素の状態では、爽やかな笑顔が光る好青年。だが板の上では、粗野な言動から狡猾なまでのあざとさまで見事に演じ分ける。
新たな自分をハングリーに獲得しつつ、のびのびと芝居を楽しむ姿は、見ているこちらまで幸せにしてくれる。
赤澤遼太郎は、そんな俳優だ。
1997年1月11日生まれ、今年23歳を迎える彼の誕生日を記念して、「2.5ジゲン!!」では「赤澤遼太郎の演じた中で一番好きなキャラクター」についてアンケート調査を行った。
2.5次元ファンが選ぶ赤澤遼太郎の「ベストキャラ」とは、一体どの役なのだろうか? 寄せられたコメント(抜粋)を基に紹介していこう。
※いただいたコメントについては文意を損なわない範囲で一部省略、誤字等の編集をしております。
七尾太一|MANKAI STAGE『A3!』
今回のアンケートでは、とくに多くの支持を集めた役が2つある。そのうちの1つがMANKAI STAGE『A3!』の七尾太一だ。
まずはファンのコメント(その役を選んだ理由)を抜粋して見てみよう。
天真爛漫人懐っこい面も裏に抱えていた想いも的確に演じていたので
太一の無邪気さがいっぱい出てて可愛かったから。
見ているとこちらまで元気になれるような、元気いっぱいの笑顔がかわいいです。「◯◯ッス!」っていう語尾もすごく自然で、子犬みたいで大好きです!
MANKAI STAGE『A3!』(通称エーステ)は、貧乏劇団「MANKAIカンパニー」に所属する劇団員たちの日常ドラマを描く作品だ。
役者になった動機も背景もバラバラの人物たちが、日々切磋琢磨しながら劇団をもり立てようと奮闘するストーリーは、観客を感動と笑いの渦に巻き込んでくれる。
MANKAIカンパニーには春組・夏組・秋組・冬組の4つの組分けがあり、それぞれ得意分野が異なる。七尾太一はハードなアクションを得意とする「秋組」に所属している。
コワモテや高身長など、ちょっと大人っぽい見た目の顔ぶれが多い秋組の中、太一はテンション高く場を盛り上げるムードメイカー的な役割を担っている。
「モテたい!」が口癖で、子犬のようにワチャワチャと人の周りを駆け回る。そんな太一の人懐っこい笑顔を、赤澤はとてもナチュラルに再現している。
これは原作ファンにとっても、また赤澤ファンにとっても、嬉しい姿なのではないだろうか。
大神晃牙|『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』
多くのファンから支持を集めたもう一つの役が、『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』の大神晃牙だ。
この作品で赤澤さんを知ったのですが、カーテンコールでの一言で役のキャラと赤澤さんとのギャップが衝撃だったのと、全く性格の違うキャラクターをこなす赤澤さんがすごいと思ったので。
『エクストラ・ステージ』〜Destruction × Road〜では1年前の大神晃牙を演じていらっしゃって、1年前の晃牙真っ直ぐで一生懸命なところがとてもハマり役で大好きでした
オラついている晃牙くんも、1年前のちょっと子どもっぽい晃牙くんも、両方かわいいです。とくに過去編の晃牙くんは憧れの先輩への思いが素直にあふれていて、ワンコらしさが際立っていて素敵でした!
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』(通称あんステ)は、アイドルを養成する私立夢ノ咲学院が舞台の作品である。
個性豊かなキャラクターが繰り広げる群像劇は、コミカルさとシリアスさの配分が絶妙だ。ユニットごとにもユニークな特色があり、大神晃牙は「夜闇の魔物」を自称するメンバー4人で構成されるユニット「UNDEAD」に所属している。
晃牙は、言葉遣いこそ乱暴だが根は優しい高校2年生。ユニットリーダー・朔間零のパフォーマンスに心酔しているものの……いや心酔しているからこそ、その思いをダイレクトに表現しようとはしない。
いわゆるツンデレにも見えるが、晃牙の場合は気持ちを表現するのが恥ずかしいというよりも「先輩のようなかっこよさを身に着けたい」という側面が垣間見える。
このため、晃牙の言動をよく観察すると、驚くほどまっすぐユニットや先輩に向き合っていることが多い。好戦的な口調や見た目のイメージからはとても想像がつかないので、初めて晃牙を知る人はびっくりすることも多いだろう。
赤澤は、そんな晃牙の背景まで表現してみせる。小さな仕草や口調から、晃牙の表面的な「らしさ」だけでなく、内面までもしっかり伝わってくるのだ。
とくに2019年に上演されたUNDEAD主演の番外編(Destruction × Road)では、過去と現在の晃牙を魅力的に演じきり、観客の心を揺さぶった。
トド松|舞台「おそ松さん」
さらにもう一人、忘れてはいけないキャラクターがいる。それは舞台「おそ松さん」シリーズの6男・トド松だ。
役がそのままだったから
あざとい!かわいい!でも松野家ならではのちょっとだけ腹が立つ感じがすごく良かった(笑)
いじられキャラのトド松が100%再現されていました!
20歳過ぎても働かずにグータラ暮らす6つ子の生活を、シュールな世界観で描く舞台「おそ松さん」シリーズ(通称松ステ)。赤澤は、松野家の末っ子である6男・トド松を演じている。
甘え上手な性格やかわいいポージングが特徴のトド松。だがそこはやはり6つ子の一角、見た目に反する過激なセリフや人の心が分からないドライすぎる一面など、多彩な表情を見せてくれる。
赤澤はこのシリーズで、ショートコントに限りなく近い芝居や、脚本1本まるまる通した喜劇にもチャレンジしている。
観客を笑わせることは時に「泣かせることより難しい」という説もあるが、松ステは好評を博し、たくさんの観客を笑いの渦に巻き込んだ。
自由な気風が光る現場で(先輩キャストによる愛情たっぷりの「いじり」を受け止めつつ)全力でトド松を演じることは、赤澤自身にとっても大きな経験の一つになったに違いない。
演じるたびに自身の世界を大きく拡げる、努力家・赤澤遼太郎
2020年も、赤澤は各作品に引っ張りだこだ。
エーステに関しては、2020年に秋組の単独公演、そしてエーステ初のライブ公演が決定している。ライブの方は現時点で出演者未発表ではあるものの、2020年の七尾太一にも活躍が期待できそうだ。
また松ステに関しては、2020年に喜劇「おそ松さん 其の2」の上演が発表された。他の作品ではなかなか見られない「クズでニート」な姿が見られる作品なだけに、さらなる魅力の開花に期待が高まる。
振り返ってみると、赤澤は新しい役を演じるたびに新境地を大きくひらいてきた。素の状態で見せる爽やかな笑顔からは想像もつかないような役柄を、ひとつひとつ丁寧に演じきり、表現力をみるみる高めている。
柔軟な感性と生粋のまじめさによるものだろう、その限界は全く見えない。この役者はどこまでのびのびと表現力を拡大していくのだろうか。
2019年には俳優の仕事をしながら大学卒業をなしとげた、赤澤遼太郎(インスタグラムにて報告)。
2020年、23歳を迎えた今年も、さらなる活躍が楽しみである。
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