インタビュー

桜庭大翔「2.5次元舞台にもっと可能性を」新たなカテゴリー作りへの意欲と挑戦

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2019年にハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝東京の陣〞の木兎光太郎役でデビュー以来、187センチの恵まれた体躯を生かし2.5次元舞台で存在感を示してきた桜庭大翔。近年では、ビルドアップした肉体で“圧倒的な強さを誇るキャラクター”をビジュアルの面からも完全再現するなど、唯一無二の存在となりつつある。

2.5ジゲン!!では、桜庭に単独インタビューを実施。初舞台で仲間たちからもらった言葉から、今後の自身の方向性や可能性についても語ってもらった。

――はじめに、芸能界を志したきっかけと経緯からお聞きしていきます。小さいころから役者への憧れがあったのでしょうか?

僕は両親が共働きの家庭でひとりっ子育ちだったので、小さいときは家のテレビでドラマや映画をずっと観ていたんです。寂しかったけれど、それらを観ながら「この世界は気持ちを豊かにしてくれる」と思っていました。

中学生になってからはお小遣いをもらえるようになったので、レンタルビデオショップで好きな映画を借りられるようになりました。それこそ、毎日何本も観るくらいにお店へ通い詰めて(笑)。その中で「ショーシャンクの空に」という映画に出会って、娯楽以上のものを感じたんです。

「どうやったらこんな表情ができるんだろう」と役者さんたちの表情やお芝居に注目し始めて、「自分も誰かを感動させたい」と思うようになりました。

それからずっと役者になりたいと思っていたのですが、なかなか親には言い出せなくて…。でも、大学を卒業するタイミングで思い切って事務所のオーディションを受けたところ合格して、この世界に入ることになりました。

――初めての舞台はハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝東京の陣〞(2019年/木兎光太郎役)でした。この作品の現場はいかがでしたか?

自分が持っていたお芝居への考えを根底からひっくり返された現場でした。

「こうやってください」と細かく指示指導され、そのとおりにお芝居をしていくのだろうと思っていたのですが、まったく違っていて! すべて自分で考えて実践していかなければなりませんでした。

初めはとにかく“原作に寄せる”を強く意識して臨みました。セリフの言い方や動きなども原作やアニメのまねから入ったのですが、それでは木兎光太郎が舞台で生きていないと気づいて。そこからは自分で考えて役に向き合うようになりました。右も左もわからない状態で飛び込んだ作品ですから、あの現場でいろいろと教えてくださった皆さんは今も恩師のように感じています。

特に同じ梟谷学園高校のキャストであった髙﨑俊吾(赤葦京治役)と東拓海(木葉秋紀役)とは今でも仲がいいのですが、当時の稽古中、彼らに言われた言葉は今でも忘れられません。

そのころの僕は、演出家の方に何か指導や注意をいただいても「いや、それは」とすぐに言い訳をしてしまっていたんです。それを見ていた髙﨑と東が「気持ちは分かるけれども言い訳や否定から入るのはよくない。まずは飲み込んで、それから考えよう」と言ってくれて。

言い訳ばかりしていても成長できないし問題から逃げていることになります。僕に足りないところや作品にとって違うと感じた点があるから指導してくださっているのだと彼らの言葉で気付けましたし、その言葉が今でも僕の中で軸になっていると強く感じています。

――今年の7月から、7人組ユニット「S/TEAM BLOOD」の活動を始められましたね。このユニットで新たに学んだことや今感じていることをお聞かせください。

「S/TEAM BLOOD」のメンバーの中では、年齢で言えば僕が1番年上になります。また、芸歴も長い方に入るので、長男のような立ち位置なんですよね。今27歳で舞台の現場ではまだまだ若い方なので、ふだんは後輩的な振る舞いをしているのですが、この現場では「しっかりしなければ」と気を引き締めています。

先日、企画でティッシュ配りをイベントの中でさせていただきました。現在はWEBでの活動や告知が大きな力を持っていて、それらが主流になっているとさえ感じるのですが、やはり僕は“生”でのふれあいを大事にしたくて。WEBはとても便利ではありますが、対面でのやりとりは、お会いした瞬間のひとことや、そのときの温度感、周りの風景や匂いなど、すべてが心に刻まれて五感として記憶に残ると思うんです。

ティッシュ配りは、実は僕が提案した企画です。自分で考えてプレゼンした企画が形になっていくのもうれしかったですし、積み重ねたものが次につながっていくと実感できて「報われた」と感じた瞬間でもありました。

――生でのふれあいと言えば、先日ファンイベント「筋肉祭 Vol.2」を開催されましたね。ファンの皆さんとの対面機会はいかがでしたか?

実は、開催前はいろいろと不安を抱いていたんです。僕のファンの皆さんは、僕の個性を認めて応援してくださっていると思いますが、ここ3年ほどで突然こんな筋肉男になってしまって。イベントの名前からしても、“桜庭”も“大翔”もない「筋肉祭」ですからね(笑)。

フリーで活動を始めたことと重なって、「ファンの皆さんも本当は、もっとすらっとしてハンサムな方がいいだろう」「本当に会いに来てくれるだろうか」などと考えてしまい…そんな不安に襲われて軽い恐怖さえ覚えていたんですよね。

でも当日は、皆さんと直接お会いできて「頑張ってきてよかった」と実感できました。ふだんから、WEBでのたくさんの応援、お手紙という質量のある言葉もいただいていているのですが、それに加えてイベントでは皆さんの存在を直接この目で確認できて、本当にありがたかったです。

――筋肉と言えば、鍛え上げられた体と筋トレ姿がたびたびSNSでも話題になっています。今のような体になるための筋トレを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

はじめは役作りのためでした。そして「次はこの役」「次はこれ」とどんどん体の大きいキャラクターの役をいただくようになって、今に至ります(笑)。

僕自身アニメや漫画が大好きなので、キャラクターのビジュアルを大事にしたいんです。舞台のビジュアルが発表されたときに“原作そのままの姿”が見られたら、それだけでまず「来た!」と思いますよね。そのキャラクターにとって、体の大きさや筋肉の造形が大事な要素であれば、ファンの方にとってもそこは大切にしてほしいポイントだろうと思っているので、ご期待に応えたい気持ちもあります。

それから、舞台化や映像化するにあたって「役者さんが演じるのだから仕方ない」と思われてしまうのがちょっと悔しいんですよね。2.5次元作品ファンの方々にも、それから役者の方々にも、「ここまでやれるんだ」と思っていただけるようになりたいんです。

体作りをせずにそのままの姿で演じるのも、もちろん否定しません。でも、これはさすがに無理だろう…と考えていたものが実現できたら、さまざまな可能性が広がるじゃないですか。僕が、その突破口や“1人目”になれたら、と思っています。

役者としては、こういった傾向の役しか来なくなってしまうかもしれないと考えることもあります。でも、ここまでやってきたからには「体の大きなキャラクターなら桜庭」と思っていただける役目を担っていきたいです。

――今後についてのお話が出ましたね。最後に、直近と将来的なビジョンについてそれぞれお聞かせください。

まずは、「筋肉キャラといえばあいつ」と思い出していただけるようになっていきたいです。先ほど言ったことと重複しますが、「役者が演じるのは難しい」「2次元のキャラクターの再現は無理」と思われているものを突破したいと考えています。

それから、日本の役者界に“筋肉枠”のような新たなカテゴリーを作っていきたいです。海外では、例えばドゥエイン・ジョンソンさんのような圧倒的に大きく鍛えられた筋肉を持った“筋肉枠”があると感じているんです。日本にもそういうカテゴリーを生み出していけたらいいですし、そうなったら2.5次元舞台だけではなく、映画などの映像の世界にもさまざまな可能性が広がっていきますよね。

僕がその第一人者になれたら幸せですし、そうなりたいと他の役者さんが思ったときに僕が手助けできるようになれたら…。

そのためにこれからは、自分自身の体作りやアピールの他にも、もっと体作りのための専門的な知識を身につけたいです。役者として精進していくのはもちろん、その道でもたくさんの人に頼りにしてもらえるように、自分だけの存在感をアピールしていきたいと思っています。

取材・文:広瀬有希/撮影:友野雄/スタイリスト:笠井時夢

各種概要

■出演
・「ブラッククローバー the Stage」
9月14月(木)~18日(月祝)
東京・シアター1010
9月22日(金)~24日(日)
神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場

・日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』
11月3日(金祝)~5日(日)
大阪・オリックス劇場
11月10日(金)~23日(木祝)
福岡・博多座
12月27日(水)~2024年1月2日(火)
名古屋・御園座
2024年1月6日(土)~28日(日)
東京・明治座

■公式X(旧Twitter)
@rava_hart

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WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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