2.5次元舞台・ミュージカルを好きになると、役者の発言をチェックしたり、ファン同士で交流を持ったりする機会が増える。
そこで目にするのが、舞台にまつわる専門用語の数々だ。
推しが稽古場で使っている用語や、俳優同士の他愛ない会話に出てくる用語。
それらの用語を知っておくと、推しのブログやSNSをより深く楽しむ手助けになる。
そこで今回は【クイズで覚える演劇用語~超上級編~】を出題しよう。
「笑う」「コロス」「ガチ袋」など、演劇用語の中でもかなりマニアックな部類の言葉を集めてみたので、気合を入れてチャレンジしてほしい!
クイズで覚える演劇用語~超上級編~
今回のクイズは、超上級編。1問でも正解できれば、かなりの演劇ツウを名乗れるレベルだ。
腕に自信のある方はもちろん、まだ知らない単語を覚えたいという方にもぜひチャレンジしてみてほしい。
今回もまた、後半になるにつれだんだんと難しくなるよう並べてある。
では早速、スタート!
Q1.「ガチ袋」とは何のこと?
- 現金が入った袋
- 大道具係が持ち歩く道具袋
- 出演者の小道具をまとめておく袋
正解!
不正解!
大道具係が持ち歩く道具袋
「ガチ袋」とは、大道具担当のスタッフが腰から下げている袋のこと。
見るからに重たげなガチ袋の中には、仕事に必要な道具がたくさん詰まっている。
もとは、セットを固定するために使う、コの字型の「かすがい」(ホチキスの針を巨大にしたような道具)のことを「ガチ」と呼ぶ。
ガチ袋はもともと、このガチをまとめて持ち運びするための袋だったと言われている。
Q2.ステージ上で使う「鑑(かがみ)」とはどんな道具?
- 登場人物に似せた等身大のパネル
- 大道具のドアの向こう側に置く黒い板
- 小道具に使う偽物の手鏡
正解!
不正解!
大道具のドアの向こう側に置く黒い板
日常でカガミと言えば、「鏡よ鏡……」でおなじみの鏡=ミラーを思い浮かべるだろう。
だがステージ上で使う「鑑(かがみ)」とは、舞台セットの一種を指す。
「鑑」とは、ステージ上で大道具の扉や窓を開けたとき、後ろ側が見えないように隠すための板や幕のこと。
舞台装置のドアは作り物だが、物語に入りこんで集中している観客にとっては本物だ。その先に余計なものが見えてしまっては、雰囲気が台無しになる。
このため、目隠しとして黒塗りの板や黒い布などの「鑑」を置く。地味に見えても、世界観をキープしている大事な道具なのである。
Q3.演劇用語で「八百屋」とは何のこと?
- 新鮮な芝居を見せる上手な役者
- 奥から手前にかけて斜めに傾いた舞台
- 臨機応変に色々なことを手伝うスタッフ
正解!
不正解!
奥から手前にかけて斜めに傾いた舞台
「八百屋」とは、ステージの奥から手前にかけて傾斜がついた舞台のこと。
奥を高く、手前を低くすることで、客席から舞台の奥の様子がよく見えるようになる。
この傾斜が八百屋の軒先にある野菜の陳列台に似ていることから、こうした傾斜のある舞台を「八百屋」とか「八百屋舞台」と言うようになった。
2.5次元界隈ではスポーツものやアクションもので見かけることが多いが、斜めになった床で芝居をするのは、じつはものすごく大変だ。
ただ立っているだけでも体力を消耗するため、八百屋舞台で芝居をこなす役者は涼しい顔に見えてもかなりの努力を費やしている。
Q4.「サブテキスト」の意味は?
- 台本にはない、稽古で新しく加えられたセリフ
- アドリブのセリフ
- 台本に書かれていないキャラクターの心情や背景
正解!
不正解!
台本に書かれていないキャラクターの心情や背景
英語のsubtextは、もともと文学作品において、文章に直接書かれていない背後にある意味のこと。
そして演劇で言う「サブテキスト」とは、台本に書かれていないキャラクターの心情や、背景の物事などのことだ。
「行間」や「テーマ」と言い換えると分かりやすいかもしれない。
サブテキストを把握することは役作りにとって重要だ。とくに2.5次元舞台・ミュージカルでは、台本だけでなく原作まで読み込んで初めて把握できることも多い。
原作ファンを唸らせるような見事な芝居ができる役者は、サブテキストの掘り下げを大切にしているのかもしれない。
Q5.演劇用語で「殺す」はどんな意味?
- 大道具を動かないよう固定すること
- 殺人事件を描いたシーン
- セリフを言うタイミングがかぶってしまうこと
正解!
不正解!
大道具を動かないよう固定すること
舞台用語で「殺す」とは、装置などを動かないようにセッティングすることを指す。
出演者が登る階段などのセットは、動くと危険なのでとくにしっかり固定する必要がある。その際には「そこ、ちゃんと殺しといてね」などと指示が飛ぶ。
また、マイクや照明などの装置を止める(生かさない)という意味で使われることもある。「このシーンはAさんのマイク殺す予定」などと言う。
Q6.では、カタカナで「コロス(choros)」といったらどんな意味?
- 役やセリフがない、背景の一部を演じる出演者のこと
- 大道具にキャスターを付けること
- 小道具をコロコロと転がすこと
正解!
不正解!
役やセリフがない、背景の一部を演じる出演者のこと
「コロス」にはもうひとつ意味がある。
こちらは古代ギリシャの演劇における合唱隊「コロス(choros)」から派生したもので、役者が感情のない存在(合唱隊や背景の一部)として、状況説明などの台詞を発する状態を指す。
2.5次元界隈ではあまり見かけない手法だが、たとえば舞台「弱虫ペダル」シリーズで、自動販売機に扮したキャストが台詞を言うシーンなどは、「コロス」の一種と言えるかもしれない。
Q7.演劇用語で「笑う」とはどんな意味?
- 芝居の出来が良いこと
- 緊張で震えること
- 邪魔なものを片付けること
正解!
不正解!
邪魔なものを片付けること
演劇用語で「笑う」とは、「邪魔なものを片付ける、どかす」という意味だ。
これを知らない新人劇団員などは、先輩に「そのへん笑っといて」と言われて、わけもわからずニコニコしてしまったりするかもしれない。
が、この場合「そのへんにある邪魔なものを片付けておいて」という意味なので、「ヘラヘラしてないで、仕事しろ」と怒られる可能性が高い。
Q8.「プロンプター」とは何のこと?
- セリフを忘れてしまったときにそっと教えてくれる人
- 舞台袖に置く大きな扇風機
- 作品の企画を立てる人
正解!
不正解!
セリフを忘れてしまったときにそっと教えてくれる人
「プロンプター」とは、稽古場や劇場で、出演者にきっかけやセリフを小声で伝えてくれるスタッフのこと。作品によって、いることもあればいないこともある。
ステージの前方などに、プロンプター専用の居場所(プロンプト・ボックス)が設けられている場合もある。
また、台詞や歌の歌詞を表示するため舞台に設置されたモニターも、同じく「プロンプター」と呼ばれる。
どちらも、いわゆるカンペと同じような役割を果たしている。
Q9.演劇用語で「すっぽん」とは何のこと?
- 根性のある俳優のこと
- 花道に設置された「せり(昇降装置)」
- 一場面まるごとカットすること
正解!
不正解!
花道に設置された「せり(昇降装置)」
「すっぽん」とは、花道に設置された「せり(昇降装置)」のこと。
花道の一部を四角く切り抜き、昇降装置を仕掛けて人が登場できるようにしたものだ。ちょうど、亀のすっぽんが首を出したり引っ込めたりするさまに似ている。
ちなみに歌舞伎の世界では、すっぽんから登場できるのは「生きている人間以外」(幽霊や妖怪など)という決まりがある。歌舞伎を観劇する機会があったら、気をつけてみると面白いかもしれない。
Q10.演劇用語で「半立ち」とはどんな意味?
- 台本を手に持ったまま行う立ち稽古
- 頻繁に立ったり座ったりするシーンのこと
- まだ半人前の役者のこと
正解!
不正解!
台本を手に持ったまま行う立ち稽古
「半立ち」とは、台本を持ったまま立ち稽古をすること。
舞台の稽古は通常、机に座ったまま行う「テーブル稽古(読み合わせ)」を経て、役者がそれぞれ台詞を覚え、台本を手放して芝居する「立ち稽古」に入っていく。
台詞をまだ覚えきっていない時点では、役者は台本を手に持ったまま立ち稽古に参加する。この状態が「半立ち」だ。
全部解けたあなたは、かなりの演劇ツウ!
演劇用語クイズ【超上級編】、あなたは何問正解できただろうか?
今回のクイズは、演劇経験者でもなければ、日常で触れる機会のない用語ばかり。全て正解できたなら、あなたはかなり演劇に詳しい人なのだろう。
現場で使われている用語を知ると、推しの言葉をより深く理解できる。
これからも演劇用語を把握して、観劇をさらに楽しいものにしていこう!
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