2.5次元舞台・ミュージカルを好きになると、役者の発言をチェックしたり、ファン同士で交流を持ったりする機会が増える。
そこで目にするのが、舞台にまつわる専門用語の数々だ。
観劇を始めて2〜3年経ち、劇場通いにはかなり慣れてきたな……と思っても、推しのブログに出てくる演劇用語に「バラシ? なぐり? え、物騒な話?」とびっくりしてしまうかもしれない。
(「バラシ」や「なぐり」の本当の意味は、この先のクイズ参照)
演劇用語とその意味を知っておけば、推しのブログやSNSをより深く楽しむ手助けになる。
そこで今回は、【クイズで覚える演劇用語〜中級編〜】をお届けしよう!
クイズで覚える演劇用語〜中級編〜
今回のクイズは、観劇を始めて数年目くらいの方々向け。「劇場通いにだいぶ慣れてきたな」と感じているあなたは、ぜひチャレンジしてみてほしい。
その上を行くベテラン勢は、おさらいのつもりで挑んでいただけたらと思う。
今回も、後半になるにつれだんだんと難しい用語になるよう並べてみた。
では早速、スタート!
Q1.演劇用語で「ハネる」の意味は?
- ステージ上で派手なアクションをすること
- 客席に水しぶきが飛ぶこと
- その日の上演が終わること
正解!
不正解!
その日の上演が終わること
舞台用語では、その日の興行が終わることを「ハネる」という。
語源は昔の芝居小屋。入口に下げられた筵(むしろ)が終演と同時に上に跳ね上げておかれたことから、芝居が終わることを「ハネる」と呼ぶようになった。
また、全く別の意味で、芝居が売れて観客がたくさん入ることを「ハネる」と呼ぶ場合もある。
Q2.「バミる」の意味は?
- 立ち位置に目印をつけること
- はみ出ること
- 場の空気を読んだ演技をすること
正解!
不正解!
立ち位置に目印をつけること
客席からステージ上をよく見ると、×印や数字の書かれたテープがあちこちに貼ってあるのが見えるだろう。これが「バミリ」だ。
ガムテープや蓄光テープを使ってこの目印をつけることを「バミる」という。
ステージ上にいる俳優からは、ステージ全体を見渡すことができない。自分が舞台のどの辺りにいるのか、他の出演者の立ち位置とのバランスはどうか、いちいち考えながら演技することは非常に困難だ。
だから、あらかじめ立ち位置を決めて印をつけておくのである。
終演後にステージ上をじっくり眺める機会があったら、バミリを見ながら「これはあのシーンのバミリかな」と想像してみよう。
Q3.「こけらおとし」っていったい何?
- 新しい劇場の開幕を飾る公演のこと
- 大道具で、回転式の仕掛けがあるもののこと
- 笑えるオチのある作品のこと
正解!
不正解!
新しい劇場の開幕を飾る公演のこと
新築や改築した劇場で、最初に行われる興行を「杮落し(こけらおとし)」という。
「こけら」とは木材を削ったときに出る木くずのことで、建物の新築・改築工事では最後に屋根のこけら(木くず)を払う作業があることから、最初の興行をこう呼ぶようになったと言われている。
歌舞伎の世界には「杮落としを見ると寿命が伸びる」という言葉もあり、演劇界では縁起のよいものとされている。
Q4.「デハケ」の意味は?
- 会場を出るときにきちんと掃除すること
- 役者の登場&退場
- 先端が出っぱったハケ
正解!
不正解!
役者の登場&退場
役者や道具がステージ上に登場したり退場したりすることを、演劇用語で「出ハケ(ではけ)」という。
舞台に現れることを「出る」、舞台から退場することを「ハケる」と言い、この両方を合わせて「出ハケ」というわけだ。
同じ公演を繰り返し観るリピーターの皆さんは、推しの出ハケのタイミングを完璧に記憶しており、登場前にオペラグラスをスッ……と持ち上げた経験をお持ちのことだろう。
Q5.「ピンで抜く」とはどういう状態を指す言葉?
- グッズの売上がずば抜けて高い出演者がいること
- スポットライトで照らすこと
- ヘアピンを使って釘を抜くこと
正解!
不正解!
スポットライトで照らすこと
ピンとは、ピンスポットライト(舞台の一部を丸く照らす照明。通称ピンスポ)のこと。
「ピンで抜く」とは、決め台詞を言うときの役者など、演出上とくに強調したい部分をピンスポで照らし出すことだ。
(映像作品の場合は「画面に一人だけアップで映すこと」を指す場合もある。)
ピンスポは操作が非常に難しく、手元の小さなブレが舞台上では大きなズレにつながる。万が一そうなれば、大事なシーンを台無しにしてしまうだろう。
推しにいつもぴったりピンスポを当ててくれる照明スタッフは、じつはものすごい技術を持つプロフェッショナルなのだ。
Q6.ステージ用語で「せり」の意味は?
- 競争が激しいこと
- 人や物を乗せて上がってくる、ステージ上にある仕掛け
- 市場のように活気のある作品
正解!
不正解!
人や物を乗せて上がってくる、ステージ上にある仕掛け
舞台作品を見ていると、ステージの一部が上がったり下がったりして、出演者が下から登場したり、下へ消えていったりする演出に出会うことがあるだろう。
あの演出を可能にしているのが、「迫り(せり)」と呼ばれる装置だ。
ステージの一部をくり抜いて昇降装置を取り付け、ゆっくりと上下させることで、観客の意表をついた演出ができる。
昔は人力で動かしていた「せり」だが、今は機械式になっている劇場が多い。
なお、ライブ・コンサートで人を飛び出すように登場させる「ポップアップ」も同じ仕組みの装置だ。ただし、こちらは速いスピードで昇降させる必要があるため、安全性を考慮して人力で持ち上げているケースが多い。
Q7.「ならく」って何のこと?
- ステージの床下にあるスペースのこと
- 「なるべくラクな方法で」という意味の業界用語
- 地獄にまつわるストーリーのこと
正解!
不正解!
ステージの床下にあるスペースのこと
「奈落(ならく)」とは、ステージの下(床下)に設けられた広いスペースのこと。ここには上述の「せり」をはじめとする舞台装置が置かれている。
この奈落は、メインステージだけでなく、花道の下に設けられているケースも多い。
奈落は役者の移動経路にもなるので、ひょっとするとファンがいる床のすぐ下を推しが通り抜けているかもしれない。
花道のあるステージでは、そんな想像をしながら観劇するのも楽しそうだ。
Q8.「なぐり」の意味は?
- 金槌やハンマーのこと
- 喧嘩するシーンのこと
- 名前の順に並べること
正解!
不正解!
金槌やハンマーのこと
演劇業界で「なぐり」と言ったら、大道具係が持ち歩いている金槌やハンマーのことを指す。
舞台セットを設置したり解体したりするのに必要な道具はたくさんある。「なぐり」もそのひとつだ。
ただのハンマーではなく、「大道具専用のなぐり」というものもある。
専用なぐりの特徴は、柄の部分が長いこと。そして頭部の片側が叩く面・もう片側が釘抜きになっていることだ。柄が長いため、少ない力で効率よく作業できる。
Q9.「バラシ」の意味は?
- 伏線回収や謎解きをすること
- 事前にネタバレすること
- 終演後に舞台セットを片付ける作業
正解!
不正解!
終演後に舞台セットを片付ける作業
「バラシ」とは、舞台が終わった後、設置した大道具・小道具、音響・照明装置などを解体して片付けること。動詞風に「バラす」ともいう。
劇場を借りられる時間は決まっているので、終演後のバラシは速やかに行う必要がある。
観客としては、良い芝居を観た後はいつまでも余韻を楽しみたいところだが……バラシの時間を考えると、アンコールをひととおり終えたら速やかに劇場を出るのがマナーと言える。
ちなみに、上演前にセットや装置を設置することは「仕込み」という。
Q10.「クロスフェード」っていったい何?
- 2つの作品をコラボさせること
- 出演者が同時に2作品の現場に関わること
- 2種類以上の音響や照明を徐々に入れ替えること
正解!
不正解!
2種類以上の音響や照明を徐々に入れ替えること
音響(や照明)がだんだんと大きく(明るく)なることをフェードイン、だんだんと小さく(暗く)なることをフェードアウトと言う。
そして、先行していた音響/照明がフェードアウトすると同時に、別の音響/照明がフェードインしてくることを、「クロスフェード」と言う。
曲を途切れさせることなく別の曲に繋げる、といった技法として重宝される。
次はさらに難易度UP!「上級編」にいざチャレンジ♪
演劇用語【中級編】、あなたは何問正解できただろうか?
今回のクイズが解けた方は、さらに難易度がUPする「上級編」そして「超上級編」にもぜひトライしてみてほしい。
現場で使われている用語を知ると、推しの言葉をより深く理解するのにも役立つ。
推しと同じ言語に触れ、観劇をさらに楽しいものにしていこう!
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