斬劇『戦国BASARA』天政奉還が、2019年7月12日(金)ついに初日の幕を開けた。
舞台シリーズ10周年、さらに蒼紅卒業という大きな節目を飾る斬劇『戦国BASARA』天政奉還。
これまでの思い出が込み上げ涙してしまった筆者の思いを込めて、ゲネプロの様子をお届けしたい。
蒼紅が最後に目にする景色とは? 育んできた歴史を感じるストーリー
2.5次元作品で10年に渡りシリーズが続くこと。
いくつかそういった作品があるが、いずれもその裏にはキャストをはじめとした制作陣の、そしてなによりもファンの熱量があっただろう。
この斬劇『戦国BASARA』天政奉還を観ていて、ステージから感じたキャスト陣の熱。
それは同時に、この10年の間に、多くのファンが客席からステージへと送った熱量と同義なのではないかと思った。
今回の物語は舞台オリジナルとなっている。
「帝王」と称される足利義輝(久保田秀敏)によっておこなわれた天政奉還。
彼は腕の立つ将軍たちを集め、勝ち残ったものに帝の座を与えることを高らかに宣言し、物語が動き出す。
心が震えるような熱を求める義輝のために、京極マリア(大胡セシル)と松永久秀(松田賢二)は蒼紅ーー伊達政宗(眞嶋秀斗)と真田幸村(松村龍之介)の一騎打ちをけしかける。
義輝の宣言の先には、本来の敵と味方が入り乱れたまさに乱世が待っていた。
▲圧巻のオープニング
▲小早川秀秋(高岡裕貴)を中心に鍋を囲む不思議な顔ぶれ
▲徳川家康(永田聖一朗)と石田三成(沖野晃司)の双腕
それぞれの野望、策略を胸に、交錯していく刃と想い。
果たして、蒼紅の対決の先に待っているものとは何なのか。
▲蒼紅の2人がこの一振りに込めた想いとは
彼らは最後にどんな景色を目にするのか。
今作がシリーズ初観劇という人も胸を打たれるだろうが、シリーズ過去作を観てきたファンにとってはやはり熱い想いがこみ上げる作品に仕上がっていた。
蒼紅が蒼紅として舞台に立つ最後の瞬間まで、ぜひ瞬き厳禁で見守ってほしい。
受け継ぐための、終わりの物語
斬劇の名にふさわしい殺陣につぐ殺陣が、17名のキャスト陣によって繰り広げられる本作。
キャラクターは多いものの、それぞれの心の内もしっかりと描かれていた。
とくに筆者が注目したキャラクターは、天海/明智光秀(瀬戸祐介)と徳川家康(永田聖一朗)、そして足利義輝だ。
▲天海、そして明智光秀(瀬戸祐介)の選択とは
▲大きな選択を迫られる徳川家康(永田聖一朗)
▲蒼紅に割って入る足利義輝(久保田秀敏)の思惑とは一体
彼らは今回の物語で、「決意」「己の道」「選択」といったキーワードを背負っていると筆者は感じた。
これらのキーワードは彼らの生き様を表現するものであり、同時に卒業する2人へのメッセージのようにも感じられたのだ。
▲伊達政宗が背中を預ける片倉小十郎、この2人で観られるのも最後となる
▲10作目の集大成を観せてくれた松村龍之介の真田幸村
蒼紅を演じてきた眞嶋秀斗と松村龍之介。
今作で彼らは作品を離れてしまうが、この『戦国BASARA』を通じて培ってきた想いは彼らの、そして私達の胸に宿り続ける。
義輝が掲げた天政奉還が目指したように、『戦国BASARA』の乱世はこの先もずっと続いていく。
そう客席に確信させてくれるような2時間半であった。
熱の継承のための、終わり。
そんな想いがよぎった頃には、自然と涙がこぼれていた。
圧倒的な熱量で放たれる斬劇『戦国BASARA』天政奉還を、お見逃しなく!
【ネタバレ注意】日替わりパートも健在! ゲネプロ用の幻のネタも
さて、ここからはシリーズおなじみの無茶振りパート、もとい日替わりパートについて少しだけ触れたい。
新鮮な気持ちで観たい、という人は観劇後にぜひ読んでほしい。
二幕の前半にある日替わりパートでは、「戦国BAR 乱世」や武将たちが店主を務める楽市楽座が次々と登場する。
本当にさっきまであのかっこいい殺陣をやっていた人たち!?
と一瞬目を疑ってしまうような、とびきりの爆笑ネタが飛び出すかもしれないシーンなので、存分に笑って楽しんで欲しい。
▲各武将のおちゃめな姿は必見
ちなみに、松永久秀から4人の武将にくだされた無茶振りという名のお題は……「ゲネプロ」であいうえお作文!
ゲネプロ用のネタなので他では日の目を見ないかもしれない……ということで、ここでは全文を載せようと思う。
ゲ(伊達政宗):ゲリラ豪雨
ネ(真田幸村):願ってもない
プ(徳川家康):プッと現れた
ロ(石田三成):ロビーの方で物販を売っていますので、ぜひ観劇の記念にこのあと買って帰ってくださいね。
文字だけで面白さを伝えるのには限界があるのだが、頭を抱えながらひねりだしていた4人の姿を脳内で映像化して楽しんでほしい。
決意語る初日会見、全コメントレポート
ゲネプロに先立ちおこなわれた初日会見では、ずらりと豪華キャスト陣が登壇した。
ーー意気込みをお願いします。
眞嶋秀斗(伊達政宗役):開幕直後からとてつもない熱をお届けできるのではないかと思っています。
今回武将の数が多くてですね、全員が舞台上に集まるとスクランブル交差点のような密度の中で殺陣をやっています。
なので、高密度な斬劇『戦国BASARA』の熱をお届けできるよう、カンパニーの一員として戦いたいと思っております。
松村龍之介(真田幸村役):舞台『戦国BASARA』の10周年、僕自身この作品が10作品目という、どちらも節目となるタイミングで、こういう機会をいただけて、この武将たちと節目となる作品を迎えられること、本当に感謝しております。
出会いに感謝しつつ、歴史に敬意を払いつつ、しゅーてぃー(眞嶋秀斗)演じる伊達政宗を筆頭に、全力で楽しんでいきたいなと思います。
沖野晃司(石田三成役):舞台が10周年を迎えたということで、いい歴史は紡いでいって、悪い歴史はぶち壊しながら、みなさんに楽しんでいただける作品をつくっていけたらなと思います。
と、ここで今作で卒業する松村から小声で「(僕たち)悪い歴史だったの?」とツッコミが入るが、沖野は「それはいいじゃないか(笑)」と笑顔でごまかしていた。
こうやって歴史ある舞台に出られるっていうのは、幸せなことだなと思います。
今回から、新たな徳川家康役がくるということで、新たな双腕の1ページを築ければなと思っております。
ぜひ楽しんでください。
永田聖一朗(徳川家康役):10周年という節目の時に、こうして徳川家康として出られること、光栄に思いますしとても幸せです。
初参加ということでプレッシャーもあるんですけど、みなさん温かくて、自分らしくやれていますので、全力でみなさんの期待に応えられるように精進してまいります。
井上正大(片倉小十郎役):まずは10周年、本当におめでとうございます。
この作品に出ることができて感謝しております。
主役の2人が卒業ということで、龍之介とはずっと一緒でしたし、しゅーてぃーとは途中からだったんですけど、先に2人の政宗様(前伊達政宗役の塩野瑛久と現キャストの眞嶋秀斗)に旅立たれてしまって、悲しくてしょうがないんですけど。
僕もいつか卒業できるかな、と思いながらも、今回はとどまることになりました(笑)
いつか卒業したいです、よろしくお願いいたします(笑)
久保田秀敏(足利義輝役):今回舞台版の10周年、そして蒼紅の2人が卒業。
そして、「天政奉還」とサブテーマにあるように、この足利義輝がドンと構えている作品になります。
しっかり演じていきたいと思います。
さらに、ここからゲネプロに参加している記者勢に「いい記事を」とプレッシャーをかけて挨拶のしめくくりとしていた。
末野卓磨(竹中半兵衛役):竹中半兵衛として2度目の参加となりました。
前回にはいなかった武将と今回初めて舞台で会う、という楽しみが待っているんですけど、なによりも新しい家康と三成と、新しい豊臣軍として参加できることが嬉しく思います。
ぜひぜひ豊臣軍の活躍を楽しみにしていてください。
前田慎治(風魔小太郎役):本編では喋らないんですが、いまだけ喋らせていただきます。
ものすっごい今、緊張しております。
このシリーズにはアンサンブルとして7作ほどやらせて頂いており、3年ぶりに風魔小太郎として、この記念すべき10周年の機会に戻ってこれて嬉しく思っております。
2代目の風魔小太郎(末野卓磨)が隣にいまして、同じ舞台上にもうひとりの風魔小太郎がいるというなかで演じるというプレッシャーを普段から感じながらも、精一杯やらせていただきたいと思っています。
高岡裕貴(小早川秀秋役):今回初参加となるんですが、このタイミングで携わることができて幸せです。
立ち回りが多い作品で、僕の役は好んで立ち回る役ではないんですが、金吾は金吾なりに千秋楽まで『戦国BASARA』の世界でしっかりと戦い抜きたいと思います。
高柳明音(SKE48)(お市役):今回の舞台は、絶対に遅刻をしないでいただきたいと思うんです。
心を準備して早めに入ってもらったほうが、はじまってすぐに私達の渦に巻き込まれていくと思うんで、時間に余裕をもって来ていただければなと思います。
私自身アイドルデビューして10周年にして、初めて立つ舞台がこの作品で、一緒に10周年なんだな、という歴史を感じながら戦い抜きたいと思います。
女性キャストとしてそっとお花を添えられたらと思っています。
出口亜梨沙(鶴姫役):この節目で初出演させていただけるのが、嬉しいなと思います。
「ズババババッ!」と頑張ります!
と鶴姫風の挨拶で意気込みを表現した。
瀬戸祐介(明智光秀・天海役):原作にもない内容なんですが、天海と明智光秀がひとつの答えを出します。
一本筋を通すことができるように頑張りたいと思っています。
大湖せしる(京極マリア役):10周年という記念すべき回に出演させていただけますこと、とてもうれしく思っております。
千秋楽まで全力で努めて参りたいと思います。
松田賢二(松永久秀役):一目瞭然ですが、僕一人おじさんです(笑)
若者についていきつつ、悪者の務めをしっかり果たしたいと思っております。
喜多野章太郎(三好三人衆・長兄役):今までずっとアンサンブルだった僕がこうして出させていただけることに感謝しております。
今回関わる皆様、これまで関わってきた皆様、すべてに感謝を込めながら演じたいと思います。
久道成光(劇団4ドル50セント)(三好三人衆・次男役):スマホゲームの『戦国BASARA』をいまプレイしているんですけど、三好三人衆がまだ出ていないということで、いつ出るのかな、というのを楽しみにしております。
ゲームに劣らず殺陣の多い作品で、精一杯やらせていただきます。
田沼ジョージ(三好三人衆・三男役):ここにいるメンバーで精一杯稽古してきました。
この暑い夏をさらに熱くしていけるように頑張っていきたいと思います。
構成・演出・映像:ヨリコジュン:いつもどおり、一切手を抜かずに俳優部のみなさんとディスカッションを重ねて熱量のある作品を作ったつもりです。
「天政奉還」と銘打ったこの作品で、龍之介さんと秀斗さんが卒業ということで、これはBASARAの皮肉でもあり愛でもあるのかな、と感じつつ。
この愛のある作品を歴史の一つとして目に焼き付けていただけたらなと思っています。
企画・原作監修:小林裕幸(CAPCOM):2009年7月3日の初演から10年経ちます。
数々のキャストさん、スタッフの方たちにやっていただき、舞台のBASARAが10年続いてきたので嬉しく思っております。
数年前、ヨリコさんと名前をつけて斬劇『戦国BASARA』としてやってきているんですけど、役者スタッフすべてのおかげで本当に殺陣が多い作品に仕上がっています。
今回も新作で面白い内容になっているので、楽しんでいっていただければなと思っています。
最後にゲームについてなんですが、シリーズで初めてスマホアプリゲームが出ています。
新しいゲームも出て、新しい舞台もこれからはじまり、また『戦国BASARA』は来年の7月で15周年を迎えるのでそこに向けて『戦国BASARA』シリーズはいろんなことをやっていくので、『戦国BASARA』をどうぞよろしくお願い致します。
斬劇『戦国BASARA』天政奉還は7月12日(金)〜21日(日)までヒューリックホール東京、7月26日(金)~28日(日)までシアター・ドラマシティで大阪公演が上演される。
アフタートークショーや特別衣装公演など、今回もお楽しみがたくさん用意されているのでぜひ繰り返し劇場に足を運んでみて欲しい。
広告
広告