15周年を迎えてなお、多くのファンを魅了しつづける「コードギアス」シリーズ。これまで何度か舞台化・ミュージカル化されているが、2023年9・10月に新作としてミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ 正道(せいどう)に准ずる騎士」が上演される。
枢木スザクを演じる赤澤遼太郎とルルーシュ・ランペルージを演じる小南光司のW主演にて、己の信念のために自らの正道を選びしスザクとブリタニア帝国への反逆を選びしルルーシュ、それぞれの戦いが描かれていく。
2.5ジゲン!!では枢木スザク役の赤澤遼太郎にインタビューを実施。学生時代にハマったという原作の思い出とともに、本作への意気込みや親友・小南とのエピソードなどを聞いた。
――原作のアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」はもともと観たことはありましたか?
あります、あります。中学2、3年生ぐらいの頃ですかね。僕の後輩が漫画を持っていてそれを借りて読んだのが最初の出会いで。それからアニメを観たんですけど、もうその時はどっぷりでしたね。
――中学生男子にとってはものすごくグッとくるものがある作品じゃないかなと。
そうですね、刺さりましたね~。とにかくかっこいい! 当時は、深いことを考えながら観るってことはできなかったんですけど(笑)。深いことが分からなくても、もう本当に1人ひとりのかっこよさと、あの“厨ニ感”っていうか。あの雰囲気がすごく好きでしたね。
――そこから時間が経って、今回こうしてミュージカル版への出演が決まりました。改めて原作に触れる機会はありましたか。
はい、原作をまた一通り観ました。色々メディアミックスされている作品なので、コミカライズから小説、ドラマCDなど必死に追いかけてます…! 改めてアニメを観て思ったのが、わりと覚えているな、と。
あと、当時よりも、なんだろう…見方が変わったというか。自分が思っていたよりもすごく過激な内容だったんだなって思いましたね。あの頃は単純に「わ~ルルーシュかっこいい~」って思っていたのですが、命を奪うシーンもけっこう多いし、過激なことをやっていたんだなって。
戦争ものだし、そこにドラッグ(「リフレイン」/依存性が高い幻覚を見せる薬物)だったり差別だったり…改めて、かっこいいだけじゃなくて、メッセージ性もある作品なんだなってすごく思いましたね。
――改めて作品に触れた際に、1番印象に残ったシーンはどこでしょうか。
(前のめりで)ジェレミア・ゴットバルトです! ジェレミアってあんなにかっこよかったんだっていうのがすごく印象に残っています。当時はルルーシュとスザクの2人がかっこいいって思っていたんですけど、なんかこう、ジェレミアってかっこいいんですよ(噛み締めながら)。
前半で「オレンジ、オレンジ」って言われてあんな感じになっていたのに、そこからの後半! 後半でめちゃめちゃ挽回してきて、忠義のために尽くす姿が本当にかっこよくて、こんな魅力的なキャラだったんだって。中学生時代には思わなかったんですけど、大人になって観てみる、とまた感じ方が全然違いましたね。
――ルルーシュとスザク、どちらに共感しながらご覧になりましたか。
やっぱり役をいただいてから観たので、(自分の演じる)スザクに感情移入しながら観ましたね。そうするとまた全然違うストーリーというか、(物語の)違う側面が見えてきて。
スザクって結構頑張っているのに、報われなくて。わりとみんなそれぞれのゴールに向かってちょっとずつ前に進んでいるけれど、スザクは1人で多くを背負って生きていく感じがあるなって感じて。それはスザクに感情移入して見えてきた新しい発見でしたね。
――現時点で、枢木スザクという役をどう捉えてどう演じていきたいと思っていますか。
まだ自分の中でしっかり作れているわけじゃないんですが、やっぱり“原作のイメージは絶対に壊さずに”とすごく思っています。その上で、「生身の人間がやる意味」をどう構築できるか。アニメでは観られなかったスザクに焦点を当てたシーンもたくさんあるので、そこをすごく丁寧に描いていきたいなと思っています。
原作好きな人にも、「このシーンでスザクってこういう表情してたんだ」とか「こういうこと思ってたんだ」とか。新しい発見を与えられるようなお芝居ができたらいいなって思っています。
――まだ稽古前ではありますが、脚本を読んでみての率直な感想を教えてください。
「こんなにスザク視点で描かれていくんだ」って思いました。スザクのセリフから物語が始まるし、スザクのモノローグも多いし。アニメでは描かれていなかった、あの時スザクはどう思っていたのかという部分が分かる内容だったので、新しい「コードギアス」だなと思いました。ちょこちょこ舞台オリジナルのシーンもあるんですよ、原作にはない会話とかもあって。そういう意味でも新鮮でした。
なおかつ、絶対的なものとして原作アニメの色々なものはきちんと押さえて守っている。脚本を読んでいても、アニメの有名なシーンが出てきた時は、やっぱり「うおおおお」ってなりました(笑)。だから、原作ファンの人にも楽しんでもらえるんだろうなって、僕自身も楽しみな気持ちが増えましたね。
――脚本を読んだ上で、本作に期待することや楽しみな部分はどこでしょうか。
ナイトメアフレームですね。ナイトメアフレームをどうするのかが鍵になるなって思いました。舞台なので人間の力で表現するとは思うのですが、どういうふうにどこまで表現するのか…。滑稽にならずにちゃんと成立させて、ナイトメアフレームに見えるようにするのってすごく難しいことだと思うので、そこはこれからの稽古期間で練って作っていくところになるのかなって。
逆にそこをちゃんとうまく表現できたら、この舞台ならではの見どころになるんじゃないかなって思いますね。
――演出は舞台「文豪とアルケミスト」(以降、「文劇」)でご一緒されている吉谷晃太朗さんです。吉谷さんとの作品づくりはどんな特徴がありますか。
めちゃめちゃお客さんに優しい、ですかね。「文劇」では、誰かが喋っている時も、その喋っている内容に関連するキャラクターが後ろに出てくるとか、この人はこういう人だよと、ちゃんと丁寧に導いてあげる方だなっていう印象です。
今作の「コードギアス」って、原作を知らない人からしてみたら、設定が複雑だったり登場人物が多かったり、オリジナルの単語や横文字があったりと、結構難しいところがあると思うんです。だけど吉谷さんなので、そこに関してはすごく信頼しているというか、原作を知らないお客さんでも安心して観劇できるんじゃないかなって思います。
――今回はW主演という形で、ルルーシュ役はプライベートでも親交のある小南光司さんです。お互いにW主演が決まってから、作品について話されましたか。
僕は決まっていて、そのあとルルーシュが小南さんですって聞いたんですけど「よっしゃ!」ってなりましたね(笑)。誰がルルーシュ役になるのかなってすごく気になっていたので、小南さんですごく安心しました。
ルルーシュって、たぶんできる人が限られている役だと思うんですよね。そこで小南さんと言われて、ぱっとイメージが浮かんだし、お芝居に対してもすごく真剣に考える役者としてもすごく好きな人なので、一緒にやれるのはすごく幸せだなって思いました。
本人にもそう伝えたら、嬉しそうにしていました(笑)。ただ、本人は結構不安に思っていたみたいですけどね。
――そうなんですね。それは意外でした。
案外ネガティブなところがある方なので、「俺で大丈夫かな」って。
――それに対して、赤澤さんからはどんな言葉を?
「小南さんの人生だから自分がとやかく言えることじゃないけれど、僕は小南さんにやってもらえたら嬉しいし、一緒に作りたいと思ってる」ってことは伝えました。そうしたら前向きになってくれたみたいです(笑)。
――そんな言葉が掛け合えるのも、これまでの関係値があるからこそですね。
そうですね。積み上げてきたものがあるからだと思うし、なんか本当に純粋に楽しみですね。「文劇」とか他の作品でも絡みがなかったわけじゃないですけど、ここまでがっつりお芝居で絡むことはなかったので。
親友ということで、これまでとはまた違った僕たち2人をお見せできるんじゃないかなって思います。仲がいいことへの説得力は多分すでにあるから、あとはルルーシュとスザクとしてどうやって関係性を作っていけるのか、楽しみです。
――お2人でカンパニーを引っ張っていく場面も出てくるかと思いますが、赤澤さんと小南さんの間で役割分担のようなものはあるのでしょうか。
どうですかね。小南さんの言いたいことが分かるので、それを1回聞いて、じゃあこうしようかって僕が提案する…みたいなことは結構やっていた気がします。小南さんは繊細で、色々考えちゃう人だから、ガツンと言いたいけど言えない、みたいなすごく優しいところがあって。
でも、内側に思っていることがあるのは表情を見たらすぐわかるので、そういうときはヒアリングしてあげるようにしていましたね。逆に、僕が悩んでいることについて聞いたら、すぐに答えてくれるので、お互い助け合う感じですね。どっちかが引っ張るっていうよりも、肩組みながらやっていく印象です。
――二人三脚なお2人が真ん中にいることで、すごくいい雰囲気のカンパニーになりそうですね。
そうなるといいですね~。まだ想像ができてないから…ドキドキです。
――「コードギアス」といえば、ルルーシュの使う「絶対遵守のギアス」が印象的です。赤澤さんが、1度だけ「絶対遵守のギアス」が使えるとしたらどう使いますか。
1回だけですよね!? 1回だけか~。どうしよう…。プロデューサーさんに「僕をずっと使え」って命じたいです。ずっと呼ばれたいです(笑)。
――なるほど(笑)。ちなみに中学生当時、ルルーシュのポーズの真似とかもされていましたか?
してました(笑)。(ルルーシュのポーズを真似しながら)「貴様たちは死ね」って、やってましたね~。
――気持ちはすごくわかります。そんな思い出のある作品に、今度は作り手として参加するというのは感慨深いものがありそうですね。
いや、そうなんですよ! めちゃめちゃテンション上がります。あの頃真似していたシーンとか、みんなが観てみたいと思うシーンとか共通認識があるとすごく盛り上がると思うし。そのシーンが観られただけでもテンション上がると思うので、だからこそそういうシーンをちゃんと丁寧に作っていきたいなと思いますね。
――どんな作品に仕上がるか楽しみにしています。では、最後にファンへのメッセージをお願いします。
僕自身すごく大好きな作品なので、この1ヶ月間、丁寧に愛を持って、スザクにそして「コードギアス」という作品に向き合っていきたいと思います。劇場で見届けていただけたら嬉しいです。お待ちしています!
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前回の取材時は、役作りのために7kgほど増やして体作りをしていた赤澤。話を聞くとそこから2~3kg落としたそう。「落としすぎないようにしながら、でももうちょっと絞っていきたいですね」と笑顔を見せていた。
「稽古場では絶対に台本を持たない」という目標を自らに課しているとのことで、稽古開始前から全力で作品にアプローチしていることが話の端々からうかがえた。ミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ 正道に准ずる騎士」は9~10月に京都・東京にて上演される。
取材・文:双海しお/撮影:MANAMI
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