ミュージカル「ヘタリア~The Fantastic World~」が、4月7日(金)に開幕する。
本作は、ミュージカル「ヘタリア」新シリーズの第2弾。旧シリーズの「in the new world」ぶりに戻ってきたドイツと、今作から新加入となるオランダを交えて新たなストーリーが始まる。
2.5ジゲン!!では、主演の長江崚行(イタリア役)と本作が初舞台となる磯野亨(オランダ役)にインタビューを実施。稽古場での様子やキャストたちの触れあい、本作の見どころなどについて話を聞いた。
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク■販売期間
・2023年4月9日(日)12:30大阪公演/17:30大阪公演
2023年4月16日(日)20:00まで・2023年4月10日(月)13:00大阪公演
2023年4月17日(月)20:00まで・2023年4月23日(日)11:30東京公演/16:00東京公演
2023年4月30日(日)20:00まで■ライブ配信時間
各公演開始30分前~ライブ配信終了まで(予定)■見逃し配信期間
・2023年4月9日(日)12:30大阪公演
・2023年4月9日(日)17:30大阪公演
見逃し配信準備完了次第~4月16日(日)23:59まで
・2023年4月10日(月)13:00大阪公演
見逃し配信準備完了次第~4月17日(月)23:59まで
・2023年4月23日(日)11:30東京公演
・2023年4月23日(日)16:00東京公演
見逃し配信準備完了次第~4月30日(日)23:59まで■配信形態
マルチアングル配信
CH1:スイッチング映像 CH2:全景映像■U-NEXTライブ配信 詳細ページ
U-NEXT ミュージカル「ヘタリア~The Fantastic World~」※公演開始30分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※ディレイ配信とは、公演の映像を後日期間限定で視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
(C)日丸屋秀和/集英社・ミュージカル「ヘタリアFW」製作委員会
――長江さんにとって磯野さんは、シリーズを通して初の年下キャストになります。磯野さんの第一印象はいかがでしたか?
長江崚行(イタリア役):まずは自分が最年少ではなくなることに驚きながら、キャラクター扮装ではないイソ(磯野)の写真を見て「物腰のやわらかそうな子だなぁ」と思いました。稽古が始まってからは、イソが自分なりの在り方を見つけながら楽しんでいる姿を見て「僕にできることは何だろう?」と見守っています。
顔合わせ前は「実際はひねくれた子だったらどうしよう…」「最年少じゃなくなったとしても、俺の方が先輩たちに愛されてる自信あるし!」と思っていたんです(笑)。でも、会ってみたらまっすぐな“パーフェクト後輩”だったので、「負けた! キィー!」となってしまいました(笑)。
初舞台のイソが加入した影響か、座組全体の雰囲気がいつも以上にやわらかいと感じています。
――磯野さんは本作からの初参加で、初舞台となりますね。出演が決定したときのことをお聞かせください。
磯野亨(オランダ役):ある日、事務所に行ったところ、いきなり頭周りや足の長さなど全身のサイズを測られたんです。何があったんだ? と(笑)。すべての計測が終わってから、後日あらためて「ヘタミュのオランダ役に決まったよ」と教えてもらいました。
グループではない初めての個人でのお仕事ということで、驚いたとともにうれしかったのを覚えています。12月に情報解禁されてからは、地元の友達から「ヘタリア知ってるよ!」などとたくさん連絡をもらって、「とても人気のある大きな作品なんだ」と改めて感じました。
――長江さんは磯野さんを見ていて、ご自分が初めて舞台に立たれたときのことや、ヘタミュ初演のときのことを思い出しますか?
長江:思い出します! 座組の先輩たちともそんな話をしていて、「僕もこうやって支えられていたんですね」と言ったら「お前はもっとひねくれていたよ」と返されました(笑)。
イソを見ていると、過去の自分と今の自分を比較している感覚になります。あの頃はできなかったこと、経験を重ねてできるようになったこと…さまざまなことを思い返していて。イソがこのタイミングで入って来てくれたのは、作品にとって新しい風が吹くと感じるとともに、僕にとってもターニングポイントになると考えています。
新たなキャラクターが加入してくるときはいつもそうであるように、今回のオランダも必要不可欠な役目を持っています。それを初舞台の役者さんに任せる制作チームの判断力とチャレンジ精神がすごいですよね。
僕自身、17歳でこの大きな作品の主演を任せていただきました。僕がそう感じているように、イソにも「ヘタミュに参加できてよかった」と思ってもらえるようなチーム作りをしていきたいです。きっと今作が、イソにとっても大きなターニングポイントになるのでは、と思っています。
――次に、ビジュアル撮影のときのことを伺います。磯野さんは初めてのキャラクター扮装でしたね。撮影はいかがでしたか?
磯野:大変でした! カラコンが初めての経験だったので、撮影の1週間くらい前から装着の練習をしました。目に何かを入れるのが怖すぎて、泣きながら(笑)。
長江:何それ、かわいい!(笑)
磯野:撮影当日はスタッフの方に「時間になったらこっちで(カラコン)入れちゃうからね!」と言われていたのですが、何とか自分で入れられました。それからウィッグをつけて衣装を着て…自分ではない自分になって撮影をしていただくのも初めてだったので、新鮮で楽しかったです。
長江:イソは、どのタイミングで“自分ではない”感覚になった? メイク、衣装、ウィッグ…っていろいろな段階があるじゃない。
磯野:まずカラコンを着けたときは「なるほどこうなるのか…」。次のメイクでは、すごいな! と思ったものの、まだ“自分”が残っていましたね。やっぱりウィッグかな、つけた瞬間に「誰だこれは?」って(笑)。自分が日常的にする髪型でも髪色でもなくて、それこそ“キャラクター”で。
役に決まったと聞いてから少しずつ実感を重ねていっていたのですが、「ヘタミュに出演するんだ」と1番強く感じたのは、ビジュアル撮影の日のその瞬間でした。
――長江さんは、どのタイミングでご自分から役へと切り替わりますか?
長江:グラデーションのようにだんだんと自分が自分ではなくなっていくのですが、決定打になるのは僕もやはりウィッグです。鏡の中にいるのはキャラクターなのに、自分の意志で動いているおもしろさがあります。だから、ウィッグをつけないお仕事のときは、まだそこに自分が少し残っているような不思議な感覚にとらわれますね。イソには、ウィッグを初めて着けたときのその感覚と感動を忘れずにいてほしいです。
――稽古が進んでいくと、衣装を着ての稽古も行われると思います。もう一段階ギアが上がる感じなのでしょうか。
長江:そうですね、やはりテンションが上がります! でもそれは、自分がイタリアの衣装を着ていること以上に、周りのキャストたちを見て「うわっ、ドイツだ! 日本だ! アメリカ、イギリス、フランス、中国、スペイン、プロイセンだ!」という気持ちになるからでしょうね。
そして「実際に舞台に立てば、セットや照明が入って、目の前にはお客さまが入って…それはもうすごい空間になるぞ!」と、想像するだけで心の底からワクワクしてきます。
――稽古のお話が出たので、稽古のことを伺いますね。磯野さんは現在稽古で苦労されていることはありますか?
磯野:伝えることの難しさを感じています。演出の吉谷さんに「この瞬間、オランダは何を思ってどんな覚悟を持っているのか?」「それを理解していないと熱が見えてこないよ」とご指導いただいて、それを特に強く意識している毎日です。
それから、方言の使い方が難しいですね。北陸地方の福井弁っぽく話すキャラクターなのですが、言葉を強く伝えなければいけないときでも、どうしても印象がやわらかくなってしまうんです。
自分自身とは違う部分も多いキャラクターなので、演じていて楽しくもあり、迷うこともたくさんあります。でも幕が開く日はもう決まっているので、その日までにもっと進化させていきたいです。
――ちなみに、磯野さんとオランダとで違う部分はどこでしょうか?
磯野:実は僕、ものすごい笑い上戸なんです。キャラクターらしくクールでいようとは思っているのですが…。
長江:イソ、稽古場で楽しそうにめちゃくちゃ笑っていますね(笑)。
――本番では、あえて笑わせに来る方々もきっといらっしゃいますね。
長江:絶対に耐えられないと思うけど「あのオランダでさえ笑ってしまう」ということにすれば何とか(笑)。
――長江さんは、稽古場で先輩として磯野さんにどのように接していますか?
長江:イソをサポートするのに僕のこれまでの経験が役立つのであれば、惜しみなくすべて注いであげたいと思っています。けれども、この現場には僕よりもいろいろなことを知っている先輩がたくさんいます。僕を含めて、先輩方のお芝居をたくさん見て意見を聞いて、その中から「素敵だな」と思うものをイソに選んでほしいんです。
僕がすべてを教えてイソが実行したとしても、それはイソの中から生まれたものではないですし、この先ずっとイソのそばについていてあげられるわけでもないので。
今回のヘタミュの現場で、先輩たちからいろいろなものを少しずつもらって、自分の中で熟成させて自分なりのものが見つけられたらいいですね。あの自由にやっている濃い先輩たちに揉まれて自分の個性を確立させられたら、この先どこに行っても立ち向かっていけると思います。
磯野:圭輔さん(植田圭輔/日本役)が「この人のお芝居が好きだと感じる人を見つけて、その人がどうやっているのかをよく見るといいよ」と教えてくださいました。それまでは自分の出番ではないときは台本にかじりついていたのですが、圭輔さんにそう教えられてからは皆さんのお芝居をよく見るようになりました。
これから、皆さんのいいところをたくさん吸収していきたいと思っています。
――磯野さんは初舞台の稽古現場となりますが、座組への溶け込み具合はいかがですか?
磯野:これまでは山沖さん(山沖勇輝/ロシア役)がされていたタイムキーパー役を、今回は僕が吉谷さんからおおせつかっています。早く座組に溶け込めるように、ご配慮いただいて。休憩時間から稽古に戻るときなど、少し緩んでしまった空気を再度締めるために「お時間でーす!」と声を張り上げています。
それから、稽古場での僕の様子を上田さん(上田悠介/ドイツ役)がご自分のYouTube配信で話してくださったりもして、とてもうれしかったです。ずっとニヤニヤしながら配信を聴いてしまいました(笑)。
長江:新しく参加してくれた仲間が、のびのびと楽しそうにしているのはうれしいですね。仲はいいけれども、いつもベッタリしているわけではない。でも、誰かがおもしろいことをした瞬間、大きい人から順にわっと全員が集まってくるんです(笑)そして最後に圭輔さんが突っ込む(笑)。
磯野:皆さん、“おもしろいこと”に対する嗅覚がすさまじく鋭いですよね(笑)。
――べったりとはせず、でも集まるときはぎゅっと集まる…心地良い関係性ですね。では次に、ネタバレにならない範囲で今作のテーマや見どころを教えてください。
長江:今作は、現代に生きている人に刺さる作品です。現代社会の不条理さや理不尽に揉まれている皆さんにぜひ見てほしいです。特に、日本生まれの方に!
1度目の通し稽古を終えたとき「この作品をやれてよかったな…」と、ふと思ったんです。小さな感情でしたが、心の底からそう感じました。見てくださる方々を笑顔にしたいのはもちろん、自分も幸せになれて、お互いに幸せな世界が広がると気づいて。たくさんの人を楽しませたい、笑顔になってほしい、心に笑顔が咲いてくれたらうれしい。今までとはまた違った、新しいヘタミュになっています。
それから、オランダが大活躍します。今回はドイツが帰ってきたので、枢軸国(イタリア・ドイツ・日本)のドタバタもあります。僕の大好きな、仲の悪いフランスとイギリス、アメリカとイギリスのナンバーワンブラザーズ…。イギリスのコンマ数秒でのブチ切れも、さらに切れ味を増しています(笑)。
いろいろなことが、これまで作品を積み重ねてきた強みとなりおもしろい方向に転がっていて、驚いてもらえるだろうし、ワクワクしてもらえる作品になっています。
――さらなる驚きとワクワクのある新しいヘタミュ、今回もとても楽しみです。では最後に、本作を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします!
磯野:ファンの皆さまに、人が演じるミュージカルならではの新しいオランダの一面を楽しんでいただきたいと思っています。歌もお芝居も、これから稽古をもっと積んでいきます。笑い上戸でゲラの僕が、あの先輩方の笑いにどこまで耐えられるか(笑)、そこもぜひ楽しみにしていてください。
長江:ミュージカル「ヘタリア」という作品が始まって、長い時間が経ちました。回を重ねるごとに、イタリアとして舞台に立てているのは奇跡だと実感しています。また、演出の吉谷さんの愛も毎回大きくなっていっています。吉谷さんを本当にパパのように感じているからこそ、言われたことに反発してしまいたくなってしまうこともあるけれど、作り出すものが素晴らしいから「それはもう、認めちゃうよな!」と思っています(笑)。
僕は、人生の早いうちからこのお仕事を始めました。そのために経験できなかった、家族、友達、思春期、反抗期…そういうものを全部ヘタミュの現場で経験させてもらっていると感じているんです。ファンの皆さまからも、いつもたくさんのものをいただいています。
本作は、その恩をお返しすると同時に、皆さまにも幸せになっていただける作品になっていると確信しています。盛大に笑って泣いて、感情を揺さぶられて、最後には「おもしろかった!」と劇場を後にしていただけたら僕は幸せです。当たり前ではない時間を共有できたらと思っています。劇場でお待ちしております!
***
まだ慣れないインタビューにはにかみながらも丁寧な言葉と心地良い低音で話す磯野と、磯野を見守り、先輩として時に話を振りながら、ヘタミュへの愛を全開で口にする長江。
今作が、どんなファンタスティックな世界を観客に見せ、驚きと喜びを与えてくれるのか楽しみでならない。
取材・文:広瀬有希/撮影:梁瀬玉実
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