舞台「博多豚骨ラーメンズ」が2019年7月13日(土)、シアターサンモール(東京都新宿区)で開幕した。
「2.5ジゲン!!」では、公演に先駆けて行われた公開ゲネプロの様子を各キャラクターのオリジナル写真とともにお届けする。
もくじ
舞台「博多豚骨ラーメンズ」とは
舞台「博多豚骨ラーメンズ」の原作は、著者・木崎ちあき(イラスト・一色箱)による同名の小説シリーズだ。
2019年7月現在、メディアワークス文庫(KADOKAWA)より「博多豚骨ラーメンズ(1〜8巻)」に加え「博多豚骨ラーメンズ Extra Games(短編集)」が刊行されている。
第20回電撃小説大賞にて大賞受賞し、コミカライズやTVアニメ化もされている大人気作品だ。
ストーリーは、人口の3%が殺し屋という街で暗躍する裏稼業の男たちを描いたスタイリッシュ・サスペンス。
登場するキャラクターたちは皆、殺し屋、復讐屋、ハッカー、拷問師など、現実ではなかなか想像できない多彩な職業のプロたちだ。個性豊かな彼らがドラマチックな群像劇を繰り広げる。
舞台版では、主役・馬場善治に今作が初の単独主演となる近藤頌利(劇団Patchi)が抜擢。ほか、女装の殺し屋・林 憲明(リン シェンミン)役に竹中凌平、殺人請負会社のサラリーマン・斉藤役に安達勇人など実力派俳優たちが顔をそろえる。
華麗なアクションに釘付け!公開ゲネプロレポート
7月13日(土)、シアターサンモールにて公開ゲネプロが行われた。
本作は、重いテーマでありながらどこかコミカルでスタイリッシュ、という原作の雰囲気をそのままに、舞台版では役者たちの生き生きとした演技やアクションも楽しむことができる。
「博多豚骨ラーメンズ」というタイトルからグルメにまつわるストーリーを想像する人もいるかと思うが、本作に登場するのは決しておいしいラーメンの数々ではない。
この作品で描かれるのは、殺し屋、復讐屋、拷問師といった「裏稼業の男たち」だ。
舞台は福岡・博多の街。一見平和そうに見えるが、この街の人口の3%は殺し屋だという(※あくまでも劇中の設定である、念のため)。
街の裏社会に生きる人々の間では、殺し屋を始末する「殺し屋ごろし屋」と呼ばれる存在が噂されていた。
その男は、博多の土産物でもおなじみの「にわか面」を身に着け、腕利きの殺し屋さえ苦もなく始末するという。
その正体は誰も知らず、ただ「にわか侍」と呼ばれている。
▲謎の男「にわか侍」(写真中央奥)。その正体は誰も知らない。
主人公・馬場善治(演・近藤頌利)
そんな博多の街で生きる私立探偵・馬場善治(演・近藤頌利)がこのストーリーの主人公だ。
▲私立探偵・馬場。明るい性格だが、どこか掴み所がないようにも見える…。
「馬場探偵事務所」を営む私立探偵で、明太子とラーメンをこよなく愛する九州男児。
楽観的であっけらかんとした性格で、警察関係者やハッカーなどと広い交友関係を築いている。
女装の殺し屋・林 憲明(リン シェンミン、演・竹中凌平)
そんな馬場がひょんなことから出会うのが、若き殺し屋・林 憲明(リン シェンミン、演・竹中凌平)だ。
▲女装の殺し屋・林。可憐な見た目に反し豪快なアクションを見せる。
林は、茶色のロングヘアが印象的な美少女……に見えても、れっきとした男性。殺し屋稼業のために女装しているのかと思いきや、「女装は趣味だ」ときっぱり公言する。
家族を思うあまり9歳のとき人身売買組織に自分自身を売った、という衝撃的な経歴を持つ、林。現在は多国籍マフィア「華九会」に雇われて殺しを請け負っている。
原作では登場人物それぞれが主人公の体をなす群像劇の要素が強いが、舞台版では馬場と林の凸凹バディを中心にストーリーが展開していく。
そしてもちろん、原作を彩る個性豊かな人気キャラクターたちも続々板の上に姿を現す。
殺人請負会社のサラリーマン・斉藤(演・安達勇人)
殺人請負会社に就職したものの、人の良さが邪魔して仕事に失敗してばかりの会社員・斉藤(演・安達勇人)。
風貌は地味なサラリーマンだが、さまざまな事件に巻き込まれることでストーリーを1本に繋げる役目を果たすキーマンである。
▲サラリーマン・斉藤。殺し屋としてはちょっと冴えないが、憎めない。
天才ハッカー・榎田(演・戸田翔)
ネットカフェに入り浸る天才ハッカー・榎田(演・戸田翔)。金髪のマッシュルームカットはもちろん健在だ。
▲天才ハッカー・榎田(写真右)。情報屋として静かに暗躍する。
復讐屋・ジロー(演・鵜飼主水)
誰かに恨みを持つ者から、プロとして復讐を請け負う「復讐屋」・ジロー(演・鵜飼主水)。一見優しげなオネエだが、仕事に徹する姿にはやはり冷酷な一面が見え隠れする。
▲復讐屋・ジロー。ホセ、ミサキと過ごすシーンもたくさん見られる。
ベテラン刑事・重松、殺し屋・宗方(演・佐藤弘樹 ※二役)
馬場に情報提供するなど協力関係にあるベテラン刑事・重松(演・佐藤弘樹)。
重松役の佐藤弘樹は、権力者お抱えの殺し屋・宗方との二役をこなしている。
▲ベテラン刑事・重松。頼りになる兄貴のような存在感。
▲市長専属の殺し屋・宗方。眼帯に隠れた片目には「にわか侍」との因縁があると言う…。
印象も立場も真逆の二役だが、佐藤は見事に演じ分けている。
他に、ジローと組んで仕事をしている「拷問師」ことホセ・マルティネス(演・新井將)、ホストでスリ師の大和(演・窪田翔)、ジローの助手を務める女子小学生・ミサキ(演・星守紗凪)、うるわしき社長秘書・麗子(演・永瀬千裕)、怪演が光る悪童・原田ユウスケ(演・松田将希)など、キャラクターとしてもキャストとしても個性豊かなメンバーが勢揃いしている。
そして彼らが駆け回る博多の街のあらゆるシーンを、回転する円形のステージと色とりどりのライティングとが見事に表現している。
今作の大きな特徴のひとつが、この動く円形ステージだ。この仕掛けと演出力の高さのおかげで、群像劇の宿命とも言える頻繁な場面転換があるにもかかわらず、目まぐるしさを一切感じさせない。
むしろ小刻みな場面転換がストーリーのテンポにマッチして、心地よいくらいなのだ。
また、本格的なアクションも本作の見所のひとつ。とくに主役の馬場に終盤用意されているアクションシーンは日常の馬場とのギャップにしびれさせてくれる。
さらに相棒の林はチャイナ服(女装)での思いきった本格アクションにも挑戦しており、近藤、竹中のファンにとってはとくに必見の作品だ。
主演の近藤はゲネプロ終演後の挨拶にて、「この作品を博多で演じ、博多の人たちに観ていただくのが僕たちの夢。その夢を叶えられるよう、たくさんの方々に観に来てほしいです!」と笑顔で語った。
舞台「博多豚骨ラーメンズ」は、2019年7月13日(土)~7月21日(日)シアターサンモール(東京都新宿区)にて上演。
原作ファンはもちろん原作を知らない人にも、ぜひこの機会にユニークな世界観を堪能してほしい。
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