ミュージカル『少女革命ウテナ-深く綻ぶ黒薔薇の-』が2019年6月29日(土)からシアターGロッソ(東京都文京区)で開幕した。初日を前に行われたゲネプロ(総舞台通し稽古)と会見の様子を写真とともにお伝えしたい。
『少女革命ウテナ』は1997年に放送されたアニメが原作(監督:幾原邦彦)。王子様に憧れる男装の少女・天上ウテナ(能條愛未)が「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシー(山内優花)と出会い、「世界を革命する力」を手に入れるための闘いに巻き込まれていく物語だ。
これまでも何度か舞台化されてきた『少女革命ウテナ』だが、昨年3月に上演された『白き薔薇つぼみ』編に続き、今回はシリーズ第二弾。スーパーバイザーとして再び幾原邦彦を迎え、脚本・演出は吉谷光太郎が手がける。
今回の『深く綻ぶ黒薔薇の』編は、「思い出を永遠にする」ために、天才・御影草時(徳山秀典)と千唾馬宮(こんどうようぢ)が、ウテナの親友である篠原若葉(竹内夢)や、有栖川樹璃(立道梨緒奈)の幼馴染である高槻枝織(朝倉ふゆな)、薫幹(樋口裕太)の双子の妹・梢(田上真里奈)たちの心の闇を解放し、黒薔薇のデュエリスト(※決闘者)に仕立て、ウテナを追い詰めていく…とあらすじだ。
上演時間は約2時間15分(休憩なし)。原作を知らない人や初見の人は「薔薇の花嫁」や「エンゲージ」、「ディオスの剣」など多数の“専門用語”に少々混乱するかもしれないが、ウテナと黒薔薇のデュエリストたちによる「決闘」のシーンや、『絶対運命黙示録』などアングラ演劇を彷彿とさせる楽曲、影絵少女による劇中劇など独特な世界観に引き込まれていけば、基本的には予備知識なしでも楽しめると思う。
本作の見どころについて、天上ウテナ役の能條は「今回から新たに加わったキャラクターたちがすごく個性が強い。そのキャラクターたちが物語をいい感じにかき乱してくれることで、『ウテナ』の独特の世界観が更に濃厚な感じなったと思う」と語る。
そして、「人には言えない秘密や、ちょっと邪悪な部分が今回は全面に出ている。それをミュージカルでしかできない表現方法で皆様にお見せできるのではないかと思う。見ている方はどこか心がずっしりするような感覚になると思うが、その感覚を楽しみつつ見てほしい」と話した。
以下各キャストのコメントを紹介しよう。
◆御影草時役・徳山秀典
(役づくりについて)御影草時は、あまり感情を露わにする役ではないので、みなさんに少しでも届くように努力したい。こんなに原作を見たのは初めてで、たくさん勉強させていただいた。
(見どころについて)曲がものすごくある。劇中ずっと曲が流れていて、すべての曲に感動できる。まるでドラマや映画の挿入歌のような曲もあれば、『黒薔薇』を象徴するような暗い雰囲気の曲もある。すべて物語に沿って、音楽が流れているので、すごく心地よい。音楽とともに流れていくというところが、『ウテナ』をミュージカルでやる素晴らしいところだなと思う。音楽にもぜひ注目していただければと思う。
◆薫幹役・樋口裕太
今回の舞台は、1回見ただけでは疑問も多いと思う。それで2回目になって「は~」となって、3回目に「なるほど」となる舞台だと思っている。何回見ても新たな発見がある舞台だと思うし、何回見に来ても絶対に楽しめる舞台だと思う。
◆有栖川樹璃役・立道梨緒奈
アニメの世界が本当に忠実に再現されている。そして、前作よりキャラクターが増えたので、人間模様がすごく緻密に作られているのではないかと思う。瞬きせずに見ていただきたい。
◆西園寺莢一役・吉澤翼
見どころは本当にたくさんあるが、その中でもアンサンブルのダンサーさんたちが本当にものすごいダンスをしてくれて、見どころの一つなのではないかと思う。いろいろなところで、いろいろなことが起こっているので、2回3回見たらもっと楽しめるのではないかと思う。
◆鳳暁生役・吉岡佑
1シーンの中に2、3つのストーリーがあり、本当に目が足りないと思う。吉谷さんらしい目まぐるしい演出で、ちょっと難しいところもあるかもしれないが、ウテナの世界観がよく表現されている。何回も見ていただいて、理解ができてくると、すごく楽しい舞台になっていると思う。
◆姫宮アンシー役・山内優花
いろいろなキャラクターの心の闇や背負っているものを軸として、決闘が行われる物語。それは多分、見てくださる方の中にもある闇、眠っているかもしれないけれど、心の中に誰もが持っている闇だと思うので、見る方それぞれで違うキャラクターに心を重ねていけるのではないかと思う。自分はどのキャラクターに一番思いを寄せやすいのか、考えながら見ていただけたらなと思う。
なお、2019年11月20日に本作DVDの発売も決定した。
- 発売日:2019年11月20日(水)
- 商品仕様:Blu-ray2枚組 ¥9,800/DVD2枚組 ¥8,800
- Disc1:2019年7月7日千秋楽映像
- Disc2:特典映像(稽古場&バックステージ、ステージ全景映像ほかを予定)
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