2018年1月、同年9月とこれまで2作品が上演されてきた舞台『モブサイコ100』。アニメで主人公・影山茂夫(モブ)を演じた伊藤節生が舞台版でも同役を務め、川尻恵太の脚本・演出によって表現される独特な世界観が好評を博した人気シリーズだ。
約3年ぶりの新作では、ついにモブや霊幻新隆らと秘密組織「爪」第7支部との全面対決が描かれることになる。
2.5ジゲン!!では、前作で兼役として登場した、覚醒ラボメンバーの星野武史と朝日豪をそれぞれ演じるJBアナザーズの中島拓人と杉山真宏にインタビューを実施。お互いを知り尽くしているという2人に、作品への意気込みや演じる役の魅力、共演への想いなどを語ってもらった。
欲しい能力は“瞬間記憶”と“瞬間移動”
――シリーズ初参加となりますが、まずは出演が決まった際の心境を教えてください。
杉山真宏(朝日豪役):コロナ禍で時間ができたときにアニメをいろいろ観ていて、その中で偶然、アニメの『モブサイコ100』を一気見していたんですね。舞台へのお話を頂いたのがアニメを見たばかりのタイミングで、「ちょうど見た作品だー!」ってテンションが上がりました(笑)。だから、舞台版に出られるのが嬉しかったですね。
中島拓人(星野武史役):僕は出演が決まるまで作品を見たことがなかったんですが、お話を頂いてからアニメを見まして。そうしたら超能力者のお話だったので、「え、ちょっと待って。これ、もしかして舞台で僕も超能力使えるの!?」って(笑)。めちゃくちゃ楽しみになりました。
――お二人は覚醒ラボのキャラクターを演じられます。アニメをご覧になったとのことですが、それぞれのキャラクターの印象はいかがでしたか。
中島:最初「超能力使えるじゃん!」って思いながら作品を見始めたんですけど、星野が登場して、「使える…けども!」みたいな感じで。
一同:(笑)。
中島:でも逆においしいかもって思いましたね。
杉山:(笑)。朝日はすごくかわいらしい役なんですよ。最初アニメを見たときも覚醒ラボのメンバーの「超能力が使えるけどか弱い感じ」がすごくかわいらしいなって思って見ていたので、朝日の魅力を出しながらも、自分の色もプラスしていい感じに演じられたらなって思っています。
――超能力者の役にちなみ、どんな超能力が欲しいですか。
中島:僕は見たものを一瞬で覚えられる能力ですね!
杉山:あ~。完全に役者思考の能力じゃん。
中島:台本然り、共演者やスタッフ、ファンの方のお名前も一回でバンっと覚えたいですね。僕はあまり物覚えが良くないので、そういう超能力がめちゃくちゃ欲しいです。
杉山:僕は瞬間移動ですね。
中島:うわ! 出た~!
杉山:いや、もう絶対これでしょ。役者じゃなくても、みんな欲しい力ですよね、きっと。ギリギリまで寝てたいし、準備したいし。稽古場とかも瞬間移動でパーンっと行けたらいいよね。
中島:わかる~。それ、いいな。帰るときとかも、一瞬で家でしょ? うわ、いいな~。
杉山:いいよね。どれか一つだったら、絶対この力が欲しいです(力説)。
『モブサイコ100』で笑いに挑戦
――普段の役作りでのこだわりを教えてください。
中島:原作がある作品の場合は、自分の演じる役のポーズというかシルエットというか、登場シーンと同じ姿形が再現できるように意識していますね。観ている方に「今のシーン、原作とまったく同じだ」って思ってもらえるとすごく嬉しいので。
今回の星野でいえば、スプーンの持ち方とか曲げ方とか(笑)。そういうところもこだわっていきたいなと思います。
杉山:僕は、原作がある舞台に出るときは、あんまり原作を意識しすぎないほうがいいのかなと思って役作りするようにしています。意識しすぎると、お芝居というよりモノマネになってきている感じがするなって、初めて2.5次元作品に出演したときに思ったんですね。なので、原作の役を大事にしながらも、自分の色を加えて、板の上に立っている周りの人とちゃんと会話をするっていうことを意識しています。
特に、舞台に出始めた最初の頃は、原作の声をすごく意識していたんですよ。でも声を寄せる、真似するっていうよりは、台本に書いてあることをちゃんと演じていれば、ウィッグや衣装が付いたときに自然とその役に見せてくれると思うので、それを信じて、しっかりとお芝居を届けたいなって思っています。
――お二人の役は作中でコミカルなシーンを担うことも多いんじゃないのかなと思います。コミカルな作品や役どころはこれまでに経験されたことはありますか。
中島:僕はないかもしれないですね。
杉山:作品の中でのちょっとしたおふざけシーンとか日替わりネタのようなことは少しやったことがあるんですけど、毎回変に緊張しちゃって…。だから、今回もどうなるのかなって、未知な部分が大きいです。
中島:僕(の演じる星野)は、見た目からしてもうコミカルなので。髪もぐわっと前に出ていますし、服もキラキラひらひらしていますし。ビジュアル撮影のときに実際に衣装を着てみて、「おお~」ってなりましたね(笑)。
杉山:キャラクターに扮している姿を見て、僕も思わずニヤッとしちゃいました。
中島:あの姿はとにかく頭が重いです(笑)。
杉山:だろうね(笑)。
――今まで出演されてきた作品ともまた一味違った作品になりそうですね。本作で役者として挑戦したいこと、成長したいことはありますか。
杉山:コミカルなお芝居は自分の中でも課題だと感じているので、この作品はまさに挑戦だなと思います。本当に難しいんですよ、笑いを生むのって。お芝居をやるようになって、改めてお笑い芸人さんのすごさを感じていますね。
中島:あ~わかる。絶妙な間とかね。
杉山:芸人さんって、お芝居のうまい方がすごく多いじゃないですか。そういう意味では、今回は(エクボ役の)なだぎ武さんもいらっしゃるので、見て学んで、盗めるものは盗みたいなって思います。
中島:僕も笑いを取れる芝居っていうのが、課題だなって感じているので、舞台『モブサイコ100』は僕にとって課題の詰まった作品になるんじゃないかなって。
杉山:課題が多い分、いい意味ですごく緊張しています。だけど怖がらずに挑んでいきたいです。
中島:真宏でもビビるんだね。
杉山:いや、普通にビビるよ! 笑いを取らなきゃいけないシーンがあるだけでビビっちゃうよ。日替わりとかね、出る直前まで袖で練習したりするんですけど…。
中島:今回で成長を見せていこう! 大きく出ておこう!
杉山:気負いすぎて空回りせず、成長できたらなと思います(笑)。
カンパニーの“新しい風”に
――JBアナザーズとして一緒に活動されていますが、舞台での共演は初めてでしょうか。
中島:実は過去に一度だけ、JBアナザーズのメンバーだけでやった舞台があって、そこで共演したんですけど。
杉山:その作品が2~3年前なので、共演はそれ以来ぶりです。
――外部公演での共演としては、今作が初めてになるんですね。
杉山:そうです! なので共演者の名前の中にたくてぃー(中島)の名前があったので、なおさら楽しみになりましたね。星野と朝日の役どころも近い関係性だったので、一緒にお芝居ができるんだなって嬉しかったです。
中島:僕も真宏くんが出ている舞台を観させてもらう機会はあったんですけど、なかなか一緒になることがなかったので、すごく楽しみです。
――お芝居を通じてお互いに新たな一面を知ることもあるのかなと思うのですが…。
杉山:もう見すぎましたね。新たに見えるところも、もう無いんじゃないですかね(笑)。
中島:もう無いよね。
杉山:全部さらけ出しちゃっているからね。
中島:初めて会ったのが4年前かな。彼が先にグループに入っていたので、一応彼が先輩で。
杉山:一応。
中島:そうそう、一応(笑)。1年後に僕が入った形ですね。
杉山:あのとき、たくてぃーも10代だったっけ?
中島:19歳だったかな。
杉山:そうだよね、僕が18歳で。どうする? もう今年、23・24歳じゃん。
中島:時間経っちゃったね、怖いね…。
杉山:こんな感じの間柄で毎週2~3回会いつつ、4年間一緒だったので、もう彼のことは本当に全部知っていると思います。
――第一印象から変わったところはありますか。
杉山:いい意味で、印象は変わってないですかね。最初からしっかりしているイメージがあって、そのまま育ってくれたかなっていう。
中島:誰目線、それ(笑)。
真宏くんの印象は、最初は“ザ・ジュノン顔”というか、王道イケメンっていう印象が強かったんですが、しばらく一緒にやっていく中で、「あ~この人も、普通の一人の人間なんだな」って思うようになりましたね。
杉山:最初から一人の人間だよ(笑)。
中島:あと素直ですね。グループの中でも一番本能の赴くまま生きている感じがしますね。
――お二人の共演もとても楽しみですが、お二人が共演を楽しみにしているキャストはいますか。
杉山:たーさん(花沢輝気役の河原田巧也)や、がっくん(影山律役の松本岳)、(魔津尾役の)天羽尚吾くんとは共演したことがあるので、また一緒にできるのが楽しみですし、プライベートでお会いしたことがある方もいらっしゃるので楽しみですね。
特にたーさんは、以前の共演の際とは違って今回はコミカルなシーンが多いと思うのですごく楽しみです。
中島:僕は自分が出演していた作品の歴代キャストに(誇山恵/嶽内役の)田中涼星さんがいらっしゃって、何度もDVDで拝見していたので、一緒にお芝居できる機会ができてすごく楽しみですね。
――初演からの続投キャストが多いカンパニーですが、シリーズものの作品に参加する際に心がけていることや大事にしていることはありますか。
杉山:やっぱり新キャストは“新しい風”だと思うので、僕が入ることによって変えられる部分をちゃんと変えていきたいなっていうのは、ひっそりと自分の中では考えていますね。そういうところが、新たに参加する意味でもあると思うので。
あとやっぱり一番は、仲良くなることですね。関係性が作れていないところに、いきなり新しい風だけがバーっと入ってもうまくいかないと思うので、仲良くなって周りとセッションしてお芝居をしていけたらなって思っています。
こういうご時世なので、ご飯に行って親睦を深めるってこともできないので、どの作品でも難しいところではあるんですけど、稽古の段階からしっかり関係を作っていきたいなと思っています。
中島:星野は前作が兼役での登場で、役付きで登場するのが今回初めてということで、自分らしくやりたいなと思います。覚醒ラボのメンバーと一緒に、あのメンバーならではの空気感を新たに作っていけたらと思いますね。
――どんな覚醒ラボができあがるのか楽しみにしています。では、最後にファンへのメッセージをお願いします。
杉山:この状況なので、暗い話題が多かったり、マスクのせいで笑顔が見えにくかったりするんですが、この作品で、マスクをしていても分かるような笑顔と笑いを届けて、少しでも元気になってもらえたらなと。この作品が、明日を生きる希望になればいいなと思いますので、ぜひ観に来てください!
中島:僕、普段アニメを見ていて笑うことってあまりないんですけど、『モブサイコ100』は素で笑っちゃうくらい面白かったので、絶対舞台も面白くなると思います。観劇している時間は、作品の世界に浸ってもらえたらと思うので、ぜひ楽しみにしていてください!
* * *
中島と杉山からは、挑戦に満ちた本作への高ぶる熱意が言葉の端々から感じられた。約3年ぶりの新作上演に向けて高まるファンの期待に、2人が演じる星野と朝日はどんな笑いと感動と熱さで応えるのか。公演の幕が上がるのがますます楽しみだ。
文:双海しお/撮影:ケイヒカル
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