2011年から始まった、る・ひまわりによる歴史時代劇+エンターテインメント詰め合わせの「祭シリーズ」。年末の風物詩となっている同シリーズは、今年「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」として、南北朝時代をミュージカルで描く1部と、「猿楽の日1338 ~近頃都で流行るものフェスティバル~」の2部とで構成される。
2.5ジゲン!!では、佐々木道誉役の井澤勇貴と北条高時/吉田定房役の松田岳にインタビューを実施。お互いの印象や共演を楽しみにしている出演者、毎度人気の2部へのヒントなどについて話を聞いた。
――井澤さんは久しぶりの、松田さんはここ数年連続での「祭シリーズ」ご出演となりますね。
井澤勇貴:2015年の納祭(「晦日明治座 納め・る祭 ~あんまり歌うと攻められちゃうよ~」)以来の出演ですね。今作に出演される顔ぶれを拝見すると、懐かしい方もいらっしゃるし、新しく若い方々もいらして。当時は、今ベテランや先輩の立ち位置にいる方々がまだ若手のころだったんだなぁ…と年月の経つ早さと本作の歴史の長さを感じます!
松田岳:ここしばらく続けて出演させていただいていますが、毎年、いい意味で同じ気持ちを持って楽しめています。今回は特に、今隣にいる井澤勇貴くんとの共演をずっと待ち望んでいたんです。同い年の役者として意識せずにはいられない存在なので。
1部のミュージカルではどこまでセッションできるのか楽しみですし、2部では一緒に大騒ぎができたらいいですね。
井澤:僕もご一緒できて嬉しいです! がっくん(松田)とのはじめましては2021年5月開幕の舞台だったのですが、その作品は公演直前に中止になってしまって。だから今作が、一緒に舞台に立つ初めての作品になりますね。
彼は何でも器用にできるし、漢(おとこ)くささの中に時折見せる魅惑が素晴らしい人です。そんながっくんとまた一緒に稽古するのも本番の舞台も、楽しみでならないです。
松田:嬉しいですね! でも勇貴くんの方こそ何でもできる人ですよ、羨ましいと思っています。ビジュアル、スタイル、歌…それに声もいい。なのに、話してみると末っ子気質で甘えん坊なところもあって。子犬みたいに甘えられたらもう、たまりませんね!(笑)
それでいて、芝居の面では職人のように強いこだわりを持っている人です。井澤ファンの1人として、彼が作りだして届けてくれるものを受けとめられるのは至福ですし、ファンの皆さんの気持ちがよくわかります。彼にしか作れない世界を持っている、唯一無二の人ですね。
――今年も、1部は重厚な歴史もの、2部はお楽しみという構成になっています。今日のお2人は2部での衣装ですね。ネタバレにならない範囲で今年の2部の見どころを教えてください。
松田:先ほど何曲かレコーディングをしてきたのですが、途中で「ここはコーレス(コールアンドレスポンス)部分なんじゃないのかな…?」と思った箇所がありました。まだまだ落ち着かない情勢ではありますが、安全に配慮した上での声出しができるのかもしれない、と期待しています。
井澤:そうなったら楽しみだね! 少しずつ解禁になってきてはいますが、声を出して思い切り盛り上がりたくてもできない状況が続いていましたから。もし、お客さまとコーレスなどで一体的になれる機会があればとてもうれしいです。
前回出演したとき、確か2部では1曲しか歌わなかったんですよ。一部の方々をのぞいて、基本的には1人1曲。でも最近は、衣装やグループメンバーを変えて1人が何度も登場するじゃないですか。上演時間もトータル4時間で、毎日2公演。休める時間がまったくありませんね!(笑)
でも、年末の公演ですから、忘年会のテンションでわちゃわちゃとやりたいです。久しぶりにこの舞台に立てるのも嬉しいですし、歌もダンスも好きなので頑張ります。
――松田さんは、1部はもちろん「2部に命をかけている」と称されるほど毎年強い印象と爪痕を残していかれますが、今のようになるには何かきっかけがあったのでしょうか。
松田:思い返してみれば、日替わりコーナーですね…。初めて出演させていただいたときに、一発芸をしなければいけないコーナーがあったんですよ。どうしよう、と思いながらも「自分の存在を示すには、ここでやるしかない!」と。そこから今に至るのですが、今年は「1部にも命をかける男」と言っていただけるように頑張りたいです!(笑)
――今年も多彩な顔ぶれの出演者となりました。特に共演が楽しみな方についてお聞かせください。
井澤:大好きな(足利尊氏役の相葉)裕樹くん、(足利直義役の内藤)大希くん、(高師直役の上口)耕平くん、まーくん(楠木正成役/大山真志)、辻本くん(北畠顕家役/辻本祐樹)…他にもいっぱいいます! 特に僕は啓さん(長崎円喜・北畠親房役/加藤啓)が大好きで、彼がやることに対してものすごく笑ってしまう傾向があるんです。笑い過ぎないように気を付けたいですね(笑)。
はじめましての方はもちろん、僕が10代~20代はじめのころに共演した方々と、これまでに磨いてきたものをお互いに舞台で見せられるのがうれしいです。本作の演出である原田優一くんとは、演者同士として共演経験があるのですが、彼の演出を受けるのは初めてなんです。どんな演出なのか楽しみですし、演出家としての彼にどんなアプローチをかけていこうか、と思いを巡らせているところです。
あと、(北条時行役の)井澤巧麻くん。読み方は「いさわ」と違うのですが同じ漢字のお名前なので何だかうれしいな、と。
それから、かっち(ふゆ役/井深克彦)。去年ゲストで出演した際かっちと久しぶりにキスをしたら、何だか緊張してドキドキしました(笑)。ビジュアル撮影の日に少し話をしたのですが、「(今回は)ちゅーはできないんだよね」と言ったら「でもするよ?」と宣言されて。たぶんします(笑)。
松田:僕は、勇貴くん以外だと今回は特にはるちゃんさん(上杉重能役/丘山晴己)かな。眩しくてとても素敵で。別の作品で共演させていただいたときに、あのハッピーでショッキングピンクな世界観に触れて「またご一緒できたら」と思っていたんです。
「祭シリーズ」の世界観とはるちゃんワールドが合わさるとどうなるのか、楽しみでならないですね! 僕自身も、はるちゃんさんの個性と合わさった新しい色を出していけたらと思っています。
――それでは、「祭シリーズ」が年末であることにちなみ、お2人の年末年始にまつわる印象的なエピソードや思い出を教えてください。
井澤:「大江戸鍋祭」で初めてカウントダウンを経験して、何て楽しいんだろう! と。それ以来さまざまなカウントダウンイベントでお客さまと過ごさせていただく機会を持てているので、「年末年始は皆さんと一緒に過ごすもの」という気持ちが強くあります。今年のカウントダウンも楽しみですね!
松田:昨年のこのシリーズは、リアルタイムではないけれどもカウントダウンありだったんですよ。その楽しい公演が終わってから、僕だけはそのまま劇場で、大阪公演で必要な撮影のお仕事がありまして。撮影が終わって楽屋に帰ったら…誰もいなくて…。時計を見たらちょうど日付が変わったころで「あ、年越した…」と。
その寂しい気持ちのままコンビニで冷凍餃子を買ってホテルに帰り、電子レンジで温めている様子を動画に撮りました。ここまで寂しい思いをしたのならとことん寂しくなってやろう、と。お祭りの後のひとりぼっち感、何ともぜいたくでしたね…。
井澤:聞いていて抱きしめたくなったよ!(笑)
――では最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします!
井澤:久しぶりに「祭シリーズ」に帰ってきます。8年ぶりの出演になるので、周りとのバランスを見ながら、1部も2部も思い切り楽しんでいきます。あたたかく迎え入れていただけたらうれしいです!
松田:このシリーズでは、豪華なキャスト陣の皆さんと一緒に歴史を取り扱う責任を感じています。今作も、芸達者な皆さまが集まった豪華な作品になりました。このキャスト陣の中に身を投じるのは、過酷でありながらも幸せに感じます。稽古の段階から毎日刺激を受け、自分の剣を磨いていきたいです。
タイトルは「ながされ・る」ではありますが、自分自身は流されることのないように気持ちを強く持って励んでまいりますので、楽しんでいただけたらと思っております。
取材・文:広瀬有希/撮影:遥南碧
公演概要
■タイトル
シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第一部:オリジナ・るミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第二部:ショー「猿楽の日 1338~近頃都で流行るものフェスティバル」
■脚本
池田テツヒロ
■演出
原田優一
■音楽
かみむら周平
■出演
相葉裕樹/内藤大希/
石川凌雅、松田岳、前川優希、井澤巧麻、広井雄士、井深克彦/
丘山晴己/井澤勇貴、伊藤裕一、加藤啓/大山真志、辻本祐樹/
原田優一/上口耕平/ROLLY/水夏希
■日程・場所
12月28日(木)~31 日(日)
東京・明治座
■「る太」公式HP
https://taihenki.com/
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