舞台「キノの旅 -the Beautiful World-」が5月18日、東京・シアターサンモールで開幕。舞台写真とオフィシャルレポートが到着された。
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『キノの旅』は主人公・キノがモトラド（作中の乗り物。二輪車で、空を飛ばないものだけを指す）のエルメスと共にさまざまな国を旅する物語。原作の1話完結スタイルは舞台でも踏襲され、「人を殺すことができる国」「歴史のある国」「コロシアム」「優しい国」の4つのストーリーが描かれる。
幕が開き、まず舞台に現れたのはキノ（演：櫻井圭登）と相棒のエルメス（演：辻󠄀凌志朗）。エルメスは、モトラドつまり“無機物”だが、お喋りをするというキャラクター。舞台では人間が演じるのだが、不思議にも、二輪車のような感覚があるのだ。辻の声や話し方、櫻井の辻の扱い方などがそう見せるのが楽しい。
また、キノは女性だが、櫻井がいかにも女性らしい芝居をしているというわけではない。ふとした瞬間、脚の揃え方だったり、反応や仕草だったり、目の動きだったりに、女性だと思わせるものが存在するのだ。櫻井が「女性」ではなく「キノ」を演じているからこそのものだろう。
全く違う4つの国に関しても、この舞台では大きなセットチェンジをすることなく表現する。国の住人は櫻井と辻以外の出演者が兼役で演じている。しかしこれも、自然に違う国として観ることができる。稽古場で、丁寧にそれぞれの国の文化や思想を共有し、稽古を通して身体に馴染ませてきたからこそだ。
上演時間は約1時間45分ほどで、ストーリーはテンポよく進行するため観やすい。複雑な展開があるわけではないのだが、国の住人それぞれの奥に人生や思考が見えるため、一つ一つのやり取りが心に残す重みを持っている。原作の魅力そのものでもあり、生身の人間が演じるが故だ。国と国の間にはショートストーリーが挟まれ、その場面もしっかりと印象的だ。
「人を殺すことができる国」「歴史のある国」「コロシアム」「優しい国」という個性的な国で起きることを見つめるキノとエルメスや、師匠（演：加藤ひろたか）と相棒（演：林瑞貴）の視線は、時にやさしく、時に残酷だ。ぜひ劇場で確かめてほしい。劇中で流れる、櫻井が歌うテーマソング『無限大地の真ん中で』にも注目を。
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本作は、時雨沢恵一による同名小説シリーズの初舞台化作品。演出は山本タカ。キャストは主人公・キノ役の櫻井圭登、相棒のエルメス役の辻󠄀凌志朗をはじめ、青木陸斗、赤木耀、加藤ひろたか、林瑞貴、木村圭介、草野峻平、今井由希、國森桜、伊東征哉、佐久間貴生、滝川広大ら。
公演は5月22日（日）までシアターサンモールで行われる。
撮影：サギサカユウマ
（C）時雨沢恵一 2022 （C）舞台「キノの旅」製作委員会 2022
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