2024年1月18日(木)、京都・京都劇場にて舞台『ブルーロック』2nd STAGEが開幕する。本作は「週刊少年マガジン」(講談社)にて2018年から連載中の『ブルーロック』(原作・金城宗幸/作画・ノ村優介)の舞台化作品。2023年5月に第1弾が上演された。
2.5ジゲン!!では、引き続き主役の潔 世一を演じる竹中凌平にインタビューを実施。前作の思い出から、作品のテーマでもある“エゴ”への意識、演じてあらためて感じた『ブルーロック』のおもしろさなどについて語ってもらった。
また記事後半では、同日におこなわれた取材会の様子も掲載する。
――第2弾の発表は、第1弾・千秋楽後にサプライズでおこなわれました。舞台上で、客席の歓声をどのようなお気持ちで聞いていましたか?
発表前は「お客さまが喜んでくださったら…」と思っていたのですが、実際はその何倍もの熱量が客席から伝わってきました。うれしすぎて笑顔が出そうになってしまったものの、舞台上ではキメ顔をした“潔 世一”でいなければいけないので、表情をキープするのが大変でしたね(笑)。
実は、「第2弾をやります」と制作の方から聞いたのは公演期間中だったんです。次もあるというのがうれしかったと同時に「この第1弾をいいものにしてお客さまに喜んでもらわなければ」と、さらに気合が入りました。
――第1弾の手ごたえはどのように感じていましたか?
劇場の熱気や客席の埋まり具合からも感じていましたし、観劇してくださった皆さまからSNSで多くの反応をいただいて。それから、観劇に来てくれた役者仲間たちが「面白かったよ!」とわざわざ連絡をくれたのにも驚きました。
観に来てくれるだけではなく、感想まで伝えてくれるなんて…原作や舞台ファンのお客さまだけではなく、役者仲間たちからも反応をもらえることで大きな手ごたえを感じました。
――最も苦労した思い出深いのはどのシーンでしょうか。
やっぱり何といっても、チームV戦のラストです。アディショナルタイムに突入して、玲王・斬鉄・凪のシュートを防ぎ、ボールを取った潔の「さあ最後の反撃(ラストチャンス)だ」から始まる猛攻撃のシーン…ここは本当に大変でした!
ダイレクトシュートを決めるまで、走ってはけて、またすぐに出てきて走って…の連続で、舞台袖へ入った瞬間に酸素ボンベを吸っていたほどです(笑)。そんな大変な状況なのに、息を切らさずに長台詞を喋り続けなければいけなくて。思い返してみても、俳優人生の中で上位に入るしんどさでした。
でも「本当にキツいからこそ観ている側には伝わるんだ」と(脚本・演出の)伊勢(直弘)さんがおっしゃっていて。確かにそのとおりだと思ったので、持てる力のすべてを出して駆け抜けました。
体力面ではなく思い出深いシーンを選ぶとしたら、お風呂上がりの日替わりシーンですね。ジュリーさん(澤田拓郎/伊右衛門送人役)を中心に、僕以外のメンバーがわちゃわちゃしているのですが、あそこは僕の早着替え時間を稼ぐためのシーンだったんです。全体的に緊迫感のあるシーンが多かったので、日替わりシーンではひと息つけて和みました。日を追うごとにヒートアップしていくのが、舞台袖で見ていて本当におもしろかったです(笑)。
――潔 世一を演じて、彼から受けた影響はありますか?
実は、あえて引っ張られないように意識していました。特に“エゴ”のあり方・持ち方について。本作の登場人物たちは、利己的なエゴを前面に出していくことでブルーロックの中で成長していきます。
でも、舞台の世界はそうではありません。舞台はみんなで作り上げる「集団芸術」なので、俳優があまりにも“自己”やエゴを強く出し過ぎるとその中で浮いてしまう可能性があります。かといってまったく自己を出さずにいれば埋もれてしまう…。
僕は、自分が強く目立つよりは作品全体がよければそれでいいと思っていますが、中には、上手にエゴを出しながらもその場に溶け込んでいる方もいます。今はまだできていませんが、僕もいつかそうやって上手にエゴを出せるようになれたらと思います。
――第2弾では「ライバルリーバトル」が描かれると思うのですが、竹中さんご自身がブルーロックの世界に入ったとしたらどのキャラクターを仲間に選びますか?2人選んでください。
才能ある人が欲しいので、まずは凪。それから凛…いや凛と凪がうまくやってくれるかが難しいから、蜂楽かな!
――では、キャストご本人をチームメンバーに選ぶとしたら誰を選びますか?
勝負に勝つためには、サッカー経験者を選びます! アンサンブルの牧野裕夢くんと(千切豹馬役の佐伯)亮を確保させてもらって(笑)。
勝負抜きにしたら、また選びたい人は増えますね…。気心の知れた優しい(蟻生十兵衛役の磯野)大くんや、周りをよく見ている(御影玲王役の菊池)修司も選びたいです。
――最後に、同室になってもよいキャストと、同室は避けたいキャストを選んでください。
同室になりたいのは、まず大くん! (糸師 凛役の)長田光平くんも一緒にいてストレスにならないタイプですね。その2人に限らず全員大丈夫そうなので、同室を避けたい人を選ぶのは難しいかも…。
でもあえて選ぶとしたら、僕は生活がすごく不規則な人間なので、起床と就寝時間などの生活習慣がきっちりしていそうなイメージのある横井(翔二郎/絵心甚八役)さんかな!(笑)
――あらためて、原作と舞台『ブルーロック』の魅力についてお聞かせください。
僕も含めて、“エゴ”が足りていない多くの人たちに一石を投じる作品だと感じています。
僕は「週刊少年マガジン」本誌の最新話まで読んでいるのですが、すでにコミックスが26巻(2023年10月現在)も出ているのにずっとおもしろいんですよね。潔をはじめとした個性的なキャラクターたちの成長や活躍から目が離せません。
そんな、熱くて人気のある作品の主役を演じさせていただいているのは本当に光栄です。原作をリスペクトし、カンパニーが一丸となって一生懸命やった結果が皆さんに伝わり、第2弾を上演できるようになりました。
今作では、また新たにたくさんのキャストが加わるので、さらに熱量が増すと思います。上演は来年1月なので寒い時期ですが、絶対に熱い作品になります。楽しみにしていてください!
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またこの日は、取材会もおこなわれた。登壇者は、竹中凌平(潔 世一役)、佐藤信長(蜂楽 廻役)、佐伯亮(千切豹馬役)、長田光平(糸師 凛役)の4人。
まず、第2弾である2nd STAGEへ向けて現在の気持ちを聞かれると、主演の竹中は「第1弾の千秋楽で2nd STAGEの発表をしたとき、お客さまの歓声がすごくて、それが心と記憶に残っています。期待されていると思いましたし、さらに進化した舞台を届けたいです」と意気込んだ。
今作から合流する長田は「僕は今作から出演させていただきます。とても実力のあるキャラクターなので、実力と人柄をしっかり自分の中に落とし込んで、新たな舞台『ブルーロック』をお届けできたら」とコメント。
佐藤は「つい最近まで(公演を)やっていたような感覚で…今日みんなに会っても『うぃっす』と軽い感じでした(笑)」と場内を笑わせると、第1弾の千秋楽を振り返り「第2弾の発表をしたとき、泣いているお客さまもいらしたんですよね。自分たちが思っている以上に期待されて待ってくれていると感じました。第1弾は何もかもが初めてなので大変なこともたくさんありましたが、それらを乗り越えられたので、第2弾ではさらに成長した姿をお見せしたいです」と笑顔を見せた。
佐伯は「先ほど凌平くんも言っていたとおり、進化したものをお届けしなければいけないプレッシャーはあります」と表情を引き締めつつ「このカンパニーは部活のようで、和気あいあいと高みを目指して精進していました。このメンバーなら(第2弾も)大丈夫です」と自信をのぞかせる。
さらに「今回は長田くんが演じる糸師 凛を含め、新しいキャラクターがたくさん出て来ます。その人たちと化学反応を起こせれば」と期待を寄せた。
続いて、第1弾で大変だったことについて。
竹中が「普通に走るよりも、前傾姿勢を取りながらその場で走る動作がキツくて」と告白すると、佐藤も「みんなが平たいところで走っていても、俺は基本的に八百屋(傾斜のついた舞台)になっているところでしか走っていなかった」と笑いながらこぼす。佐藤はなおも「“ゼロから1を作り出す”ことが大変だった」と振り返り、第1弾ならではの苦労を語った。
ここで、今作から参加の長田から続投の3人に対して、実際のボールを使った芝居について質問が。佐藤は「ドリブルをして、ボールを止めてセリフを口にしないといけないんだけれども、ボールはちゃんと止まっているか? どこかに行っちゃっていないか? って気になって」。
さらに「ゲネプロでは4回(ボールが舞台下に)落ちたけど、本番では落ちなかった」と、思わずひやりとした思い出を披露した。
役として覚醒した瞬間は? の質問に竹中は、自分自身も「気持ちいい!」となった二子一揮(演:坪倉康晴)への勝利シーンを。佐藤は「1人で攻めていって決めるシーン。蜂楽としても楽しかったし、自分としても『俺を見てくれ!』ってなりました(笑)」。佐伯も同じく、演じた千切が覚醒したシーンをあげ「凌平くんと一緒にずっとやっていたので、そこで生まれたものも大きかった」と稽古と本番を振り返った。
それを受けて長田は「執着心を持って、凛らしい強さのオーラを見せられるように役作りをしていきたいです」と意気込んだ。
また、本番中の面白かった思い出のシーンでは佐藤が、300人のストライカーが集められている序盤のシーンを挙げた。横井翔二郎演じる絵心甚八が登場する前、高校生たちは“そのキャラらしく”わいわいと自由にアドリブでその場に存在しており「馬狼(照英/演:井澤勇貴)にあいさつしたら『うるせえ黙れ』って言われた(笑)」(佐藤)、「千切は鰐間兄弟(鰐間淳壱/演:船木政秀、鰐間計助/演:川井雅弘)を絶対に見ないようにしているのに、鰐間兄弟は千切をずっと見てくる(笑)」(佐伯)と、自由ではあるがそれぞれのキャラクターへの解像度の高さがうかがえるエピソードが。
次に、ビジュアルについて問われると、佐伯が「(撮影は)第1弾のときよりもスムーズにできました。千切の長い髪の扱いが本当に大変で! 本番中も髪の毛を食べてしまう瞬間がたくさんありました。『この俺の滾りだ!(髪の毛を食べるジェスチャー)』って」(全員爆笑)。
さらに佐伯は「第1弾のときは、カラコンを入れるのに手間取って30分くらいかかっていたのですが、もう5分以内で入れられます(笑)」と成長をアピールした。
竹中はビジュアルポスターを眺めながら「腕の番号が299から15に変わって感動しました」と感慨深げ。それを受けて長田は「僕は番号が1なので、自然と背筋が伸びました」。長田はさらに「撮影のときは目の奥が燃えているのを意識しました!」。
佐藤は、第1弾ではずっと青のビブスを身につけていたことに触れながら「今回は白だったからちょっと慣れない気分でした」と心情を告白。さらに「ポーズがね! サッカーの躍動感を表現するために、だいぶ無理な姿勢を取ることもあったので、足腰に来ました(笑)」と場内を笑わせた。
長田は「別現場にいたときにキャスト解禁とビジュアル発表がされたので『糸師 凛じゃん!』と役者仲間たちに言われたり、(同じ現場にいた)のぶくん(佐藤)からは『よろしくね!』と声をかけたりしてもらいました」と、緊張がほぐれたエピソードを。
さらに「ファンの皆さまからの反応がとても大きくて、SNSではメッセージをたくさんいただきました。期待されていると感じましたし、背負っていかなければと思いました」と、表情を引き締めた。
舞台『ブルーロック』2nd STAGEは、2024年1月18日(木)に、京都・京都劇場で初日を迎える。
取材・文・撮影:広瀬有希
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