DMM GAMESで配信中の文豪転生シミュレーションゲーム「文豪とアルケミスト」を原作とした舞台シリーズ第4弾「文豪とアルケミスト 捻クレ者ノ独唱(アリア)」が2022年2月に東京・大阪に上演される。
2019年2月の第一弾以来描かれてきた、文豪たちの文学を守るための戦いに、今回初めて尾崎一門が参加する。
2.5ジゲン!!では、徳田秋声を演じる主演・赤澤遼太郎にインタビューを実施。主演にかける意気込みや理想の座長像、2.5次元作品での芝居論などを聞いた。
――主演おめでとうございます。まずは出演が決まった際の心境を教えてください。
ありがとうございます! まずは「文劇! しかも主演だ…!」って思いましたね。ずっとやりたかったので、怖いな、プレッシャーだなって思う気持ちよりも、楽しみだし嬉しいという気持ちが強かったですね。
――座長として心掛けたいことや理想の座長像はありますか。
自分の中で一つ決めているのは、セリフを全部入れておくのは大前提として、稽古は誰よりも早く入りたいなって思います。そもそもこの作品に初めて入る分誰よりも作品と向き合っていかなきゃいけないと思いますし、今回は座長としても文劇にかける時間は一番多く持たなきゃ、逆についていけないと思っています。
――背中で作品への思いを見せていく座長ですかね?
そういうとかっこいいですね。たしかに言葉で人に何か言うよりも、自分の姿で皆さんに伝えるような座長でありたいなって思います。スタッフさんも役者さんも歴戦の素晴らしい先輩方に囲まれる形なので、それぞれきっと思うところがあると思うし、だからこそ自分はやれることをやり通すことだけ。それできっと充分、というかいっぱいいっぱいかなと。
――原作または文劇シリーズにはどんな印象を持っていましたか。
役者仲間からすごく面白い作品だということは聞いていて、仲良くさせてもらっている(平野)良くんからも聞いていたし、ずっと観にいきたいなって思っていて。でもなかなかスケジュールのタイミングが合わなくて観れていなかったのですが、こうして出演が決まって。まさか出る側で!? って(笑)。
舞台はオリジナルの脚本というのをお聞きしていて、自分の役の幅をどれだけ作れるか、自由度が高いところも楽しみです。
――役の設定がある上でオリジナルのストーリーだと、演じるのは難しいのかなと思ってしまうのですが、いかがでしょうか。
ん~逆にいろんな角度から役を考えられる気がします。先にアニメやゲームで絵や描写がたくさんあると、やっぱりどうしても視野が狭くなる場合もあるので。(オリジナル要素があると)フラットにいろんな視点から、こういうところもあるのかな、こういうこともするのかな、って想像ができるので、難しいっていうよりもめちゃくちゃそこが楽しみですね。
――稽古開始前ではありますが、徳田秋声をどんな人物だと捉えていますか。
人物紹介では「天の邪鬼のひねくれ者」って書かれていたり、実際にアプリをやってみるとセリフが意外と口が悪かったりで、「君、そんなこと言うんだ?」って衝撃も受けつつ(笑)。
でも、やっぱりそれでも周りがついてきてくれるっていうところを見ていると、優しさとか信念とか愛をちゃんと持っている子なんだなって思いましたね。ただ単にひねくれ者だったら、そのまま嫌われていっちゃうと思うから、周りに人がいるってことはみんな彼の魅力を感じているんだと思います。
あと現状に満足していないんだろうなっていうところがすごく好きですね。ずっと上を目指して、いろんなことを考えて頑張っていくっていうスタイルというか。どこの業界も一緒だと思うんですけど、満足したら終わりだと思うので、だからこそ秋声は自分の作品を疑って疑って。それがちょっと表に出ちゃっているのかなと。その根幹にある、もっともっと良いものにしたい、すごくなりたいっていう思いはすごく共感できます。僕自身もすごく負けず嫌いだし。努力して向き合って積み重ねている部分もすごく好きなところです。
――今作の役作りで大切にしたいことがあれば教えてください。
徳田秋声の執筆した作品についてはしっかり向き合って、自分の血肉にして臨みたいなっていうのはあります。まだ作品はしっかりと読み切れてはいないんですけど、秋声の作風について勉強していると、すごくありのままを重視している作家さんなのかなと思っていて。日常の一風景を描いているなあと思っているといつの間にか作品に飲み込まれる。すごく面白いと思いました。
そういう部分も役に落とし込んでいって、派手ではないけど、僕の演じる秋声を観て何か一つでも感じとってもらえるような芝居になれば、秋声らしさが表現できるんじゃないのかなって。稽古前なのでまだ模索してはいるのですが、そんなことを僕の中では考えているところです。
まず彼の作品に向き合って、彼の内面をお客さまにお届けできたらなって思います。
――本作以外にも2.5次元作品に多数出演されていますが、そういった作品で役作りの際に大切にしていることはありますか。
最近核心を突かれたと思った言葉があって。そこに行き着かなきゃなって思ったんですけど、それが「2次元のお芝居をしないで、2.5次元のお芝居をしなさい」っていう言葉で。僕のアプローチは今まである意味アニメや漫画、ゲームの原作にいかに寄せるかに終始していて、そうではなくて。2次元に0.5プラスして、声や、動きや、全てにおいて立体的な要素を表現するのが2.5次元のお芝居だと言われて、震撼したというか…。僕の考えが変わった一言でした。
だから本当の意味での2.5次元のお芝居をしよう、原作の中にいるのに無限の奥行きをお客さまが想像できるようなお芝居を心掛けていきたいなって思っています。色々な新しい発見をお客さまに届けられたらいいな、と。
今作でもそれを心掛けていて、皆さんをびっくりさせたいです。イメージどおりの秋声だけど、常に多面性と奥行きを持った秋声として見せられるようにしたいです。
――今作は毎回アクションも魅力的です。弓は初挑戦とのことですが、実際ビジュアル撮影で弓を手にしてみていかがでしたか。
弓ってどう使うんだろう…って(笑)。そこから始まったので、持ち方から調べて撮影に挑みました。
本番ではどうなるんだろう。本物の弓矢を飛ばすわけにもいかないだろうし…。立ち回りももちろん重要なんですが、秋声の表情だったりとか気持ちだったり、“お芝居としての殺陣”をしないと成立しないんじゃないかなって。そうじゃないと弓矢がない分、ただ立っている人で終わってしまうと思うので、そこが弓のアクションは難しいんだろうなって思っています。
――尾崎一門(尾崎紅葉役:玉城裕規、泉鏡花役:山﨑晶吾)も一緒ですが、お二人とは初共演でしょうか。
お二人とも初めましてです。尾崎一門は原作ではわちゃわちゃしているのがかわいいなっていう印象です。あとはやっぱり秋声が辛辣なところとかを笑って許す先生の雰囲気とかがいいなって思っています。舞台では原作の雰囲気も大事にしつつ、舞台ならではの3人の様子も届けられたらいいなって思います。
――主演が決まったことで、「文劇」の先輩である平野さんからなにかアドバイスなどはもらいましたか?
「演劇のメソッド本を10冊読め!」って言われました(笑)。良くんからは、お芝居を勉強して自分がうまくなっていると実感しながら歳を重ねていった方がいいっていうお話も聞いていて。この歳で聞くことができて良かったと思う言葉の一つですね。
――ほかに共演が楽しみな方はいらっしゃいますか。
やっぱり(佐藤春夫役の)小南光司くんですね。プライベートでも仲がいいですし、共演も多いですし。小南くんからも「文劇」の話は面白いしやりがいがある作品だよって聞いていたので、そこに自分が座長として携われるっていうのが嬉しいです。小南くんを脅かす存在になりたいというか(笑)、自分の成長した姿を見せられたらいいなって思います!
――公演楽しみにしています! では、最後にファンへのメッセージをお願いします。
シリーズとして長く続いている作品ということで、これまでの「文劇」の色を汲み取って勉強して、挑ませていただきます。また今までの「文劇」とは違った色になるのかなって思っていて。原作ファンの皆さんは初めて徳田秋声が舞台に登場するし、ドキドキしている部分もあるとは思うんですけど、楽しみにしていただけたら幸いです。日頃の感謝を、このお仕事を通じて皆さんに届けられたらと思っています。
* * *
毎回新鮮な驚きと考察する余白を楽しませてくれる舞台「文豪とアルケミスト」シリーズ。赤澤遼太郎演じる徳田秋声や尾崎一門をはじめ、本作で初登場となる文豪も多いだけに、観客はまた新しい「文劇」に出会うことになるだろう。
2021年11月には原作ゲームが5周年を迎えた。この舞台「文豪とアルケミスト 捻クレ者ノ独唱(アリア)」も、「文豪とアルケミスト」が歩んだ軌跡の一つとしてファンの記憶に刻まれるのではないだろうか。
取材・文:双海しお/撮影:梁瀬玉実
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