2.5次元舞台・ミュージカルを好きになると、役者の発言をチェックしたり、ファン同士で交流を持ったりする機会が増える。
そこで目にするのが、舞台にまつわる専門用語の数々だ。
観劇も回数を重ねてくると、裏方で使われている用語の数々が気になってくるものだろう。
推しが稽古場や控室で使っている用語。
役者同士の他愛ない会話に出てくる用語。
そんな用語を知っておくだけで、推しのブログやSNSをより深く楽しむ手助けにもなる。
今回は【クイズで覚える演劇用語~上級編~】として、「がなり」「香盤」「板付き」といった本格的な演劇用語をご紹介しよう。
クイズで覚える演劇用語〜上級編〜
今回のクイズには、演劇業界の外ではあまりなじみのない用語も多数含まれている。
腕に自信のある観劇ファンは、ぜひチャレンジしてみてほしい。
ちなみに、後半になるにつれだんだんと難しくなるよう並べてある。
では早速、スタート!
Q1.演劇用語で「がなり」の意味は?
- 監督や演出家がリハーサルで使うマイク
- 大声で演技するシーン
- マイクがハウリングを起こした状態
正解!
不正解!
監督や演出家がリハーサルで使うマイク
大声で怒鳴ることを日本語で「がなる」と言うが、舞台用語の「がなり」とは、舞台監督や演出家が稽古で使用するマイクを指す。
場当たりなどのリハーサルでは、舞台監督や演出家が客席に座り、役者やスタッフに指示を出す。その際に使うマイクが「がなり」だ。
「がなり」というとちょっと恐ろしげな響きだが、もちろん和気あいあいとした現場でも使われるアイテムだ。
Q2.「香盤」とは何のこと?
- 役者が顔を洗うための器
- 公演の進行表
- 控室で使うリラックスアイテム
正解!
不正解!
公演の進行表
公演のトータル内容を把握できる総合進行表のことを、「香盤(こうばん)」もしくは「香盤表(こうばんひょう)」と呼ぶ。
香盤表は、エクセル形式の表のような見た目であることが多い。
場面ごとの内容、シーンの季節や時刻設定、音響・照明のきっかけ、出演者の役名、出ハケのタイミング……といった事項がすべて記載されている。
台本が舞台の完成予想図だとすると、香盤表は設計図だ。ふたつ合わせて見ることで、舞台の進行を誰にでも把握できるようになっている。
Q3.「ありもの」とは何のこと?
- 劇場にもともとある設備
- パントマイムではない舞台
- 舞台上にある大道具
正解!
不正解!
劇場にもともとある設備
演劇用語で「ありもの」とは、音響、照明、小道具・大道具などのうち、劇場にもともと置いてある備え付けの設備のこと。
料理をつくるときに冷蔵庫の中身をチェックして「夕食はありもので間に合わせる」などと言うが、これの演劇版である。
通常、舞台に使う装置はまず劇場にそなえつけの「ありもの」で探し、足りないものをレンタルしたり自作したりして調達する。
Q4.「返し稽古」とはどんなもの?
- 同じシーンを繰り返し稽古すること
- 役者がお互いの練習相手になること
- 役者の自主練習のこと
正解!
不正解!
同じシーンを繰り返し稽古すること
1本の脚本を場面ごとに細かく区切り、同じシーンを繰り返し練習することを「返し稽古(かえしげいこ)」という。
反対に、脚本をまるごと通して稽古することは「通し稽古(とおしげいこ)」と呼ばれる。
一般的な舞台の稽古は、テーブル稽古(読み合わせ)でひととおりの流れを掴んだあと、返し稽古でシーンごとに練習し、芝居がある程度できあがってきたら通し稽古をする、という順序で進んでいくことが多い。
Q5.演劇用語で「ころがし」の意味は?
- キャスター付きの大道具
- ステージの床に置かれた照明やスピーカー
- 時間がなくて急いで稽古すること
正解!
不正解!
ステージの床に置かれた照明やスピーカー
「ころがし」とは、舞台の床に置かれた照明器具やスピーカーのこと。
足元に転がしてあるように見えることからこう呼ばれるようになった。とはいえ、実際は床に直置きされているわけではなく、専用のスタンドを使って設置されている。
ころがしの照明器具には、下からの明かりを加えることで人や物を美しく見せる効果がある。
Q6.演劇用語で「目つぶし」の意味は?
- 目隠しをして行う練習
- 強い光を客席に向けて視界を奪う、照明技法
- 稽古で問題点をつぶしていくこと
正解!
不正解!
強い光を客席に向けて視界を奪う、照明技法
照明の眩しい光を客席に向けることで、観客の視界を一瞬奪う手法を「目つぶし」と呼ぶ。
2.5次元舞台・ミュージカルでも、場面転換の際などに使われることがある。
同じような原理で、たとえば上手側にスポットライトを当てて注目させておき、下手側に新しい舞台装置や人物をひっそり登場させる技法は「目くらまし」と呼ぶ。
目つぶしや目くらましは、多用せずここぞという場面で使うと効果的だ。
Q7.ステージの「ツラ」とはどの部分?
- 客席側
- 中央
- 天井
正解!
不正解!
客席側
「ツラ」とは、ステージの一番前側(客席側)のこと。
ちなみに、この部分は「舞台端(ぶたいばな)」とも呼ばれる。
カーテンコールで出演者が一列に並ぶ作品では、舞台上をよく見てみよう。ツラの部分に立ち位置がバミってあることが多く、「推しは◯番の立ち位置」といった把握ができて、ちょっと楽しい。
Q8.演劇用語で「あおり」とはどんな意味?
- 照明をチカチカと明滅させること
- 客席を盛り上げること
- 役者同士で褒めあうこと
正解!
不正解!
照明をチカチカと明滅させること
盛り上げるときに「客席をあおる」と言うこともあるが、演劇用語としての「あおり」には、また別の意味がある。
「あおり」とは、照明・音響の手法のひとつ。
照明の場合は、短時間の間にチカチカと明かりを明滅させたり、ピンスポットライトの焦点をぐるぐると動かしたりする技法。
そして音響の場合は、音を素早く大小させて、緊迫感や期待感をあおる技法である。
Q9.「振り落とし」とは何のこと?
- 地獄のようにキツい稽古
- 天井から垂れ幕を落として広げる演出
- 袖や裾の長い衣装
正解!
不正解!
天井から垂れ幕を落として広げる演出
背景を隠していた黒幕をバサッと落として場面転換したり、垂れ幕をステージ上に落として広げたりする演出技法を、「振り落とし」と言う。
仕組みとしては、ステージの天井近くにある吊り棒(バトン)に紐で幕を引っ掛けておき、必要なときに機械や人力で落とす。
舞台「黒子のバスケIGNITE-ZONE」では、キセキの世代5人が印刷された幕が「振り落とし」され、さらにキャクターの幕が「振り落とし」された後ろから、とある人物が登場する……という手の込んだ演出が行われ、ファンの間で話題となった。
Q10.「板付き」とは何のこと?
- 幕が上がったとき、登場人物がすでにステージ上にいること
- お祝いに贈られる紅白の「かまぼこ」
- 上演中に大道具を動かす係のこと
正解!
不正解!
幕が上がったとき、登場人物がすでにステージ上にいること
開演して幕が上がったとき、すでにステージ上に登場人物がいる、というケースがある。この演出手法を「板付き」と言う。
開幕したときだけでなく、場面転換の際にも使われる手法だ。暗転中にスタンバイしておき、明かりが入ると同時に芝居が始まる。
この手法を使うと、展開にスピード感を出しやすい。
演劇業界では、ステージのことを「板」と呼ぶ。板の上に最初からいる(付いている)ので「板付き」というわけだ。
さらにステップアップ!「超上級編」にもチャレンジ♪
演劇用語【上級編】、あなたは何問正解できただろうか?
今回のクイズが解けた人は、すでにかなりの演劇ツウ。ここまで来たらぜひ「超上級編」にもトライしてみてほしい。
現場で使われている用語を知ると、推しの言葉をより深く理解できる。
演劇用語を把握して、観劇をさらに楽しいものにしていこう!
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