レポート

【公演レポ】新しい刀ステの幕開けとなった、舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち を振り返る

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2020年1月18日(土)、舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち が大盛況のうちに幕を閉じた。全63公演という長丁場。全員大きな怪我も無く駆け抜けられたのが奇跡的だったとも思えるほどの激しい舞台だった。

ここでは、公演の振り返りとともに、すでに告知されている次回作についての情報をお届けする。ストーリーの後半部分に関してはネタバレになるため、深くは触れない記述となるがご容赦いただきたい。

舞台は文久土佐藩。陸奥守吉行と坂本龍馬の物語が始まる

公式サイトのあらすじにあるように、今回の行き先は1863年の文久土佐藩だ。しかし着いたのは、土佐勤王党が恐怖政治を敷く“放棄された世界”だった。つまりは歴史改変がすでにされてしまった世界である。

改変を正すべく刀剣男士たちは、任務中に出会った坂本龍馬とともに動き始めた。

正史ではない“放棄された世界”では、さまざまな予期せぬ出来事が起こる。中心人物は――?

鬼気迫る演技と、激しく長い殺陣の応酬に息を呑む

今回の“維伝”で特筆すべきは、やはり殺陣の激しさと量だろう。大がかりなセットを、文字どおり縦横無尽にキャストたちが駆け回る。

歴史人物を含めた舞台上の役者たち、すべての演技が鬼気迫るものであり、時に大きな波となって劇場を包み込んだ。気持ちが殺陣に乗り、演技の凄まじさを引き立たせていた。

陸奥守吉行役・蒼木 陣の力強い太刀筋、高い身体能力を見せてくれる動き。元の持ち主・坂本龍馬と出会った時の表情、どんな時でも前を見つめる瞳、そしていつでも真っ直ぐな心。すべてが、劇場やライブビューイング・配信でこの舞台を観た観客の心に残るものとなったに違いない。

肥前忠広役・櫻井圭登の「人斬り」の動きは、持ち主・岡田以蔵(演:一色洋平)とのシンクロを感じる。人斬りの刀と呼ばれ、敵を斬ることでしか己の存在価値を見いだせなかった苦しみが、強く伝わってきた。

南海太郎朝尊役・三好大貴は、序盤では「刀剣博士」として、とぼけた所もある軽妙な演技で笑いを、終盤では凄まじいまでの殺陣を見せてくれた。

和泉守兼定役の田淵累生と堀川国広役の小西詠斗。

和泉守兼定は荒々しくも美しく、美と実益を兼ねた、まさに「かっこ良くて強い」を体現していた。情に厚く、性根も熱い「兼さん」の格好良さにしびれた観客も多いことだろう。

堀川国広は利発で清廉潔白。時に愛らしく、時に頼もしく、和泉守兼定の助手であり相棒として立ち回る。

新撰組の副隊長・土方歳三が愛用していたと言われている二振りは、坂本龍馬のいる文久土佐で何を思ったのだろうか。

小烏丸役・玉城裕規と、鶴丸国永役・染谷俊之。「刀剣の父」としての貫録とともに、匂い立つような色気を醸し出す小烏丸。人でも物でもない存在感があった。

染谷は3年ぶりの“刀ステ”となる。パンフレットで「離れていた3年間で自分が培ってきたことを生かして、3年前はできなかったことをやりたい」と語っていた。自由気ままに、大胆に。しかし飄々としているからこそ、ふとした表情にぐっとくる。

歴史人物たちは、今作も実力者揃いだ。演劇集団キャラメルボックスで、坂本龍馬としての実績を持つ岡田達也。龍馬役が彼と聞き、その姿を観るために劇場へ足を運んだ人も多いのではないだろうか。

51歳とはとても思えない、青年としてのはつらつさが溢れる龍馬だった。東京千秋楽、そして大千秋楽の「また逢おう」に心臓が高鳴った。

岡田以蔵役の一色洋平。小柄な体に凄まじい身体能力。「この以蔵には勝てない」と観客にも思わせる、圧倒的な気迫による人斬りの動きを見せてくれた。まさに全身で喜怒哀楽を表現し、飛び、跳ね、舞台を駆けまわった。この以蔵にもまたいつか会いたい。

武市半平太役・神農直隆と吉田東洋役・唐橋 充。舞台を観てから武市半平太(武市瑞山)の辞世の句を読むと、胸にくるものがあるのではないだろうか。「返らぬ年月、過去は惜しまない」。

この句を頭に、DVDが発売されたらもう一度彼の感情に注目して観てほしい。刀のひと振り、目線のひとつにも感情が幾重にも乗っているように思えた。

唐橋 充の吉田東洋に、思わず震えた人も多いだろう。囁くような小声、腹の底から唸り出す声。筆者が観劇をした際は、TOKYO DOME CITY HALL・TBS赤坂ACTシアターいずれもどの公演でも後方座席となってしまったが、それでも凄まじい気迫が全身を包むのが分かった。

歴史上の人物役は、今作もまた、刀剣男士が人を、人が刀剣男士を引き立たせ、物語を作り上げていた。

今作は、「維(つなぐ・結び付ける)」伝の名のとおり、これまでの刀ステとこれからの刀ステをつなぐ作品となることだろう。

次回作は歌仙兼定の物語? 公演は2020年6月8日(月)からの予定

大千秋楽公演終了後、特典映像にて次回作が発表された。2020年6月8日(月)、天王洲 銀河劇場を皮切りに、兵庫、福岡、東京凱旋で公演がおこなわれる。

公式サイトのトップには歌仙兼定。その他の刀剣男士をはじめとしたキャストは2020年1月現在未発表だ。刀ステファンサイトや公式サイトでの続報を待とう。

※次回作の作品情報はこちら

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公演情報

タイトル

舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち(読み方:いでん おぼろのししたち)

日程

【東京公演】
2019年11月22日(金)~12月1日(日)
TOKYO DOME CITY HALL

【兵庫公演】
2019年12月6日(金)~12月15日(日)
AiiA 2.5 Theater Kobe

【東京凱旋公演】
2019年12月20日(金)~2020年1月12日(日)
TBS赤坂ACTシアター

【福岡公演】
2020年1月17日(金)~1月18日(土)
福岡サンパレス ホテル&ホール

キャスト

陸奥守吉行:蒼木 陣、肥前忠広:櫻井圭登、南海太郎朝尊:三好大貴、和泉守兼定:田淵累生、堀川国広:小西詠斗/
小烏丸:玉城裕規 鶴丸国永:染谷俊之
坂本龍馬:岡田達也、武市半平太:神農直隆、岡田以蔵:一色洋平、吉田東洋:唐橋充


主催

ニトロプラス/マーベラス/東宝/DMM

公式HP

https://stage-toukenranbu.jp/

公式Twitter

@stage_touken

© 舞台『刀剣乱舞』製作委員会 © 2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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