インタビュー

日向野祥、「いい意味でダサい」ヒーローに変身 映画「遊星王子2021」は“古くて新しい”

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映画「遊星王子2021」が8月27日(金)から公開される。本作は、昭和33年に放映された特撮テレビドラマ「遊星王子」のリブート版。遊星から地球にやってきた遊星王子と侵略者タルタン人の戦いを中心に描いたヒーローもので、監督はB級映画の巨匠と呼ばれる河崎実が務める。

2.5ジゲン!!では、主演で遊星王子役と舟木康介役の2役に挑戦した日向野祥にインタビューを行った。撮影時のエピソードや改めて感じるファンへの感謝の気持ち、今後のビジョンなどについて話を聞いた。

一発撮りで鍛えられた対応力

――本作は、昭和33年に放送された「遊星王子」のリブート版です。完成した映像を見てどのように感じましたか?

昔と今が混在したような作品だなと感じました。古すぎもせず、でも今時のものでもない(笑)。新しいジャンルだと思って観てもらえれば楽しいのではないかと思います。

CGで何でもできる時代ですが、オープニングの音や全体的な映像は、あえて現代風ではなくその時代っぽく古くしています。監督と「いい意味でのダサさを存分に出したいですね」という話をしていたので、昭和の昔ながらの良さを残しつつも令和に新しいものを残せたなと思います。

――お芝居の面で、いい意味での“ダサさ”や昭和感は意識しましたか?

僕はこれまでキャプテンやリーダーを演じることが多かったので、ダサい、かわいいという人物はあまり経験がなくて(笑)。でも今回は「ダサさを出して」と言われていたので、絶妙に間を取ったり、こういう(ナチュラルにではなく身体全体で振り向く)細かい動きや、言葉のクセを前面に出すなど色々と工夫しました。

その場でやってみて監督にチェックしてもらうのですが、実は今回、河崎監督がほぼ一発撮りの撮影をされたのでリハーサルがなかったんですよ。一発目にとっさに出たものが一番自然な芝居だということなので、動きなどはあまり作りこまずに、その場で作りました。

――リハーサルなしの一発撮りは緊張しますね。

プレッシャーはありましたが、すごく勉強になりました。とても映像(え)にこだわっている監督で「演じるのはお前たちだ」と役者に芝居を任せている。だから、何となく演じていたらそのまま進んでしまうのですが、逆に「納得できません」と言えば何十回でも撮り直しに付き合ってくれます。

それから、撮影がすごく速いんです。4時間巻きで終わるなんていう日もありました(笑)。そういうふうにテンポが速いために、ゆっくりやっていると追いつけないので、対応力や考える力が身に付きます。1回の本番で自分の中にあるものをどれだけ出せるかが試される、とても濃い撮影期間でした。

舞台であれば、1カ月ほど稽古をして、演出家の方と話をして、ゲネプロ、初日、そして千穐楽までずっと芝居を重ねていくものが、ドラマや映画はその日1回限りの芝居が全てです。映像のお仕事は速い対応力が求められるので、舞台のようにゆっくりじっくり稽古できるものだと思って臨むと、おいていかれてしまいます。

河崎監督の現場は、確実に役者としての力が上がるなと感じました。若い役者はみんなこの現場を経験したらよいのではないかと思います。

(C)2021「遊星王子2021」製作委員会/映画「遊星王子」より

――撮影中の印象的なエピソードを教えてください。

都内のある商店街でロケをさせていただいたのですが、日中の撮影だったので色々とありました(笑)。お店の方々はロケがあることはご存知なのですが、あの目立つ格好で商店街を走り回ったりしていたので、買い物に来ている方はびっくりされていましたね。皆さん立ち止まりますし、自転車に乗ったおばあちゃんも乗ったまま撮影を見ていて「前見て!」なんてことも(笑)。

あと、子どもたちにものすごくいじられました。2人組の男の子がいて、撮影中にずっとついて来ていたんです。それで、その子たちにニコッとしたら「お前誰だよ」って!そんなことを言われたのは初めてでした(笑)

――その子どもたちに何と返したのでしょうか?(笑)

「遊星王子だよ!」って返したら「なにそれ~!」って。結局ロケ終わり頃には子どもたちが20人くらい集まるようになっていました。商店街のお店のお子さんが多かったようで、組合のハッピを着ていたりして。みんな「遊星王子サインして」「写真撮って」って言ってきてくれて…子どもたちが遊星王子初めてのファンですね。すごくいいロケでした。

応援してもらえるってすごいこと

――あるシーンで、アイドルである舟木康介(日向野の二役)が正体を隠したままファンの本音を聞いてしまいますが、日向野さんはファンの皆さんに聞いてみたいことはありますか?

「何がきっかけで応援してくれるようになったのか」でしょうか。康介くんと違って正体は隠しませんでしたが、先日開催した、オンラインでファンの方々と個別にお話をさせていただくイベントでもやっぱりそれをお聞きしました。

人が人を応援するって、ものすごいことだと思っています。時間もお金も労力も使うのに、それでも応援してくれる…死ぬほど嬉しいし本当にありがたいことです。

僕は18歳でHIROZというユニットに所属して、そこから小劇場などで舞台に立たせていただいて色々と下積みを重ねて今に至ります。メイクなども全て自分たちでやっていたからこそ強く実感するのですが、周りを支えてくださるスタッフの皆さんの存在も当たり前ではないんです。

この仕事は見てくださる方がいなければ成り立ちませんし、応援して支えてくださる方のおかげで僕はステージに立たせていただいています。だからやっぱり、聞くとしたら「どうして応援してくれるようになったのですか?」ですね。

――2021年下半期、舞台などのご出演予定が多く発表されています。途切れずたくさんのお仕事が入ってきているのは、どんなところが評価されているからだと思いますか?

特別なことはやっていません。当たり前のことをしていると思っています。

これまでのことを思い返してみると、どの現場でも必死でした。18歳でHIROZに入って怪我で脱退して、それから舞台やドラマなど色々な経験をさせていただきました。母が亡くなり芸能界を一時離れていたのですが、リスタートするために27歳で戻ってきました。

今の事務所に入って2018年に2.5次元ダンスライブ「S.Q.S(スケアステージ) 」で篁志季という役を頂いて、そこからいろんな役に触れるようになりましたが、どの現場でも気を緩めたことはありません。夢中で必死にやってきました。

もし評価していただいて作品に呼んでくださっているのだとしたら、今までそうやって必死に無我夢中にやってきたのを周りの方が見てくれていたからではないかな、と思います。

――今年の1月に30歳を迎えました。20代を振り返って、得たものは何だと思いますか?

自信と経験です。たくさんの現場に立たせていただいて場数を踏んだことで、“役者として生きていこう”と思える基盤ができたと感じています。

舞台を観に行くと強く感じるのですが、経験を積んで自信を持った人は舞台の上での佇まいに差が出るんです。その空間に立っただけで空気が変わる、周りとは違う佇まい…そういうものを今後、より身に付けていきたいと思います。

――では、30代をどう過ごしていきたいですか。直近の目標も教えてください。

30代では、20代で身に付けたものの基盤をさらに強くしていきたいです。40代に向けて色々と経験していきたいですし、濃いものにしたいです。

僕は、小さい頃に観たステージのかっこよさに憧れて役者になりたいと決めました。そして、日本アカデミー賞を取りたいという目標があります。

直近の目標としては、その作品イコール日向野祥、と思っていただける代表作を持ちたいです。作品自体が広まるのももちろん嬉しいのですが、このドラマ、この舞台は日向野祥だと言われるほどの作品。その作品や役のイメージが強くなりすぎるということもあるかもしれませんが、作品名を言えば真っ先に自分の名前が出てくるような、より強い芯となるようなものを持ちたいと思っています。

――最後に「遊星王子2021」の見どころとメッセージをお願いします。

昭和の古き良きも残しつつ、令和の新しい良さも取り入れたミックス作品です。思わず笑ってしまうコメディ的なシーンも多いので、普段ヒーローものを見ないという方にも楽しんでいただけると思います。

何をやっているんだ、とか突っ込みながら見ていただいてもいいです(笑)。人の気持ちを動かすことが“感動”だと僕は思っています。

ポスターだけでは分からない良さが映像にはたくさんあります。ぜひ映画館で見ていただければ嬉しいです。

取材・文:広瀬有希/撮影:ケイヒカル

(C)2021「遊星王子2021」製作委員会

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公演情報

タイトル

映画「遊星王子2021」

公開日

2021年8月27日(金)よりロードショー

出演

日向野祥/織田奈那、若林司、平優心、岩井志麻子/津沢彰秀、きくち英一、堀田眞三/小林さとし、鈴木秀人、長谷摩美、なべやかん、ウクレレえいじ、小堀敏夫、町あかり、本橋信宏、三上丈晴、有村昆、大林素子(友情出演)、染谷俊之(特別出演)、西寺郷太(NONA REEVES)(特別出演)、吉田照美(特別出演)/団時朗

監督

河崎実

原作

宣弘社

原脚本

伊上勝

企画・プロデューサー

村岡貞之

脚本

木川明彦、河崎実

製作

「遊星王子2021」製作委員会
(MinyMixCreati部/CS日本/竹書房/リバートップ)

公式サイト

https://yousayouji2021.pal-ep.com/

(C)2021「遊星王子2021」製作委員会

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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