人類と神々のタイマン勝負を描く、累計発行部数900万部突破の漫画『終末のワルキューレ』(作画:アジチカ 原作:梅村真也 構成:フクイタクミ)。テレビアニメも放送中の本作を原作とした「終末のワルキューレ」~The STAGE of Ragnarok~が11月27日(土)~12月5日(日)に上演される。
キャスト陣も発表され、注目が集まる本作で、2.5ジゲン!!では、“全人類の父”アダムを演じる大平峻也にインタビューを実施。稽古開始を控え、「史上初の衣服の少なさ」と語るアダム役への思いや本作にかける意気込み、かねてから親交のある演出家・加古臨王とのエピソードなどを聞いた。
――出演が決まった際の心境を教えてください。
キャストの顔ぶれと、演出が加古臨王さんということを聞いていたので、その時点で「これは絶対、面白い舞台になるな」っていう印象でしたね。役者陣も力がある人が多い印象で、(ゲル役の)田上真里奈ちゃんとかもこれまでに何度か共演させていただいているんですけど、こんな素敵なお芝居する人滅多にいないなって思うくらい上手な方だなって思って当時もすごく勉強させてもらったし、すごく信頼しているし。
(呂布奉先役の郷本)直也くんや(佐々木小次郎役の)中河内さんも、2.5次元作品でもそうですし、ストレートのミュージカル作品などを観てもすごい方だなっていう印象があったので、そういう意味でも絶対いい舞台になるよな~って思ったので、そこに自分がいられるのはすごく光栄だなって思いましたね。
――原作はご存知でしたか?
僕もともと漫画が好きで、よく(電子書籍サイトで)1巻無料のキャンペーンとかあるじゃないですか。ああいうので良いなと思った作品は買うようにしていて、この『終末のワルキューレ』も買って読んでいたんですよ。5〜6巻あたりまでは読んでいたはずなんですけど、気づいたらすごく新刊が出ていてびっくりしました(笑)。
なので、改めて初めて読むような新鮮な気持ちで、(舞台出演が決まってから)読み直してみました。この作品はやっぱりキャラクターが魅力的で、偉人や神がすごく色濃く描かれている作品だなって思いましたね。
――そんな魅力的な登場人物が多い中で、アダム役を演じられます。ビジュアルのインパクトがあるキャラクターですよね。
どう思いました!?(笑)大平峻也これやるの? って思いませんでした!?
――正直、思いました(笑)。衣装的にも舞台上ではどうするんだろうと思いましたし、アダムなんだ! という驚きがありましたね。
実は僕もびっくりしていて(笑)。個人的には僕ももう27歳なので、まあ脱いでもいいのかなとは思っていたんですけど、事務所的にOKが出るのかなって思っていて。これで事務所がOKを出したら、事務所としても攻めようとしているんだなって。実際、事務所からゴーサインが出て、出演させていただけるとなったときに、事務所も大平に対して本気なんだなって思いました(笑)。
最近やった役が、かわいらしい役だったり女性の役だったりするので、華奢じゃなきゃいけないことが多くて。でも今作では葉っぱ1枚になるっていうのは振り幅があるなとは思うし、ビジュアルだけを見てザワザワしてしまう気持ちも分かるんです。
だけど、アダムのかっこよさ、こればっかりは原作を読んでもらわないことには伝わらない! だから僕が舞台で演じることで、葉っぱ1枚っていう見た目だけの印象から、いい意味で裏切ってやりたいって思っていますね。まだ原作を読んでいなくて、見た目だけでアダムどうなの? って思っている人たちを、ガツンと黙らせにいきたいですね。
――ビジュアル撮影はもうされたんですか?
しました!
――実際にその姿になってみていかがでしたか。
僕としては、むしろ葉っぱ1枚でもよかったけどね、って思いました(笑)。
(マネージャー:撮影前、めちゃめちゃ心配してたじゃないですか。本当に葉っぱ1枚かな? って)
いや、違うんですよ! 僕も男なので、やっぱりお手入れとかすごくシビアな問題なんですよ。ね?
――複雑な葛藤と覚悟を持って撮影に挑まれたんですね。
そうですね。鏡を見ながら「僕は役者だから…」って唱えながら準備していましたね(笑)。
――ではビジュアル撮影の時点から、大平さんにとって新境地の役だと言えるかもしれませんね。
露出が多い衣装というのもそうですし、戦い方もメリケンサック1つなので。今まで刀を使った殺陣とかが多くて、ほぼ無手での戦いってあんまりやったことがないので、そこも新たな挑戦だなって思っていますね。
――しかもアダムの対戦相手ゼウスは3人で1役ということもあって、かなり手強そうですね。
手強そうですよね~。いや~、現役のプロレスラーの方がきたかって思いましたし、ダンサーである鯨井謙太郒さんもいらっしゃいますし。格闘技からダンスまで、様々な要素を織り交ぜてきっとシーンが作られると思うので、多くのものが求められるだろうなと思いますし、自分の中でも色々勉強しながら作っていきたいですね。
――今作で役者として挑戦したいことはありますか。
よく言うんですけど、役者って役とともに人として成長していく生き物だと思うので、役からいろんなメッセージをもらって、人として大きくなっての繰り返しだと思うんです。この役からは、人類を愛する気持ちが学べたらいいなって思っていますね。全ての人を愛するってすごく難しいことだと思うんです。
アダムは全ての人を愛する存在なので、言葉で理解するのは簡単だけど、心に腑に落ちるっていうのは難しいことだと思うので、この稽古期間で人を愛する素晴らしさっていうのを落とし込めていけたら、お芝居もきっといいものになっていくと思うし、大平峻也としても人としてまた一つ成長できるのかなって思っています。
――演出家・加古臨王さんとの作品作りについてはいかがですか。
“演出家・加古臨王”とご一緒するのは初めてなので、どんな演出をするのかなっていうのはすごく楽しみですね。普段すごく優しいんですよ。否定せずに導いてくれる方なので、怒鳴っている姿も想像つかないし…。だから稽古場で「アダムそうじゃないだろ」とか怒鳴られたら、逆に笑っちゃうかもしれないです。「臨王さんの意外な一面だ」って(笑)。
臨王さんって役者として一緒にやらせてもらっているときは本当にいい先輩で、すごく筋が通ったことを言ってくれるし、臨王さんのお芝居自体も芯が通っていて舞台上に生きているなって思わせてくれるので、そういう部分を今回は演出家として役者に求めるんじゃないのかなって想像していて。だから僕はアダムとして舞台上に生きていれば、きっと臨王さんの求める舞台「終末のワルキューレ」に近づけるんじゃないのかなって思っています。
――稽古に入る前ではありますが、すでに信頼度はバッチリですね。
もう信頼しかないです! 毎回、僕のバースデーイベントでMCもやってもらっているくらい信頼しているし、人間としても役者としても大好きだし。演出家としても…好きになりたいですね(笑)!
――タイマンバトルが描かれる作品ですが、弟さんとの兄弟喧嘩などバトルにまつわるエピソードがあれば教えてください。
うちは戦いごっこが好きな兄弟でしたね。本当はダメなんですけど子供の頃の話ということで怒らないでほしいんですけど、当時和太鼓を習っていたので、そのバチで戦いごっこをよくしていて。僕はちゃんちゃんこを着てガードしつつ、タンクトップ相手の弟とやりあっていましたね(笑)。小さい頃からそんな感じで戦いが身近にあったので、今作もそうですけど、やっぱり作中でバトルシーンがあるとワクワクしますね。
――胸躍るバトルシーンを楽しみにしています! では最後にファンへのメッセージをお願いします。
この作品は歴史上の人物や神々が登場するんですけど、人間って偉人や神の話を後世に残すときに美談にしたがる性質があるなと思っていて。美談にするっていうことは、例えばアダムを語るときには、アダムを追放した神は“悪”になるわけで。だけど神からすると、罪を犯したアダムが“悪”となるじゃないですか。そうやって善か悪かって分けて考えがちなんですけど、この作品はどっちも否定せずどっちも肯定しているなって感じていて。
だから原作を読んでいても、善と悪の戦いというわけじゃないから、どっちも応援したくなるんですよね。僕もアダムを応援しながら読んでいますけど、だけどゼウスも負けるなよっていう気持ちもどこかにあって。そんなどちらも応援したくなる作品なので、舞台でもきっと人類側と神側、どっちも応援したくなる作品になると思うので、1つ1つを見逃さずに楽しんでもらえたらと思います。
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役者・大平峻也の新境地を楽しめる作品となりそうな「終末のワルキューレ」~The STAGE of Ragnarok~。生身の役者同士がぶつかり合うことで生まれる人類VS神々のド迫力バトルを、劇場で体感できる日が待ち遠しい。
取材・文:双海しお/撮影:ケイヒカル
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