舞台『機動戦士ガンダム00 −破壊による再生−Re:Build』Blu-ray・DVD発売記念トークショー付上映会が、2019年8月2日(金)丸の内ピカデリーで開催された。
本イベントは、2019年7月26日に発売された舞台『機動戦士ガンダム00 −破壊による再生−Re:Build』Blu-ray・DVDの本編映像をスクリーンで上映後、さらにキャスト登壇によるトークショーが繰り広げられるという内容。
今回は4名のキャストが登壇したトークショーの様子を、たっぷりとお届けしたい。
鮎川&永田もスクリーンの迫力を体感!
本編鑑賞後、興奮冷めやらぬ会場に登壇したのは、刹那・F・セイエイ役の橋本祥平、アレルヤ・ハプティズム役の鮎川太陽、ティエリア・アーデ役の永田聖一朗、パトリック・コーラサワー役の瀬戸祐介の4名。
舞台本編でも印象的な使われ方をしていたアニメ版の楽曲をBGMに登場する4人に、会場からは黄色いどよめきが上がった。
自己紹介を挟み、本番から約半年経ったことを感慨深げに振り返る4人。
「意外とセリフとか覚えているものですね」と発言したのは永田。
この日、永田と鮎川は劇場の1番後ろで本編上映をファンと一緒に観ていたのだそう。
しかし、このことを話すときに鮎川はうっかり永田のことを「しょうちゃん」と呼んでしまい、永田からは「せいちゃんです、せいちゃん」と小声でツッコミが入っていた。
「あ、こっち(橋本祥平)と混ざった(笑)」と、冒頭から鮎川のトークで会場は笑いに包まれ、和やかな雰囲気に。
本編の重い雰囲気を引きずっていた会場内は、このトークをきっかけに一気に明るくなったのが印象的だった。
鮎川:僕と聖ちゃんはポップコーン食べながら観てたんですが、いや〜面白かったですね。
永田:面白かったです。画面の半分くらい、もう太陽くんの足でしたからね(笑)。
足の長さを指摘された鮎川は、永田が自身のシーンでビクッと体が動いていたことを暴露。
永田によると、戦闘シーンでは、戦いに合わせて思わず体が動いてしまったのだそう。
映画館の大スクリーンならではの迫力を、いち観客として存分に堪能したようだ。
エアレバー操作で大苦戦!? コクピットの思い出話
――思い出話に花を咲かせてもらおうと、お写真を用意しました。
スクリーンには、稽古場で使っていたというライザー(コクピット型の装置)の“初号機”と、コーラサワーがライザーに座っている劇中写真が映し出された。
ここからは、挑戦的な表現でまさに演劇界に“武力介入”した、ガンダムの表現についての裏話が繰り広げられていった。
橋本:この写真に映っているのが、コクピットの初号機です。
鮎川:このあといくつかあって、本番で使っていたのは3代目か4代目なんですよね。
本番時のライザーとは違って、キャスター付きチェアに簡単な板が取り付けられたような状態の初号機は、軽いこともあってスピードが速かったとのこと。
永田:しかもすごい揺れるの。めちゃくちゃ酔う。だから、酔い止め薬飲んでやってました(笑)。
橋本:そうだったの!? すごい三半規管弱いじゃん!
永田:そうなんですよ。しかも高所恐怖症なんで、2メートルくらいあるのがすごく怖かったんですよ。乗ってる間、手汗やばくて。
奇しくも、永田演じるティエリアが劇中で乗り込むライザーは、ソレスタル・ビーイングが搭乗するライザーのなかで最も高度が高いものだった。
▲恐怖を語る永田の熱弁から、
当時いかに怖い思いをしていたかが伝わってきた。
橋本:初号機って、レバーがなくって。だからエアーでやってたけど、レバーを使うっていう感覚が最初は全然わかんないじゃないですか。
このひと言に、他の3人からは「たしかに」と同時に声が挙がった。
レバー操作も振り稽古として、稽古の時間が設けられたという。
そこからは、「ビームの時は……」「キャノンを撃つ時は……」とレバー操作をエアーで「ガチャンガチャン、ガチャン」と再現。
キャラクターが違っていても、レバー操作のマニュアルは同じなので、同じ攻撃をするときは同じレバー操作をしているとのこと。
瀬戸:そういう細かいところを、ぜひ映像で確認しながら観てもらうのも面白いと思います。
とのこと。これからBlu-rayやDVDを観るファンは、ひとつのポイントとしてレバー操作にぜひ注目して観てみてはどうだろうか。
また、映像化された際の楽しみのひとつにバックステージ映像がある。
これについても、鮎川がみどころのひとつとして挙げていた。
鮎川:袖でのライザーの入れ替わりがとにかく激しくて、バックステージ映像に舞台袖の定点カメラの映像もあると思うので、そのあたりも観て欲しいですね。
それと、(ソレスタル・ビーイングの)4人が「ガンダムマイスター、出る!」って同時に乗り込んで言うシーンも大変だったよね。
永田:僕だけ(コクピットが)高かったので、大変だったんですよね。
鮎川:なかなかタイミングが合わなくて、そのシーンだけ稽古したりもしてたしね。
上映されたパッケージ版の映像では、この4人でのシーンは見事にぴったりと合っていた。
それを劇場で観ていた鮎川と永田は、このシーンで思わず「よし、合った!」と感激したという。
2人の感動ひとしおといった表情からは、いかにこの4人のシーンを合わせるのが大変だったのかが伝わってきた。
ソレスタル・ビーイングのシーンで3人が盛り上がるなか、AEUサイドである瀬戸も負けじと「いや〜本当あれは奇跡だったよね〜揃ってよかったよね〜」と、まるでガンダムマイスターの1人であるかのように会話に参入し、笑いを誘っていた。
そんな瀬戸に対し、橋本は「セティさんは僕のスターなんですよ」とフォロー。
橋本:僕のスター、つまり“My star”、そう“マイスター”なんです。
一同:うまい! そういう意味か!(笑)
無事、瀬戸も“マイスター”の仲間入りを果たしたところで、司会者から次の質問が。
それぞれの役作りへのこだわり
ーー演じた役への思いなど、聞かせてください。
橋本:この作品の題材自体が重たいじゃないですか。普段、仕事とプライベートは切り替えているほうなんですけど、この作品に関しては刹那をずっとプライベートでも引きずっちゃってて。
舞台終わってから後日、窪寺昭(アリー・アル・サーシェス役)さんとご一緒したときに「祥平、ガンダムのとき暗かったよな」って言われたんですよ。
自分でも気づいてなかったんですけど、重要な役ということもあったし、かなり(刹那役を演じて)ダメージを食らってたみたいで、その印象が強く残っている役ですね。
鮎川:ハレルヤとアレルヤの二面性という部分は、役作りの変化という点で気をつけなければと思っていましたね。
僕が吉野さん(アニメのハレルヤ役を演じた吉野裕行)の声質と違った部分があるので、そこをどうしようかと。
僕は“舞台版”というのがあまり好きじゃなくて、なるべく原作に寄せたいんですよね。
真似っていうわけじゃないんですけど、できるだけたくさんの役にリーチできるようにというのを意識していて。
そこがちょっと苦戦しましたね。
役作りというよりは、ガンダムという機体に2人のマイスター(ハレルヤとアレルヤ)が乗っていて、さらにドライバーの方たち(アンサンブルキャスト)と息を合わせるのが難しかったなって、スクリーンで観てて思い出しましたね。
自分が動きたいときに、機体の動きとタイミングがズレると、気持ちがズレていったり。
逆にタイミングがうまく合うと、気持ちが昂ぶったりとか。
そういった部分も、生ものならではで楽しかったなと思いました。
永田:しかも太陽くん、腕も長いですもんね。
コクピットの限られた空間のなかで、手足の長い鮎川は苦労する点が多かったのだそう。
実は、ひとりだけ乗り方もみんなとは違っていたとのこと。
手足を動かしやすいように、工夫してコクピットに座っている姿は、ぜひBlu-ray・DVDでチェックしてみよう。
永田:中性的な役でしたし、人間ではないので、感情をどう明確にするのかとか、どう成長させていくのか、とかをこだわりましたね。
あと高所恐怖症だったので、本当にそれが大変で。
鮎川:よく(本番)出来たね。
永田:それは、千秋楽に向けて徐々に慣れていって(笑)。どうにか克服できたので、それは感謝しております。
瀬戸:(改まった表情で)先程、橋本さんも仰っていましたけど、私も稽古場で役が入ってしまいまして……(声のトーンを上げて)非常に明るく振る舞ってしまいました(笑)。
橋本:もう本当にね、そこに助けられたんだよ……。
瀬戸:この作品のキャラクターってこじらせてる人が多いんですよね。
そんななかで、コーラサワーの竹をスパンと割ったような、単純といいますか、悩みといったらマネキン大佐のことくらい、っていうキャラクターなので。
僕はとくになにも考えずに(笑)。演じててちょっと浮いちゃうかなって思いもしたんですが、それが僕の役目だなと。
あと、この作品って「ガンダムをどう表現するのか」ってすごく言われてたんですよ。
いざ幕が開いてどんなガンダムが出てくるのか注目されているところに、コーラサワーがバーンって出てくるわけですよ。
あのときの緊張たるや!
演出家の松崎さん(松崎史也)にも、「俺達はこのスタイルのガンダムでいく、っていう提示をコーラサワーにしてほしい」って言われていたので。
そこは失敗できないな、と毎公演アンサンブルの方たちとハイタッチしてスタンバイしてましたね。
ラストには嬉しいサプライズも!破壊と再生、そしてその後に続くのはーー
ーー魅力的なチームがたくさんの本作。ソレスタル・ビーイング、UNION、人革連、AEUのどこに属したいのかを考えてみてください。
キャラクターとは別に、ということだったが、橋本・鮎川・永田はソレスタル・ビーイング、瀬戸はAEUを選択。
お互いに自陣のいいところをアピールし合い、役を通じて培った役や組織への愛を感じさせてくれた。
ーー最後にひと言ずつ挨拶をお願いします。
瀬戸:本当にこの作品すごく大好きで、みなさんとまた作品を共有できて楽しい時間でした。
さっきのレバー操作の話じゃないですけど、役者それぞれこだわって演じてるところがあると思うので、何回も観て自分なりのガンダムを楽しんでください。
永田:たくさんの人から愛されている作品に携われたこと、本当に幸せです。
家に帰ってからも何回も観て頂けたら嬉しいです。
鮎川:今日改めて鑑賞していて、面白いって思いましたね。
(挿入歌として流れる)ステファニーの「フレンズ」、それにL’Arc~en~Ciel最高だなって思いました。
この舞台に出演できてとても嬉しいですし、すごく大切ですし、台本から頂いたメールから大事に保存しているくらい大好きで。
またみなさんにお目にかかれる機会があったらな、と思います。
裏話とかも本当はもっとたくさんあるので、そういった機会があればまたお話できたらなと思います。
橋本:DVDをご覧になった方もいると思いますけど、こうやって足を運んで頂いて大画面でこの作品を観て頂けるっていうのはすごく幸せです。
稽古中も、ただでさえガンダムの舞台化っていうことでハードルが上がってまして、稽古中も試行錯誤していて。
サブタイトルにもあるように、破壊して再生してっていうのを繰り返して作っていった、思い入れのある作品です。
いい作品を創るために意見を交わしたりもしましたし、楽しい時間を過ごしたりもしました。
アニメ同様に、たくさんの人にこの作品を観ていただきたいなって思っていますので、ぜひご家族・ご友人い「いい作品があるよ」と薦めてくださったらうれしいです。
と、座長らしい力強い言葉でイベントを締めくくった。
7月31日に開設されたガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」では、本作の第1幕が1ヶ月間無料で公開されている。
友人に薦める際は、ぜひこの公式チャンネルも活用してみてほしい。
さらに、キャスト陣が立ち去ったあと、スクリーンに映し出された文字に観客からは悲鳴が上がった。
そこに映っていたのは「舞台機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン 2020年7月上演決定!」の文字。
1作目を観たファンも、これから観てみようと思っているファンも、Blu-ray・DVDを何度も観て、2020年の新作へと気持ちを高めておこう。
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