華やかで心温まる学園コメディとして人気を博した漫画『桜蘭高校ホスト部』。同作を原作としたミュージカル作品第二弾、歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒが12月に上演される。
2.5ジゲン!!では、今作から新たに埴之塚光邦を演じる設楽銀河、銛之塚崇を演じる田鶴翔吾の2人にインタビューを実施。新たに「ホスミュ」の世界に飛び込む心境や意気込み、弟にまつわるエピソードなどを聞いた。
――まずは出演が決まった際の心境について教えてください。
設楽銀河(埴之塚光邦役):前作を観ていたし、原作も知っていたので、お話をいただいたときは「僕がハニー先輩になれるんだ!」という驚きと、「僕にできるかな?」という気持ちがありましたね。子役時代からこの仕事をやってきて、最近は成長とともにかわいい役を演じる機会が減っていたので、めちゃくちゃかわいいハニー先輩をできるかなっていう心配があったんですよね。
でもビジュアル撮影の際にみなさんが「いいよ! かわいいよ!」と盛り上げてくださったので、それでようやく自信が持てました。だけど、これからもいい意味で緊張感も持ちつつやっていきたいし、最後まで緊張しているんじゃないかなと思います。
田鶴翔吾(銛之塚崇役):僕も前作を観させていただいていて。モリ先輩の雰囲気が、僕の第一印象にすごく近くて「めっちゃ俺やん」と思ったんですね。まあ僕はすごくおしゃべりなので、そこはモリ先輩とは違うんですが(笑)。初演キャストは知り合いも多くて、原作もちょうど僕の世代なのかな。学生時代から知っている作品に出られるということで、単純に嬉しかったです。
あとは銀河くんとのハニー先輩・モリ先輩の関係がありますからね。ハニー先輩を肩に乗せるために、まずは肩を鍛えなきゃなって思いました。
一同:(笑)。
田鶴:なので出演が決まっての嬉しさと同時に、肩ってどうやって鍛えるんだろというのがありました。
――前作をご覧になられたとのことですが、「ホスミュ」のどんなところに魅力を感じましたか?
設楽:すごく展開が速くて見どころがたくさんあるから、目が足りなかったです! こんな面白い作品なら原作ももっとはやく知っていればよかった、悔しい! って思ったので、初演を観てすぐに原作も全部読みました。それくらい面白かったですね。
田鶴:僕はどうしても役者側の視点で観てしまうんですが、みなさん佇まいや眼力なんかをすごく研究されているんだなって思いました。漫画のコマの中では描ききれない、コマの外にいる登場人物たちのリアクションが、「ホスミュ」で明確に表現されていたなという印象です。
曲に入るところとかもそうなんですが、なんというか“翼が広がる”ような、ぐわっと広がる感覚っていうのが何度も味わえて、そこがすごく印象深かったです。なので今回は僕も翼を広げられるように頑張りたいですね。
設楽:本当に今作から参加ですか?
田鶴:え?
設楽:まるで前作から参加していたようなコメントで、僕ちょっとびっくりしているんですけど(笑)。
田鶴:大丈夫です、今作からです。
設楽:よかった~。もう何百歩も前を行く受け答えだから、同じラインにいないのかと思って焦りましたよ。
田鶴:一緒のスタートラインにいるから大丈夫(笑)!
――ちなみに前作でとくに印象に残っているキャラクターやシーンはありましたか。
田鶴:もちろんみなさんがしっかりキャラクターを降ろして演じてらっしゃったんですが、個人的には鳳鏡夜先輩ですね。すごくコアなことを言ってしまうんですが、メガネの扱い方が本当に鏡夜先輩だなって思って観ていて。「やるやん! マサ(鏡夜役の里中将道)」ってなりましたもん。
一同:(笑)。
田鶴:やっぱり2.5次元作品をやっていると、漫画を読みながら想像でお芝居をするんですよね。鏡夜先輩に関しては、その想像を超えてくる強烈なクオリティで衝撃でしたね。鏡夜先輩役も演じてみたいなって思うくらい、魅力的なお芝居かつメガネ捌きでした。
設楽:僕はハニー先輩の浜辺でのアクションシーンですね。ハイキックを観た瞬間「ハニー先輩が蹴った!」って大興奮でした。そのシーンまでは“かわいい”が全面に出ていたので、そこからのアクションっていうギャップで驚きました。
田鶴:たしかにギャップすごかったよね。
設楽:全体的にギャップがすごくなかったですか?
田鶴:そうだね。漫画はもちろんアニメ化や実写化もされている作品で、演じる僕らもいろんな方向から想像を膨らませて臨むけど、完成した作品を観るといいギャップが生まれているなって感じました。
漫画では気づかなかったキャラクターの魅力を「ホスミュ」で気づかせてもらった部分もあるし、そこもすごく魅力的ですよね。
設楽:きれいにまとめていただいて…。本当に頼もしい!
田鶴:全部きれいに回収しますよ。だからなにかあるときは僕たちをペアで呼んでもらえたら、全部うまいことやりますんで。
一同:(笑)。
――そんな「ホスミュ」の世界にこれから入っていくわけですが、現段階でどう演じようと考えていますか。
田鶴:口数の少ない役をいただくことは多いんですが、そのなかでもモリ先輩はさらに少ないっていう感覚があって。だからこそ、ハニー先輩との絡みでの立ち居振る舞い方とかを大切にしたいです。
あと初演を観て原作を読んで、ここは絶対意識しようと思ったのが、肩の動きの瞬発力ですね。ハニー先輩関連のことで動くときの俊敏さと、それ以外のときのちょっと重さのある動きと、そこの違いを表現の1つとして使っていきたいなと現段階では考えています。セリフが少ない分、スピード感勝負ですかね(笑)。
武道をやってきたキャラクターだからこその強みをちゃんと出して、お客さまが帰り道で「モリ先輩ってやっぱりハニー先輩のことだと目の色変わるよね」って思うくらい、身体とか背中で表現したいと思います。
設楽:僕は“策士”な感じを見せていけたらなと。地頭のよさがにじみ出る行動って、観ていて面白いじゃないですか。計算されたあざとさというか、愛され力というか。自然体にやっているのか、計算なのか、お客さまが「それってどっちなの」って思うようなギリギリを攻めていけたらいいなって思っています。
――役とご自身とで通じる部分はどこでしょうか。
田鶴:実家だと和食が多くて、和食をよく食べてました。とくに納豆が好きなんですよ。それこそ味噌汁に納豆入れるくらい。それくらい和食が好きなので、そこはモリ先輩に似ているなって思いますね。祖父が昔から武道をやっていて、僕も小さい頃からそういった文化に触れることがあったので、そこも共通点ですかね。
あとは悩んでいる人がいたら、答えをすぐ教えてあげるのは簡単ですけど、あえてそうしないでとことん悩みきった後に、ヒントをちょっとだけあげるような。モリ先輩にはそういうところがあると感じていて。全面バックアップじゃなくて、最後の砦という感じで構えているのが僕の解釈するモリ先輩なんですが、そういう部分も似ていると思います。
唯一違うなって思うのが、ご覧のようにモリ先輩の15倍はしゃべっているので(笑)。そこが違うところですね。
設楽:ハニー先輩みたいにホールではさすがに食べませんが、ケーキが好きなところとか。あと僕もやっぱりかわいいものが好きで、中学生くらいまでかわいい抱きまくらを抱えて寝ていました。
田鶴:いまはベッドにぬいぐるみいないの?
設楽:いまは小さいのが1つだけですね。
田鶴:僕は実は3体いて一緒に寝てる。さみしいから!
一同:(笑)。
設楽:ちょっと~。僕よりハニー先輩するのやめてくださいよ(笑)!
田鶴:まずは僕を超えてもらって…。
設楽:じゃあぬいぐるみ5体くらい買って一緒に寝るようにしますね。
田鶴:SNSチェックするから! ちゃんとぬいぐるみと撮ってね。あと僕、ケーキも大好き。
設楽:え~じゃあもう僕とWキャストでハニー先輩やります? 日替わりでモリ先輩と交換で…。
一同:(笑)。
田鶴:僕がハニー先輩やったら大変なことになるから(笑)。大丈夫、銀河くんちゃんとかわいいから!
――今作ではハニー先輩・モリ先輩の弟が登場します。ご自身の兄弟にまつわるエピソードや、理想の弟像を教えてください。
設楽:実の弟とはケンカも多いけど、やっぱりかわいいんですよ。なんでも僕の真似してきて、この前も殺陣練習用の木刀を買ったら「それなに~? どこで買ったの~?」って聞いてきて、後日同じの買ってるんですよ。僕にはないあざとさがあるから、いつもかわいいな~って思っています。
田鶴:けっこう理想の弟じゃない? 僕も2個下の弟がいるけど、エピソード真逆よ? 2歳差ってやっぱりケンカ多いんですよ。ソファの真ん中にある縫い目を境界線にして、そこを出たら「おい」って言われるの。あとは2段ベッドの上にいる僕を呼ぶのに、黙って下から蹴ってくるの。
そんなのばっかりだったから、今回はモリ先輩の弟・銛之塚悟が登場するので、(悟役の大久保)樹は僕の理想の弟像に塗り替えようと思います(笑)。
設楽:理想の弟って、1番は「お兄ちゃん」って呼んでくれることなんですよ。
田鶴:(ボリューム大で)わかるー! 最近名前で呼ばれるからね。全国の弟諸君! もう「お」もつけなくていいから「兄ちゃん」って呼んでくれ! もしくは兄貴!
設楽:僕は小さい頃から「銀河」って呼ばれてるから、1度でいいから「お兄ちゃん」って呼ばれたいんですよ。
田鶴:作品の中での兄弟像は決まっているけど、稽古場では弟役の2人にお兄ちゃんって呼んでもらおう。「稽古場ではお兄ちゃんって呼んでくれないと話しません、銛之塚崇役の田鶴です」って挨拶しようか。
設楽:いいですね。その挨拶にしましょう(笑)。
――新たにカンパニーに参加するうえで、共演が楽しみなキャストはいますか?
田鶴:須王環役の小松くんとは初共演ですが、一方的にお名前を知っているので共演が楽しみですね。あとは、あの鏡夜先輩がどうやって生まれたのか間近で見られるっていうのがいちファンとして楽しみです。
設楽:僕は猫澤先輩役の大海くんですかね。何度か共演しているんですが、いつもぶっとんでいる人なので…。前回の「ホスミュ」でもパンチがあるお芝居をしていたので、稽古場で会えるのを楽しみにしています。
あと先日、常陸院ブラザーズ役の二葉さんお二人(勇さん、要さん)にお会いした際に区別がつかなかったので、まずは失礼のないよう、見分けられるようになりたいです。
田鶴:僕も共演経験あるけど、最初は緊張するよね。「あの~」とか「二葉さん」はダメよ。ちゃんと勇くん、要くんって話しかけないと。田鶴チェック入るから!
一同:(笑)。
――初演キャストの小西詠斗さん、加藤将さんとは出演決定後に話されましたか?
設楽:出演が決まったときに(小西)詠斗くんとは「やるよ~」「頑張ってね!」みたいな、普通の内容ですけど連絡取り合いましたね。
田鶴:僕は解禁時、ちょうど(加藤)将くんと共演中だったので、ホスミュについても話しました。「2行が長台詞に感じるくらいしゃべらないよ」っていうアドバイスももらいました(笑)。将くんも「絶対観にいくから」って言ってくれて楽しみにしてくれていたので、頑張ります!
――設楽さんと田鶴さんの息ぴったりな様子を見て、ますます公演が楽しみになりました。最後に開幕を楽しみにしているホスト部の“姫”たちへメッセージをお願いします。
田鶴:現実離れしているようでどこか身近に感じられる作品で、見終わった後にハッピーな気持ちになれる作品だなと感じましたし、それを今回出演するにあたって、大切にしたいと思いました。
観ている最中はもちろん、帰ってからまた原作を読み直したいと思ってもらえたり、劇中歌を思わず口ずさみたくなったりするくらいインパクトを与えたいです。それが僕たちの“おもてなし”の方法だと思っているので、それを徹底して稽古に臨みたいと思いますので、心から“ご来店”お待ちしております。
設楽:キラキラしている世界が大好きなので、出演が決まってそのキラキラの一員になれることが嬉しいですし、お客さまにもキラキラを感じて幸せな気持ちになってもらえるようなオーラで包み込みたいと思いますので、ぜひご来場ください!
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ちゃんと話したのはこの日が初めてという2人の、想像以上に息の合った笑いの絶えないインタビューとなった。前回のインタビューで座長の小松は、「まるで動物園みたい」に賑やかなカンパニーになるのでは、と話してくれた。
新たなキャストを迎えてさらに賑やかになるであろう彼らが作り上げる「ホスミュ」はいったいどんな作品になるのか。歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒ、12月の幕開けを心待ちにしたい。
取材・文:双海しお/撮影:井上ユリ
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