インタビュー

spi、ZIPANG OPERAでの学びを『オリバー!』で開花させて… 「シンる」は総決算

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ミュージカル『オリバー!』などの舞台作品のほか、音楽パフォーマンスユニット・ZIPANG OPERA、「ACTORS LEAGUE 2021」へのサプライズ出演など、2021年、数々の活躍を見せたspi。12月28日(火)に明治座で開幕するシンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』に、木曽義仲役で出演する。

本作は、る・ひまわりと明治座による年末の恒例“祭シリーズ”。芝居、ミュージカル、ショーなどさまざまなエンターテインメントを詰め込んだ2部構成で、今回で11年目の開催となる。

2.5ジゲン!!では、spiに本作で楽しみにしていることから、今年の活動で得たもの、「ACTORS LEAGUE 2021」の裏話に至るまでたっぷりと話を聞いた。

2021年を振り返って…

――まず、今年を振り返ってお話を伺います。先日千秋楽を迎えたミュージカル『オリバー!』はいかがでしたか?

市村正親さんと武田真治さんのダブルキャストで主演ということで、お2人の個性の違いから生まれる全く違うスタイルのお芝居に触れられたのが大きな経験になりました。

例えば市村さんのフェイギンと濱田めぐみさんのナンシーという組み合わせの時は、リアリズムがありまさに『オリバー!』である世界に入り込めます。武田さんがフェイギン、ソニンさんがナンシーを演じられる時は、ショーアップ要素が強い世界観が表現されていました。さまざまなスタイルの舞台を経験できて、とても刺激的でしたね。

――役作りには苦労されたと伺っています。

人に暴力を振るう人間の気持ちを理解するのに苦労しました。酔っ払ってみたり、わざとひどい寝不足になってみたり…殺伐とした気持ちで街を歩いたりもしてみたんですけれど、これは自分のために良くないなと思ってやめました(笑)。

僕と子供たちが仲良くなってしまうと舞台にリアルな緊張感が生まれないと演出家の方に言われ、子供たちとも距離を取って過ごしました。最初は「spiさん怖い」って泣いちゃう子もいたんですけれど、最後は手紙をくれたり「かっこよかったです」って言ってもらえたりもしました。

多くの経験を得たとともに、市村さんと非常に強いご縁を持てたありがたい機会でした。今度ご自宅にお邪魔しようかなと思っています(笑)。

――6月にはZIPANG OPERAのライブ公演「ZIPANG OPERA ACT ZERO ~暁の海~」がありました。

福澤侑、心之介、佐藤流司。あの3人との出会いはとても大きなものでした。みんな“華”を持っている人たちです。

まず福澤侑。彼のダンスは、顔が全然動かないなど技術面での素晴らしいポイントも挙げられるんですけれど、言語化できない凄みがあります。何がどうすごいのか分からないのに凄い。あのダンスを見て、自分もかっこいいダンスができるようになりたいと強く思いました。

心之介は、もう本当にとんでもないやつです(笑)。感覚がぶっとんでいるし、令和を生きているニュージェネレーションというのかな。なのに、書く歌詞はめちゃくちゃ共感を生むしメロディがすごく素敵なんです。時代を切り取る能力があって、その時代を生きている新星だなと感じています。彼に触れると凝り固まっている考えがやわらぐように思います。

佐藤流司。みんな彼のことを、生まれながらに華のある天才だと思っているんじゃないでしょうか。でも彼の“華”は、見えないところで重ねている努力による裏付けがあるのだと知って衝撃を覚えました。その努力を知って、全部吸収しようと強く思ったんです。

ZIPANG OPERAで学んだ華の出し方や見栄の切り方などを全部爆発させたのが『オリバー!』です。この舞台の前と後では、自分が俳優やパフォーマーとして全く違ったものになった感覚があります。声変りが終わって思春期が過ぎたというように、もう元には戻れないと言えるほどに花が開いた瞬間でした。

――7月に東京ドームで開催された「ACTORS LEAGUE 2021」はサプライズでの登場でした。

盛り上げ役ということで、染さん(染谷俊之)の猫と同じ扱いでしたね!(笑) とにかく盛り上げられればいいかなと思っていたんですけれど、いざ出る時になったら、出場しているみんながあまりにもガチで真面目に青春しているのに俺は…ってなってしまって。

だって、野球経験ゼロの俺が出て行っても絶対三振するでしょう。そうしたら、みんながあんなに一生懸命野球をやっているのに大事な局面で貴重な1アウトを取られてしまうことになるんですよ。その犠牲を払ってでも出してくれた監督の(山崎)育三郎さんには本当に感謝しています。参加できて本当に良かったです。

――目の下のアイブラックとガムを噛んでの登場シーンはメジャーリーガーのようでした。

ものすごく派手にショーアップしていただきましたね。登場した時、流司がものすごく笑っていたと聞いて嬉しかったです。あいつは愛想笑いをしない、本当に楽しい時にしか笑わない男なので。

噛んでいたのは、実はガムじゃないんですよ。

俺はラグビーをやっているんですけれど、試合の前には顎を動かして集中力を高めるためにガムを噛むんです。なのでこの時もガムを噛もうと思っていたのに忘れてしまって。焦って、控室でスタッフさんに「ガムないですか?」って聞いても「ミントタブレットならあります」って、そういうことじゃないのに!(笑)

うわぁどうしよう、何か噛めるものなら何でもいい、もう布でもいい…って思っていたら衣装さんが養生テープを持っていて、それだ! って。それで短く切ってもらった養生テープを折りたたんで口に入れて噛んでいたらメジャーリーガーのガムっぽくなっちゃったんです(笑)。でも、粘着成分が胃に入ってちょっと気持ち悪くなってしまったので、あれは口に入れるものじゃないですね!(笑) お客さんが喜んで盛り上がってくれていて良かったです。

演出・原田優一との友情と信頼

――そんな2021年を締める舞台として、今作「シンる・ひま」に出演されます。出演が決まられた時のお気持ちを教えてください。

…実はちゃんと覚えていないんです(笑)。お話を頂いたのがちょうど『オリバー!』の役作り中でふらふらになっている時で、メールにあった「演出・原田優一」というのと日程だけ確認してOKしたんです!(笑)

僕がお仕事を選ぶ基準は、人とスケジュールだけなので、今回の舞台は原田さんとの友情と信頼が全てです。原田さんは、何があっても大丈夫と思える方ですからね。

今回、木曽義仲を演じさせていただきますが、僕は歴史に詳しくないので、佐奈(宏紀/源義経役)にいろいろ聞こうと思っています。佐奈は作品についてものすごく勉強してから臨むので、僕はテスト前にノートを写させてもらうヤツみたいな感覚です(笑)。

――脚本を読まれての印象はいかがでしたか?

自分にとって、去年から今年いっぱいの総決算みたいだな! と感じました。歌って踊って人を脅してテーブルをひっくり返して、そしてまた佐奈に殺される(笑)。僕のファンの方が見たら「あれ? これ、前にも見た絵だぞ…?」と思われるかもしれませんね。

でもそれは、制作さんの「この人にこれをやらせたい」という方向性なんだと思います。例えばこの2種類のビジュアル(パイレーツとフランス貴族)、舞台の内容と全然関係ないのに何となく“分かる”んです。

内藤大希(源頼朝役)が海賊の格好をしているのを見てみたい、宝塚で男役トップスターだった水夏希(北条政子役)さんにアントワネット風な衣装を着てもらいたい…推しの色々な格好ってやっぱり見てみたいじゃないですか。

僕は、自分が何かを表現したいというよりは「自分が観る側だったら何が観たいだろう?」と考えているんです。ファンの方々の目線で、何をしたら喜んでもらえるかというのを大事にしています。この制作さんも僕と同じで、ファンの目線ですごく楽しんでいるのだろうなと思います。

――今回座長である内藤大希さんと平野良さんとは稽古前にお話をされましたか?

僕は人見知りで仲良くなるきっかけがないと全然話せないんですけれど、今回の舞台のラジオ特番で平野くんと共演したとき、出身が横浜だって聞いて、ものすごく盛り上がりました。内藤大希と僕は横須賀なので、3人とも地元がすごく近いんです。仲良くなれて良かったです。

2人の座長については、平野くんが引っ張るタイプで、内藤が周りから支えてもらうタイプだから、いいバランスの構造ができているカンパニーじゃないかなと思っています。

――今作で楽しみにしていることは何でしょうか

刀を持たせてもらえるようなんですよ。ラストサムライみたいにかっこよくできたらいいですね。槍は利き手がどちらでも関係なく使えるんですけれど、刀はそうではないかもしれないので、僕は左利きだし、稽古しないといけませんね。

最初から最後まで多く舞台に立っているような出番の多い役ではないので、この作品において自分はどういう存在なのか、出番の瞬間にどう表現できるのか、ということを考えています。ファンの皆さんにも楽しんでいただきたいですしね。もうちょっと出番を増やしてください! と交渉していこうかなと思っています(笑)。

――最後に、来年の抱負と今作の意気込みをお願いします。

今年も一年、応援ありがとうございました。運よくここまで来られたことを皆さまに感謝しております。来年の抱負は“現状維持”。体調も変わってくる年なので、人間ドックに行ったりもして怪我なく健康に過ごしていきたいです。身体が壊れたら舞台には立てませんから。

2021年は少しブレーキをかけてお芝居の仕事を少し休んだ時期もありました。2022年は着実で安全に、でもチャンスには噛みついて貪欲にやっていきたいと思っております。

今回出演します「シンる・ひま」では、ただならぬオーラで登場するその感じや「やっぱりspiさんすごいな!」と思っていただけるように全集中して臨みます。来年に向けていい出発になるように、景気よく元気に演じたいですね。来てくださった皆さんと一緒にフライングカウントダウンもしたいですし、ぜひ明治座に観に来てください。

取材・文:広瀬有希/撮影:梁瀬玉実

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公演情報

タイトル

シン る・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「明治座で逆風に帆を張・る!!」
第一部:オリジナ・る ミュージカ・る「明治座で逆風に帆を張・る!!」
第二部:ショー「ジャングルジャナイトクルーズ」

日程・劇場

2021年12月28日(火)~31日(金)
東京・明治座

脚本

赤澤ムック

演出

原田優一

音楽

オレノグラフィティ

出演

内藤大希、平野良/
佐奈宏紀/松田岳、前川優希、櫻井圭登、井深克彦、鯨井康介/
大山真志、伊藤裕一、spi、原田優一/
小野田龍之介・おばたのお兄さん(ダブルキャスト)、三木眞一郎・松村雄基(ダブルキャスト)/
粟根まこと、辻本祐樹/
坂元健児/
水夏希

公式HP

https://shin-lehima.com/

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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