2020年7月に原作ゲームがリリースされ、同年12月に早くもその舞台版として上演される「イケメン王子 美女と野獣の最後の恋 THE STAGE ~Beast Leon~」。
本作には、原作ゲームで声優を務めるリヒト=クライン役の大海将一郎、リオ=オルティス役の峯田大夢、ルーク=ランドルフ役の吉高志音が出演する。“RPP(リアルプリンスProject)”として、原作ファンにもおなじみの3人は、舞台に向けてどんな心境を抱いているのか。
2.5ジゲン!!では、3人に鼎談取材を実施。原作ゲームへの愛あふれる3人に、舞台ならではの魅力や意気込み、見どころを聞いた。
3人がMCを務める生配信番組「イケメン王子生放送 プリなま」での様子を思い浮かべながら、読んでもらえたらと思う。
原作声優3人が懸ける「ビーステ」への想い
――皆さんは原作ゲームに続き舞台版にも出演となりますが、ゲームと舞台、それぞれに出演が決まった際の心境はいかがでしたか。
大海将一郎(リヒト=クライン役):声優と舞台の両方をやらせていただけるっていうのは初めてだったので、すごく楽しみだし、新鮮な気持ちでした。自分がまだ経験したことのない作品になるんじゃないのかなって思いました。
吉高志音(ルーク=ランドルフ役):僕は声のお仕事がそもそも初めてだったので、声優としての役作りの仕方とか、舞台とは違った距離感でのお芝居とかに戸惑う部分がありました。
だけど、実際に収録をしてみると、マイクがすごく近くて、そのおかげで主人公に寄り添って気持ちを考えることができたので、それが楽しかったですね。
大海:志音くん、緊張しているのかい?
一同:(笑)
大海:そんな真面目にいく? いつもと全然違うじゃん!
吉高:いやいやいや、今日はね、今日は真面目にいきますよ。
峯田大夢(リオ=オルティス役):え~困ったな。僕、どっちでいけばいいんだよ(笑)。
えーっと、出演が決まったときですよね。タイトルに「イケメン王子」って入っているので、自分が“王子”にそぐうのか、そぐわないのかっていうのは、すごく考えました。声だけだったら王子もいけるかもしれないけど、舞台になったときに実際にそういう振る舞いを見せられるのかなっていう不安はありましたね。
自分が声優として演じたキャラクターが実写化した際に、自分が演じるっていうのは、僕の一つの目標でもあったので、この作品でその目標が達成できてすごく嬉しく思っています。
――原作から携わっている中で、舞台で演じる上で意識されるところはありますか。
峯田:僕はウインクです! すごい練習しています!
大海:(「プリなま」の放送で)前も言っていたけど、どれくらい成長した?
峯田:じゃあ、見る? 王子たる者、一発で決めなきゃ。
吉高:3、2、1…
峯田:(バチリと王子にふさわしいウインクを披露)
一同:お~。
大海:じゃあ舞台では、その練習の成果がきっと見られるんだよね。
峯田:うん! もともとウインクできないから頑張っているところ。おみ(大海)ちゃんは?
大海:ゲームだと基本的に立ち絵のイラストなので、キャラが動かないんですよね。
ゲームでは、それも想像力を掻き立てる魅力の一つだと思うんですけど、舞台では僕たちが生身の身体で動いて表現できるので、その僕たちが生み出せる表情や仕草、それにきっと殺陣もあると思うので、そういうものを含めた“動き”のある舞台ならではの表現をお届けしたいなって思います。
“入口”になるからこそ「甘んじたくない」
――大海さんも吉高さんも、舞台を中心に活躍されていますが、原作から携わっているということで普段の役作りと違う部分はありそうですか。
吉高:ボイス収録のときに、僕なりに想像したルークの仕草や雰囲気があるんですが、舞台上のちょっとした動きでそれをどう表現しようかなって思っていて。役作りではそういう部分を研究したいなって思います。
大海:お芝居を作るっていう意味では、根幹は一緒だと思うんですよね。だけれども、声から携わらせてもらったことで、僕たちはより深くキャラクターと作品を理解できていると思うんです。
本来であれば、舞台化作品への出演が決まったら、そこから原作の勉強をやっていくと思うんですけど、この作品はスタートの、ゼロのところから知っているので、だからこそより違ったアプローチで役を研究したいなって。
具体的な方法は、また台本をもらったり稽古が進んだりしたら見えてくるのかなと思うんですけど、声優も舞台も両方やらせていただける機会ってなかなか無いと思うので、今までにないやり方でリヒトを作っていけたらなって思っています。
吉高:実際、すごいリアルだよね。舞台を観たときに、「わ! 本当にリヒトだ!」って、きっとお客さんは感じてくれるじゃないですか。
大海:そうだよね。僕たちは声優もやらせていただいているから、きっとご覧になった方は「ゲームと同じ声だ!」って思ってくださると思うんです。そういう意味では、僕たちの存在は“入口”になるなって。
峯田:すごく入りやすい入口になれるよね。
大海:そう、でもだからこそ、僕はそこに甘んじたくないなって。入口になるだけじゃなくって、「舞台を観て、作品自体がもっと好きになりました」って思ってもらえたらいいなって思うんです。
舞台を観てからゲームをプレイしたときに、「舞台ではああ動いていたから、きっとゲームの中の彼らもこういう風に動いているんじゃないか」って、より鮮明に光景を思い浮かべてもらえたら素敵だなって。
峯田:そうだね。皆さんの想像力を刺激するようなお芝居をしたいなって思います。
――舞台ならではの表現が観られそうで楽しみです! 皆さんのキャラへの愛がひしひしと伝わってきますが、舞台を通じて、自身のキャラの「好きになってほしい」注目ポイントがあれば教えてください。
吉高:ルークは胸元にホクロがあるんですけど、舞台ではぜひ生でそれを観てほしいですね。実際、僕も同じところにホクロがあるんです。他にホクロをお見せする機会はあまりないと思うので、ぜひ!
大海:舞台はどうしてもセリフを言っている人に視線がいってしまうものではあるんですが、セリフのないシーンでもそれぞれの心情を演じていると思うので、そこに注目してもらうとより楽しめるんじゃないかなって思います。
吉高:ゲームでは分かりにくいお互いの距離感とか関係性が観られるのは、舞台ならではだよね。
大海:そうね。ゲームだとリヒトしか絵が出ていないシーンでも、もしかしたら周りにレオンとかもいるかもしれないし、それこそ全員がバッと並んでいる絵は舞台ならではの魅力なんじゃないかなと思います。
峯田:おみちゃんのコメントはもう舞台の魅力総なめの内容ですね(笑)。
リオとしては、執事として主人公の周りをぐるぐるしているので、主人公への愛が伝わればいいなと思います。あと、いろんなキャラに絡みやすい立ち位置なので、みんなにどんなイタズラをしようかなって今から考えています(笑)。なので、そのイタズラをお見逃しなく!
――そのイタズラの合間に、特訓したウインクが入ってくるんですかね?
峯田:そうです! そうです! 合間に入れていきますよ~(笑)。
大海:それは見逃さないでほしいね、一瞬だけど(笑)。
峯田:一瞬だけど、けっこう入れていこうと思っているから! そのうち主人公だけじゃなくって男性陣にもやり始めるかもしれないので、全方位に向けてウインクを放つ瞬間を探すっていうのも楽しみにしてもらえたらと思います。
王子を演じる3人の意外な“野獣の顔”
――RPPとして「プリなま」ではすでにキャラを実写で演じていらっしゃいますね。胸キュンなセリフを披露している実写ミニドラマの撮影はいかがですか。
峯田:僕はカメラに向かって演技するっていうのが初めてだったので、最初はすごい緊張しちゃって、セリフが飛んで大変でしたね。カメラを見つめつつ、「これはカメラじゃなくてベルなんだぞ」っていう想像力が求められるんですよね。
おみちゃんと志音くんの撮影を見ていると、「あれ絶対、カメラをカメラだと思ってないな」って感じなので、カメラマンさんにもアドバイスをもらいつつやっていますね。2人はああいう撮影やったことあるの?
大海・吉高:ないよ。
吉高:でも、楽しんじゃっているかも。毎回アドリブのセリフもあるんですけど、自分ならこう言うけど、人たらしのルークならこう言うんじゃないかなって考えるのも楽しいです。撮り終えたあとは、さすがに恥ずかしいですけど(笑)。
大海:僕もね、恥ずかしかったんですけど、「本番スタート」ってなるとそういう気恥ずかしさとか一切なくなっちゃうんですよね。没入しちゃうというか。
アドリブのセリフも、あんまり考えないで出てくるんです。映像作品の経験はそう多くないので、カメラの前で「イケメン王子」の世界観に没入する感覚っていうのはすごく新鮮で楽しいです。
――生放送では、回を重ねるごとに息の合ったトークを繰り広げていらっしゃいますね。
大海:今でこそそうだけど、初回は放送時間めちゃくちゃオーバーしてたよね。
峯田:最初みんな暴れ散らかしてたもんね。今は役割分担みたいなものも、できてきた気がするし。
大海:ちなみに峯田くんが思うそれぞれの役割ってどんな感じなの?
峯田:おみちゃんがMCで“ぶち回し担当”で、志音くんは“真面目にボケる担当”。僕はその間で“何か入れる担当”。いつも隙を見計らって、何かしようとしている感じ。
大海:なるほどね。でもそれすごく必要だし、いつも助かっているよね。
峯田:でも、たまにミスっちゃう(笑)。「行こう」って思ったタイミングで行けなくて、スンっとしちゃったりね。
大海:僕たちMCだけでも3人いるし、毎回すごい方がゲストに来てくださっているし、なかなか隙を探すのも難しいよね。ゲストの皆さんもすごい優しいからさ、もうそこに乗っかって、ゴマ擦っていこうよ。
一同:(笑)
吉高:前回放送のゲストの(ノクト=クライン役の)江口拓也さんにも、おみくんゴマ擦ってたよね。
大海:ゴマ擦ったってはっきり言わないで(笑)! いいんだよ、僕たち双子なんだから! いや、でも本当に回を重ねて、お互いのいろんな個性が見えてきたので、いいチームになってきたんじゃないかなと思います。
――さて、「イケメン王子」には各キャラ、モチーフとなる野獣がいます。それにちなみ、ご自身の中にある“野獣な一面”について教えてください。
吉高:え~なんだろう。僕、ハチミツ大好きです。
大海:いや、それはかわいいところじゃん! もっとぐわーっと野獣っぽいところですよね?
僕は、欲しい物を前にしたときのエネルギーがそれに近いかもしれない。それを最近感じたのが、あるジャケットのネットオークションで。最初は5000円くらいだったんですけど、最終日に敵がどんどん出てきちゃって、結果、勝ったんですけど最初の値段からめちゃくちゃ高くなっちゃっていて。
そのときに、「ああ僕は欲しい物を我慢できなくなっちゃうんだな」って。なので……“物欲の野獣”ですかね、聞こえが悪い気がするけど(笑)。
吉高:僕は最近、配信をしているのですが、ファンの方からのリクエストに応えるときに、たまに意地悪したいなって思って、焦らすことがあるんです。そういうところが、野獣に近い部分ですかね。
大海:それってきっと普段、志音くんが優しいから成り立つ意地悪だよね。
吉高:じゃあ……“ギャップの野獣”?
大海:なんか格好良くてうらやましい、僕“物欲”なのに(笑)。峯田くんは?
峯田:野獣的になるのは、アクロバットの練習のときですかね。最初はやっぱりできないので、すっごい悔しくて。でもそれをバネにして、できるようになるまで練習するんですけど、そのときの僕の心の中はかなり野獣的だと思います。なので、“習得の野獣”です。
大海:え~格好いいじゃん。“物欲の野獣”、大丈夫……?
吉高:僕が見ていて思うのは、おみさんは普段は穏やかで優しい感じなんですけど、たまに視線がキリッとしたときにすごく格好良くて、そういうところは「野獣が潜んでるのかな?」って思いますね。
大海:わ~、ありがとう。
峯田:僕もね、おみちゃんの格好いい顔したときの写真、けっこう好きなんだよな。いつものおみちゃんと違って、ギャップがいいなって。
大海:え、ほんと? なんか照れるけど、ありがとうございます~。じゃあ “物欲の野獣”はやめて、“視線の野獣”でお願いします(笑)。
愛で締めくくられた“円卓会議”
――舞台上で垣間見える野獣な一面も楽しみにしています。イケメンシリーズの舞台化作品としては、大海さんは今作が3タイトル目になりますね。“イケシリ”ならではの空気感は感じますか?
大海:どうだろう……。タイトルも座組も、もちろん別物ではあるんですが、それぞれの世界観をすごく大事にしているのは感じますね。
どの作品もテーマが“愛”じゃないですか。それぞれどういう愛で、どういうドラマがあるんだろうっていうのを、みんながすごく真剣に考えていて。
恋愛をするキャラもそうでないキャラも、それぞれ抱えているドラマや葛藤、役割が与えられていて、それをみんなが大事にしている印象がありましたね。
今作では、ヒロインの愛の対象がレオンじゃないですか。僕たちはその対象ではないんですけど、僕たちが周りでどう振る舞うかによって、2人へのスポットの当たり方も全然変わってくると思うんです。
吉高:僕たちも世界観を大事に表現していきたいですね。今作は音楽をDo As Infinityさんが担当してくださいますし、それも僕自身めっちゃ楽しみなんですよ。
峯田:ゲーム主題歌になっている「あなたをただ愛している」以外にも色んな楽曲が使用されるとのことなので、それも楽しみに来ていただきたいよね。
――本作は年末の公演となります。最後に、この1年を振り返りつつ、本作への意気込みをお願いします。
吉高:今年7月にゲームがリリースされてから、全王子をクリアしてきたんですけど、ストーリーを読めば読むほど「イケメン王子」が大好きになるんです。それを舞台でも表現できるのはすごく嬉しいですし、ルークの本編配信も待ち遠しくて仕方ないです。
で、1年の振り返りですよね……。
大海:(小声で)アレ言っちゃえよ、アレ!
吉高:え! アレ言っちゃっていいんですか!? …って、何もないんですけど(笑)。
僕、本当にこの作品が大好きなので、一人でも多くの方にこの作品に触れてほしいですし、舞台も含めてお気に入りの王子を見つけて恋をしてもらえたら嬉しいです。
峯田:情勢が色々変わって、皆さんもいろんな時間の過ごし方をしたと思うんですけど、僕は一瞬悩みましたね。「今後、どうしようかな」とか。
でも、「やるしかないな」って思うようにしてからは、外に出られない間も声優の技術の研鑽とかに時間を使えたので、ある意味、充電期間になったのかなって。その力を、この作品を含めたこれからのお仕事に使っていきたいし、舞台でしっかりお客さんに届けられたらいいなと思います。
舞台は原作の世界観にプラスして、仕草や表情など情報量がすごく多くなると思うんです。きっと1回じゃ全部を見きれないと思うので、何度も観ていただきたいですし、そう思ってもらえるような作品になるようこれから作っていくので、楽しみにしていてください!
そして、RPPのいつもの感じもカーテンコールかどこかでお見せする機会があればいいなと思っています!
大海:今年は世界的に大変なことがあったわけですけど、こういう危機に瀕したときこそ僕たちの本質って問われるんだなって、すごく感じました。まず、舞台ができることってすごくありがたいことで、ひいてはお仕事させていただけることにも感謝をしながら、色々考えて吸収する時間のある1年だったなって思います。
この作品は、それこそ「真実の愛ってなんだろう?」って問われる作品なんですけど、この1年、僕は少し格好つけた言い方になってしまうんですが、“愛”について考える時間がすごく多かったんです。だからこそ、“愛”を題材にしたこの作品に、この1年感じたことを還元しながら、リヒトと「イケメン王子」という作品に向き合っていけたらなと思っていて。
志音くんも言っていたように、一人でも多くの人に、ゲームもプレイしてほしいし舞台も観に来てほしいなと思っていますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
* * *
「プリなま」ではテンションの高いトークでファンを楽しませてくれている3人。この“円卓会議”では、その仲の良さを感じさせつつも、言葉の端々に“野獣み ”を感じさせる、役者としての熱い思いを聞かせてくれた。
甘くも苦しい“愛”を描く「イケメン王子 美女と野獣の最後の恋 THE STAGE ~Beast Leon~」は、2020年12月24日(木)のクリスマスイブに幕を開ける。1年の締めくくりに、野獣を飼いならす美しい王子たちに会いに行ってみてはどうだろうか。
撮影:ケイヒカル
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