ジュブナイルRPG「ペルソナ5」の舞台化第2弾となる「PERSONA5 the Stage #2」が2020年10月1日(木)に幕を開ける。
現代日本を舞台に、「ペルソナ能力」に目覚めた高校生たちの活躍を描く同作。前作同様、爽快感たっぷりのバトル・アクションや丁寧な心理描写が描かれるほか、新たなキャラクターたちも加わり、よりパワーアップした展開に期待が寄せられている。
2.5ジゲン!!では、前作から主人公役を続投する猪野広樹にインタビューを実施。公演への意気込みや役作り、今後についてたっぷりと語ってもらった。
さらなるパワーアップに「覚える量が半端ない(笑)」
――まずは今作への意気込みを教えてください。
「世の中が平和じゃないとエンタメはできないんだな」と改めて思いました。
今まで千秋楽を当たり前のように迎えていましたけど、今はいつ舞台ができなくなるのか分かりません。千秋楽を迎える意味の大きさを改めて感じています。演者側はもちろん、お客さまも万全の状態でいらっしゃるという意味では、11公演全部が勝負だと思っています。全員野球ですね!
――今回は第2弾ですが、前作を振り返ってみていかがでしょうか?
前作は「これどうやって表現しますの?」っていう感じでした(笑)。他の舞台とは違うタスクがすごく多いので、まとめるのに時間がかかりましたね。主役ではありますけど、僕中心の話じゃないというか……今回だったら祐介(演:小南光司)とか真(演:七木奏音)の話が中心です。
皆のバランスを見ながら最後に主人公を作るのが、この舞台の特徴だと思います。他の作品だったら主役を囲みますが、ペルソナは逆に主役が一番下にいるようなイメージです。
前作は出ずっぱりで熱中症になるんじゃないかなと思ったりもしましたが、今回は、更に大変です。前作で土台ができた分、そこから更にパワーアップしていますよ!
――特にパワーアップしたと感じる部分はどこでしょうか?
ダンサンブルになりました! 前作はパレスに入っても会話などの日常パートが多かったんですけど、今回はアンサンブルの方も入って、ダンスの要素が増えました。より目で楽しんでもらえる作品になっています。
それから殺陣も多いです。毎日インプットの状態なので、それを忘れないようにするのに必死ですね。覚える量が半端ないです(笑)。
――今作でも魅力的なキャラクターを演じる豪華なキャストが揃いました。コープが上がったと思うキャストは誰ですか?
(塩田)康平君は初演からマックスでしたね。小南(光司)じゃないかな。彼、前作では開演から2時間半待って2分くらいしか出ていないんですよ(笑)。今作は稽古でも1カ月まるっと一緒なので、コープが上がったかな。
あとはヒデ(佐々木喜英)様です! 前作ではまったく絡まなかったんですけど、やっと細い糸で交わるようになりました。
ヒデ様は何でも器用にできるんですよ。難しいダンスの振り付けもすぐにでますし、歌もお上手ですし、芝居も存在感があるのに優しい。いじっても返してくれる。昔は話しかけられなかったので、その時のコープを0だとしたら、今は5かな?
得意不得意を補い合う、助け合いの“チームワーク”
――改めて新キャストの印象を教えてください。
小南は相変わらず実直ですね。ひたむきです。自分を追い込めば追い込むほど、芝居が光ると思います。
(七木)奏音は、静かですけど芯が強い子です。ある意味、ゲームの主人公を具現化したみたいな子かも。お芝居をする時はすごく肝が据わっていて、その目が好きです。引き込まれる目。めちゃくちゃいい子ですよ。
(宮下)雄也くんは化け物です! ずるいんですよ。ぽんぽんアイデアが出てくる。以前舞台を見た時から熱量がすごい人だなって思っていました。彼は普段は人見知りらしいんですけど、舞台に出たらその場を支配するような雰囲気があるんです。今、面白過ぎて雄也くんを愛しちゃっているのが個人的な問題ですね(笑)。一応、今回のボスなので。
雄也くんありきになるんですけど、一番コープを結びたいキャラクターも金城(演:宮下雄也)です。
――共演者の方とのコミュニケーションの取り方を教えてください。
今までだったら稽古終わりにご飯に行くこともあったんですけど、今はどこにも行けないじゃないですか。稽古場で何とかするしかないので、ソーシャルディスタンスを取りながら怪盗団を集めるようにしています。
5人で1人みたいな、ファイブマンセルのチームです。分からないことがあったら、相談できる場を作っています。
――チームの絆を感じるのはどんな時でしょうか?
皆それぞれに、得意不得意があります。例えば僕は、歌が苦手なんですけど、康平君が教えてくれます。逆に僕が得意な殺陣を、刀を使ってのアクションが初めての小南に教えたりしています。
アンサンブルの方たちからもダンスを教えてもらったりして、助け合っています。これも全員野球ですね。この助け合いが作品全体の絆になるのかなって思っています。
今回僕はずっと、「誰もサボらせない」って言っています。全員が血反吐を吐くようなきつい中で助け合っていて、素敵なチームワークができつつありますね。
――原作ゲームは、プレイヤーが主人公を自由に設定できる点も魅力です。主人公の演じる上で、どのように役作りされていますか?
前作は自分の葛藤を重点的に役作りが始まりました。あとは、パレスに入った時と日常との差を出すようにしています。
日常では出しづらい部分を表現できるように意識しました。
――猪野さんも原作ゲームをプレイされているそうですが、どんな主人公になっていますか?
ずっと駅前で宝くじを購入している、一発狙っている系の主人公です(笑)。ゲームの中では放課後にコンビニでこつこつバイトもできたりするんですけど、僕自身、バイトしていた頃は「何か違うな……」と思っていたので、僕と似ているかもしれないです。でも、僕は毎日宝くじを買ってはいないですよ!
――以前、主人公の声を務めた福山潤さんとイベントでご一緒されていましたが、役作りの参考になったことはありましたか?
お話させていただいた時に、(主人公を)「むっつり」とおっしゃっていて、そこは使わせてもらおうと思いました。
前作では、1箇所だけその要素を入れたんですよ。カモシダパレスの中で、水着姿の杏を直視しないようにしつつも見ていました(笑)。
――共演者の方々とは役作りについて話し合いをされるのでしょうか。
この役は特にします。じゃないと作り込めないです。僕は周りとどうしていくか相談していくことが多いんです。共同作業かな?
今回、主役なのに台詞少ないんですよ(笑)。だから周りの個性に潰されないよう、その存在感はリアクションで補うようにしています。あとは皆さん頼りですね。皆が、僕をリーダーにしてくれています。
「求められる場所に居続けたい」 猪野広樹の哲学
――本作に限らず、原作付きの舞台で気を付けていることは何でしょうか?
もちろん、原作は漫画なら読みますし、ゲームだったらプレイします。でも、原作に寄せ過ぎるということはあえてしていません。「誰でもいいじゃない」ってなってしまうのが嫌なんです。
ビジュアルは近づけてもらいますし、キャラクターにとって大切なものは舞台に持っていくようにしていますが、演出家さんやスタッフさん、キャスト同士の関係性を活かして、この現場でしか作れないことを大切にしています。
――「ペルソナ5」は“心の怪盗”となって悪に立ち向かうストーリーですが、猪野さんにとって許せない悪はありますか?
仕事に対してしっかり向き合わない人ですかね。生ぬるいことをしている人は許せないかも……。あとは電車の駆け込みとかですかね(笑)。
最近の小さいエピソードだと、何か無茶ぶりされて「3、2、1」ってカウントする時に、2と1を言わない人が許せないですね。なんで番組風に言うんだって(笑)。
――猪野さんは現在、舞台やドラマなど様々な作品で活躍されていますが、今後、どのようなジャンルに挑戦したいですか?
最近は求められる場所に居続けたいと思っています。求められなくなったら、終わりです。
今までは「これに出たいからオーディションを頑張ろう」とか思っていたんですけど、役者って自分の個性との戦いじゃないですか。だから、メディアは何でもよくて、ドラマでも映画でも舞台でも、「あなただから使いたい」って言ってもらえる役者でいたいと思います。
そして、演出家さんや制作さんなど、今まで僕を育てていただいた方々に恩返しがしたいですね。
――最後に、本番に向けての意気込みを聞かせてください。
この時期に公演に立たせてもらえるありがたさを感じています。お客さんが楽しみにしてくれている気持ちに応えたいですし、制作さんが旗揚げされた以上、全力でオールを漕いでいきたいと思っています。
間違いなく前作よりもパワーアップしています。皆さんも健康に気をつけて、ぜひ劇場に足を運んでください!
ヘアメイク:福田純子(Nestation)
スタイリスト:吉田ナオキ
衣装協力:ACUOD by CHANU
撮影:ケイヒカル
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