「史上最もイカれたサッカー漫画」の異名を持つ漫画『ブルーロック』が、舞台『ブルーロック』として5月4日(木)に幕を開ける。
原作は金城宗幸(原作)、ノ村優介(作画)が手掛け、「週刊少年マガジン」にて2018年より連載中。日本をW杯優勝に導けるストライカーを養成する青い監獄プロジェクトに集められた300人の若きFW選手たちが、世界一のストライカーになるべく己のエゴをぶつけあって試験に挑んでいく様子を描く作品だ。
舞台『ブルーロック』は、主演を務める潔世一役の竹中凌平をはじめ、2.5次元作品でも活躍するキャスト陣が集結。原作漫画もアニメも話題の作品とあって、この舞台版も注目を集めている。
2.5ジゲン!!では、稽古場取材を実施。潔世一を演じる竹中凌平、蜂楽廻を演じる佐藤信長に話を聞いた。本番が迫る中で見えてきた本作の魅力や演じる役の見どころ、キャラと共通点の多いキャストなどを語ってもらった。
また、記事後半では同日に実施された公開稽古及び取材会の様子もレポート。稽古中の撮り下ろしショットに想像を膨らませながら、作品への期待も膨らませてもらえればと思う。
――実際に稽古が進む中で見えてきた本作の魅力を教えてください。
竹中:やっぱり試合シーンですね。目まぐるしい試合展開とか見せ方とか、僕も観ていて飽きないなって思います。
佐藤:試合の演出も相手の特徴によって、いろいろ変わるんですよ。選手の特徴によってパスが目立つ演出だったり。
竹中:あとはパネル使ったりね。
佐藤:そうそう。僕は稽古始まる前は、アニメや漫画の一ファンとして見ていたんですけど、実際やってみてわかることっていうのが多くて。もちろん一読者としてもおもしろかったんですが、自分たちでやってみたことで、「今ここでどういうことが起きていて、誰がどういうことを考えていて、だから、ここにパスを出すんだ」みたいなのが、自分の頭の中で1つにつながると、作品に対する理解が深まるんですね。
僕も(竹中)凌平くんもサッカー経験者ではないので、「あ、なるほど」という気づきがあるのは楽しいです。
――事前にサッカー練習もされていましたが、未経験のサッカーに挑むという点で苦労はありましたか。
竹中:(食い気味に)苦労しかないです。本当に苦労しかない!
佐藤:実際ボールを使うシーンもあるしね。
竹中:ボールが来ると本当にドキドキします(笑)。稽古場でこれだけドキドキするんだから、舞台上なんてもう絶対やばいと思う。
佐藤:稽古場は実際に落ちるわけじゃないので、そこまで緊張してないですけど、目の前にお客さんがいると思うと、もう、ね。
竹中:しかもこの前、サンケイホールブリーゼ(大阪公演会場)を見に行ったじゃん、2人で。客席のあの感じけっこう怖くない?
佐藤:怖いよね。僕らこの前大阪に行ったときに、実際に上演する劇場にも行かせてもらったんです。そうしたらなんか客席がすごく近くて。僕らがポンって間違ってボールを蹴り出したら、もうお客さんの顔にいっちゃいそうな距離感と高低差で、気を引き締めないとなと思いましたね。
ボールを使わないシーンも、みんな空いている時間に鏡でフォームチェックして、ちょっとした足の角度とか、つま先の向きとか確認しています。素人っぽく見せないようにっていうのは、みんなやっていますね。
竹中:どんなにいいお芝居しても、“サッカーめっちゃ素人です”っていう感じだと「あれ?」ってなっちゃうと思うし。
佐藤:やっぱり説得力がないとだよね。たぶん、この作品ってサッカーやってる人とかも観に来てくれそうじゃない?
竹中:(サッカー経験者も)観にくると思う。
佐藤:そうだよね。男の人も観にくるんじゃないかなって、僕の中では思っていて。それだけ幅広い人が注目してくれている作品なので、余計に説得力は大事にしていきたいです。
――稽古で役に向き合ってみて、役に対する新しい発見などはありましたか。
竹中:僕の中に眠るエゴを潔が呼び覚ましてくれるタイミングが結構あるので、「うわ、今気持ちいい!」っていう瞬間がありますね。舞台やってるときはたまにあるんですけど、今回は特にその瞬間が多くて、それは潔の影響かなって思います。
佐藤:蜂楽はもう“自由奔放、不思議ちゃん”って感じなんで。僕自身は別に不思議ちゃんではないんですけど。
竹中:ちょっと不思議ちゃん入ってると思うよ。
佐藤:本当(笑)? この前、(御影玲王役の菊池)修司には「ノブってノブだよね」って、他に似ている人があんまりいないって言われたのが僕の中で残っていて。僕、普段はぽけっとしているんですけど、趣味である車でサーキットとか行くと「自分が1番だ」っていうエゴが出てくるので、自分の夢中になれることとか好きなことに関してエゴが出てくる部分は、蜂楽と似ているのかなって…稽古をしていて改めて思いましたね。
▲御影玲王(演:菊池修司)と蜂楽(演:佐藤信長)のマッチアップ
――魅力的で個性の強いキャラが多く登場する作品です。稽古場で見ていて、キャストとキャラクターの共通点が多いと感じる人はいますか。
竹中:俺は(凪誠士郎の小坂)涼太郎かな。
佐藤:俺も最初に思い浮かんだのは涼太郎ですね。
竹中:彼、ちょっと変わってるんだよ。
佐藤:涼太郎の唯一無二な感じとかは、なんか本当に“凪”って感じ。
竹中:「めんどくさい」っていうセリフも凪が言ってるのか涼太郎が言ってるのか、どっちかわかんないもん。
▲話題に挙がった小坂涼太郎と澤田拓郎
佐藤:普段から言ってるもんね、「え、それめんどくさくない?」とか(笑)。あと、ジュリーさん(伊右衛門送人役の澤田拓郎)。カンパニー内でも、縁の下の力持ちというか。みんなが安心できる雰囲気を作ってくれるので、頼れるゴールキーパーっぽさがありますね。
竹中:あとはあんまり思い浮かばないかも。でも、似てない人が多くて助かってます。キャラに似てエゴが強い人ばっかりが集まっちゃったら舞台にならないんで(笑)。常識がある人たちでよかったなと思います。
――ご自身のシーンで、ぜひ楽しみにしていてほしい注目シーンを教えてください。
竹中:潔はエゴが覚醒する瞬間と、あとはやっぱりダイレクトシュートですかね。稽古場でも熱量高くはやっているんですけど、本番に入ったらもっと上がると思うので、そういうところは見てほしい。あとは自分のシーンというわけじゃないですけど、曲がめっちゃかっこいい! お客さんもテンション上がると思います。
佐藤:蜂楽は怪物が宿るシーンですね。最初に吉良涼介を追放するシーンでちらっと見える瞬間だったり、あとは第4試合目でのシュートシーンだったり。怪物が出てきて覚醒する瞬間はおいしいところなので、かっこよく決めたいなと思います。
――最後に公演を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
佐藤:『ブルーロック』っていう作品自体、老若男女に幅広く愛されている人気の作品なので、出演するって決まったときに自分自身すごく反響をいただいたんです。それだけ注目されている作品なので、責任感も感じています。
今回は第1弾ということで、この第1弾が次につながっていくと思うので、作品のおもしろさを全開にして、生の人間がやるおもしろさを伝えられるように残りの稽古期間もさらに頑張っていきたいと思います。『ブルーロック』の世界が目の前にあるって思ってもらえるように頑張りますので、ぜひ楽しみにしていてほしいなと思います。
竹中:漫画もおもしろくて、アニメもめちゃくちゃ盛り上がっていて、「じゃあ舞台はどうなんだ?」っていうところで気になっている人も多いと思うんですが、ご期待ください。役者全員本当にギリギリのところで戦って、いい作品になってきていると思うので、すごくおもしろいと思います。ぜひ観ていただいて、SNSでも感想を忘れずに書いてください!
【稽古場レポート】
初日の5月4日(木)まで2週間を切り、稽古も大詰めとなった4月某日。気温も上がったこの日、都内某所では外の暑さも凌ぐ、どこよりも熱くて“エゴい”稽古が行われていた。
そろいのジャージで入念にストレッチをして、実際のシーンへ入る前にサッカー指導を受ける姿は、舞台稽古というよりも試合を前にした選手たちの控室のよう。もちろん稽古が始まる前は、そこかしこで部活のようなにぎやかな雰囲気が漂っていたが、スイッチが入ったキャスト陣はからは、この作品を最高に“エゴいステージ”にしたいという緊張感が伝わってきた。
この日、公開稽古でお披露目されたのは一次選考「総当たりグループリーグマッチ」の第4試合。主人公・潔世一(演:竹中凌平)の所属するチームZと、伍号棟最強チームVとの試合だ。
▲主人公・潔世一(演:竹中凌平)と天才肌・凪誠士郎(演:小坂涼太郎)
▲チームZに立ちはだかる剣城斬鉄(演:益永拓弥)と御影玲王(演:菊池修司)
▲同じ高校に通う凪誠士郎(演:小坂涼太郎)と御影玲王(演:菊池修司)
試合はノンストップで進みながらも、ボールをゴール前に運ぶ、ディフェンスの裏をついて前に出る、脚力で勝負するなど、客席の視点は次々と試合の重要な局面へと誘導されていく。漫画でコマとして抽出されていたマッチアップをしっかりと拾ってくれるので、せめぎあう選手たちの熱が滴る汗とともに伝わってくる。
同時に、コマ外の選手の動きや表情が手にとるようにわかるのも、舞台ならではの醍醐味だろう。
▲スピード勝負を繰り広げる剣城斬鉄(演:益永拓弥)と千切豹馬(演:佐伯亮)
▲異質な存在感を放つ絵心甚八(演:横井翔二郎)
展開の速い試合を表現するために、キャスト陣はとにかく動く。左右からの出入りに加え、ステージ後方に組まれた八百屋舞台の左右からも、選手が入れ代わり立ち代わりで現れ、最前線で戦う選手たちのスピード感を肌で感じさせてくれた。
脚本・演出の伊勢直弘からは、「ここはテンションを上げて」とテンポや表情の見せ方に関して微修正が入る場面も。
八百屋舞台の立体感も利用した躍動感あふれる演出は、遠い客席から試合を観ているというよりも、同じフィールドに立って試合を味わうような臨場感があった。超高速試合展開に各選手の“覚醒”、選手生命を賭けて戦う選手たちのヒリつくような緊張感…。
観ているだけなのにエネルギーを消耗する、それだけキャスト陣の本気がつまった1時間弱の公開稽古となった。
▲公開稽古ではほぼ休みなく走り続けていた潔役の竹中凌平
▲誠実ながらも闘志みなぎる國神錬介(演:松田昇大)
▲キャスト陣が磨いたフォームにも注目を。凪役の小坂涼太郎
▲本物の試合さながらのしのぎの削り合いが繰り広げられる
ステージ上ではエゴがぶつかりあうが、袖で見守りねぎらいあうキャストたちの姿はエゴとは正反対に爽やかだったのも印象的。カンパニーとしてのチーム感とエゴイストたちを描くストーリーとが、おもしろい化学反応を生み出す作品になるのではないかと予感させてくれた。
休憩を挟んで、稽古場での取材会が実施された。取材会には潔世一役の竹中凌平、蜂楽廻役の佐藤信長、國神錬介役の松田昇大、千切豹馬役の佐伯亮、凪誠士郎役の小坂涼太郎、御影玲王役の菊池修司が登壇。また、アニメ『ブルーロック』で潔世一を演じる浦和希も加わり計7人が登壇。
▲潔世一役の竹中凌平
稽古を見学した浦は感想を求められると、動きながらセリフを言う役作りをした際の自身の苦労を明かしながら「シンプルに役者として尊敬しました」と興奮気味にコメント。同じ潔役を演じる浦から竹中へは「とても丁寧に挨拶をしていただいて、原作やアニメへのリスペクトを感じてうれしかった」、竹中から浦へは「第一声が潔だ!」と、お互いの第一印象を語った。
▲W世一の2ショット。左から竹中凌平、浦和希
チームVから登壇した小坂と菊池は、質疑応答でも仲の良さを発揮。自身のエゴいエピソードでは、「俺はこのまんま、俺自身がエゴいです」とエゴアピールする小坂の横で菊池が笑いをこらえ、逆に菊池が「電車の乗り換えは誰よりもエゴイスト」と答え竹中から「ほかにある?」とツッコミを入れられる様子を小坂がにやりとしながら見つめるなど、関係性の良さを感じさせてくれた。
▲凪誠士郎役の小坂涼太郎
▲御影玲王役の菊池修司
佐藤は「原作のエゴを出し合って1つのチームとしてやっていくおもしろさと、生身の人間がチームワークを持ってやっていくおもしろさとが混ざり合っておもしろい作品が生まれるのでは」と作品への期待を語り、松田は「原作で描かれる各キャラクターのドラマを、舞台ではリアルな熱さを持って観られる」点を見どころとして紹介。
▲蜂楽廻役の佐藤信長
▲國神錬介役の松田昇大
サッカー経験者である佐伯は原作で描かれるプレーへの憧れを語るとともに、「舞台でやる以上、チームワークを持ってみんなで熱く1つのゴールに向かっているので、そこを観ていただければ。“史上最も熱い作品”になると思います!」と作品をアピールした。
▲千切豹馬役の佐伯亮
最後に主演の竹中が「原作は今も連載中で読んでいますが、ずっとおもしろい展開が続いています。舞台版も息の長い作品になれるよう、まずはこの第1弾、全力でエゴくぶつかっていきたいと思いますので、楽しみにしていてください」と本番へ向けての意気込みをコメント。
熱いパスを受け取った浦が「舞台として、また違った顔を見せてくれる“ブルーロック”をすごく楽しみにしています。絶対に皆さん楽しんでいただける内容だと、僕も稽古を見て確信したので、ぜひエゴい気持ちを持って劇場に足を運んでくださると、僕もすごく嬉しいです。一ファンとして、僕も楽しみにしています、頑張ってください!」とエールを送り、取材会を締めくくった。
取材・文・撮影:双海しお
※写真は一部オフィシャル提供
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク■販売期間
・2公演FULLセット
2023年4月14日(金)16:00~5月13日(土)21:00まで
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
2023年4月14日(金)16:00~5月13日(土)21:00まで
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
2023年4月14日(金)16:00~5月20日(土)21:00まで■販売価格
・2公演FULLセット
6,600円(税込)
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
3,700円(税込)■ライブ配信時間
各公演開始30分前~ライブ配信終了まで(予定)■アーカイブ配信期間
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
2023年5月8日(月)18:00~5月13日(土)23:59まで
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
2023年5月15日(月)18:00~5月20日(土)23:59■DMM.com特設ページ
DMM.com 舞台『ブルーロック』※公演開始30分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
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