インタビュー

林田航平×高崎俊吾、小説原作だから表現できる新たな“ヴァリアー・クオリティ” 鮮やかな静と動の対比

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シリーズ4作目となる『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -隠し弾(SECRET BULLET)-が2020年11月に上演を迎える。

「リボステ」シリーズ初のスピンオフストーリーとなる本作は、ヴァリアーのリング争奪戦前日譚を描く「X-炎(イクスフィアンマ)」と、ディーノの成長譚を描く「跳ね馬爆走!(スタンピード)」の2本立てとなっている。

2.5ジゲン!!では、「X-炎」に出演するXANXUS役・林田航平とS・スクアーロ役・髙﨑俊吾にインタビューを行った。ヴァリアーの活躍を描く本作への意気込みや、XANXUSとスクアーロの関係性などを語ってくれた。

インタビュー後半ではヴァリアーキャストの他己紹介も。ヴァリアーファン必読の内容となった。

※タイトルの高崎俊吾の高は「髙」、崎は「﨑」が正式表記

小説から生まれた新たな“ヴァリアー・クオリティ”

――まずは、ヴァリアーがメインキャラクターとなる「X-炎」上演決定を聞いた際の気持ちをお聞かせください。

髙﨑俊吾(スクアーロ役):まさかっていう気持ちでしたね。ツナ(沢田綱吉)のいない「リボステ」ってありなのかな……って。なので、(上演決定が)嬉しいのと同時に「やっていいのかな」って(笑)。

林田航平(XANXUS役):「こっちに来るのか」って感じでしたね。ストーリー的に「未来編」に行くのかなって思っていたし。

髙﨑:でも僕たちとしては「vsヴァリアー編」を2作やらせてもらった後なので、タイミング的にはすごくありがたいなって。

林田:そうだね。また皆でやれるしね。

髙﨑:全員で戦い終えた後で前日譚にあたる作品ができるっていうのは、プレッシャーを感じつつも嬉しいですね。

――今回は漫画ではなく小説が原作になりますね。原作を読んでみていかがでしたか。

林田:面白かったです。リング争奪戦のときとはヴァリアーの雰囲気も少し違うんですよ。小説の「X-炎」が漫画のヴァリアー編の後に書かれているからか、“成熟”じゃないですけどキャラクターの輪郭とかもすごく明確になっていて、そんなところも興味深かったです。

髙﨑:漫画では描かれていなかった、読んでいる人が気になっていたであろう部分が鮮明に描かれていた印象です。僕たちとしても、ヴァリアーとして演じてきた中で気になっていた部分とか疑問点みたいな部分がしっかり描かれていたので、読み応えがありました。

最初に読んだ時に感じたのは、XANXUSがすごいクールだなって。

林田:そう! すごく大人な感じがするよね。きっと漫画があった上で書いているからなのかなって思うんですけど。

髙﨑:文章だからこその表情みたいなものを感じられましたね。

林田:これがいつものヴァリアーなんだろうなって。リング争奪戦はイレギュラーな出来事だったので、こっちが暗殺部隊としてのヴァリアーの姿なんだろうなって思うとすごく新鮮でした。

――これまでのヴァリアーと今作のヴァリアー、どんな違いが見られるでしょうか。

髙﨑:僕としては、隊長としてのスクアーロの在り方っていうのが見せられるといいなと。リング争奪戦ではXANXUSがヴァリアーの中心で彼をトップにして動くっていう形でしたけど、今作は、現場はスクアーロが引っ張って、XANXUSが指揮をとるという形でお互いがいる場所も違う。

スクアーロの実行部隊の隊長感っていうのは今までの舞台ではあまり描かれていない部分なので、「スクアーロってこうやってチームまとめているんだ」っていうところが今回は見てもらえるのかなと思います。

林田:XANXUSに関しては、そんなに早く手を出さないんだなって(笑)。

髙﨑:たしかに(笑)。意外と優しいよね。

林田:優しいかは分かんないけど(笑)、オッタビオを理詰めで追い詰めていくところとかはすごく新鮮だし、やっぱり頭が良いんだなって改めて感じました。スクアーロたちに関してはわちゃわちゃしながら任務を進めていく姿がなんだか新鮮でしたね。

髙﨑:活字だからこそ自分でシーンを想像するじゃないですか。だから漫画の絵よりも、自分たちが演じているキャラクターの方を想像しながら読んでいましたね。「あいつだったらこういう風に動きそうだな」とか。

林田:そうだね。小説だからこそ、今回は(芝居を)作っていく上で自由度もちょっと上がるんじゃないかなって思います。

――自由度ということですが、実際演じる上で漫画原作と小説原作ではどんな違いが生まれるものなのでしょうか。

髙﨑:「リボステ」は、原作へのリスペクトや原作を忠実に再現するっていう部分がかなり強い作品だと思うんです。

例えば、殺陣ひとつにしても技ひとつにしても、漫画の描写を参考にして作っている部分がありました。今回は絵になっているものがない中で、自分たちで創作していく感覚っていうのはあるんじゃないかなと思います。

林田:そう、それが言いたかった。

髙﨑:じゃあ、航平さんの発言ということで(笑)。

XANXUSとスクアーロを繋ぐものとは?

――XANXUSは舞台初登場となるオッタビオ(演:山本匠馬)とのシーンがありますね。

林田:心理戦がありますね。原作を読んだ方は結末を知っていると思うんですけど、分かっていてもドキドキしてもらえるように作りたいなって思っています。

こちらは心理戦を繰り広げる推理サスペンス的な“静”で、スクアーロたちの任務がアクションのある“動”じゃないですか。だから、この静と動の対比がバチッとハマると、スタイリッシュな仕上がりになるんじゃないかなと思っています。

それこそリング争奪戦は殺陣が大部分を占めていた作品だったので、今回心理戦のようなお芝居で見せていくシーンがあるっていうのは僕もすごく楽しみなんです。

ただ原作では他のメンバーと一緒にいるシーンがないので、ちょっと悲しいんですよね……。「これまでずっと一緒にいたのに」って(笑)。

とはいえこれから脚本を頂くので、原作でのそういった部分が舞台ではどうなっているのかなっていうのも楽しみにしています。

髙﨑:オッタビオ……どうなるんですかね。

林田:ね。まだオッタビオ(役の山本匠馬)にはお会いしていなくて、今回初共演でもあるので、これからどう作っていこうか楽しみです。

――それぞれ演じる役について、どんなところに魅力を感じていますか。

髙﨑:「う゛ぉぉい」かな……っていうのは冗談で(笑)。スクアーロは直情的ではありながらも頭では冷静に考えている部分があるなと思っていて。それでもちゃんと感情をストレートに表に出せるっていうのがすごく魅力的だなと思いますね。

普通に生きていると、何もかもが自分の思い通りにはできないじゃないですか。だけど彼は自分のやりたい使命のために、自分の好きなように生きてきたっていう姿には惹かれるものがありますね。

林田:XANXUSの底が見えない、何を考えているか分からない部分がありつつも、スクアーロやボンゴレ9代目、ヴァリアーに対しては特別な感情があるんだろうなって想像させる部分が好きですね。悲しいときに笑ってみせるような。

あとは普段の自分がためらってばかりなので、彼の「ためらいないな、コイツ」みたいなところもいいなと思います。

――XANXUSとスクアーロの関係性について、お二人はどう考えながら過去2作品を演じてきたのでしょうか。

林田:XANXUSからすると、「気に入らなくて、気に入らなくて、でも大好き」みたいな感じですね。XANXUSはスラム出身じゃないですか。だけどスクアーロはマフィア的にはエリートで、ヴァリアーの次期ボスとも言われていた存在で、そこに対する嫉妬心みたいなものもあって、事あるごとにいじめるじゃないですけど、キツくあたるんですよね。

でも結局、スクアーロが1番XANXUSのことを支持してくれているし、認めてくれているし、分かってくれていることをXANXUS自身も理解していると思うんです。

だから「この野郎」って思いながらも、どこかで彼の存在に救われていると思うんですよね。冷たくすることで愛情表現しているんじゃないのかな、っていうことを考えて関係性を作っていました。

髙﨑:そもそもスクアーロっていう人物は強さが全てで、なぜそういう考えをするようになったのかっていうのも自分なりに想像で考えたんですよね。

自分にないものを持っている人ってどうしようもなく眩しく見えるじゃないですか。スクアーロがXANXUSに抱いているのも、それに近いものなんじゃないかなと思っています。

ヴァリアーの中でずっと長く一緒に過ごしてきて、XANXUSの過去とか強さの秘密も知った上で、自分にはない人間としての魅力っていうものに憧れがあるんじゃないかなって。

あとスクアーロからしたら自分にしか打ち明けられていない過去があるっていうのも、特別感みたいなものを感じているのかなって思いますね。

ギャップの宝庫? ヴァリアーキャスト他己紹介

――ここからは役を離れた部分についてお伺いしていきます。お互いに役者として尊敬しているところはどんなところでしょうか。

林田:俊吾は「リボステ」の前に1回共演していて、最初はすごい真面目そうだなって思ったけど、意外と自由なんですよね。彼らしい柔軟さがいつもあって、そういうところはすごく好きだなって思いますね。

髙﨑:ありがとうございます(笑)。航平さんには最初の頃からずっと変わらない印象があって、何よりいい意味で芝居バカなんですよ。

本当にお芝居が好きなんだなっていうのを肌で感じるし、一緒にやっていると刺激的ですね。四六時中お芝居のことを考えているところとかすごく尊敬しているし、役者としてとてもいい先輩だと思っています。

林田:ありがとうございまーす!

――ちなみに初対面の印象から変わった部分や意外だった一面はありますか。

林田:付き合っていくうちに肩の力が抜けている感じが心地いいなって感じるようになりましたね。ふとしたときに癒やしをくれるというか。

髙﨑:航平さんは第一印象で怖がられるタイプですか?

林田:緊張してるんだよね。

髙﨑:あれ緊張してたんですね(笑)。

――バクステやSNS上でも仲の良さがうかがえるヴァリアーキャストですが、ヴァリアーキャストについて、ひと言ずつ他己紹介をお願いします。まずは、ルッスーリア役の高木勝也さんから。

林田:(ルッスーリア役の高木)勝也さんはもう、全信頼を置いていますね。

髙﨑:本当にいいお兄ちゃんでみんなをまとめてくださるし、優しいですし…。

林田:優しすぎてちょっと怖いくらい。ふと見ると、優しいのに殺し屋のような目をしていることもあるので(笑)。

髙﨑:あといろんなことに造詣が深いので、お話しているだけで刺激的な方ですね。それとルッスーリアがハマりすぎていて、普段からルッスーリアなんじゃないかなっていうくらい怖い時がある(笑)。

林田:たしかに普段もちょくちょくルッスーリアっぽいところ出てくるよね(笑)。

――続いて、レヴィ・ア・タン役の八巻貴紀さんについて教えてください。

林田:彼も面白いですね。物知りでおしゃべりな部分もあるけど、繊細で天然な部分もあって、打てば響くような男ですね。

髙﨑:繊細っていうのは僕もすごく感じますね。同い年っていうこともあってよく話すんですけど、真面目な部分もありながらお茶目で天然なところもある人だなって。

林田:独特な考え方をするなっていう部分もあるし、かと思ったら暴走することもあるし(笑)。だから不思議な雰囲気を持っていますね。

――ベルフェゴール役の大海将一郎さんはいかがでしょうか。

林田:おみちゃんね……面白いって言いたいんだけど、言うと喜ぶからね、言いたくない(笑)。

髙﨑:前作のバクステとかもメイキングカメラが入っていたんですけど、あの子は天才ですね。サービス精神がすごいし面白い……あ、面白いって言っちゃった(笑)。

林田:しょうがないよ、だって面白いもんね。

髙﨑:だけどお芝居に関してはめちゃくちゃストイック。

林田:プロ意識がめちゃくちゃ高いね。徹底している。だから実は大海はすごく男臭いんだろうなって思っていて、そこがすごい魅力だなって。でも裏ではずっと笑わせてくれるんだよね。

髙﨑:男臭さはすごく分かります。芝居に関して頑固なところはすごく頑固だし。でも普段は空気もすごく読んでくれるから、ヴァリアーにいてくれて良かった存在ですね。

林田:困ったら大海の話をすればいいので。「またぁ!?(高音)」ってすごい甲高い声で反応してくれるので、ついついいじっちゃうんですよね(笑)。

――ヴァリアーキャストで唯一の女性、マーモン役の甲斐千尋さんはどうでしょう。

髙﨑:かいちーは楽屋も一緒(の部屋)でいいんじゃないかってくらい仲間という感じですね。「やめてよぉ」って言われちゃいますけど(笑)。ふわふわしてそうですごく色々考えている方ですね。

林田:あと1番ヴァリアーのことが好きなんじゃないかなって思いますね。

髙﨑:ちゃんと人のことを好きになる人というか、人に対して敬意を持てるところが魅力だなと思います。

――最後にゴーラ・モスカ役の工藤翔馬さんはいかがでしょうか。

林田:しっかりしているし、猛々しいところがある感じがしますね。あと責任感が強い。

髙﨑:スーツアクターもされていて、見せ方へのこだわりや知識が深い方です。翔馬さんだからこそセリフがひとつもないモスカという役も存在感が出るんだなって。

プロとしての猛々しさがありつつも、役を離れると繊細でかわいらしい部分もあったりして、ギャップにキュンとするというか。

林田:最初のモスカ役は横ちん(横田 遼)さんで、先輩から託された役になるんですよね。その責任を果たそうっていうプロ意識をすごく感じて、モスカが最初に動き出すときの初動作を模索されていたりとこだわりを感じました。

――今作からはベルフェゴール役がWキャストということで樋口裕太さんが加わりますね。

髙﨑:僕は共演経験があるんですけど、彼は何もかもがしっかりしているので安心できる方ですね。

林田:Wキャストというのが初めてなので、僕たちも楽しみな気持ちがありますね。

髙﨑:多分裕太はおみちゃんとはまた全然違うアプローチの仕方になるのかなと思うので、新しい風になってくれるんじゃないかなと思います。

――ではどちらの回も必見ですね。

髙﨑:(2人のベルフェゴールに対して)間違いなく僕たちのお芝居も変わると思いますしね。どちらも観ていただけたらいいなと思います。

――タイトルの“隠し弾”にちなみ、お二人にとっての“とっておきの切り札”はなんでしょうか。

林田:僕は最近子猫を飼い始めたんですけど、あまりのかわいさにまじで他のことがどうでもよくなります(笑)。なので隠し弾ですね。

髙﨑:え~めちゃくちゃいいじゃないですか。僕は……最近料理をすることが増えたんですけど、はちみつを隠し味によく使うんですよね。はちみつって本当に万能だなって思いますね。なので、これが隠し弾ということで……(笑)。

――最後に作品への意気込みとともに、ファンへのメッセージをお願いします

林田:ヴァリアーとして、「vsヴァリアー編」を2作支えてくださったことに、まず感謝をしています。

今作が次の作品に向けてのいいステップになるように、全身全霊で一丸となって作っていくので、2作品別々のお話ですけど、2作品が刺激しあってこういう時期だからこそ面白いものをお見せできたら……いえ、お見せします! ぜひ楽しみに待っていてください。

髙﨑:原作が小説になり、演出が丸さん(丸尾丸一郎氏)ではなくヨリコ ジュンさんになるっていう大きな違いがあるので、シリーズの中でもまた違う見せ方ができるのかなと思っています。その中にも「やっぱりこれがリボステ」っていうところもありつつも、その新しさっていうのを楽しみにしていただきたいなって。

こういう時期だからこそ、僕たちが舞台に立たせていただけることが本当にありがたいことだなって再認識する期間でもあったので、そういうのも含めて、みなさんにエンターテインメントというものをお届けしたいと思います。

* * *

「vsヴァリアー編」2作品続けて仲間として時間を過ごしてきた2人だからこその話が飛び出すインタビューとなった。

スピンオフストーリーや2本立ての構成など、シリーズ初が詰まっている『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE -隠し弾(SECRET BULLET)-で、また新たな「リボステ」の魅力に触れられるのではないだろうか。幕が開くその瞬間を楽しみに待ちたい。

撮影:ケイヒカル

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2020年10月3日〜2020年10月9日正午
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公演情報

公演タイトル

『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE –隠し弾(SECRET BULLET)-

公演日程・会場

2020年11月7日(土)~11月15日(日) 東京・天王洲 銀河劇場
2020年11月19日(木)~11月22日(日) 京都劇場

原作

「家庭教師ヒットマンREBORN! 隠し弾」
小説:子安秀明、原作:天野明(集英社JUMP j BOOKS刊)

脚本

丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

演出・映像

ヨリコ ジュン

音楽

オレノグラフィティ

キャスト

リボーン:ニーコ
ディーノ:山田ジェームス武
XANXUS:林田航平

S・スクアーロ:髙﨑俊吾
ルッスーリア:高木勝也
ベルフェゴール:大海将一郎・樋口裕太(Wキャスト)
レヴィ・ア・タン:八巻貴紀
マーモン:甲斐千尋
ヴェッキオ・モスカ:工藤翔馬

オッタビオ:山本匠馬
ロマーリオ:新田健太
ティグレ:汐崎アイル
キャバッローネ9代目:加藤靖久

アンサンブル:池田彰夫、佐藤佑樹、天野 佑、新原ミナミ、足利 至、森川大輝、下 瑞穂、丸野裕太

公式サイト

https://www.marv.jp/special/reborn-the-stage/

公式twitter

@stage_reborn

(C) 天野明・子安秀明/集英社 (C)『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE製作委員会

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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