レポート

“特級”なエンタメが再び! 舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-開幕【ゲネプロレポート】

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アニメも大ヒット中の芥見下々の漫画『呪術廻戦』の舞台化第2弾となる舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-が12月15日(金)に開幕。

2.5ジゲン!!では初日を前に実施されたゲネプロの様子を劇中ショットとともにレポート。記事後半にはキャスト・クリエーターコメントも掲載しているので、あわせて楽しんでもらえたらと思う。

闇にうごめく不吉な予感をまといながら、呪術の世界に足を踏み入れた虎杖悠仁(演:佐藤流司)の物語が、再び動き始めた。

今回は前半に描かれる「京都姉妹校交流会編」で、新たなつながりと青春が、後半に描かれる「起首雷同編」で1年トリオの結束と戦うことへのさらなる覚悟が浮き彫りとなる。

傾斜の異なる床を組み合わせた八百屋舞台が印象的で、それを使って縦横無尽に駆け回るキャストのアナログな熱量と、いくつもの仕掛けと映像との組み合わせで魅せるデジタル技術の融合が、血生臭くもシャープで洗練されている『呪術廻戦』の世界観を創出していた。

初演で描かれた戦いで主人公・虎杖は命を落とした。同級生の伏黒恵(演:熊沢学)や釘崎野薔薇(演:山口乃々華)をはじめ、呪術高専関係者がそう信じているなか、校内ではきたる京都校交流戦に向けて2年生による1年生の特訓が始まる。その裏では、五条悟(演:三浦涼介)が実は復活している虎杖お披露目のためのサプライズを計画。さらに京都校では楽巌寺嘉伸(演:陰山泰)学長が交流会に乗じての虎杖抹殺を生徒たちに命じていて…といったところから、物語が動いていく。

姉妹校交流会は両校の若き呪術師たちの総力戦が魅力のエピソードだ。舞台ならではの多彩な場面転換を用いながら、どの対戦カードも原作ファンがぐっとくるツボをしっかりと抑えていて、見応え抜群。虎杖にとって格闘の師ともいえる存在となる東堂葵(演:小柳心)の邂逅は、とくにドラマチックに描かれていた。東堂の破格の妄想力によって生み出される“東堂劇場”、そして“存在しない記憶”はどう表現されたのか…東堂演じる小柳心のリアルな肉体美とともに楽しんでもらいたい。

呪術界御三家に連なる伏黒恵と加茂憲紀(演:梅津瑞樹)、生身の肉体以外で戦うパンダ(演:寺山武志)と究極メカ丸(演:塩田康平)、女同士で火花を散らす釘崎野薔薇と西宮桃(演:久家心)、禪院真希(演:高月彩良)と三輪霞(演:竹内夢)、そして双子である真希と禪院真依(演:長谷川愛)の直接対決。と見せ場が多いエピソードなだけに、序盤からつねにクライマックスを浴びているような感覚に陥るかもしれない。

それぞれのバトルごとにきちんとそのキャラらしさが乗っているので、バトルシーンが続いても飽きることなく緊張感とおもしろさを味わうことができる。普段はおにぎりの具だけ言葉を発する狗巻棘(演:定本楓馬)の本気を見ることができるのも本作の見どころといえるだろう。

1幕ラストに向けて、虎杖演じる佐藤を中心にぐっとステージ上のボルテージが上がっていく。

敵を見据える虎杖の背中は、過去の出来事を経て一回り成長したことで、より力強く、たくましく見えた。ともすると怖さすら感じるほどの虎杖の真っ直ぐさを、佐藤は射抜くような視線とともに好演。2幕での「起首雷同編」での出会いと別れ通じて、虎杖はまた1歩深く呪術の世界に足を踏み入れることになる。虎杖のなかに蓄積されたものを、ときに苛烈に、ときに繊細に表出させる佐藤の表現力にも注目だ。

虎杖たちの担任である五条悟は今回も優雅に決めるときに決める男として、圧倒的な存在感を放つ。五条を演じる三浦の完璧なシルエットでの立ち姿の美しさやカリスマ性は改めて言及する必要もないほどに、今作でも別格。五条のちょっぴりお茶目な一面が、小林顕作の演出によってどんなテイストに仕上がっているのかお楽しみに。

「起首雷同編」では呪胎九相図の2番・壊相(演:青柳塁斗)が登場。筋肉モデルとして活躍するほど鍛え上げられた肉体は必見。ビジュアルの完成度だけでなく、兄弟への深い愛を持つ内面も見事に表現し、エピソードのラストに向けてほろ苦さを残した。

新キャスト・新キャラクターが多く登場した舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-。スピード感あるアクションをメインに、若者たちの何気ない日々を切り取ったかのような素朴な笑い、インパクトのある楽曲、観客が楽しめる客降り演出と、前作以上にエンタメ度の濃い作品に仕上がっていたように思う。2023年の観劇納め、2024年の観劇初めに、舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-で“特級”なエンタメを浴びてみてはどうだろうか。

キャスト・クリエーターコメント


脚本:喜安浩平

先日拝見した稽古はまだ完成前。故に荒々しく、故に俳優のむき出しの力が堪能できる、まさに「生きた時間」でした。まだ見ぬ答えに挑む姿は実に美しい。「死」を大きく扱う作品ですが、挑むことで、むしろ生きること、その意志を強く感じた次第です。そこに劇場の空気、スタッフワーク、そして観客の皆さまのお力が加わり、ようやく完成を見ます。どうか生きた時間を、全身全霊で世界に存在する彼らを、見届けてください。


演出:小林顕作

いよいよ本番初日が迫ってまいりました。カンパニー一丸となって、丁寧に作品を創りあげてまいりました。あとはお客さま皆さまに楽しんでいただけるよう祈るばかりです。ご期待くださいませ!


虎杖悠仁 役:佐藤流司

ついに舞台呪術廻戦、第二弾の幕が上がります。京都姉妹校交流会、起首雷同。個人的にも大好きなエピソードです。前作以上に多彩なギミック、魅力的なキャラクター達、そしてアクション。私自身も虎杖悠仁とともに、成長して参ります。カンパニー一同、一丸となって皆様をお待ちしております。


東堂葵 役:小柳心

祇園精舎の鐘の声と申しますが、変わらないものもある。友情、愛情、決意、人の思い。しかしそれらはいつしか時を経て形を変え、「呪い」に転じてしまうことも。本作のキャラクター達は皆、その諸行無常の響きの中で葛藤し、戦っているからこそ美しいと思うのです。原作アニメでは渋谷事変の興奮の冷めやらぬ今、舞台「呪術廻戦」の開幕です。「呪い」は手拍子ひとつで「願い」に入れ替えて。2023年の締めに、2024年の始まりに。劇場でお待ちしております。


五条悟 役:三浦涼介

舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同- いよいよ初日をむかえます。 昨年スタートさせた舞台呪術廻戦。携わらせていただき、改めて作品とキャラクターの様々な深みに触れる事で、さらに作品呪術廻戦を知り愛し演じることの楽しみを見つけました。第二弾がこんなにも早くスタートできた事の喜び、新たなキャストの皆さまの役者としてのポテンシャルの高さに作品もさらなる深みを増しています。さらに、『呪術廻戦』の世界観で劇場を埋め尽くすべく、舞台装置やセットもパワーアップしています。ファンの皆さまに喜んでいただけるエンターテイメントの世界をお届けします。 キャラクター1人ひとりの生き様、感情の芯を目撃していただける事でしょう。素敵な時間をぜひお過ごし下さい!! 配信も決定しました! 劇場でも配信でもどちらもお楽しみください! それではまたお会いしましょう!!


取材・文・撮影:双海しお

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公演情報

タイトル

舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-

原作

「呪術廻戦」芥見下々(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)

脚本

喜安浩平

演出

小林顕作

構成補佐

伊藤マサミ(進戯団 夢命クラシックス)

期間・劇場

2023年12月15日(金)~31日(日)
東京・天王洲 銀河劇場

2024年1月6日(土)~14日(日)
兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe

キャスト

虎杖悠仁:佐藤流司

伏黒恵:熊沢学
釘崎野薔薇:山口乃々華

禪院真希:高月彩良
狗巻棘:定本楓馬
パンダ:寺山武志

夜蛾正道:南誉士広
冥冥:立道梨緒奈

東堂葵:小柳心
加茂憲紀:梅津瑞樹
西宮桃:久家心
禪院真依:長谷川愛
三輪霞:竹内夢
究極メカ丸:塩田康平

庵歌姫:平湯樹里
楽巌寺嘉伸:陰山泰

組屋鞣造:北村海
重面春太:益川和久
高田ちゃん:小貫莉奈

壊相:青柳塁斗

五条悟:三浦涼介

公式サイト

https://jujutsukaisen-stage.com

公式X(旧Twitter)

@jujutsu_stage

(C)芥見下々/集英社・舞台「呪術廻戦」製作委員会

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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