刀剣男士たちの、新しき本丸で過ごす束の間のひとときとは――
2019年6月14日(金)「舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ」の上演が始まった。
出演刀剣男士総計22振り、全60公演と、過去最大となったこの公演。初回に先立ち公開されたゲネプロの様子をお届けする。
ストーリーについての詳しいネタバレはしないが写真は掲載していくので、まったくのフラットな気持ちで見たい方は観劇後に思いを噛みしめながら読んでいただきたい。
前回2018年6月の「悲伝 結いの目の不如帰」は、タイトルがそのまま一文字たりとも無駄なく幾重にも意味を持ったストーリーであり、観客の心を深くえぐった。
それから一年。今回の「慈伝」は、タイトルから想像できるように幸せであたたかな気持ちに包まれる。
審神者から本丸の引っ越しを命じられた刀剣男士たちは、それぞれの役割に従って荷を運ぶ。積極的に働く者、隙あらば仲間の目を盗んで休もうとする者などさまざまだ。
リラックスした内番姿の刀剣男士たちが愛おしい。
「新しい本丸」にやってきたのは山姥切長義(演:梅津瑞樹)。山姥切国広(演:荒牧慶彦)の本歌だ。
心の距離を近づけるには宴が一番、と心を砕きあるいは歓迎の宴を言い訳として催される酒盛り。「同じ長船派だ」と大般若長光(演:川上将大)は何かと長義を気にかける。
しかし手放しに歓迎するのを好しとしない者もいる。山姥切国広の思いと悩みと努力を知っているからこそ受け入れがたい「本歌」の存在。
日々が穏やかであればこそ、そこにある幸せの存在には気づきにくい。「慈伝」はこれまでの作品のように衝撃となって観客の心に突き刺さるのではなく、やわらかい部分にじわじわと染み込んでいく。
葉を重ねるように幾重にも積み重なっていく話。日日の葉よ散るらむ。
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