インタビュー

向井葉月、マイペースでも“熱い”演技への想い 『蟻地獄』復活上演に「絶対に成功させたい」

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舞台『蟻地獄』が6月4日(金)から上演される。原作小説を手がけたインパルス・板倉俊之が自身で脚本・演出を務める同舞台は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて公演が中止。今回、約1年の充電期間を経て復活公演が決定、社会の暗部を舞台にしたスリリングな心理戦の幕が上がる。

2.5ジゲン!!では、ヒロイン・マフユ役を務める乃木坂46の向井葉月にインタビューを実施。本作に懸ける思いはもちろん、これまでも舞台で振り幅の広い役柄を演じてきた向井の俳優としての歩みにフォーカスして、じっくりと話を聞いた。

役との共通点に「明るい子ではない(笑)」

――今回の舞台『蟻地獄』は、もともと昨年上演される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止になっていました。昨年は乃木坂46というグループ全体でも、中止になったライブやイベントが多かったと思います。

メンバーそれぞれに、乃木坂46に入ってどんな仕事をやりたいというのがあると思うんですけど、私の場合は特にライブをやりたいタイプの人間なんです。ライブがなかった期間はファンの皆さんにもお会いできないし、寂しい時期を過ごしていました。ライブってやっぱり成長できる場所なので、それがなくなってしまうのはすごくつらいことではありましたね。

――そして『蟻地獄』も今年6月にようやく復活上演となります。原作はダークなテイストもあり、裏社会的な要素もありますね。この作品に触れてみて、どんな印象を持ちましたか?

難しいなっていうのが最初の印象でしたね。私は結構、頭を使わずに生きてきてしまったタイプなので(笑)。だから、原作を理解するのに時間がかかって。その後、台本をいただいてからもまた、深く読まないとついていけない難しさを感じています。

――登場人物がそれぞれに、相手の裏をかいたり警戒し合ったりと思考を巡らせていきます。

私にはそういうところもなくて、深く考えるというよりは本当にまっすぐ生きていってしまうので。でも、自分の中になかった世界に入っていけるというのは楽しみですね。

――向井さんが演じるマフユは暗い過去もあり、主人公の孝次郎(演:髙橋祐理)に疑いの目を向けられる人物でもあります。マフユという役についてはどのような印象ですか?

マフユのような暗い過去が自分にはないですし、ちょっと表現が難しいところもあるとは思います。でも、人を簡単に信じることができないところは、少し私と似ているかな。それと、マフユって暗いイメージがあるキャラクターじゃないですか。私も基本的に明るい子ではないので(笑)、ありのままでいたらマフユに近づけるんじゃないかと思います。

――脚本・演出を務めるのは、原作者でもあるインパルスの板倉俊之さんです。稽古現場はどんな雰囲気になりそうでしょうか。

結構、板倉さんから声をかけてくれることが多いんですけど、そのお話の一つ一つが面白いんですよ。もともと私はお笑いが好きなので、全部がツボなんですよね。だから、こんなダークなストーリーなのに休憩中はゲラゲラ笑っちゃいそうで、楽しくなるんじゃないかなって思います。

――製作発表でも、板倉さんからたびたび即興コントのような会話を振られていました。

でも、お笑いは好きだけど自分ができるわけではないので、うまく応えられないのが残念ですけど…。キャストの皆さんと板倉さんがお話しているところを、輪に入らずに遠くから眺めていたいなと思います(笑)。

人気キャラクターを演じる覚悟と葛藤

――乃木坂46は舞台で活躍するメンバーが多いグループですよね。向井さんご自身が加入される前から、そういうイメージは持っていましたか?

もちろんそのイメージはあったんですけど、そのころ特に強い印象があったのは、『16人のプリンシパル』でした。

――乃木坂46の舞台公演『16人のプリンシパル』は一幕目がオーディション、二幕目が演劇の二幕構成で、メンバーにかかるプレッシャーや負荷もちょっと特殊ですね。

あの『プリンシパル』でたくさんの経験をしているからこそ、乃木坂46の芯の強さが出来上がっているんだろうなと思っていて。だからこそ、個人でのお仕事でも活躍できるんだろうと思っています。

――向井さんをはじめ3期生メンバーは、グループに加入してからすぐに、その『プリンシパル』を経験しました(『3人のプリンシパル』、2017年)。

3期メンバーの間でも『プリンシパル』の時の話をすることは多いんですけど、実は私自身は大変だったという思い出はあまりなくて、楽しかったんですよね。もちろん、先輩方の頃の『プリンシパル』に比べて、覚えなければいけない役の数も少なかったので、先輩ほど大変ではなかったと思います。演技は『プリンシパル』が初めてでしたけど、当時は楽しいなと思った記憶があります。

『プリンシパル』の第一幕では毎公演、自己PRがあるんですけど、それを毎日考えるのがすごく楽しかったんです。他のメンバーのPRを見ている時間も楽しかったし。それから、公演ではエチュードがあったんですけど、私が人生で一番笑いをとったのがそのときなんですよね(笑)。

――その後、『見殺し姫』(2017年)、『星の王女さま』(2018年)と、乃木坂46の3期メンバーが一つのユニットのようになった出演舞台を経験されます。

私たち3期は乃木坂46にとって久しぶりの新メンバーだったんですね。先輩たちに追いつくために、3期生という一つのグループのような感じで活動して、大きなステージをいただいて。「ここで成長しないと」という危機感というか、上を目指す気持ちを3期生12人全員が強く持っていた期間だったんじゃないかなと思います。

――向井さん個人の役柄にフォーカスすると、『見殺し姫』では少年的な凛々しさのある役、『星の王女さま』ではオタクっぽくて人とのコミュニケーションに難がある役。振り幅の大きい役柄を、それぞれ繊細に演じられている印象でした。当時はどのように役にアプローチしていたのでしょうか?

なんだろうな、今ほどいろいろなことを考えずにやっていたんですよね。「役に入る」というよりは、この役はこうやって台詞を言うんだなということを理解して、書いてあるままを演じていた感じです。『見殺し姫』や『星の王女さま』もそれぞれ変わった役でしたけど、それよりもその後、『コジコジ』や乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』(ともに2019年)では自分も成長して、「こうやって演じなきゃ」という考えがあったぶん、役に入るのが難しかったです。以前は、何も考えずにやっていたから、ある意味でやりやすかったんですね。

――『コジコジ』のコジコジ役、『美少女戦士セーラームーン』のセーラーマーキュリー/水野亜美役は、いずれも歴史のある有名キャラクターです。そうした役柄を背負うことの難しさは感じていましたか?

私も『コジコジ』や、原作のさくらももこさんの作品は大好きなんですけど、やっぱり人気作ですし、『コジコジ』ファンの方もいらっしゃるので不安はありましたね。どう思われるかは分からないけど、何を言われても自分のありのままで演じようと強く思っていました。『セラミュ』もキャラクターを背負う意識はあったんですけど、私たちが演じる一年前に、乃木坂46の他のメンバーがキャストになって上演していたので、前年にマーキュリーを演じた2人(伊藤理々杏、渡辺みり愛)とは、何か違う味が出せたらいいなということも考えていましたね。

――前年に演じられていたメンバーの演技を観て、どのように感じていましたか?

観に行った頃は、次に私がやるとは全く思ってなかったので、何も考えずに観ちゃっていて(笑)。だから、役が決まったときは本当に自分が演じるのかとびっくりしました。これまで、振り幅が大きい役を演じてきて、演技ができるよねと言ってもらえることが多かったんですけど、私が今まで演じてきた役の中で水野亜美ちゃんって一番、普通の女の子なんですよね。考えてみれば、ちょっと変わった役柄の方が演じやすいのかなって思って。

――セーラーマーキュリー/水野亜美さんは分かりやすくとがったキャラクターというのとは違いますね。

そうなんです。だから、普通を演じるのが一番難しいんだなって、『セラミュ』をやってみて分かりました。多分、私の本当の性格に一番近いのは亜美ちゃんなんですよ。だから、亜美ちゃんを演じるときって自分のままで「普通」でいちゃうんです。でも、それだと役として成り立たない。そこは、すごく悩みましたね。

――共通点があったとしても自分自身ではないですからね。

そうです。それで、ステージに立っちゃうと今度は頑張りすぎちゃう。全然違うものになってしまうんですよ。セーラージュピター/木野まこと役の伊藤純奈さんが、「葉月はそのままでいいから。力を入れないで、20%の力でやって」って言ってくださったんです。そこでちょっと気付いて、自分に亜美ちゃんの賢さや柔らかさをプラスして亜美ちゃんになれたかなと思います。

――改めて今回の『蟻地獄』について、個人で外部の公演に出ていく場合、グループの仕事のときと大きく意識が変わったりしますか?

うーん、あまり変わらないですかね。良くも悪くもマイペースなので、そのままだと思います。人見知りはあるので、なかなか自分から話しかけにいったりはできないですけど、気持ちは変わらないですね。でも一応、乃木坂46の代表としていくので、下手なことはしないようにと気を付けています。

――演技の際に考えることも多くなってきたと仰られていましたが、演じる仕事への意識に以前と違いはありますか?

任されたお仕事を全うするっていう気持ちは変わってないです。本当にいつも、全力でやるだけですね。やっぱりお仕事をいただくのは嬉しいことなので。今回も、1年前に公演中止になったところからの復活上演ですし、気持ちはすごく強いんですよね。言葉にするのって難しいから、なかなか伝えるのは簡単じゃないんですけど、絶対に成功させたいし、素晴らしいものにするぞって思っています。

取材・文:香月孝史/撮影:友野雄

※髙橋祐理の「祐」は旧字体が正式表記

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公演情報

タイトル

「蟻地獄」

公演日程・会場

2021年6月4日(金)〜10日(木)
東京・よみうり大手町ホール

原作

板倉俊之『蟻地獄』(単行本=リトルモア/文庫本=新潮社))

脚本・演出

板倉俊之

出演

髙橋祐理…二村孝次郎
天野浩成…宮内
向井葉月…マフユ
古賀瑠…ケイタ
向清太朗…フジシロ
佐藤恵一(プロレスラー/エスワン)…クマザワ
安川里奈…女ディーラー
中野裕斗…二村源次郎
三木美加子…二村咲子

近藤廉…大塚修平
迫英雄…杉田

山口大地…カシワギ

ヒラノショウダイ、富山バラハス、古家由依…アンサンブル

特別協力

吉本興業、新潮社、株式会社日本文芸社

企画制作

スーパーエキセントリックシアター

公式ホームページ

https://arijigoku-stage.com/

公式Twitter

@arijigoku_st

(C)板倉俊之/SET

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