インタビュー

星波、役者としての着実な歩み 観客とともに「一緒になって作る」舞台の楽しさ 

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舞台『炎炎ノ消防隊』、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』〜うずまきナルト物語〜、舞台『アクダマドライブ』など、数々の人気舞台を経験する星波が、4月23日(土)開幕の舞台『冤罪執行遊戯ユルキル the stage』に出演する。

同舞台は、2022年5月に発売が予定されている冤罪脱出ADV&弾幕STG「冤罪執行遊戯ユルキル」が原作。冤罪を訴える囚人と、被害者の関係者である執行人に別れてペアを組み、「ユルキルゲーム」というそれぞれの過去の事件にまつわるゲームに挑んでいく物語で、演劇プロジェクトユニット・アメツチの第3回公演として行われる。

2.5ジゲン!!では、物語のキーパーソン・びん子を演じる星波に単独インタビューを実施。本作の見どころのほか、芸能の仕事や芝居に対する姿勢なども聞いた。

――台本を読んだ感想は。

びん子というキャラクターは進行役で、ストーリーテラーとしての役割は初めてだったので、声をかけていただけてすごく嬉しかったです。

台詞量は膨大ですし、原作のゲーム設定も複雑なので、最初は「大丈夫かな?」って不安が半分くらいあったんですけど、演出・脚本の山田(英真)さんが以前、私が出演した他の作品も観てくださった上で声をかけてくださったと聞きました。なので、矛盾はしていますけど、安心しています。今回の挑戦はすごく楽しみなんです。

物語は、それぞれのキャラクター、それぞれのチームごとに冤罪に対する想いがあるんですけど、私が演じるびん子は、そこを乱していかなければならないんです。私が入ることによって、何か一つ要素が生まれればいいなと思っています。

――原作はこれから発売ということなので、簡単なストーリーとびん子の役どころを教えてください。

物語の舞台は「ユルキルランド」という無人の遊園地です。その中のテーマパークごとに話が進んでいくんですけど、冤罪で捕まっている“囚人”と、その被害者の関係者の“執行人”が集められていて、ユルキルゲームに挑んでいきます。私はユルキルランドに雇われているというか…分かりやすく言えば、テーマパークのキャストさんですね。

ただ、びん子にも実は色々とあって…これを言っちゃうとネタバレになっちゃう。とにかく役どころとしても「なんだこいつ?」という掴めないところが多すぎる、正体が謎すぎる、テンションの高い、口癖が「びんびん」のきつねの面をした女です(笑)。

――ストーリーテラー役はご自身にとって挑戦とのことでしたが、他にもチャンレジになるようなことありますか?

びん子は、声質や性格がコロコロ変わっていくキャラクターなんです。そこを今、どうやって変えていくのが効果的なのかを考えながらやっています。他の作品では兼役をやったことあるんですけど、1人のキャラクターで複数の人格を演じ分ける経験はないので、そういう部分も挑戦ですね。

それに、衣装が着物なので、和服を着て動くことも自分にとっては未知の領域です。普段、浴衣とかもそんなに着ないので…女性らしいきれいな振る舞いもしていきたいですね。ただ、びん子がはたから見たら不思議な存在でもあるので、着物と不思議さを同時に表現していきたいです。

――仮面は公演中はずっとつけているそうですが、表情で勝負できない難しさはありますか。

すごくありますね…! 顔の半分は隠れるので、いろいろと制限がでてくると思います。本番は見えないんですけど、稽古場では表情を強調して、共演者の皆さんに「稽古場のときはこういう表情していたな」ってなるべく印象付けるようにしています。本番は、声や動き、口元でお芝居をしますが、目の表情とか情報量ってすごく多いと思うので。

――稽古場はどんな雰囲気ですか。

この作品はシーンごとに各チームで動いていくことが多いんです。なので、チームごとの色が強いんですけど、一方でうまくまとめられるように全員で詰めている段階です。今後はよりチームごとの色が強くなると思いますし、それが混ざりあったときどういう化学反応がどう出せるのか楽しみです。

ただ、猪野さんはすごく視野が広いんです。もちろん主演として主軸となるキャラクターなのですが、この前、初めて全員揃ったときは一人一人に声を掛けていたり、意見もたくさんくださって、もうシンプルにすごいなと思いました(笑)。大勢が板の上に乗ると、どうしても被りを気にして動けないこともあるんですけど、そこも含めて自分だけじゃなく、全体にアドバイスをくださったり、助けられていますね。

――各チームでストーリーが展開されるとのことですが、びん子は各チームと接点はありそうですね。

接点というか…。うーん…言ってしまうと本当にネタバレになっちゃうので、言えないんです(笑)。

実は、キャストの中でも、私と猪野さん以外の方は結末を知らないんです! 演出の山田さんの意図があると思うんですけど、知りながら演じるのと、知らないまま演じるのとでは、演技プランも変わってきますからね。

――舞台上でもリアルな疑心暗鬼が表現されそうですね。

毎回稽古が終わるごとに、チームごとに物語の考察をしているんです。私はその意見を聞いて「こういう考えがあるんだったら、取り入れて自分はやってみよう」って。もっとみんなを惑わせてみようと日々考えています。

――作品には、テーマパークのアトラクション要素がどのように取り込まれていますか?

どちらかと言うと「謎解き」「脱出ゲーム」に近いかもしれないですね。楽しめると思います。囚人と執行人がゲームを解いていくので、観客の皆さんも一緒に考えながら観ていただけると思います。ただ、私は頭の回転が遅いので、理解するのに時間がかかっている間に正解が発表されて、「えっ? あっ?」ってなることがよくあります(笑)。

***

――星波さんは役者としていろいろな作品に出演されていますが、これまでは音楽活動なども多方面で活躍されていましたね。

もともとは役者になりたいと思っていたんです。でも、何も基礎もないし、どうしようかなって思っていて。そんなとき、オーディション雑誌を眺めていたら、当時のグループのオーディションを見つけたんです。

歌もダンスも学べるし、ステージ経験も積める。(グループのコンセプトが)男装だったので、日常的に男性を演じるという意味では演技に通じる部分もある。なのでオーディションを受けて、グループ活動をしていました。

――そこから役者の道を歩むことになったんですね。

小・中学生くらいのとき、親の勧めもあって芸能のお仕事を始めたんです。正直、人前に立つのは苦手で…一時は離れていたんです。でも、いざ高校卒業のタイミングになって進路を考えたときに、お仕事が楽しかったって改めて思い返したんです。もう一度やってみたいって。

――そこで感じた「楽しさ」とは、具体的にどういったものでしょうか。

お客さんが観にきてくれて、ステージ上からお客さんとコミュニケーションが取れる。それが楽しかったんです。もちろん、自分が活動していく中で、映像作品だったり、モデルだったり、舞台とは違うジャンルでやってみたい気持ちもありました。

でも、やっぱり舞台をやりたいって思えたのは、ライブで培ったお客さんとのレスポンスだったり、生の反応を新鮮に感じ取れたり、みんな一緒になって何かを作る空間が好きだったから。だからこそ、いま舞台を中心に活動しています。

――2.5次元作品に多く出演されています。原作のあるキャラクターを演じることの難しさはありますか。

私が初舞台のとき、芝居も、2.5次元も初めてだったんです。とりあえず似せなきゃいけないんだって頭しかなくて、結果的に芝居というより真似になっちゃって、それは違うなって。

もちろん、一つの正解があるので、そこに近づけていく作業は必要です。原作をリスペクトしていっぱい読み込んで、「こういうキャラクターだったらこういう動きをするよな」って、映像を参考にしながら作り上げていくこともあります。

実際に演じるのは生身の人間なので、すごく難しいですよね。自分の考えを反映させすぎるとただの星波になってしまいますし、その割合は苦労することが多いです。でも、自分一人ではなく、私が演じるキャラクターと他のキャラクターとの関係性を大事にしていくことで一番いい塩梅になると感じています。

――キャラクター同士の距離感を大切にしているんですね。

そうですね。しゃべり方でも特徴的な部分は押さえますけど、似せるだけだと、ただの真似になってしまう。そこをうまく調整していくのは難しいですけど、楽しみでもありますね。

――ありがとうございました。改めて作品の見どころを教えてください。

本当にチームごとの色が強いんです。最後になればなるほど、各チームの気持ちが暗く、つらくなっていく部分もあるんですけど、それに負けないくらいの熱量や思いがぶつかり合っていきます。

囚人と執行人の関係性がチームごとに違うところも見どころです。猪野さんと高柳(明音)さんの「大量殺人チーム」は、最初はツンケンしていてバチバチ感があります。逆に「双子殺人チーム」は始めから囚人と執行人が協力的です。「覗き魔チーム」は明るいスパイスみたいだし、何より役者の皆さんの熱量が高くて、本当に面白い作品になると思っています。

びん子はチームではないので仲間がいないんですけど、それぞれのチームに影響を与えられる存在になれるように頑張ります。びん子にはストーリーの伏線が散りばめているので、そこも注目していただけたら嬉しいです。

撮影:泉健也

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公演情報

タイトル

「冤罪執行遊戯ユルキル the stage」

日程・会場

2022年4月23日(土)~5月1日(日)
東京・ニッショーホール

脚本・演出

山田英真

出演

春秋千石:猪野広樹
莇リナ: 高柳明音
山田風太:松本幸大(ジャニーズJr.)
山田雷太:野澤祐樹(ジャニーズJr.)
一凛花華:市川美織
岡恵一:大地洋輔(ダイノジ)
御室玄徳:野口準
明烏イザネ:織田奈那
嗅土かぐら:石塚朱莉
明智アランポ:遊馬晃祐
小林クリスチーナ:鈴木ふみ奈
びん子:星波

アンサンブル:神谷春樹

公式HP

https://yurukillthestage.com/

公式Twitter

@yurusuteinfo

WRITER