2019年11月29日(金)、サンシャイン劇場にて『IdentityⅤ STAGE/第五人格』が開幕した。この舞台の原作は、4人のサバイバーと1人のハンターで対戦がおこなわれる非対称対戦ゲームだ。
サバイバーはハンターの襲撃をかわしながら、マップにある暗号機を解読して脱出する仕組みになっている。キャラクターそれぞれに独特の個性があり、アイテムを使用しながらチェイスを進める。
舞台の構成は、サバイバーの納棺師とハンターの写真家が中心。原作の「Identity V」の世界観を引き継ぎながらも舞台化のために独自のアレンジが加えられている。
緊迫感のある展開、アクション、キャラクターの掘り下げなど、見どころが盛りだくさんだ。初回公演に先立ちおこなわれた、ゲネプロとフォトセッションの様子をお届けする。
(※画像は全部で33枚。本文中に入りきらなかった画像は下の「画像一覧」に)
荘園に招待されたひとりの納棺師。彼が巻き込まれることになった恐ろしいゲームとは?
ある夜、ひとりの男が「荘園」にやってきた。彼の名はイソップ・カール(演:平井雄基)、納棺師だ。先住者たちは彼に、ここは現実世界ではなく、サバイバーとハンターの間で毎日チェイスが行われている場所だと教える。
館の主からチェイスへの招待状が届けば、逃げることはできない。殺されるか、暗号を解読して勝利するか。しかし、殺されても実際に生命がなくなるわけではない。その時点でゲームオーバーとなり、館の食卓の席に戻されるだけだ。
生き返り、物理的なダメージは回復するのだが、与えられた痛みや恐怖は覚えている。逃げまどい、殺されるかもしれない恐怖を心と脳に植え付けられながら、サバイバーたちは毎晩、終わりの無いチェイスを繰り返しているのだった。
ある日、イソップのもとに招待状が届く。相手のハンターは写真家・ジョゼフ(演:五十嵐啓輔)。
ジョゼフに失血死させられ荘園に戻ったイソップは、それまで味わったことの無い感情を覚える。納棺師として常に「死」が身近にあるイソップの中に芽生えた思いとは……?
それからというものイソップは積極的に勝ちを狙わず、死を選ぶようになる。もともと生者が苦手なイソップは「彼と一緒では勝てない」と荘園の中で孤立しかけるが「同じ日にここに来たから」と占い師のイライ・クラーク(演:千葉瑞己)は何かとイソップを気にかける。
その頃ハンターの館では、ジョゼフがイソップとのチェイスを思い出しながら、あることを考えていた。そしてジョゼフは、手紙を二通したためる。その手紙の内容とは? そして、ジョゼフの考えとは――?
「死」に魅入られた男、ハンターたち。オリジナルストーリーがキャラクターを掘り下げる
原作のゲームは、立ちまわり方やそれぞれの特質でしか彼ら・彼女らの性格をうかがい知ることができない。舞台は、原作にあるわずかな情報からキャラクターに人間味を与え、ストーリーを組み立てている。
人が苦手でおどおどとしているイソップは正直非常に可愛らしい。他のキャラクターも皆、「分かる」と思う性格で生命が与えられており、喧嘩したり絡んだりふざけたりしている。
衣装やメイクも、非常に再現性が高い。またチェイスのシーンでは、窓枠の乗り越え方やサバイバーの組み合わせにも注目だ。それぞれの特性がふんだんに生かされており、「あっ」と思わず笑いそうになってしまうこともあるだろう。
この日のゲネプロはサバイバー編だったが、ハンターたちも非常に魅力的だ。両方のストーリーを見れば、この舞台をさらに楽しめることに間違いない。
サバイバー・ハンター、両方の視点で楽しんでほしい! 第2幕は2020年6月予定
公演後、主演の平井雄基より挨拶があった。
「今回16ステージ、ハンター編・サバイバー編と、違う視点で公演がおこなわれます。ゲームが原作ということで、限られた情報の中、どうすれば良い舞台になるかということを、みんなで必死に考えて作り上げて来ました。
やってきたことを信じて、初日から全力で走り抜けたいと思います。観劇後は『#第五舞台』で感想を呟いて、盛り上げていただけたらと思います」
今回の公演は「Episode1『What to draw』」と銘打たれており、2020年6月には第二幕が予定されている。
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