インタビュー

崎山つばさ「忘れたくない」初舞台での失敗の記憶… 自身の”誠”は『満足しないこと』

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女性向け恋愛アドベンチャーゲームとして2008年の発売以来、メディアミックス作品も含め長く愛されている「薄桜鬼」。待望の実写ドラマが2022年1月に「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」として放送・配信される。

2.5ジゲン!!では、主演として土方歳三役を務める崎山つばさにインタビューを実施。自身が土方歳三を演じる意味やドラマならではの見どころ、共演者とのエピソードなどを聞いた。2022年1月の放送・配信が待ちきれないというファンは、ぜひ本記事を読んでドラマ版「薄桜鬼」に胸を膨らませてほしい。

――「薄桜鬼」といえば、これまで舞台化などもされてきた作品です。土方歳三を演じるにあたり、どうやってご自身のカラーを出していったのでしょうか。

この作品は新選組の話であると同時に、「薄桜鬼」の実写化でもあります。原作はもともと女性向け恋愛ゲームとして長い間愛されてきている作品なので、そこをリスペクトしながらも、新選組としての泥臭さや男臭さっていうところを同時に表現していきたいなって。

その中で、土方歳三として、鬼の副長として、隊服は水色(浅葱色)ですけど、カラーでいったら赤なのかな、土方歳三は。赤の中でもちょっと濃い目の赤というか。あくまでも近藤さんをのし上がらせたいという気持ちのある強い男ではあるんですけど、自分の中での葛藤とか、熱い思いとか、たぎる気持ちとか、そういう演じながら思ったことを表現しようという気持ちで挑みました。もちろん「薄桜鬼」のドラマ化という部分も意識してはいましたが、土方歳三はいろんな作品で演じられてきた人物で、いろんな解釈があるので。その中で、崎山つばさが土方歳三を演じる意味っていう部分を大切にしながら演じました。

――公式コメントでは、「薄桜鬼」の土方と史実の土方の両方を加味して演じていきたいと仰っていました。その中でも「薄桜鬼」の土方をどのように感じましたか。

「鬼の副長」の部分はありながらも、千鶴という存在がいるので、優しいまではいかないまでも柔らかいイメージっていうのがあって。男の仲間同士と違って、やっぱり女性に対して見せる表情が描写されているイメージですね。

ドラマでも、原作に登場するスチル場面を再現したシーンがあるんですが、おにぎりを持つ手とか、顎クイをする角度とかもすごく気にしながらやっていったので、そういう描写が「薄桜鬼」リスペクトとして表現されているなって感じました。

――実際に撮影していて、崎山さんご自身がキュンとするようなシーンはありましたか。

僕がキュンとするというより、それを見ている女性がキュンとしている顔を見てキュンとするのを想像して演じました。あざとくなりすぎないようにしたいなって思っていたので、さり気なくできるようにしました。

――崎山さんが一番キュンとしたキャラクターは誰ですか?

斎藤さんですかね。剣に生き、剣に死にたいって思っているところ。それ以下でもそれ以上でもないんだなっていう、武士としての心構えがあって、それを一つ貫けるっていうのが格好いいなって思います。

――ちなみに、崎山さんの“攻略ポイント”は何かありますか?

意外と単純ですよ。褒めると伸びます(笑)。選択肢があったら、ひたすら「褒める」を選んでいけばゴールできます。

――本作は時代劇として、殺陣も見どころだと思います。殺陣ではどんな部分で土方らしさを表現されたのでしょうか。

土方は試衛館時代から腕がたつ男なので、単純に刀が立つ強さみたいなものがありながらも、散る桜の花びらを感じさせるような美しさを表現できたらいいなって。刀を振りかぶって下ろすにしても、その動作自体というよりも振り終わった後の余韻というか。そこに美しさが残るように意識しました。

――その殺陣のインスピレーションは脚本を読まれて作っていったのでしょうか?

そうですね。司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」とか読むと、けっこう乱暴で。刀というより鈍器みたいな刀の使い方だったんですよ。もちろんそういう瞬間があってもいいと思うんですけど、「薄桜鬼」はもっと綺麗な感じがいいのかなって。脚本をもらってからそういう風に考えましたね。

――共演キャストとの印象的なエピソードがあれば教えてください。

京都の東映撮影所で撮影したんですが、そこにジムがあるんですよ。そこのジムで感染対策をしながら数人でトレーニングをしたんですが、それがすごく新選組っぽいなって。新選組も当時、道場でみんなで切磋琢磨しながら、ああでもないこうでもないって言い合いながら稽古をしていたんじゃないかなって。

あと、撮影に入る前に、殺陣師の方から殺陣の指導があったんですよ。その空間もまさに新選組の道場みたいで。撮影以外の部分でも、新選組と重なる部分があるなって思いましたね。

――新選組キャストの雰囲気はいかがでしたか。

役そのままでしたね。斎藤一役の矢野(聖人)くんはすごく寡黙で芝居に熱い人で、原作で仲がいい設定の永倉・原田・藤堂の3人は本当にそういう感じで。3人は今回が初対面だったと思うんですけど、めちゃくちゃ仲が良くて。アドリブのシーンとかは、土方として微笑ましいなっていう気持ちで眺めていましたね。

(近藤勇役の田中)幸太朗さんも、すでに近藤さんというか。すごく男らしくて、先輩として相談に乗ってくださるんですけど、どこか大型犬みたいなかわいさがあって(笑)。そんなところもすごく近藤さんっぽいなって思ったので、キャスティングの時点で役そのものの人を選んだんだなって思いました。

――ご自身の土方歳三に共感できる部分や通じる部分はどこでしょうか。

やっぱり「鬼」の部分ですかね…いや、全然ないですけど(笑)。

史実では「副長の穴籠り」で、土方さんが俳句を読むのに部屋にこもっていたという逸話があるんですが、それはすごく分かるというか。僕自身もインドアで、部屋にこもって芝居のことを考えたり、一人の時間が欲しかったりするタイプなので、共感できる部分だなって思います。

――一方で宿敵・風間千景役の伊万里有さんとは、撮影現場でどんな雰囲気で過ごされたのでしょうか。

めちゃくちゃ仲良かったです(笑)。本当にこれでいいのかなっていうくらい普通にしていました。特に「こうしようね」って相談したりすることもなく、共演経験もあったので、お互いに分かっていた感じですね。カットがかかったら、すぐに伊万里有と崎山つばさに戻っていました(笑)。

――宿敵として刀を交えるシーンはいかがでしたか。

空気が出来上がっていたというか。殺陣のシーンは基本的に殺陣をつけてもらって、お互いに細かいところを相談し合うものなんですけど、有くんに関してはそういう話はあんまりしてなくて。そのとき生まれたもので勝負しようという感じだったので、刀と刀でぶつかり合うっていう感覚で撮っていましたね。

――どの役との掛け合いのシーンを注目してもらいたいですか。

それぞれの役とあったので、う~ん。難しいですね。でも永倉新八(演:才川コージ)ですかね。土方歳三が土方歳三らしさと、らしさじゃない部分を出した瞬間なんですよ。とある新八とのシーンで。そこが男ながらにキュンとしました。鬼の副長と言われてあまり馴れ合わないところがあるのが土方ですが、そうじゃない土方歳三が出した答えみたいなものがそのシーンで垣間見えるので、そのシーンはぜひ注目してもらいたいです。

――撮影中に辛かったことや大変だったことはありましたか。

本当の土方がそう思っていたのかは分からないんですが、僕が撮影期間中に思ったのは、自分が下した決断によって隊士が怪我をしたり、血まみれで帰ってきたりすると、本当に自分の決断が合っていたのか、それが正しいことなのか、「誠」ってそういうことなのか、って自問自答する瞬間があって。それが怖さにもつながっていましたね。

役としてセリフにあるからそれを言うんですけど、例えば「撤退」の一言を言うにしても、そこにある血の滲む思いとか景色とか匂いとか、そういうものが自分の中でぐるぐる渦巻いて、それでも決断しなくてはいけなくて出た言葉なんだろうなって思って。それがすごく大変だったというか、つらかったですね。

――崎山さんにとって、新選組にとっての誠のような、役者として譲れないものは何でしょうか。

満足しないことですかね。終わったことへの達成感や開放感は感じるんですけど、満足したことって一度もなくて。もっとできたんじゃないかとか、別の方法があったんじゃないかと思うし、後で作品を見返して「ここはこうすれば良かったな」ってどうしても思っちゃうんですよね。満足したくない自分がいるし、満足したら終わりだって思う自分もいるし。まず自分を疑うようにしていますね。

――そう思うに至ったきっかけは?

初舞台に立ったときに、本当に失敗ばかりで。噛んだり出とちったり、段取りを間違えたり。本当に悔しい思いをして、千秋楽のカーテンコールを迎えたことをいまだに覚えていて。もちろん噛んだり段取りを間違えないようにやるのは、本当は当然のことなんですけど、そのときの悔しさがバネになって次への原動力になると思うので。だからその経験をしてから、それを忘れようとはしていなくて。逆に忘れたくないっていう気持ちでいますね。

――最後にドラマならではの見どころとともに、ファンへのメッセージをお願いします。

物語として土方歳三を主軸に描かれてはいますが、それぞれのキャラクターが素敵で、全部主役って言ってほしいほど輝いているし、強さと誠を持っているし、それを演じる役者陣もそれぞれの信念を持って演じているというか。そこをぜひ観てもらいたいですし、「薄桜鬼」ならではの描写はもちろん、時代劇要素やダークファンタジー要素も楽しんでもらいたいです。

1つのドラマでどんな味でも味わえる、そんな作品になっているので、まずは第1話無料放送なので第1話を見ていただいて。そうしたら絶対続きが見たくなると思うので、ぜひ最後まで見ていただけたらと思います。

***

アニメやミュージカルなどでこれまで表現されてきた「薄桜鬼」の世界が、「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」でまた一つ広がることに。きっとドラマ版ならではの新たな景色が待っていることだろう。

崎山つばさが演じる土方歳三をはじめ、それぞれの誠を胸に動乱の世を生きた隊士、数奇な運命に翻弄される千鶴の生き様がどう描かれているのか、楽しみに放送・配信を待とう。

取材・文:双海しお/撮影:ケイヒカル/スタイリスト:OBU-/ヘアメイク:SUGANAKATA(GLEAM)

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公演情報

タイトル

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」

放送情報

WOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで2022年1月放送・配信予定
第1話無料放送(全10話)

出演

崎山つばさ/若柳琴子、矢野聖人、金井成大/永田崇人、福山康平、時任勇気、才川コージ/伊万里 有、中林大樹/田中幸太朗

原作

オトメイト(アイディアファクトリー/デザインファクトリー)

監督

六車雅宣、西片友樹

脚本

保木本真也

音楽

諸橋邦行

制作プロダクション

ドラマデザイン社

制作協力

東映京都撮影所

公式サイト

https://www.wowow.co.jp/drama/original/hakuoki/

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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