ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』コンサート Rails Live 2019が10月30日(水)舞浜アンフィシアターで開幕した。
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』(鉄ミュ)は鉄道擬人化漫画「青春鉄道」のミュージカル作品。2015年11月に上演された1作目から2019年5月に上演されたスピンオフまで4作品が上演され、好評を博してきた。
鉄ミュシリーズ初のコンサートとなる今作はスタンディングあり、サイリウムやうちわありの、これまでのミュージカルとは一味違った客席参加型ライブだ。
今回は10月30日17:00公演の様子をレポートする。
ライブの前から歌い出す!? 結集した路線たちの姿に注目
Rails Live 2019はこれまでのシリーズでもおなじみの「つながる青春」からスタート。舞台中央のセリから登場した登場したキャストたちに、客席からは歓声とサイリウムが送られた。
今回のライブはスタンディングOKということで立ち上がって音楽を楽しめるようになっている。観客が立ち始めると、ステージと客席はいつものミュージカル公演とはまた違った一体感があった。
今回の物語は東海道新幹線(永山たかし)と東海道本線(鯨井康介)の会話から始まる。鉄道界発展のため、ライブをすると言い出した東海道新幹線。他の路線たちもこれまで歌ってきた曲を思い返しながら様々な理由でライブへの出演を決める。果たしてRails Liveの行方はどうなるのだろうか。
このレポートでは注目のナンバーをピックアップしてレポートをお届けする。
これまでの鉄ミュ4作品を凝縮
これまでの鉄ミュシリーズの集大成となる本作品。これまでのミュージカル公演4作品がぎゅっと詰まっている。
まず、鉄ミュ恒例となった何かを食べながら出てくる秋田新幹線。山形新幹線との楽しい掛け合いもありつつ、食べ物を口いっぱいに頬張りながら歌う「はらぺこまちのテーマ」で客席に笑いを誘う。秋田新幹線が毎公演何を食べているのかは注目ポイントだろう。
「僕は旅に出たい」と山手線(髙木 俊)が訴える楽曲「ぐるぐる回る孤独な僕」は、初演以来の披露となる。山手線役の髙木は初演の初日公演以来の参加ということで、客席に「初演の初日見たよという人どれくらいいますか?」と質問する場面も。初演を見たファンにとってはその頃を思い出した瞬間なのではないだろうか。
続いて披露された「ジュニアックホームズ」は2作目で登場した、なぜか探偵という設定になっている東海道本線のエピソードだ。依頼人のりんかい線は客席通路を練り歩きながら登場し、客席のうちわに対してファンサービスも抜かりない。「投げチューして」といううちわに答えた瞬間には、会場から揺れんばかりの歓声が上がった。
2019年5月に上演された西武スピンオフに登場した西武グループのメンバーも今回のライブに参戦。会場が西武のイメージカラーである黄色のサイリウムに染まりと、「会長万歳」コールが響く。ステージのみならず、客席も西武軍団の一員として集会に参加している気持ちになること間違いない。
西武池袋線(KIMERU)西武新宿線(橋本汰斗)、西武山口線、西武西武園線(馬場良馬)、西武安比奈線(渡辺コウジ)による「西武戦隊の希望の光」では、戦隊もののテーマソング風の音楽とダンスで盛り上がる。ステージ上では西武秩父線(滝口幸広)、西武狭山線(岩城直弥)、西武有楽町線(橋本 星)が黄色いライトを振る場面もあり、これまで以上にステージと客席の一体感を感じられた。
さらに、今回は3作目以降で語られるようになった、過去の路線たちの姿を垣間見ることもできる。
銀座線(KIMERU)と丸ノ内線(渡辺コウジ)が出会った頃のエピソードあり、千代田線と常磐線が電車で旅するエピソードあり、西武新宿線と西武池袋線がそれぞれまだ村山線と武蔵野鉄道と呼ばれていた頃のエピソードあり、宇都宮線と高崎線のある夜のエピソードありと、過去編のシリアスな雰囲気のナンバーも味わうことができる。
これまでの鉄ミュの集大成と言って過言ではない盛り沢山な内容だ。
今回のRails Liveならではのお楽しみも
今回のRails Liveならではの注目ポイントもご紹介したい。
まずは、東海道新幹線による「鉄道博物館へようこそ」だ。今回まさかの2番があることが判明。Rails Liveを歌に乗せて説明する2番はRails Liveの開幕を告げるような曲に仕上がっていた。
関東公演のみの出演となった東武東上線(高崎翔太)は、秩父鉄道(森山栄治)へのラブソングを熱唱。西武スピンオフ公演では秩父鉄道が東武東上線の手紙を読み上げるという形で歌われた曲だが、今回のライブではオリジナル(?)である東武東上線が歌うという注目の1曲だった。
さらに、東武東上線と西武グループ各線のコラボレーションも実現。秩父鉄道を巡って因縁のある西武池袋線とのやりとりは、テンポもよく楽しいひと幕だ。西武グループの路線たちをバックダンサーに歌う「フライング東上のテーマ」はこの公演ならではのレアな曲の1つだろう。
ライブの後半では事前に公式Twitterで振り付け動画が公開されていた「ハッピー廃線、おめでとう安比奈」も披露された。西武スピンオフ公演のナンバーだが、ろうそくならぬ黄色のサイリウムが灯り、よりパーティー感が増した印象に。曲のモチーフが廃線だけによりブラックになっているのだが、思わず一緒に踊りたくなる。是非振り付けを覚えて参加していただきたい。
終盤には「東海道兄弟2017 みんな踊れバージョン」と題してパワーアップした「東海道兄弟2017」が登場。東海道新幹線と東海道本線はもちろんのこと、他のキャストもバックダンサーとして参加し、ノリのいいダンスミュージックに合わせて客席でもライトが揺れた。
その他にも、このライブのために作られた新曲やアレンジの加えられた楽曲もある。ここでしか見れないパフォーマンスが楽しめること間違いなしだろう。
帰りは幸せな気持ちで電車に乗れる
最後は再び全キャストが集まり、「つながる青春」でライブは終わりを迎えた。エンディングの「つながる青春」も今回のRails Liveに合わせたオリジナルパートが追加されている。
関東公演のみの出演(関西公演は映像出演)となる東武東上線・信越線役の高崎翔太から挨拶があり、「秩鉄っていうから静かに聞いててね。秩鉄〜!!」と絶叫し、会場を沸かせた。
東海道新幹線役の永山から「手繋ごう」という提案があり、ステージはもちろん観客も隣の人と手を繋ぐ展開に。観客も含め全員で「ありがとうございました」と言う不思議な展開となったのだが、会場内は暖かな雰囲気に満ちた。
これまでのミュージカル公演同様、笑顔に満ちた楽しい約2時間15分。終わったあとは寂しさもありつつ、帰りの電車に乗るのが楽しみになる作品だった。
また、2020年3月4日(水)に本公演の様子を収めたBlu-ray&DVDが発売決定。会場またはアニメイトで予約すると予約特典として「鉄ミュソング総選挙2019!ベストテン」CDがついてくる。歴代鉄ミュ曲の中から人気投票を行い、TOP10曲を収録(ライブ音源)したCDだ。人気投票も11月15日まで行っているので、公式サイト・Twitterを要チェックだ。
©青春 ©ミュージカル『青春鉄道』製作委員会
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