インタビュー

鈴木勝吾&久保田秀敏&山本一慶がつなぎ紡がれてきたミュージカル『憂国のモリアーティ』特別インタビュー【後編】

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先日閉幕したばかりのミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 -最後の事件-。今回は“犯罪卿”として大英帝国に巣食う悪に立ち向かってきたモリアーティ兄弟を演じた3人へのインタビュー後編(前編はこちら)。

ウィリアムを演じる鈴木勝吾、アルバートを演じる久保田秀敏、ルイスを演じる山本一慶に、好きな楽曲やアーカイブ配信を楽しむポイント、作品が“心の部屋”にもたらしたものなどを語ってもらった。

――「モリミュ」は名曲ぞろいです。シリーズを通して好きな楽曲を1つ選ぶならどれでしょうか?

鈴木勝吾(ウィリアム役):1曲!? 難しすぎる…。

山本一慶(ルイス役):ぼくは「三兄弟の秘密」。「Op.1」の6分くらいあった曲ですね。作品として1歩目を踏み出したときに、この3人の関係値やキャラクターたちの人生を、あの歌によって得られたのかなと思えた曲でした。公演を重ねても常に根底にあの曲があると感じていたので、僕はこの1曲を選ばせていただきます。

△Op.1より

鈴木:なるほど。ちゃんと1曲を選ぶのね(笑)。でも難しい~。

山本:勝吾くんは選べないならそれでいいよ。

鈴木:うーん。でも、すべての答えという意味で、「Op.5」のラストナンバー「With You」(ウィリアムがベンチに座っている曲)でいいのかな。

山本:あの曲は、ウィリアムの中でいままで積み重ねてきたもの以外で生まれた新たな思いでもあるからね。

鈴木:そうだね。じゃあ1番は「With You」(仮)とします。ヒデくんは?

久保田秀敏(アルバート役):ぐっときたのは「Op.4」のアルバートのソロ曲ですかね。最後の歌詞が、こんなひどいことをやった俺を「許してくれ」じゃなくて「呪ってくれ」で終わる。呪ってくれっていう方向に持っていくアルバートの気持ちだったり、「Op.1」からだんだん重くなってきたすべてを背負う覚悟だったりが、また1つずっしりと重たくなった瞬間のナンバーでもあったかなとは思いますね。

山本:ありがとうございます。

鈴木:なんで一慶が進行してるの。

一同:(笑)

△Op.4より

――9月30日まで「Op.1」~「Op.4」が配信されているほか、本作のアーカイブ配信も実施されます(大阪公演:9月9日~22日、東京公演:9月23日~10月6日)。配信でより「モリミュ」を楽しむための注目ポイントを教えてください。

山本:Op.1から全部観たほうがいいですね。みんなの根底の気持ちが大きく変わるっていうよりは、抱え込んでいたものを出す「Op.5」だったので、各キャラクターがどういう思いを経て成長してどう変化していったのかを、やっぱりOp.1~Op.4を追って感じてもらったほうが、よりOp.5を楽しめると思います。「そうだよね」って思ってもらえる部分がいっぱいあるので。

鈴木:もうそれ一択ですかね、素直にそう思う。Op.1から観なくても内容はわかると思うけれど、Op.1~Op.4を観たら(Op.5が)何千倍もおもしろくなると思うから。「Op.1から観る」っていうことがOp.5の1番の見どころになるかもしれない。

山本:Op.5で初めて「モリミュ」を観たという方は、楽しいと思っていただけたのなら、Op.1から順番に観て、またOp.5を観てもらうといいですね。

鈴木:確かに。うちの弟は優秀です。

山本:今作では、すべてのキャラクターに“想いの集大成となる曲”が1曲ずつ用意されているので、Op.5だけの見どころでいうと、それぞれの楽曲を楽しんでもらえたらいいなと思います。たぶん、ほかの2人もそういう意見です。

鈴木:そう、一言一句たがわぬ。

――久保田さんも同じですかね?

久保田:あとですね…。

鈴木・山本:増えた(笑)

久保田:視点を2つに分けて「モリアーティ視点」と「ホームズ視点」で観ると、またいろんな世界の見え方ができると思うから、そういう見方もあるよね。

鈴木:あ~確かに。

山本:それ素敵。ヒデくんの言う通りです、ありがとうございました。

――ではモリアーティ視点でOp.1~5を観て、ホームズ視点でもOp.1~5を観て、両陣営を楽しむとよさそうですね。

山本:すごいですね。1週間持っていかれますね。

鈴木:お仕事のある方は、ぜひ有給休暇を取って観てください(笑)。

――千秋楽前にはモリアーティ陣営で初の円陣を組まれたとのことですが、その経緯を教えてください。

鈴木:ぼくは井澤に言われた。

山本:ぼくも井澤さんに言われたから、たぶん井澤さんがやりたかったんだと思います(笑)。

(舞台公演が)始まる前の円陣って「頑張ろうね」「千秋楽いくぞ」みたいな感じが一般的だと思うんですが、勝吾くんが熱い思いをすごく真面目に喋り出したんですよ。

「人生とは」「みんながいてくれるから」みたいなことを言いだして、なんかもう始まる前の円陣なのか、終わった後のハグなのかわからない不思議な円陣でした。

鈴木:それはさ「Op.5」までやってきて、千秋楽公演で円陣するってなったら、もうああなっちゃう。

山本:でも、ああいう風に伝えてくれるほど、このメンバーで積み重ねてきたものがあるんだな、素敵だなって改めて思えたので、僕はすごくいい円陣だったなと思います…けど、みんな戸惑っていました。

鈴木:戸惑ってたの?

一同:(笑)

山本:井澤さんも「あんな真面目な言葉が飛んでくるとは」って。

久保田:開演5分前を切って、みんなも「これで千秋楽なんだ」っていうところで過去を思い起こさせるいい言葉を聞いたもんだから、涙腺ゆるゆるで。(ボンド役の大湖)せしるさんも大粒の涙落としてましたしね。

――そんな円陣からあの千秋楽が始まったんですね。すごく貴重なお話ありがとうございます! では改めて、この「モリミュ」に出会って、みなさんの“心の部屋”にはどんな景色と風が吹き込みましたか。

鈴木:結論から言うと、もう1段階、孤独になった方がいいなっていう結論に至ってしまったんですけど。

山本:その心は?

鈴木:やっぱり20代でがむしゃらにのめり込んで生きてきて、「モリミュ」に出会って。人を愛して愛されることって、どこかこっ恥ずかしいと思っていたんですが、みんなのことをすごく愛しているし、愛してくれることを享受することの美しさやありがたさを、ウィリアムを通して、このカンパニーを通して感じたんですね。

冒頭でも言ったように、自分としては足りなかった。それでも愛してくれるみんながいてくれたことにすごく感謝と温かい思いを抱いていて。それを維持したまま、より挑戦をしていける自分にならなきゃいけないなっていう風に思い直したというか、そんな感じですかね。

山本:モランのセリフで「ファミリー」という言葉を聞いたときに、改めてみんなで歩んできて、本当にかけがえのない家族のような関係を得られたっていうのは、僕としてはすごく自分の中に吹き込んだ大きな風だったかなと思います。「モリミュ」のみんなを居心地のよいファミリーだなって思えたことが、僕のなかではすごく大きいですね。

久保田:僕はやっぱり1つの山を登り終えた気持ちですね。ゴルゴダの丘だったり、ゲッセマネの丘だったり、その丘を重い十字架を背負いながら、やっとのことで上までたどり着いたところから見る眼下の景色って、すごく光輝いていて眩しくて。千秋楽でのあの割れんばかりの万雷の拍手とか、言葉には変えられないぐらいの感情が、改めて気持ちいい風として心のなかに吹いていたなって思います。

千穐楽公演の翌日はなにも考えられないくらいぼーっとしていたのですが、それも1つのラインまでたどり着けたからなのかなと思いますし。もちろんこれがすべてのゴールじゃない。これから先、まだまだいろんなストーリーもある。

だから、僕らの中でのその家族っていう枠組みは、ここからがスタートなんじゃないかなって思っています。

鈴木:いい言葉。さすがヒデくん。

――ありがとうございます。みなさんから素敵な言葉をいただいたところで、最後に「モリミュ」を愛するファンへのメッセージを、代表して鈴木さんからお願いします。

鈴木:挨拶でも毎回言わせてもらっていたのですが、Op.1からOp.5まで、ファンの皆さまに育てていただいた作品だなというのをすごく感じる公演期間でした。

僕らが努力するのは当たり前ということでやってきたけれど、ファンの人それぞれにも、きっといろんな思いを抱えて人生を努力して積み上げてきた1公演1公演が「Op.5」に至ったんだとするならば、それももう家族みたいなもので。そこに、ヒデくんの言う万雷の拍手の景色があって、一慶が言う家族としての絆があって。

ルイスも「誰か1人に認めてもらうこと」を歌っていますが、「モリミュ」という場所が、僕らにとっても、お客さま1人ひとりにとっても、そういう誰かに認めてもらえる場所、愛のある家族の場所だよっていうことを感じていただけたら嬉しいです。そういう思いで手をつないでいけたらいいなって思いますね。

***

公演後のインタビューということで、お互いに労いあう同窓会のような雰囲気もあり、終始ほのぼのとした空気漂う取材となった。この記事を読んで、改めて公演を観てみると、また違った景色が観えてくるのではないだろうか。「モリミュ」ロスのファンにとって、この記事が1つの“光”になっていたら嬉しく思う。

取材・文:双海しお

配信情報

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 -最後の事件-

■東京千秋楽公演 アーカイブ配信

■販売期間
2023年9月23日(土・祝)12:00~10月6日(金)23:59まで

■販売価格
全景映像:各2,800円(税込)
スイッチング映像:各3,700円(税込)

■視聴期間
購入から7日間

■海外アーカイブ配信実
配信サイト:ローチケ LIVE STREAMING
配信公演:東京千秋楽公演 2023年9月10日(日)17:00(大千穐楽)スイッチング映像
販売価格:JP¥3,700 ※別途手数料が発生いたします。
販売期間:2023年9月23日(土)12:00~10月6日(金)23:59まで
視聴期間:視聴開始から1週間

※詳細は、ミュージカル『憂国のモリアーティ』公式サイトをご確認ください。
https://www.marv.jp/special/moriarty/streaming.html

(C)竹内良輔・三好 輝/集英社 (C)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト

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公演情報

タイトル

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 -最後の事件-

公演期間・劇場

2023年8月24日(木)~8月27日(日)
大阪・メルパルクホール

2023年9月1日(金)~9月10日(日)
東京・天王洲 銀河劇場

原作:構成

竹内良輔

漫画

三好輝『憂国のモリアーティ』(集英社「ジャンプSQ.」連載)

脚本・演出

西森英行

音楽

ただすけ

出演

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ:鈴木勝吾
シャーロック・ホームズ:平野良

アルバート・ジェームズ・モリアーティ:久保田秀敏
ルイス・ジェームズ・モリアーティ:山本一慶
セバスチャン・モラン:井澤勇貴
フレッド・ポーロック:長江崚行
ジェームズ・ボンド:大湖せしる

ジョン・H・ワトソン:鎌苅健太

ミス・ハドソン:七木奏音
ジョージ・レストレード:髙木俊
マイクロフト・ホームズ:根本正勝

伊地華鈴、大澤信児、木村優希、熊田愛里
柴野瞭、白崎誠也、高間淳平、竹内一喜
永咲友梨、中村祐輔、蓮井佑麻、山下真人

Piano:境田桃子
Violin:林周雅

公式HP

https://www.marv.jp/special/moriarty/

公式Twitter

@mu_moriarty

(C)竹内良輔・三好 輝/集英社 (C)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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