、もっとローズ・ウィップを使ったシーンを観たいと願ったファンも多いはずだ。
ついに、その待ちに待った瞬間が訪れる。瞬きをせずに、しなるローズ・ウィップを堪能してほしい。
蔵馬の戦闘シーンが正統派な戦闘シーンとするなら、桑原と飛影の戦闘シーンは“邪道”と呼べるかもしれない。「そんな観せ方があるのか」と、驚くファンもいるだろう。
もちろん、どちらも「幽☆遊☆白書」の世界観を壊すものではない。むしろ、この作品だからこそ可能となった表現だ。程よく盛り込まれたコミカルな要素と本気の芝居。その融合が、格好いいけどクスッと笑える原作の空気感の再現へとつながっているように感じられた。
笑いあり、バトルありで劇場の温度が上がったところに、幽助と朱雀(演:木津つばさ)との熱い戦闘シーンが投げ込まれる。幽助と朱雀、ぼたん(演:平田裕香)と雪村螢子(演:未来)とのシーンが、セットの高さを活かした演出で描かれていく。
女性キャラの再現度の高さとかわいさが好評だった前作。特にこのシーンでは、かわいくて男前なぼたんと螢子の姿が楽しめる。女性キャラの活躍シーンがカットされないという点も、原作へのリスペクトを持って描いてくれる制作陣への信頼度が一段と高まるシーンだ。
幽助と朱雀とのシーンの熱さは、1幕のクライマックスとあって、ひときわ熱量がこもっている。結末を知っていてもハラハラさせられる熱演は、ぜひ劇場や配信で体感してほしい。
戸愚呂兄弟登場! 舞台だからできる表現に脱帽
2幕は「雪菜救出編」へ。雪菜(演:田上真里奈)救出へ向かう幽助と桑原は、雪菜をさらった闇ブローカーの垂金権造の屋敷へ。そこで登場するのが、戸愚呂兄弟だ。
キャスト発表やキャラクタービジュアル解禁時から、大きな話題となっていた戸愚呂兄弟。そんな戸愚呂兄を中河内雅貴、戸愚呂弟を片山浩憲が好演していた。
原作では、なんと言っても2人のサイズ感のインパクトが大きい。しかし、生身の人間が演じる以上、あのサイズ差をそのまま再現するには限界ある。
それを違和感なく埋めていたのが、中河内雅貴の芝居だ。もちろん彼自身の身体が小さくなるわけではないが、セットや照明の力もあり、戸愚呂兄としての存在感をしっかりと表現していた。
幽助と桑原が戸愚呂兄弟へとたどり着くまでの展開や、対峙してからの死闘は息つく暇がない。雪菜と桑原や、雪菜と飛影のやり取りといった本作ならではの見どころも満載だ。
そしてついに「暗黒武術会編」。前作は兼役ですごい数の役を演じていたエリザベス・マリーの幻海が本格的に活躍するエピソードへ…。
“霊魂”込めて放たれる極上のエンタメ
ついに「役者が揃った」という印象の舞台「幽☆遊☆白書」其の弐。初演で生まれた舞台ならではの空気感が、さらに醸成され進化を遂げていた。初演上演時とは情勢も変わり、エンタメが持つ力の大きさというものを、より強く感じているファンも多いだろう。
笑って泣いて、ハラハラしてスカッとする原作の面白さを詰め込まれた本作は、極上のエンタメとして観た者の心にきっと活力を与えてくれるはずだ。
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