舞台「憂国のモリアーティ」case 2が7月23日(金)に東京・新国立劇場 中劇場で開幕する。
「ジャンプSQ.」(集英社)で連載中の漫画「憂国のモリアーティ」を原作に、西田大輔が脚本・演出を手掛ける舞台化第2弾。階級制度により腐敗した19世紀末のイギリス。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ(演:荒牧慶彦)は“犯罪卿”として貴族の悪行を悪でもって裁いていく。そして、自身の計画に不可欠な存在として、探偵のシャーロック・ホームズ(演:北村諒)に目をつける…。
2.5ジゲン!!では、シャーロック・ホームズ役の北村諒と相棒のジョン・H・ワトソン役の松井勇歩に対談取材を実施。今作の見どころやお互いの印象などに加え、それぞれにとってのライバルについてなどを聞いた。
――前作から約1年半を経て、第2弾が開幕します。上演が決まった際の心境を教えてください。
北村:時間も空いたんですが、特に去年は「モリステ」の直後に新型コロナが流行りはじめて…実際の日数よりも更に時間が経った感覚があります。お客さまが楽しみにしていた場面を今回見せられると思ってもいますので、続編が決まって本当に嬉しかったです。
松井:1作目が終わってすぐ次回作、その先も「モリステ」をやっていきたいなとずっと思っていました。1年半ずっと楽しみに待っていたので、決まったときはすごく嬉しかったです。
――稽古中ということで、前作から比べてお互いの印象に変化はありましたか。
北村:稽古がはじまって、頼もしさが増している感じはありましたね。シャーロックとジョンは2人で一つみたいなところがあるので、初演以上に勇歩の安心感を感じていますね。
松井:うれしいっす!
一同:(笑)。
松井:1作目決まったときに、諒君の相棒としてお芝居ができることが本当に嬉しかったんです。以前も別の作品で共演させていただいたんですけど、一緒にお芝居をするポジションではなかったので。諒君は優しい人なので、1作目のときは久しぶり感とかなく、ホンマにやりやすい空気を常に作ってくれて、当時は付いていくことに必死だったので、頼りっぱなしでした。
――1作目では、お二人はコミカルな役回りもになっていました。とても素敵な空気感でしたが、どのように作り上げていったのでしょうか・
北村:モリアーティ陣営はワーワーできないから、作品としての笑いや明るさは僕らが担えと、演出の西田さんから稽古の初期段階であったので、とにかく俺たちは明るくいこうと。だから、僕たちもその意識はあって、その中で細かいところは演出がついて、アドリブもありつつ…みたいな(笑)。
――アドリブ、相当ありましたよね。
北村:結構自由にやっていたね。
松井:誰よりも一番近くで諒君が笑ってくれるんですよ。
北村:(笑)。
松井:すごい嬉しくて!(公演の)途中くらいから、お客さんに届けるのが半分、諒君を笑かそうが半分、みたいな感覚になって。個人的にやりやすくなっていったのはそこからですね。一番横にいる人が笑ってくれるので、素敵やなと思っていました。
北村:カップルか!(笑)
――お二人の役は相棒同士ですが、それぞれにとって“相棒”に求める条件は何でしょうか。
北村:気兼ねの無さかな。(松井と)歳もそんなに変わらないんですけど、初演のときは最初、めちゃくちゃ気を遣われていて(笑)。稽古や本番を重ねていって、どんどんほぐれていったんですけど、やっぱり先輩後輩関係なく、気軽に話せたり、こうしてほしいなというところも言い合える仲がいいですね。
松井:かしこまっちゃっていたので…諒君は思いやりのある適当さというか、お芝居について真剣に話すのはもちろんですけど、そうじゃない時もずっと稽古場で諒君の横にいるんです。本当に関係のない他愛もない話をすることができ、個人的に嬉しくて、こういう空間っていうのも大事なのかなと思います。
――今回は続編ということで、前回よりもスムーズに稽古に入れているかと思いますが、2作目だからこその目標や課題は。
北村:ちゃんと事件を解決するところが結構多いんですけど、今回は、前回ほどふざけられない(笑)。でも、その中でも(ふざけられるところを)探している(笑)。
松井:探していますね。
北村:できるだけこういうポイントは作りたいなと思いますが、なかなか難しいですね。
シャーロックもそうだし、ウィリアムもそうですが、推理対決や協力する部分もあるので、今回は前回とは違った色になっているかなと思います。
――今作のストーリーとして注目はどこでしょうか。
松井:僕は諒君を横で見ていて、ハッてなったのが、シャーロックが苦悩するシーンがあって。
北村:そうだね。
松井:1作目ではシャーロックはパンパンと謎を解いて、自信のある感じなんですけど、一方で今回は苦悩する場面があるんです。普段は見られない諒君の眉間にシワの寄った苦しそうな芝居を横で見て、心臓がきゅうってなります(笑)。
北村:(笑)。シャーロックは実は浮き沈みが激しいキャラクターでもあるので、演じるのは難しいですけど、それによってより人間らしさが表現できるので、演じることができて良かったなと思いますし、見てほしいポイントでもありますね。
――松井さんの見てほしいポイントも教えてください。
松井:今回は1作目では描かれていなかった、シャーロックとジョンの関係性というかコンビ感、シャーロックの苦悩にジョンがどう付き合っていくのかなどが描かれますので、しっかりと皆さんに届けられたらいいなと思います。
――今回、北村さんはセリフ量が多いようですね。
北村:絶望しましたね(笑)。台本をもらって最初に読んで自分のセリフをマークしていったんですけど、ずっと手が動いているんですよ。あれ? みたいな(笑)。これは骨が折れそうだなと。家でビビり散らかしましたね。
松井:諒君と僕が一緒に掛け合いするシーンがあるので、稽古の空き時間にセリフ合わせをしたんですけど、諒君が3~4行セリフを喋って僕が「どういうことだ?」、そしてまた諒君が3~4行喋って、僕が「なるほど!」とセリフを返していたら、諒君が「セリフの練習にならない!」って(笑)。
北村:セリフ合わせをしようとしているのに、俺しか喋ってないから(笑)。
――改めて、この作品の魅力をどう感じていますか。
松井:今回は特にシャーロックにスポットが当たるというか、裏で操っているのはウィリアムなんですけど、シャーロックが世間から名探偵と言われる話が入ってきたりと、暗躍するウィリアム陣営と、世間の脚光を浴びるシャーロックの光と影の関係性が1作目よりも見えてきます。
北村:いろんな対比が見どころだし、面白いと思いますね。かつ、舞台セットもパワーアップしていて、おもしろい舞台装置の演出も含めて、迫力もあって、目でも楽しめる作品になっています。
――ちなみに、一般的にモリアーティとシャーロック・ホームズと言えば宿敵関係ですが、お二人にとってライバルと呼べる存在はいますか。
北村:ライバルって思うことってあんまりないんだよな…。でも、作品ごとにライバルがいるな。
今回で言えば、本当にウィリアムを演じるまっきー(荒牧)がライバルで、役としてもそうだけど、演じている役者同士でもそうなんです。シャーロックとウィリアムが対になっていることで、やっぱりまっきーよりいい芝居してやろうみたいな気持ちが湧いてくるので、そういう意味では、作品ごとにいろんなライバルがいますね。
松井:僕は劇団に所属しているので、メンバーが身内でありライバルかなと思います。拠点は大阪でやっているんですけど、各々いろんな舞台に出ています。
僕が個人として出させていただいた舞台は、「めちゃくちゃ面白いから観に来てみ?」みたいに他のメンバーに良く連絡するので、どの作品に携わらせてもらうときも、メンバーに自慢できるような作品にしようと常に思っています。
撮影:ケイヒカル
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