2019年から上演されている2.5次元ダンスライブ「ALIVESTAGE(アライブステージ)」、通称「イブステ」。ツキノ芸能プロダクションに所属するGrowthとSOARAの2ユニットにスポットを当てたシリーズとして人気を博している。
この「イブステ」に欠かせない存在が、ライバル事務所のサンプロモーション・エンターテイメント(通称:サンプロ)に所属するZIXだ。2021年2月、ついにZIXをメインとするALIVESTAGE外伝 ZIX STAGE「Break It!」が上演される。
今回は、シリーズ開始から3年目で実現した「ジクステ」に臨む、須貝誠を演じる五十嵐拓人と菱田満を演じる山根理輝にインタビューを実施。本作へ掛ける意気込みや座長としてのプレッシャー、二人の出会いのエピソードなどを聞いた。
ズッシリと感じた主演へのプレッシャー
――まずは「ジクステ」が決まった際の心境をお聞かせください。
五十嵐拓人(須貝 誠 役):嬉しさはもちろん爆発的にありましたけど、それを超えるくらいプレッシャーを感じましたね。今まではGrowthやSOARAに比べると、ウエイトは重くない立場での出演だったので、それが今回メインになって、ほぼ出ずっぱりの状態になって。GrowthやSOARAのきらびやかなところも見ていたし、大変なところも近くで見てきたので、プレッシャーを強く感じました。
でも、プレッシャーを感じることは悪いことではないと思っていて。それを超えてやろうっていうエナジーになるし、“壁”を見定められたので、ポジティブな意味でのプレッシャーですね。ズッッッシリときました。
山根理輝(菱田 満 役):ズッシリきたんだ(笑)。僕は「夢が叶った」って、ズッシリと嬉しかったです! 「イブステ」シリーズに出てきた中で、自分の課題も分かっていたので、ほんの少しだけ不安もありましたけど、どちらかというと嬉しさで爆発しました。
――今作でZIXは中央に立つことになりますが、これまでの作品と気持ちの上で違いはありますか。
五十嵐:今のところ、割と感じては……いる?
山根:稽古場の雰囲気は、違うなって感じている。
五十嵐:あ~なるほど。それはあるかも。
山根:僕たち二人が稽古場を作っていかなきゃいけないんだなっていう気持ちは感じていますね。
五十嵐:あるね。いつもの「イブステ」では、Growthのリーダー・衛藤昂輝役の塩澤(英真)さんや、SOARAのリーダー・大原空役の(堀田)竜成が、率先して色々してくれていて。僕らはゲストの立ち回りだし、他事務所のユニットだし、ZIXが現場でブイブイ言わせていても……みたいなところがあるじゃないですか、普通に考えて(笑)。
だけど今回は、僕らが引っ張るのが普通っていう立場になるので、そこの感覚の違いはありますね。
山根:あるある、めちゃくちゃあるよ。
五十嵐:「もっと皆に声を掛けたほうがいいのかな?」とか、山根くんに相談したもんね。「僕ら座長だけど、これくらいでいいのかな」って。
――お二人で話し合って、どういう結論に至ったんですか?
五十嵐:話し合ったのは最初の1回だけですね。やっていく中で、話し合わなくて大丈夫になったっていう感じです。「引っ張らなきゃ」から「引っ張れている」になったよね。
山根:そうだね、自然にね。いつも通りやっていたら、いつの間にか……っていう感じではあるんですけど、塩澤さんたちの背中を見てきたからこそっていうのはあるかもしれませんね。
五十嵐:潜在意識の引き出しの中に、きっとあったんだろうね。
――では、今はもう座長らしくカンパニーを引っ張っていらっしゃるんですね。
五十嵐:他の人に聞いたら「そんなことない」って言われるかもしれないけど、そうであったらいいなと思います(笑)。
――それぞれ2019年から演じている役になりますが、どんなところに魅力を感じていますか。
五十嵐:男気ですね。考え方や発言、話の中心に入っていくタイミングとかにすごく“男”を感じています。
僕は18歳くらいまで“女々しい”って言われてきたので(笑)、自分の中になかったものを須貝誠の中に見出している感覚で。こういうタイミングでこういうこと話せばかっこいいんだ、とか。
山根:あ~はいはいはい!
五十嵐:彼はやっていることが飾りじゃないじゃん。だから本当に男気のあるキャラだなって思っていますが、満はどうですか?
山根:満は人に弱さを見せないところ、負けず嫌いなところに魅力を感じています……(沈黙)。
五十嵐:以上?
山根:いや、ちょっと待って! 今、考え中だから(笑)!
五十嵐:大丈夫だよ、一応質問に対してはクリアしてるよ(笑)。
――では、ZIXの魅力はどこでしょうか。
一同:いっぱいあるね。
山根:強いて言うなら……。例えば、学生でZIXを表すとさ、真面目系というより“ちょっとやんちゃだけど人気がある”感じじゃん。そこがかっこいいなって思っているんだけど、分かる?
五十嵐:アウトサイドな感じね。我が道を行く感じは、僕自身にもリンクするところがあって。僕も人と同じことをするのが嫌な“変な人間”だから。って言うと、ZIXが変みたいに聞こえちゃうか(笑)。(強調して)ZIXは変じゃない、かっこいい!
山根:拓人くんが変なだけだよね(笑)。
初めて描かれるZIXの“出会い”
――ZIX誕生のエピソードが描かれる本作、注目してほしい部分を教えてください。
五十嵐:関係性の変化ですね。今までは“出来上がっているZIX”を観ていただいていたんですけど、今回はZIXが存在する前の一個人としての須貝誠と菱田満の話なので、二人の関係性の見え方も全然違うと思いますし、僕たちも演じていて戸惑うくらい、これまでにない関係性になっています。お客さんにとってはすごく新鮮だと思うので、そこはぜひ楽しんでもらいたいですね。
山根:僕もそこを一番観てもらいたいです!
――新たなZIXを楽しみにしています! ZIXにとっての新たな一歩となる作品ですが、この作品で挑戦したいこと、成長したいことはありますか。
五十嵐:舞台の主演は初めてで。今までのZIXを好きでいてくれる人がいたから、こうしてこの作品をやらせていただけているので、初主演のプレッシャーはありつつも、今までのものを大事にしながら、さらにファンの皆さんの想いを大きくしてお返しできたらいいなと思っています。
山根:初主演ですし、こんなに長いセリフを読んだこともなかったので、やっていること全部が僕にとっては挑戦ですね。
五十嵐:満くん、セリフ長いよね。シーンによっては台本のページ1枚で、過去3作品分くらい喋るんじゃない? っていうくらいセリフあるよね(笑)。
山根:そう、セリフも多くて。なので、Episode1から観てくれている方がいれば、僕が「これだけ成長したよ」っていうのをお見せしたいなと思っています。
――ファン待望のZIXメインのセットリストへの意気込みはいかがですか。
五十嵐:山根くんにもよく伝えていることなんですが、焼き肉弁当の端っこに甘いデザートが入っているとするじゃないですか。今までの僕らって、その“デザート”だったんです。お肉の合間に食べると、全然違う味がして「おいしいね」って言ってもらえる。だけど、あれは端っこに一個あるからおいしく感じるのであって、そればっかり並んでいたら「うわぁ」ってなっちゃうと思うんです。
だからこの「ジクステ」では、その現象を起こさないようにするっていうのが大事だと思っていて。ZIXって一曲一曲がすごく濃密で、だからこそ、その濃さを保ちつつもお客さんの中にスッと入っていけるパフォーマンスをしなきゃなって考えているし、まだまだ改良の余地はあるなと感じているところです。
山根:僕はまだダンスが未熟なので、拓人くんだけじゃなくて僕も周りのダンサーさんを引き入れるくらいのパフォーマンスができるように頑張っているところです。
――五十嵐さんは振付も担当されますが、こだわった部分を教えてください。
五十嵐:全然違うものにしたいなっていうのを最初から考えていましたね。2.5次元ダンスライブシリーズの良さも大切にしながら、「こういうのもいいぞ」っていう提案をお客さんにできたらいいなと思いながら振付したつもりです。
山根:踊ったことのないようなリズムでの動きがあって、僕は苦戦しています(笑)。めちゃくちゃ難しいんですけど、これができたらオシャレだしかっこいいなっていうのは分かります。だから、これも僕にとっては挑戦ですね。
――ジクステ第2弾があるとしたら、どんなストーリーをやってみたいですか。
五十嵐:今回がZIX誕生のエピソードなので、次は解散ですかね。
山根:なんでだよ! 終わっちゃう(笑)。
五十嵐:っていうのはもちろん冗談で、サンプロの全貌ってまだ見えていないので、同じ事務所に所属しているユニット“帷”(とばり)と一緒にそれを明らかにしていくような内容とか、面白そうじゃないですか?
――「サンステ」としてシリーズにもできそうですね。
五十嵐:そうですね、やりたいですね。ここで言っておけば、もしかしたら盛り上がって実現するかもしれないし、そうしたら僕らもお仕事増えるし(笑)。
山根:それは大事だよね(笑)。僕は「月花神楽」の世界線での誠と満の雰囲気が好きだったので、そこを掘り下げた話をしてみたいです。
――実現する日を心待ちにしています!
唯一無二の“相方”、ZIXとして歩んだ時間
――お二人は長く共演されていますが、初対面時のお互いの印象は覚えていますか。
山根:すごく静かな人で、どうやって距離を詰めたらいいのかなって困っていたのを覚えています(笑)。
五十嵐:僕は山根くんの事務所に知人がいたので、存在はもともと知っていて。だけど、いざ二人組ユニットで、僕の方が年上って分かってからは、僕が引っ張んなきゃなって思っていたので、慎重になっていたのはあるかもしれませんね。変にオラオラいって「ついていけません」って思われちゃうのも嫌だったから、地味に距離を詰めていこうとしていた気がします。
山根:今でもすごく印象に残っているのが、最初に拓人くんから長文メッセージで連絡をくれて、「こう考えているからタメ口でいいよ」とか「これから頑張っていこう」って送ってくれたんですよね。それがすごく嬉しかったのを覚えています。
五十嵐:作戦成功ですね。
一同:(笑)
――そんな出会いを経て、今はお互いにどんな“相方”ですか。
五十嵐:“噛み合っている後輩”ですね。声を掛け合うタイミングとか、先輩として立ててくれる場面とか、伊達に4作品一緒にやっているわけじゃないなって思える存在ですね。
山根:ちょっと言うのが恥ずかしいんですけど、“お兄ちゃん”みたいな存在に思っていて。僕が前の日にアドバイスもらって直した部分も、すぐ気付いて褒めてくれたりするんですよ。ちゃんと見ていてくれて、言ってくれて、本当にこういうお兄ちゃんいたらいいなって思っています。
五十嵐:それも作戦だから。
山根:え! そしたら僕、全部ハマってるじゃん、チョロい(笑)。
五十嵐:それくらいお互い馴染んでいるってことだよ。コミュニケーション取るってなったら、物理的にZIXは二人しかいないから、その分やっぱり馴染んでいくし、意識しなくても高速回転する歯車みたいに噛み合っていったんですよね。それが今の僕たちの状態だと思います。
――その関係性で臨む「ジクステ」への期待が高まりますね。“Z”には最終・最高・究極といった意味合いが込められていますが、それにちなみ、お互いに「ここは最高」だと思う部分はどんなところですか。
山根:最高なところは…(満面の笑みで)おごってくれるところ。
五十嵐:おい!
山根:っていうのは冗談で、いつも僕をちゃんと見ていてくれるところです。
五十嵐:山根くんは真っ直ぐで稀に見る素直さの持ち主だから、その素直さが“Z級”だと思います。
山根:待って、僕もちゃんと拓人くんのいいところ言いたい!
五十嵐:いいじゃん、「Z級におごってくれる」で。
一同:(笑)
五十嵐:逆におごってないときってあったっけ?
山根:ないない、本当に全部おごってもらっている(笑)。
――ご馳走されたもので、一番高級なものは何でしたか?
山根:個室のモツ鍋屋さん!
五十嵐:著名人もよく行くっていう有名なお店で。「先入っていて」って電話したのに、ずっと店の前でもじもじして待っていて。「入れないよ~拓人くん」って(笑)。
山根:あんなお店、緊張して入れないよ!
五十嵐:だからもう「Z級におごってくれる」でいいんじゃない(笑)。
――最後に本作への意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
五十嵐:ZIXを応援してくれている人がたくさん声を上げてくれて実現したZIXメインのステージだと思うので、まずは皆さんへの感謝を忘れずにお芝居にもダンスにも取り組んで、最大級の感謝を何倍にもしてお届けできたらなと思います。気合十分ですので、楽しみにしていてください。
山根:Episode1から積み重ねてきて、作品への想いが胸の中に溢れているので、それを全部お客さんや拓人くんに向けて伝えていきたいと思っています。全力で頑張らさせていただきます!
* * *
饒舌に言葉を紡ぐ五十嵐と、ピュアな言葉選びで想いを口にする山根。一見、対照的に見える二人だがトークの息はぴったりで、五十嵐の言葉通り“噛み合っている”関係性を感じられた。
本人たちはもちろんだが、ファンも待ち望んでいたZIXメインのステージがまもなく幕を開ける。これまで「イブステ」の刺激的なスパイスとして作品を盛り上げてきたZIXだが、ステージの中央をどんな色に染めてくれるのだろうか。
2日間という公演期間ではあるが、濃縮されたZIXの魅力を堪能できる時間となることは間違いないだろう。幕が上がるその瞬間まで、ぜひこのインタビューを読んで、より期待に胸を膨らませておこう。
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