舞台『囚われのパルマ -失われた記憶-』の東京公演初日が6月27日(木)に幕を開ける。
東京公演に先立ち上演された大阪公演では、多くの相談員さんが色々な思いを胸に観劇しただろう。
ついに東京で動き始める舞台『囚われのパルマ -失われた記憶-』のゲネプロの様子をお届けする。
静かに降り積もるハルトのいつかの日々
あのゲーム「囚われのパルマ」を舞台にするならこんな形であって欲しい。
その形がまさにシアター1010のステージの上にあった。
原作ゲームは「静」か「動」かでいえば、前者だろう。
しかし、だからといって味気ないわけではなく、とても奥深く繊細なイラストとストーリー、設定が魅力の作品だ。
舞台版もとても静かに粛々とハルト(太田基裕)の、かつて存在した日常が描かれていく。
(C)CAPCOM CO.,LTD.2019 ALL RIGHTS RESERVED.
▲同僚と距離感を保ちながら1人でもぐもぐと食事をする姿はかわいいのひと言に尽きる
ド派手なスカッとするシーンが次から次に展開されるような作品ではないが、とにかく丁寧に作り込まれていると感じられる作品に仕上がっていた。
ハルトがゲームに登場するハルトになるまでの前日譚が描かれる本作。
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▲ハルトと狩谷(悠未ひろ)のこのシーンはどこで登場するのか……お楽しみに
観客改め相談員さんは、彼が忘れてしまった、だけど確かにあった日々を肌で感じることができるだろう。
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▲他人と視線が絶妙にすれ違うハルト
研究者として過ごしていた、少し人との関わり方が下手だけど研究熱心な好青年。
その姿を目に映しながら、ふとゲームで彼と積み重ねてきた日々に想いを馳せると、込み上げてくるものがあるかもしれない。
丁寧な演技が丁寧な作品を生み出す
主演の太田基裕はその大きな瞳で、とても細かな演技をしていたのが印象に残っている。
置かれている環境によって変わる視線の色味とでもいうべき味の出し方がとても器用だ。
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▲実験器具を扱う手の美しさにもぜひ見惚れてほしい
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▲ハルトがこんな表情を見せる理由とは一体……
器用に、不器用なハルトを生きていた。
研究モードのオンとオフで目の色が変わるのが興味深く、これが元来の彼の人となりだったのかと妙に納得した。
ぜひオペラグラスなども活用しつつ、表情の丁寧な移ろいを観て欲しい。
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▲ハルトと政木(石橋徹郎)の本当の関係とは?
表の主人公がハルトなら、政木(石橋徹郎)は裏の主人公といえる。
原作ファンにはおなじみのキャラクターだが、舞台ではより一層、その人柄が浮き彫りになっていた。
同じく原作に登場する狩谷(悠未ひろ)とともに注目をしてみてほしい。
どちらも原作では見えなかった新たな部分が見えてくるのではないかと思う。
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▲イケメンたちの白衣姿は全身ショットで堪能を
シーハイブス製薬の研究者など他のキャラクターは舞台オリジナルである。
それぞれのキャラクター付けが分かりやすいので、初見でも混乱することはないだろう。
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▲唯一といってもいい本作の元気キャラ島本役の瑛(あきら)
そして途中からこの会社にやってくる女性研究者の篠木(前島亜美)。
彼女はとある目的を持っているのだが、その目的完遂のためにいくつもの顔を使い分けている。
彼女は細かいところで色んな行動を取っているので、着目してみると後半でより楽しめるかもしれない。
思わず白衣姿のイケメンたちに目を奪われてしまうかもしれないが、キーパーソンとして彼女をぜひ目で追ってみてほしい。
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▲距離をつめようとする篠木(前島亜美)と一線を引こうとするハルト
ゲネプロ公演後、カーテンコールでは「ぜひ作品を広めてください」とのことで、太田と前島がカーテンコール挨拶を担当。
2人とも、パルマの世界を「1人でも多くの方に届けていきたい」とこれから始まる東京公演への熱い想いを語り、舞台は幕を閉じた。
本作は、すみずみまで目を凝らしてその演技を堪能したくなる作品だ。
それはまるで、ガラス越しにハルトの感情や真意を知ろうと必死に彼の一挙手一投足に集中する、あの原作をプレイしているときの感覚のようでもある。
ぜひ相談員さんとして、客席でハルトの思い出を一緒に生きてみてはどうだろうか。
舞台『囚われのパルマ -失われた記憶-』東京公演は、6月27日(木)〜30日(日)までシアター1010にて上演。
東京初日舞台挨拶
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ゲネプロに先立ち、全キャストによるフォトセッションと舞台挨拶がおこなわれた。
全キャストを代表して、太田基裕と前島亜美の2人が東京公演への意気込みをコメント。
前島亜美(篠木文乃役):原作の「囚われのパルマ」のとても繊細で美しい世界観を大切に、丁寧に丁寧に稽古をしてまいりました。
稽古の中でも、原作のCAPCOMさんとたくさん意見交換をしまして、こんなにも原作に寄り添った舞台化はなかなかないんじゃないかと、自信を持って言えるくらい、本当に原作を愛し、どうやって舞台として観せられるかということを、みなさんと作ってまいりました。
製薬会社の話でもあるので、お芝居の中で薬の研究であったり、実験だったり開発だったりっていうシーンがあるんですけど、小道具だったりひとつひとつ本物を使ってやっております。
細かいお芝居のところまでじっくり観ていただきたいなと思っております。
太田基裕(ハルト役):この「囚われのパルマ」という作品は、ゲームが原作なんですが、ゲームでは描かれていない部分をビハインドストーリーとして描いています。
この舞台は大阪で幕が開きまして、3公演という非常に少ない公演数だったんですけど、来ていただいたお客様と非常に良い空間の共有が出来たな、と自負しております。
そのお客様からもらったパワーを持ってですね、東京公演も千秋楽まで怪我ないよう、良い緊張感を持った世界観で頑張っていけるよう精進してまいります。
千秋楽までどうぞよろしくお願い致します。
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