明治座創業150周年記念『赤ひげ』が10月28日(土)に東京・明治座にて開幕し、舞台写真および合同取材会のレポートが到着した。
取材会には、船越英一郎、新木宏典、崎山つばさ、猪野広樹、高橋健介、菅井友香、山村紅葉が登壇した。
◆登壇キャスト挨拶
船越英一郎
今日は本当に足をお運びいただいてありがとうございます。感激でございます。わたくしごとではございますが、今日が初舞台でございまして、初舞台の初日にあんなにお客さまたちから大きな暖かい拍手とスタンディングオベーションまでいただいて、カーテンコールもダブルまでは練習したんですけど今日あんなに何度も幕が開いて感激いたしました。ほんとに今日は良いお客さまに恵まれて我々も気持ちよく舞台を務めさせていただくことができたと思います。まだまだ楽日までこのメンバーで頑張っていきたいと思います。
今日1番嬉しかったのは、ご覧になった皆さまから出演者全員1人ひとりが印象に残ったって言っていただいたのが1番僕は嬉しかったです。1か月半ほんとに大変な稽古だったと思う人?(全員挙手)全員ですよ。ほんとに大変な稽古をみんなで乗りきりました。またアフターコロナという中で結構みんないろんなことを律しながら協力しあって初日を迎えることができました。そして、これは何と言っても医療ドラマですからね。我々が何か皆さまの身体を治すわけにはいきませんけれども、ちょっとでもご覧になった方たちの心に何かあったかい種みたいなものを我々が植えつけられたらというのを、最後まで目標に向けて努めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
新木宏典
保本登役の新木宏典です。本日はありがとうございました。1か月半しっかり稽古してやっとこの作品の産声があがったようなそんな初日を迎えることができ感謝しております。作品自体が医療ドラマなので命というものがどうしてもテーマに入ってくる作品だからこそ重くなってしまうのかなというところで、ずっしりとした空気のまま幕を終えるのかと思っていると、こんなにも暖かい拍手を作品を終えた後にいただけたことで、この作品は皆さんにとっても必要なものだったんだなということが拍手をいただきながら感じることができました。今日いただいた、この作品が終わった後のあの空気感というものを全公演いつ観に来ていただいてもお届けできるように最後まで精一杯努めてまいりたいと思います。本日はありがとうございました。
崎山つばさ
津川玄三を演じさせていただきました崎山つばさです。稽古場から船越さんと紅葉さんがいてほんとに何かサスペンス的な事件が起こるかと思ったんですけど、何事もなく無事にこうして初日を迎えることができて本当に嬉しく思います。個人的な事件としては船越さんに美味しいものをたくさん食べさせていただいたことと、紅葉さんのことをもみちゃんと呼べるようになったことが、これが個人的に1番事件だと思っています(笑)。このカンパニーの力や座長の船越さんの温かさについて行って最後まで怪我なく終われるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。
猪野広樹
森半太夫を演じました猪野広樹です。本日はお越しいただきありがとうございました。初日が無事に終わりまして、本当に大変な1か月半の稽古だったんですけど、最後お客さまの顔を見た時にやってよかったなと思いましたし、緞帳が下りた時にしばらくキャストが舞台の中に残ってたんですけど、その中で船越さんが「一生忘れられない日になりました」ということをおっしゃってくださったのがすごく嬉しくて、このカンパニーにいれることができて、そして赤ひげをやることができて本当に幸せだなと思いました。最後までダブルキャストではありましたけど、全員で乗り越えられるよう頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。
高橋健介(※森半太夫 W キャスト)
改めてありがとうございました。高橋健介です。僕は今日は立っていないので一観劇者として観させてもらったんですけど、やっぱり船越さんの初舞台の初日に一緒に立てなかったっていうのはですね、すごい広樹くんに嫉妬をしてるわけではありますけれども、逆に共演者の皆さんはお客さんの顔をいっぱい見ていたと思うんですけど、僕は袖から見た満面の笑みの船越さんの顔が正直本当に忘れられなくて、あれだけいっぱい稽古して最後は緞帳が下りてくるんで1歩下がってくださいって全員ね、子供たちも全員「はい!」って言ってたんですけど、船越さんだけは気持ちが行き過ぎて誰よりも前に船越さんが出られていて、ほんとにそれほどのすごい光景だったし、すごい素敵な場だったんだなと思うので、僕は明後日月曜日から初日になりますけども今日よりもさらに良いものを作れるように千穐楽まで頑張っていきたいと思いますので、皆さまよろしくお願いいたします。
菅井友香
お杉役を演じさせていただいております菅井友香と申します。今日は本当にありがとうございました。私にとっては本当に初めてづくしで本当に目まぐるしい日々のお稽古だったんですけれど、今日は船越さんに何度も「頑張ろう」って肩を叩いて言っていただいて、他の皆さまにもたくさんたくさん声をかけていただいてなんとか今日走りきることができました。日々この赤ひげという作品に私自身も生きる力をいいただいているなと思っております。そしてたくさんの奇跡の連続で今日があるんだなというふうに改めて感じることができました。偉大な先輩方とともに私も精一杯食らいついて頑張って参りますので、最後までよろしくお願いいたします。
山村紅葉
今日はお集まりいただき本当にありがとうございます。すごい大きな拍手とスタンディングオベーションをいただいて本当に感無量でございます。お稽古中は長いな、1か月半もやるのかと思ってちょっとどうなるんだろう、やめとこうかなと思ったんですが(笑)でも、もう長年船越さんとはお世話になっている仲なので、やっぱりお稽古場ではほんとに船越さんがみんなにも私にも気を遣ってくださって美味しい食べ物だけじゃなく声もかけていただいて本当に温かいお稽古場だったと思います。それが多分作品にも出たのかなとも思いますし、作品のテーマは病と貧困ということで重いですけど、今にも通じることだと思うので色々考えさせられました。本当に大きな拍手と皆さんにお集まりいただいたことで本当にやってよかったな、これからも千穐楽までとても楽しみだなとすごく今嬉しい
気持ちでいます。ありがとうございました。
◆質疑応答
――まずは船越さん初舞台、初日おめでとうございます。
船越:ありがとうございます。
――先ほど高橋健介さんからありましたが、船越さんが一人だけ前に出たままだったってことですよね?
高橋:そうですね、本当は緞帳が下りてくるのでここで手を振らないといけないんですが、もうこのぐらいいってましたね。
船越:そうか!?
高橋:はい。演出家さんが袖から「下がってー!」って言ってました(笑)。でもそれぐらいすごい光景でね、初めてっていうのは。
――船越さんは気付いてませんでしたか? 「下がって!」っていうのは。
船越:全然気づきませんでした。(新木に向かって)お前、隣にいるんだから言えよ!
新木:前出てるなぁ~って思ってました(笑)。
船越:わからなかったんだから、あれ!
――そのステージから見た風景はいかがでしたか?
船越:正直役者が皆さんにあがいてる姿を皆さんにご覧になっていただいて、あまり笑顔で皆さんのところにというのはちょっとどこかでこそばゆいというかちょっと矜持に反するなっていうところもあったんですけれども、でも演出家の方が今回最後皆さんと一緒になるという演出をつけてくれました。僕らがやった江戸時代のドラマがいつの間にか皆さんの今の時代を映す鏡として皆さんと一つの空間、一つの思いを共有できたというようなエンディングにしたいと思って、今日は満面の笑みを浮かべさせていただいた次第でございます。何か皆さんが持って帰っていただくものが、ほんとに僕のセリフじゃないですけれど「小さな喜びを繋げあわせて生きていこう」この喜びを共有できたっていうことの現れだったというふうに思っていただければ幸いです。
――「稽古中大変だった人?」って先ほど船越さんおっしゃっていましたが、何が1番大変でしたか?
船越:大変なことしかなかったよね? 何が1番って言われると…。
――大変なこと挙げてもらってもいいですか?
船越:(皆に向かって)じゃあ挙げてください。
新木:僕ですか? セリフ量(笑)。でも観ていただいたからわかると思うんですが、セットがすごく大きな建物を組み立てているので、あのセットを人力でいろんな転換でいろんな形でいろんな角度からお見せするというところが稽古場では確認ができないので、あれだけ大きなセットだと。それをみんな想像して、台本だけじゃなくて頭の中であのセットを想像しながら稽古をしなきゃいけないというところで、もうセリフに追われるわけにはいかない。セリフは落とし込んだ上で、稽古場では転換をイメージしてどういう風にお客さんに見えているのかっていうのを想像しながら作らなきゃいけなかったっていうところが一つ目の大変だったところです。二つ目。
――菅井さんお願いします。
菅井:私ですか? え~! 色々ありますが、まず和装や動きとかが自分は初めてで色々教えていただきながらでしたし、演出の石丸さんがすごく愛のある厳しさをたくさんプレゼントしてくださって(笑)。
船越:ハッキリ言っていいよ、怖かったんだろ?
全員:アハハハ!
菅井:そうなんです、怖かったんです(笑)。でもそれぐらい熱量もあるご指導を日々日々してくださって、朝から居残りまでしっかりとしてくださって感謝で、ついていくのがすごく大変でした。その分たくさんのものをいただいたなと胸がいっぱいです。続いては?
高橋:食事のタイミングですね。ほんとに船越さんは二日にいっぺんぐらいのペースで結構食事を入れてくださるので、自分が持ってくるとターハイ(※麻雀用語)になってしまうじゃないですか自分の分と。昨日来たから今日はないかなと思って自分が用意するとまた持って来てくれたりなんで、食事を余らせないための食事のペース配分が僕は一番大変だったことですかね。
――船越さんの食事の差し入れですか?
高橋:そうです。
――どういうものだったんですか。
高橋:それは言えないですよ…(笑)
――聞きたいです!
高橋:ほんとにパンから始まって、カフェも来ちゃったりとか。実際にカフェが来るんですよ、店員さん付きで。
――ほんとに?
高橋:ほんとですよ。
――じゃあメニューもいくつかあったりして?
高橋:そうですよ。見たこともないおしるこ飲みましたよ僕は。
――何を飲みました?
高橋:十勝おしるこみたいな感じの。
船越:おしるこ美味しいよね。
全員:美味しい、美味しい!
高橋:パンもあるしお弁当も何から何までほんとにありましたね。
船越:キッチンカーも来たしな?
高橋:はい。
――大変でしたね、その食事のペース配分は。
高橋:僕は大変でしたね、予想するのが。いつ来るんだろうというのが。
――紅葉さんいきますか?
山村:お稽古時間が夜9時くらいまであるので。
全員:アハハハ!(笑)
山村:それから飲むお店が開いていないっていうのが一番困りました。なので稽古場に一番近いコンビニでビール買って、運転はしてもらっているので車の中で、飲みながら帰りました。これみんなと飲めたら美味しかっただろうなと思いました。
船越:こういう時代じゃなきゃみんなで行けただろうけどね。
山村:そうですね。
――崎山さんいきますか。
崎山:もうないよね! いやでも場当たりが本当に大変で、それはさっき新木さんも言ってたんですけど、稽古場で想像はしてるんですけど本当に皆さんの想像してる100倍は裏側がほんとに危ない。一歩間違えると怪我に繋がるし、1秒2秒のほんとにそういう世界で転換をしているのでその場当たりのタイミングの取り方とか、暗転中にはける導線とかっていうのが一番大変でしたね。
船越:うん。ちょっとでもテンションが上がってしまうと、ほんとに今言った1秒2秒がね。例えばお客さんにはけるところが見つかってしまうとかいろんなあらゆる事故に繋がるからほんとに緻密に計算されてるので、それをスタッフと息をあわせてそして我々もどんなにお客さまが入ろうと何しようと興奮しないでやるっていうのが大変だよね。これはほんとに大変でした。でもこのトリッキーな舞台を楽しんでいただくのも、この赤ひげの1つの魅力になってるのかなと思うので、事故なく怪我なく慌てることなく頑張りましょう。
全員:はい。
――最後に猪野さんお願いします。
猪野:稽古場は席が決められてるんですねありがたいことに。船越さんがいらっしゃったりっていう席が決まってるんですけど、僕の席があって左・石丸さん、右・船越さん。熱量と熱量に囲まれたところで少しでも気が緩むとなんか飛んでくるんじゃないかっていう緊張感が最初の1週間ぐらいはありました。もう今はあの熱量が気持ちよかったんですけど、最初はもう虎に狙われたウサギのようになっていたんですけど、最初1週間は人見知りなんでそこがどうしたらいいんだろうって考えていました。
――そうなんですね。このイケメン4人の方たちの成長物語でもあるという風に船越さんおっしゃっていたと思うんですが。
船越:今回赤ひげをやらせていただく1番のテーマは稽古場とあるいは現場と、そして小石川養生所っていうことが全くの同じ世界観になること、これが僕の1番のテーマなので稽古場のこの我々の関係がそのまんま去定とそれから若い医師たち、そしてうちの養生所で働く皆さんと同じ空気感になりたい。お客さまにこの空気感、僕らの信頼関係が伝播していくっていうことがこの赤ひげをやらせていただく1番のリアリティだと思ってますので、そんな風に1人ひとりの力をあわせてこれが今実現できてるんじゃないかなっていうのが最も僕にとっては大きな喜びです。
――船越さんからご覧になって、1人ひとりの印象というのはいかがですが? 新木さんから。
船越:新木くんは非常に誠実です。ちょっと誠実で真面目すぎます。もっと不良でいいんじゃないか俳優は、そんな気がしておりますが。ほんとにナイスガイです新木くんは、新木くん“は”!
全員:アハハハ!(笑)
――崎山さんいきましょうか、高橋さんは後で聞きます。
高橋:なんで!(笑)
船越:つばさはねこのカンパニーの中でちょうど中間ぐらいなのかな年齢が。
崎山:そうですね。
船越:でもね1番頼もしいですよ、ちょっと兄貴分的な感じになってる。一応新木くんには敬語を使ってますけれども、どこかで「俺の方が兄貴だぜ」って多分本人思ってます。思ってるだろ?
崎山:(おどけながら)はい…!
新木:アハハハ!(笑)
船越:ほんとに頼りになる存在ですね。それから…。
――猪野広樹さん。
船越:広樹。広樹はねとってもナイーブで、そして頭がいい。クレバーな青年ですね。だけどものすごく秘めたる情熱みたいなものがあるので、ちょっと一見冷たそうにも見えるじゃないですか。でもドライアイスって触るとやけどするでしょ? …みたいな感じかな!(笑)
猪野:嬉しい。初めて言われました、ありがとうございます。
船越:そのドライアイスに水じゃなくて湯をかけるのが健介です。
全員:アハハハ!(笑)
船越:なんでそんなに広樹を怒らせたいのかよくわからない。もう広樹をね、イジることに命をかけていますから健介は。
高橋:そうっすね。
船越:健介が一番年少なんですけれども、それをいいことに先輩たちに甘えきってます。
全員:アハハハ!(笑)
船越:1番やりたい放題、言いたい放題。最初の1週間ぐらいだったかな、おとなしくしてたのね。もう1週間でぜんっぜん印象変わったから。
高橋:ほんとですか?
船越:うん。なんだコノヤローと思って。
高橋:アハハハ!
――何かありました?
船越:いやいや実はとても彼もナイーブなんですけど、わざとこのカンパニーの中では天真爛漫な役割を。彼もねほんとに頭いい。「俺はこの中で1番高学歴だ」っていうのが彼の口癖ですから。
全員:アハハハ!(笑)
高橋:言ってましたね、たしかに。
船越:非常に自分の役回りみたいなものをそれぞれがきちんと持ってらっしゃる。で、友香ちゃんはとにかく会った時に、なんてこの子はかわいらしさと知性が同居しているんだろうっていうそういう印象をものすごく受けたんですね。たしかに彼女はその両方を持っていました。もう一つすごいものを持っている、強さですね。この稽古場はかなり厳しい稽古場でしたし、怒声が飛び交う稽古場でしたけれども(笑)、でもその中でほんとに芯を貫いて1回も弱音を吐かない、くじけない。やっぱり櫻坂って厳しいんだな。そこのリーダーってほんとに大変だったんだな、それをしっかり乗り越えて…すごいしっかりしてるんですよ。でもほんとに強い女性だなと思いました、かわいいくせに。
菅井:ありがとうございます。
船越:もみちゃんはもうなんていうんでしょうか、まあ親戚ですからね(笑)。ほんとにデビューも同い年でここまで歩いてきて、一緒に夫婦をやったりいろんな共演の仕方をしてきました。この初舞台にもみちゃんが参加してくれたのが、ほんとに僕は頼もしかったし心強かったし、心配でもありましたけれども。いやいやいやいや(笑)。この一座をその存在感で牽引していくっていうことを見事にやってくれたかなと思っております。
◆最後に船越さんより意気込み
船越:この舞台はそれぞれが口にしていましたけれども、時代劇、江戸時代のお話ではなく、僕たちは現代のお話だと思って取り組んでおります。今日のお客さまの素晴らしいお顔を拝見すると1人でも多くの方にこの舞台を観ていただいて、そして少しでも皆さんがなかなかこの大変な3年間を乗り越えて、そしてこのアフターコロナをどうやって生きていこうか。そんなヒントがこの舞台にはものすごく埋まってると思いますので、それを見つけにぜひこの劇場に足を運んでいただければなと思っております。頑張りましょう!
全員:はい!
公演は、10月28日(土)~11月12日(日)に東京・明治座、12月14日(木)~16日(土)に大阪・新歌舞伎座で上演される。
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