2019年4月に上演を控える舞台『桃源郷ラビリンス』。
日本人なら誰もが知るあの『桃太郎』の転生者・吉備桃太郎とそこに集う“ワケあり”な人々を描く同名小説のマルチメディア・プロジェクトとして舞台上演と映画上映が決定している。
今回は2019年秋公開予定の実写映画版『桃源郷ラビリンス』でも主演を務める吉備桃太郎役の鳥越裕貴、大和尊役の高橋健介に本作の魅力を語ってもらった。2人の師弟(!?)関係がにじみ出るインタビューはファン必見!
ーーまずは自己紹介を兼ねて演じる役について教えてください。
鳥越:吉備桃太郎役の鳥越裕貴です。僕の役はいい人すぎて色々受け入れてしまって苦しんだりもするけど、ちゃんと貫き通す人っていう印象でしたね。
なんか「損するやろなぁ」って客観的には思ったんですけど、そこが彼の良さでもあり味でもあるのかなって思いましたね。
高橋:大和尊役の高橋健介です。そうですね……台本読ませて頂いてまず思ったのは「英語の台詞がなくてよかったな」です(笑)。
バレちゃうじゃないですが、英語の発音って。だから最初あったらどうしようって心配してました。
鳥越:なんやねん、それ(笑)。そんなん言うなら(劇中で)英語、振ろうかな。
という先輩の独り言に「やめてください!(笑)」と即ツッコミを入れていた。
高橋:えーと……そうですね。ありがたいことに僕も大学に行かせてもらったので、たくさん勉強したところは役とちょっと通じる部分があるのかな……と思います。
……あ! あと、友達思いっていう印象は確実に受け取りました。
要領を得ない受け答えに何度か「お前、なんなん(笑)」と隣から激が飛んでいた。
どうやら、劇中では桃太郎と尊のやり取りはあるものの、映画で見せ場が待っているらしいとのこと。彼のファンはぜひとも舞台&映画をセットで楽しんでほしい。
ーー優しすぎるとおっしゃっていた桃太郎とご自身、共通点はありますか?
鳥越:(やや食い気味に)逆ですね。僕、ズバズバ切っていくタイプなんで。
高橋:受け入れタイプではないよね。
鳥越:あたし? あたしはそうね。
高橋:芯があるタイプだよね。あ、良い感じで言っちゃった(笑)
鳥越:ありがとう。たしかに芯があるタイプではあるので、そういう意味では桃太郎と似ている部分はあるかもしれないです。で、君は? 役との共通点とか。
高橋:僕は自分でAパターンがいいなって思ってて、でも周りにBパターンのほうがいいよって言われることがよくあるので、そういう自分を自分でよく分かってないところっていうのが役と似ているところかなと思います。
尊はまだ自分のことよく分かっていない感じがあるので……。次の展開(映画)で尊のことはもっと分かってくるのかな、と思います。
とのこと。舞台では尊のちょっと謎めいた部分を楽しそうだ。
ーーこの短い時間でも2人の仲の良さが伝わってきますが……
と、2人の関係性について言及すると、鳥越は「全然、まったく仲良くないです」と愛ゆえの手厳しいリアクション。
高橋も慣れた様子で「いや、昨日も一緒にいたじゃん(笑)」と反論していた。
高橋:こう言ってますけど、困ってるとすぐ僕に電話してくるんですよ。今日もスタジオの入口がわかんなかったみたいで「ここかな? ここで合ってる?」って電話してきたし。
仲の良さをうかがわせるエピソードを披露してくれたが、ここにもすかさず「いや、後輩として正しく使っているだけです」と鳥越節が炸裂。彼流の愛情が感じられた。
ーー鳥越さんからは厳しいコメントも飛び出していますが、あまり言いたくないけど実は尊敬しているところがあれば教えてください。
鳥越:ないな。
高橋:ええ! 僕はいっぱいありますよ。鳥越さんはやっぱり先輩と後輩の使い分けがうまいと思いますね。
先輩の前ではすごく後輩気質で、後輩の前では頼れる先輩で。先輩からもらったものを後輩たちに返していくようなところがすごいですね。
鳥越:えーっと、僕はですね、ウルトラマンやっててすごいなって思いますね。
高橋:作品の話!?
鳥越:でもなかなかヒーローってできないでしょ。
高橋:そういう意味では今回は鳥越さんヒーローじゃないですか。どうですか、初“正義の味方”。元祖ですよ、ヒーローの。
鳥越:いや、桃太郎からヒーローって普通連想する?なかなかしないで。
ていうか、話の着地点を考えてから喋れって。……なんか、彼のこういうところはすごいなって思いますね。「いけるかな?」って結末を気にせずに突き進むところあるんで。
脱線しつつも最後は話の軸を戻してくれる手腕に、彼の頼れる先輩らしさが垣間見えた。
ーー役では年に一度しか会えないという設定ですが、もし2人が年に一度しか会えないならそのときは何をしたいですか?
鳥越:とりあえず引っ叩くかもしれないですね。1年分のストレスを……。
と、相変わらずのコメントに対し高橋は「鳥ちゃん僕の周りにいる人のなかで多分1番お酒好きなんで、お酒ですかね。年に一度なんで一緒に飲んで楽しい日になればな……」と先輩思いな一面をのぞかせた。
ーー共演者についてお話を聞かせてください。
2人とも共演経験があるキャストは半数ほどとのこと。そのなかでも高橋はヒーローの先輩である金子昇と中村優一の名前を挙げた。
高橋:金子さんは僕が小さい時、リアルに見ていたヒーローなので、共演をきっかけに仲良くなれたらいいな、と思っています。
鳥越:健介とは会話劇で芝居ってあんまりやったことがないので、知っている人だからこそそのへんはすごく楽しみですね。
あと、中村さんも「この役なんだ!?」っていう驚きがあって、芝居のなかですごくスパイスになる役どころじゃないかなって思っているので、僕自身もすごく楽しみだし、お客さんも楽しめるんじゃないかなって思います。
ーー鳥越さんは今回、そんな座組を率いる座長ですが意気込みを聞かせてください。
鳥越:そこはですね、座長という感じにさせないです。「みんなで」という感じを作っていきますね。あとはまあ彼もいるんで。
と、高橋の肩を叩いた。「鳥越さんにそう言って頂けたなら、もう張り切ってお店探します」と、なぜかここから打ち上げの店探しの話に……。
なかなか止まらない店探しトークに、鳥越は「ずっと記事に書けない話しとるやん」とボヤいていたが、しばらくこの話題が続いた。読者はマイペースにニコニコ話し続けていた彼の姿を思い浮かべて、ぜひ和んでほしい。
ーーさて、今回は岡山公演がありますが、いかがですか?
鳥越:なかなかないですからね、この作品だからこそっていう感じで嬉しいです。美味しい地酒があると思うんで、それも楽しみですね。
高橋:鳥ちゃんと前この作品の話をしたときに、「岡山行けるぜ!」って言ってたので、すごく楽しみにしているみたいです。
鳥越:その言い方だと岡山行けるからこの仕事受けたみたいになってんじゃん(笑)
高橋:そんなこと言ってないじゃん!(笑)岡山……僕も食べ物とか……あ、きびだんご! ちゃんとしたきびだんごが楽しみです。食べたことある?
鳥越:僕? けっこう好きよ。一時期ハマってお土産用で売ってるきびだんご、あれ買ってたもん。めっちゃうまいねんで。
高橋:え……どこの?
鳥越:どこって、岡山の……。
高橋:え……。
鳥越:え……。
きびだんごをめぐり、まるでコントのようなやり取りが繰り広げられた。元から共演機会が多い2人。コンビネーションの良さが印象的だった。
ーー『桃源郷ラビリンス』は転生が描かれていますが、もし転生するならどんな人物や人生がいいですか?
鳥越:社長とかオーナーですかね。こう、大勢を束ねるトップみたいなのがいいです。お金もたくさん持ちたいですし(笑)
高橋:いまから目指せるじゃん。
鳥越:いや、生まれ持ちたいの。ほら、いまだとやっぱり人の良さが出てきちゃって部下を顎で使ったりできないから。
高橋:やってるで、それ。
鳥越:おい。じゃあ、健介は?
高橋:(かなり悩んでから)鳥。飛びたいです。
ーー人間ではなく?
高橋:はい。あ、でも人間の記憶を持ったまま鳥になりたいです。鳥の記憶だけだと、飛べた時の感動を実感できないと思うので。
この鳥トークに対抗するかのように、鳥越も「じゃあ僕、イルカ」とイルカの豆知識を披露してくれた。
転生の話から思わぬ動物トークに花が咲いてしまったが、最後にはカッコよくビシッと締めてもらった。
ーー最後に作品への意気込みを熱くお願いします!
高橋:『桃太郎』って誰もが知ってるストーリーですが、この作品は現代の桃太郎です。
「こんな桃太郎もあるんだな」って思ってもらえる作品になると思うので、ぜひお楽しみに!
鳥越:このキャスト、このカンパニーでできる桃太郎を観せられたらな、と思っています。
意外と会話劇も多いので、そこのテンポ感だったり、コメディさだったりを出せたらなと思いますので、ぜひ楽しんでください。
今回は2人の日頃の関係性が透けて見えるインタビューとなった。舞台そして映画ではどんな2人が観られるのか、いまから期待は膨らむばかりだ。
原作ファン、そして2人のファンもこのインタビューで想像をめぐらせながら、初日の幕開けを心待ちにしよう。
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