『地縛少年花子くん-The Musical-』の稽古場レポートとキャスト・演出家コメントが到着した。
稽古場レポート
コロナウイルス感染予防対策の一つとして換気が行われ、肌寒さを感じる稽古場では、自分の出番を待つ役者たちが原作漫画を読み込み、自身が演じる役の研究に余念がない様子。稽古中も休憩中もひたむきな役者たちは、一体どのような芝居を見せてくれるのか楽しみだ。演出・吉谷光太郎が到着し、いよいよ稽古が始まった。ポップな音楽が流れ、登場したのは怪異たちを取りまとめ、かもめ学園の平和を守る七不思議の七番目・花子くん(小西詠斗)。オカルト好きで夢見がちな八尋寧々(髙石あかり)に意地悪をしたかと思うと、一転して、ふと優しく見つめる。その視線の変化からも2人の関係性がうかがえる。
そこに、花子くんを倒すため割り入ってきたのは、祓い屋の少年・源光(谷水力)。熱血漢な彼の言動からは、花子くんに向けて「絶対に祓う」という熱い意志がひしひしと伝わってくる。その横では寧々がトイレ掃除用のモップが振り回す…3人のやり取りはまさにハートフル便所コメディ。
これから学園に巻き起こる怪異たちのハプニングを、このまとまりのない個性的な3人は乗り越えられるのか…と思わずドキドキさせられる愉快なシーンが出来上がった。
こまめな換気のため何度かの休憩を挟み、続いて花子くんと土籠(安里勇哉)のシーンが始まった。花子くんとも古くから関わりがあり、悠々とした大人の余裕が溢れる土籠を演じる安里勇哉は、フレッシュなカンパニーを包み込むまさに「土籠先生」そのもの。 稽古場の雰囲気は、彼のユーモアあふれる冗談により一際和やかな雰囲気に変わる。
先ほどの軽快なシーンからは一変し、叙情的なメロディーに稽古場が包まれる。月明かりに照らされる土籠。生前の花子くんと土籠の過去が垣間見えるシーンは、花子くんのいつもとは違う表情が映し出される。柔らかな照明と音楽が加わり、原作の美しくも儚い世界感が舞台上で描かれることが想像でき、本番への期待が高まった。
花子くん役・小西詠斗コメント
初ミュージカルということでまだまだ不安がいっぱいですが、稽古はとても楽しいです! こんなに年齢が近いカンパニーは初めてですが、皆さん舞台のキャリアが長くとてもしっかりしていて、明るく、たくさんサポートしてもらっています。演出の吉谷さんとは初めてご一緒するので、実は今も緊張しているのですが、日々新しい演出をつけてくださってとても楽しいです。空間の使い方やアンサンブルさんの演出が素晴らしくて、これからどうなっていくか皆さんも楽しみにしていただければ!例えば今日付いた演出で言うと、本当は花子くんが 登場していなかったシーンにひょうひょうと花子くんが横切ることで、より面白く、そのシーンのセリフが生きたりと、花子くんらしい世界観やコメディ要素がどんどん加わっています。出とちることがないように気を付けます!(笑)
八尋寧々役・髙石あかりコメント
寧々ちゃんは心をあらわにする子なので感情の流れをしっかりとつくらないといけない、嘘はすぐに見抜かれてしまうなと思って稽古をしています。あと、寧々ちゃんはすぐ転ぶんですね(笑)。勘違いして、ドジっ子なところも寧々ちゃんらしさだと思うので、本番まで私の膝には頑張ってもらって思いっきり演じたいと思います。次々と怪異たちに巻き込まれていく寧々ちゃんは、「え」という言葉ひとつ取っても「え?」と疑問を抱いたり、「えーー!」と大きく驚いたり反応が目まぐるしいです。しっかりと その時の感情や驚いている理由などを深堀して、演じていきたいと思います。
源光役・谷水力コメント
稽古はとてもいい形で進んでいるなと思っています。僕の課題としては、光はまだ中学生なので、彼の持つ青臭さや熱血感をさらに出していきたいですね。今回初めて“雷霆杖”という長物を振るので、自分の手足のように使いこなせるように毎日、稽古場の端で練習してます(笑)。今回、演出の吉谷さんとは初めてご一緒するのですが、仰ることにとても共感できるんです。僕としても新たな発見があり、日々つけていただく演出で「よりお客さんに伝わるな」と思うことが多いです。どのようなミュージカルになるか今から楽しみです。闘いながら歌うシーンもこれから稽古をするので、光の熱さ、感情を歌にのせてどのように表現するか、試行錯誤できればなと思っています。
演出・吉谷光太郎コメント
原作の軸となる「生と死」についてのテーマ、素敵な絵柄や漫画ならではの表現を、舞台として生身の人間が演じた時に世界観を打ち破らないようにすることを意識しています。その中でいかに心情の部分、気持ちの流れを大事するか繊細に作るかが大切だと感じています。また、やり込めばやり込むほど細かなギミックを入れられるのも舞台の面白さなので、限られたものの中でどう魅せるかということも見せどころかなと思っています。今作はキャッチする能力が高い役者が揃っているので、大切な芯の部分は残しつつ「ここは遊べるよね」という挑戦も入れていきたいですね。稽古も前半なので土台をしっかり固めて、みんなで良いものを作っていきたいと思います。
公演は2021年1月22日(金)〜24日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、1月28日(木)〜31日(日)に東京ドームシティ シアターGロッソで上演。チケットのプレイガイド先行受付は12月27日(日)23:59まで。
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